経理DXの進め方とは?成功事例や必須ツール、新制度への対応も詳しく解説

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財務・会計ツール
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経理DXの進め方とは?成功事例や必須ツール、新制度への対応も詳しく解説
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目次

近年、ビジネスの世界で「DX」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

特に、紙の書類や手作業が多く残る経理部門において、DXの推進は大きな課題となっています。

本記事では、経理のDXについて、概要や重要性、具体的な進め方、成功させるためのポイントなどを詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

経理DXとは?

まず、経理DXの概要や意味を正しく理解しておきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称です。

経済産業省の定義によれば、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされています。

一般的には「デジタル技術によってビジネスモデルや組織そのものを変革し、新たな価値を創造することを目指す、より広範で戦略的な取り組み」を指し、単にITツールを導入して業務を効率化する「デジタル化」とは区別されます。

>DXについてさらに詳しく解説した記事はこちら

経理DXとは

経理DXとは、DXの考え方を経理部門の業務に適用したものです。

AIやRPA、クラウドサービスなどのデジタル技術を活用して、請求書の発行や経費精算、記帳、決算といった経理業務のプロセスを根本から見直し、自動化・効率化を図ります。

業務の効率化によって創出されたリソース(時間や人材)は、経営分析・予算策定・資金繰り改善の提案といった、戦略的で付加価値の高い業務へシフトさせ、生産性の向上を目指します。

経理部門、経理業務のDXが重要な理由

なぜ今、多くの企業で経理DXの推進が重要視されているのでしょうか。

その理由は、経理部門が抱える課題が企業全体の競争力に直結する問題であるためです。

経理部門は、請求書の処理や入金確認、経費精算など、多くの定型業務を抱えています。

これらの業務が紙の書類や手作業によって行われていると、多大な時間と労力が費やされ、ヒューマンエラーが多発する原因ともなります。

経理業務の遅延やミスは、キャッシュフローの悪化や取引先からの信用低下を引き起こすリスクにもつながります。

また、経理担当者が日々の作業に追われていると、経営状況の分析・経営者への情報提供などといった重要な役割を全うできません。

経理DXの推進によって業務の正確性とスピードが向上すると、経理担当者が付加価値の高い業務を優先的に行えるようになり、経営の意思決定迅速化・企業全体の生産性向上が期待できます。

経理DXが推進される背景

続いて、経理DXが推進される背景を紹介します。

経理DXへの関心が急速に高まっている背景には、企業を取り巻く環境の大きな変化があります。

1. 深刻化する人手不足

少子高齢化に伴う労働人口の減少は、多くの企業にとって深刻な課題です。

特に、専門知識が求められる経理部門においては、経験やスキルが豊富な人材の採用がますます困難になっています。

経理に必要とされる業務量を限られた人員でこなしていくためには、デジタル技術を活用した業務の自動化・効率化が不可欠です。

2. 働き方改革の推進

長時間労働の是正や、多様な働き方への対応を目的とした働き方改革の推進も、経理DXを後押ししています。

紙の書類に依存した業務フローでは、オフィスに出社しなければ仕事ができず、柔軟な働き方に対応できません。

クラウドツールなどを活用して業務をデジタル化すると、ペーパーレス化の促進につながり、時間や場所にとらわれない働き方を実現する上で必須の条件となります。

3. 法改正への対応(インボイス制度・電子帳簿保存法)

近年の法改正も、経理DXを推進する大きな要因となっています。

2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)や、2024年1月から完全義務化された改正電子帳簿保存法は、経理業務がデジタル化されていないと対応が困難です。

例えば、電子帳簿保存法では、電子メールなどで受け取った請求書(電子取引データ)を紙に出力して保存することが原則として認められなくなりました。

改正された法制度に準拠した業務フローを構築するためには、請求書発行システムや経費精算システムといったITツールの導入が実質的に不可欠となっています。

経理DXのメリット

経理DXの推進は、企業に以下のようなメリットをもたらします。

メリット1:業務の効率化と生産性の向上

経理DXの大きなメリットとして、業務効率の向上が挙げられます。

請求書の発行や経費精算、仕訳入力といった定型業務を自動化することで、担当者の作業時間を大幅に削減でき、創出された時間をより高度な業務に充てることが可能になります。

経理部門全体の生産性が向上し、月次決算の早期化にもつながります。

メリット2:コスト削減

業務の効率化によって担当者の残業時間が削減されれば、人件費の削減が期待できます。

また、ペーパーレス化を推進することで、請求書や領収書などの用紙代、印刷代、郵送費、書類の保管スペースといった物理的なコストも削減できます。

仮に業務量が増加した場合であっても、新たな人員を採用せずにシステムの処理能力で対応できるため、採用・教育コストの削減にも貢献します。

メリット3:ヒューマンエラーの削減と業務品質の向上

手作業によるデータ入力や転記は、どれだけ注意してもミスが発生するリスクを伴います。

DXによって業務を自動化すれば、ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけることができます。

経理データの正確性が向上することは、経営判断の精度を高めるだけでなく、税務申告の誤りによる追徴課税などのリスク低減にもつながります。

メリット4:内部統制の強化

経理DXを推進する過程で業務プロセスを見直し、標準化・システム化することは、企業の内部統制を強化する上でも非常に有効です。

「誰がいつどのような処理を行ったか」という記録(ログ)がシステム上に残るため、業務の透明性が高まります。

特定の担当者に業務が集中する属人化を解消し、不正行為の防止や早期発見にも役立つ、健全な業務体制を構築できます。

メリット5:多様な働き方への対応

DXの際にクラウド型のツールを導入し、業務をペーパーレス化することで、時間や場所にとらわれない働き方が可能になります。

経理担当者もテレワークを選択できるようになり、従業員満足度の向上や、多様な人材の確保につながります。

経理DXのデメリット

多くのメリットがある一方で、経理DXの推進にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。

デメリット1:導入・運用コストがかかる

DXを目的に会計システムやRPAといったITツールを導入すると、初期費用や月額の利用料などのコストが発生します。

また、既存の業務フローを見直し、新たなシステムを導入するためのコンサルティング費用や、従業員への教育費用が必要となる場合もあります。

投資対効果を慎重に見極め、段階的な導入を検討するなどの工夫が必要です。

デメリット2:ITリテラシーと専門知識が必要

新たなツールを導入し、効果的に運用するためには、経理担当者にも一定のITリテラシーが求められます。

また、DXによって業務が高度化するにつれて、単なる作業スキルだけでなく、データ分析能力や、システム全体を管理する知識が必要となります。

従業員のスキルセットをアップデートするための、継続的な教育や学習が不可欠です。

デメリット3:セキュリティリスク

クラウドサービスを利用したり、業務をペーパーレス化したりすることは、サイバー攻撃による情報漏洩やデータ消失のリスクを伴います。

導入するツールのセキュリティ対策が万全であるかを確認するとともに、社内でもアクセス権限の適切な管理や、従業員へのセキュリティ教育を徹底するなど、新たなリスクへの備えが必要です。

デメリット4:業務がブラックボックス化する可能性

システムの自動処理に過度に依存してしまうと、その処理の過程や判断根拠が担当者に理解できなくなる「ブラックボックス化」に陥る危険性があります。

なぜこの結果になったのかを誰も説明できなくなると、トラブル発生時の原因究明が困難になったり、業務改善の機会を失ったりする可能性があります。

システムを導入しても、その業務の全体像を理解する人材を育成することが重要です。

経理DXの進め方 4ステップ

経理DXを成功させるためには、計画的・段階的なアプローチが重要です。

ここでは、具体的な進め方を4つのステップで紹介します。

ステップ1:現状の可視化と課題の特定

最初のステップは、現在の経理業務の全体像を正確に把握することです。

「誰が」「いつ」「どのような業務を」「どのくらいの時間をかけて」行っているのかを、すべて洗い出します。

業務フロー図を作成したり、各担当者にヒアリングを行ったりして、業務プロセスを可視化します。

その上で、「時間がかかりすぎている」「ミスが多い」「属人化している」などといった業務上の課題を特定し、優先順位をつけます。

ステップ2:DXの目的とゴールの設定

特定した課題をもとに、「何のためにDXを行うのか」という目的を明確にします。

例えば、「請求書処理にかかる時間を50%削減する」「月次決算を5営業日以内に完了させる」といった、具体的で測定可能なゴール(KPI)を設定することが重要です。

この目的とゴールを経営層から現場担当者まで、関係者全員で共有し、合意形成を図ることが、プロジェクトを推進する上での土台となります。

>KPIについて詳しく解説した記事はこちら

ステップ3:ツールの選定と導入

設定したゴールを達成するために、最適なITツールやシステムを選定します。

会計システム、経費精算システム、請求書発行システムなど、様々なツールが存在します。

自社の課題や予算、既存システムとの連携性を考慮し、複数のツールを比較検討します。

一度にすべてを導入するのではなく、課題の優先順位が高い業務領域から・スモールスタートで導入を進めると失敗が少ないでしょう。

ステップ4:業務プロセスの再設計と定着

最後に、導入したツールに合わせて、既存の業務プロセスの再設計を行います。

新しい業務フローのマニュアルを作成し、担当者へのトレーニングを実施しましょう。

導入初期は、一時的に混乱が生じたり、生産性が低下したりすることもあります。

そのため、現場からのフィードバックを吸い上げながら、粘り強く改善を繰り返し、新しい業務プロセスを社内に定着させていくことが重要です。

経理DXに役立つツール、システム

経理DXを推進する上で、中核となるのが様々なITツールやシステムです。

ここでは、代表的なツールをいくつか紹介します。

  • クラウド会計ソフト:インターネット環境さえあれば、いつでもどこでもアクセスできる会計ソフトです。

    銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、AIが仕訳を提案するなど、記帳業務を大幅に効率化します。

  • 請求書発行システム:請求書の作成から送付(郵送・電子)、入金管理までを自動化するシステムです。

    インボイス制度にも対応しており、法令を遵守した請求書を効率的に発行できます。

  • 経費精算システム:従業員がスマートフォンで領収書を撮影するだけで、経費精算の申請ができるシステムです。

    交通系ICカードの履歴読み取りや、法人カードとの連携機能もあり、申請者と承認者の双方の負担を軽減します。

  • RPA(Robotic Process Automation):PC上で行う定型的な操作を、ソフトウェアのロボットに記憶させて自動化するツールです。

    複数のシステムをまたいだデータの転記作業など、単純な反復作業の自動化に適しています。

  • BI(Business Intelligence)ツール:会計データや販売データなど、社内に散在する様々なデータを集約・分析し、グラフなどで可視化するツールです。

    経営状況の分析や、迅速な意思決定を支援します。

【企業規模別】経理DXを成功させるポイント

経理DXの進め方は、企業の規模によって異なります。

ここでは、大企業と中小企業それぞれについて、経理DX成功のポイントを解説します。

大企業の場合

大企業では、経理部門の人数が多く、業務も細分化されています。

そのため、一部の業務だけをデジタル化しても、部門間の連携がスムーズにいかず、限定的な効果しか得られない場合があります。

成功のポイントは、経理業務の全体最適を目指すことです。

ERP(統合基幹業務システム)などを活用し、会計、販売、購買といった関連業務のデータを一元管理し、部門を横断した業務プロセスの標準化と効率化を図ることが重要です。

トップダウンで強力なリーダーシップを発揮し、全社的なプロジェクトとして推進する必要があります。

中小企業の場合

中小企業では、経理担当者が少人数、あるいは他業務と兼任しているケースが多く、DXにかけられる予算やリソースも限られています。

成功のポイントは、「スモールスタート」です。

一度に大規模なシステムを導入するのではなく、まずはクラウド会計ソフトや請求書発行システムなど、導入が容易で費用対効果の高いツールから導入を始めましょう。

「請求書業務」「経費精算」など、課題の大きい特定の業務領域に絞ってデジタル化を進め、成功体験を積み重ねながら、徐々に対象範囲を広げていく進め方が適しています。

経理DXの成功事例

実際に、企業はどのように経理DXを推進し、成果を上げているのでしょうか。

ここでは、具体的な成功事例を2つご紹介します。

事例1:クラウド会計と請求書発行システムの導入で月次決算を10日短縮

ある中小製造業では、オフラインの会計ソフトとExcelでの請求書作成が中心で、月次決算の確定に20日以上かかっていました。

経営者が経営状況を把握するのが遅れ、迅速な意思決定ができないことが課題でした。

この課題を解決するため、クラウド会計ソフトと、API連携が可能なクラウド請求書発行システムを導入しました。

請求書発行システムで作成した売上データが、自動で会計ソフトに連携され、売掛金の仕訳が自動で作成されるようになりました。

また、銀行明細の自動取り込み機能も活用しました。

この事例の結果、手作業による入力業務が大幅に削減され、月次決算にかかる日数を10日短縮することに成功しました。

経営者は、毎月10日には前月の正確な業績を把握できるようになり、スピーディな経営判断が可能になりました。

事例2:経費精算システムの導入でペーパーレス化と内部統制強化を実現

あるITサービス企業では、従業員が紙の経費精算書に領収書を糊付けして提出するという、アナログな運用を行っていました。

申請者、承認者、経理担当者の全員に多くの手間がかかり、テレワークの推進を妨げる要因にもなっていました。

この課題を解決するため、スマートフォンアプリで完結するクラウド経費精算システムを導入しました。

従業員は、領収書をスマホで撮影するだけで申請が完了し、上長は外出先からでも承認が可能になりました。

この事例の結果、経費精算業務が完全にペーパーレス化され、月間の作業時間を100時間以上削減できました。

また、申請データがすべてシステム上に記録され、承認履歴も可視化されたことで、内部統制の強化にもつながりました。

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専門家の客観的なアドバイスを受けることで、よりDX成功の可能性が高まるでしょう。

Chatwork DX相談窓口へ相談するメリット

『Chatwork DX相談窓口』を活用することで、企業は経理DXの初期段階でつまずくことを防ぎ、スムーズな業務改革を実現できます。

1. 中立的な立場での客観的なツール選定支援

特定のベンダーに偏らない、中立的な立場から、企業の予算や業務内容、将来の展望に本当に合ったITツールの選定を支援します。

数多くのツールの中から、自社だけで最適なものを選び出すのは困難です。

専門家の客観的な視点が入ることで、自社の課題解決に直結する、費用対効果の高いツールを選ぶことができます。

2. 業務プロセスの整理と可視化

DXの成否は、既存の業務プロセスをいかに整理し、システムに合わせて最適化できるかにかかっています。

専門家が第三者の視点で現在の業務フローをヒアリングし、課題やボトルネックを可視化します。

その上で、ツールを導入した後の理想的な業務フローを共に設計することで、導入後の定着をスムーズにします。

3. Chatworkを活用した円滑なプロジェクト推進

相談から実際の導入プロジェクトまで、コミュニケーションはすべてChatwork上で完結します。

専門家とのやり取り、社内関係者との情報共有、タスク管理などを一つのプラットフォームに集約することで、プロジェクトを円滑に、そしてスピーディに進めることができます。

議事録や決定事項もすべてチャット上に記録として残るため、認識の齟齬を防ぎます。

まとめ

本記事では、経理DXについて解説しました。

経理DXは、人手不足の深刻化や各種法改正への対応が求められる近年、すべての企業にとって避けては通れない経営課題と言えます。

自社が抱える課題と向き合い、変化の激しい時代を勝ち抜くため、正しい手順とアプローチで経理DXを進めましょう。

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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経理DXに関するQ&A

経理担当者がITに詳しくないのですが、DXを進めることはできますか?

はい、できます。

近年のクラウドツールは、専門知識がなくても直感的に操作できる、ユーザーフレンドリーな設計のものが増えています。

また、ツール提供会社の多くは、導入時の設定サポートや、操作方法に関する研修といった、手厚いサポート体制を用意しています。

まずは簡単なツールから導入し、少しずつITに慣れていくという進め方が有効です。

経理DXのどこから手をつければ良いか、優先順位が分かりません。

多くの企業にとって、優先順位が高いのは「請求書関連業務」と「経費精算業務」です。

これらの業務は、多くの手作業や紙のやり取りが発生し、非効率の温床となりやすいためです。

また、インボイス制度や電子帳簿保存法といった法改正にも直結する領域であるため、早期に対応することで、コンプライアンス上のリスクも低減できます。

これらの業務のデジタル化から始めるのが、費用対効果を実感しやすい進め方です。

経理DXを進めると、経理担当者の仕事はなくなりますか?

いいえ、仕事がなくなるわけではありませんが、仕事の内容は大きく変化します。

データ入力や伝票整理といった単純作業は、ITツールやAIに代替されていきます。

その一方で、ツールが生み出したデータを分析して経営改善に繋がる提案を行ったり、新たな業務フローを設計・管理したりといった、より高度で創造的な役割が求められるようになります。

経理担当者は、単純作業者から、経営の戦略的パートナーへと進化していく必要があります。

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