社会保険手続きの業務委託完全ガイド|費用相場やメリットは?社労士以外の選択肢はある?

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労務
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目次

従業員の入退社や異動に伴って発生する社会保険手続き業務は専門的で煩雑なため、多くの担当者が負担を感じています。

近年、社会保険の手続きに関する課題を解決し、負担を軽減するために、業務委託を選択する企業が増えています。

本記事では、社会保険手続きの業務委託について、概要や費用相場、メリット・デメリット、注意点などを詳しく解説します。

社会保険手続きは業務委託できる

社会保険(健康保険、厚生年金保険)や労働保険(雇用保険、労災保険)に関する手続きは、外部の専門家や専門会社に業務委託することが可能です。

これらの手続きは、従業員の生活基盤に関わる重要な業務ですが、専門的な知識が必要であり、かつ期限内に正確に行わなければなりません。

また、法改正も頻繁に実施されるため、社内の担当者は常に最新の情報を把握し、適切に対応し続ける必要があります。

そのため、これらの業務を外部のプロフェッショナルに委託することで社内の負担を軽減し、業務の正確性を担保しようとする企業が増加傾向にあります。

ただし、社会保険手続きの代行(書類作成や提出代行)は、社会保険労務士法によって社会保険労務士(社労士)の独占業務と定められています。

そのため、業務委託を検討する際には、委託先が法令を遵守した体制をとっているかを事前に確認することが重要です。

業務委託が可能な社会保険手続きの種類

業務委託が可能な社会保険手続きは多岐にわたります。

企業の状況に合わせて、必要な業務だけを委託することも、一括して委託することも可能です。

主な委託可能業務は以下の通りです。

入退社に関する手続き

  • 資格取得届:従業員が入社した際に、健康保険・厚生年金保険、雇用保険の被保険者資格を取得するための手続き。

  • 資格喪失届:従業員が退職した際に、被保険者資格を喪失するための手続き。

  • 離職票の作成:退職者が失業給付を受けるために必要な離職票の作成・交付手続き。

年次・随時の手続き

  • 算定基礎届(定時決定):年に一度、4月〜6月の給与をもとに、9月からの標準報酬月額を決定するための手続き。

  • 月額変更届(随時改定):昇給や降給などで固定的賃金が大幅に変動した際に、標準報酬月額を改定するための手続き。

  • 賞与支払届:賞与を支払った際に、その額を届け出るための手続き。

  • 労働保険の年度更新:年に一度、前年度の労働保険料を精算し、新年度の概算保険料を申告・納付するための手続き。

給付に関する手続き

  • 傷病手当金支給申請書:従業員が病気や怪我で休業した際の給付申請。

  • 出産手当金・育児休業給付金支給申請書:産前産後休業や育児休業を取得した際の給付申請。

  • 高額療養費支給申請書:医療費が高額になった際の給付申請。

  • 労災保険給付請求書:業務災害や通勤災害が発生した際の給付請求。

その他

  • 被扶養者(異動)届:従業員の家族を扶養に入れる、または外す際の手続き。

  • 事業所関係の変更届:会社の名称や所在地が変更になった際の手続き。

社会保険手続きを業務委託するメリット

社会保険手続きを外部に委託することで、企業は多くのメリットを享受できます。

担当者の業務負担軽減

社会保険手続きは、専門的で手間のかかる業務です。

特に、入退社が多い時期や、算定基礎届・年度更新の時期には、担当者の業務負荷が著しく増大します。

社会保険手続き関連業務を外部へ委託することで、担当者は煩雑な作業から解放され、採用活動や人材育成、制度設計といった、企業の成長に直結する業務に集中できるようになります。

コスト削減

専門の資格や知識を持つ担当者を社内で育成・維持するには、人件費や教育費がかかります。

業務委託を利用すれば、必要な時に必要な分だけプロのサービスを利用できるため、固定費を変動費化し、トータルコストを削減できる可能性があります。

また、担当者の退職リスクや、採用コストの削減にもつながります。

正確性の向上とリスク回避

社会保険制度は複雑で、頻繁に法改正が行われます。

専門家である社労士や専門業者に委託することで、常に最新の法令に基づいた正確な手続きが可能になります。

また、手続きミスによる従業員とのトラブルや、行政機関からの是正勧告といったリスクの回避にもつながります。

属人化の解消

社内で特定の担当者だけが手続き方法を知っているという「属人化」は、その担当者が不在の際に業務が停滞するリスクがあります。

業務委託によって、業務プロセスが標準化され、特定の個人に依存しない安定した運用体制を構築できます。

>属人化の原因やデメリットに関する記事はこちら

社会保険手続きを業務委託するデメリット

メリットが多い一方で、業務委託にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。

委託コストの発生

当然ながら、外部に委託するためには費用がかかります。

従業員数や依頼する業務範囲によっては、月額費用が負担になる可能性もあります。

自社で対応する場合の人件費や時間的コストと比較し、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

社内にノウハウが蓄積されにくい

手続き業務をすべて外部に任せてしまうと、社内には社会保険に関する知識や経験が蓄積されにくくなります。

結果として、将来的に内製化を検討する際に、改めて体制を構築する必要が生じる可能性があります。

そのため、委託先から定期的に業務報告を受けるなど、社内でも業務内容を把握しておく工夫が必要です。

情報漏洩のリスク

社会保険手続きでは、従業員のマイナンバーや給与情報、健康状態といった、極めて機密性の高い個人情報を取り扱います。

これらの情報を外部に預けることになるため、委託先のセキュリティ管理体制が不十分な場合、情報漏洩のリスクが生じます。

そのため、信頼できる委託先を選定することが不可欠です。

社会保険手続きの業務委託先

社会保険手続きの業務委託先には、大きく分けて2つのタイプがあります。

それぞれの特徴を理解し、自社に合った委託先を選ぶことが重要です。

1. 社会保険労務士(社労士)事務所

社会保険手続きの専門家である社労士が直接業務を行う事務所です。

【特徴】

  • 高い専門性:国家資格を持つ社労士が対応するため、複雑な案件やイレギュラーな事態にも的確に対応できます。

  • 幅広い対応範囲:手続き代行だけでなく、就業規則の作成や労務相談、助成金申請など、人事労務に関する幅広いサポートを受けられます。

  • 安心感:法令遵守の意識が高く、コンプライアンス面での安心感があります。

【向いている企業】

  • 手続きだけでなく、労務相談なども含めて包括的なサポートを受けたい企業。

  • コンプライアンスを重視する企業。

2. アウトソーシング会社(BPOベンダーなど)

社会保険手続きを含む、さまざまなバックオフィス業務を代行する会社です。

自社では社労士資格を持たず、提携する社労士事務所に手続き業務を再委託するケースが多く見られます。

【特徴】

  • 効率的な運用:システム化やマニュアル化が進んでおり、大量の業務を効率的に処理できます。

  • コストメリット:社労士事務所に比べて、比較的安価な料金設定の場合があります。

  • ワンストップサービス:給与計算や勤怠管理など、他の関連業務もまとめて委託できる場合があります。

【向いている企業】

  • コストを抑えたい企業。

  • 定型的な手続き業務を効率化したい企業。

  • 給与計算なども含めて一括でアウトソーシングしたい企業。

※注意:社労士資格を持たない業者が、自ら手続き代行を行うことは違法(非弁行為に類似)です。アウトソーシング会社を選ぶ際は、適法なスキーム(提携社労士による代行など)で運営されているかを必ず確認しましょう。

社会保険手続きの業務委託費用

社会保険手続きの業務委託費用は、依頼先や従業員数、依頼範囲によって大きく異なります。

ここでは、一般的な金額の相場を紹介します。

社労士事務所の費用相場

社労士事務所へ依頼する際は、月額の「顧問料」として支払う形態が一般的です。

多くの場合、顧問料は手続き代行と労務相談が含まれた料金となります。

従業員数 月額顧問料の相場
~10名 2万円 ~ 3万円
~30名 3万円 ~ 5万円
~50名 5万円 ~ 8万円
~100名 8万円 ~ 15万円

手続きが発生した都度、料金を支払う「スポット契約」もあります。

  • 入退社手続き:1件あたり 5,000円 ~ 2万円

  • 算定基礎届・年度更新:それぞれ月額顧問料の1ヶ月分程度、または数万円~十数万円

アウトソーシング会社の費用相場

月額基本料金へ従業員数に応じた従量料金が加算されるケースや、パッケージ料金など、会社によって料金体系は多様です。

社労士事務所よりも若干安価な傾向がありますが、依頼範囲によってトータルコストは変動します。

  • 月額基本料金:1万円 ~ 5万円程度

  • 従業員1人あたりの単価:500円 ~ 1,500円程度

正確な費用を知るためには、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。


社会保険手続きの業務委託先を選ぶポイント

自社に最適な委託先を選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。

1. 対応範囲と専門性

自社が委託したい業務(手続きのみか、給与計算も含むか、労務相談も必要かなど)に対応できるかを確認します。

特に、社会保険の手続き代行は社労士の独占業務であるため、適法な形で行われるか確認することは必須です。

2. セキュリティ体制

社会保険手続きを委託する際には、マイナンバーなどの機密情報を預けることになるため、万全のセキュリティ対策が講じられているかを確認します。

プライバシーマーク(Pマーク)やISMS認証の取得状況、データの管理方法などをチェックしましょう。

3. コミュニケーションのしやすさ

日常的な連絡手段(電話、メール、チャットなど)や、担当者のレスポンスの速さ、相談のしやすさも重要です。

自社の担当者と相性が良いかどうかも、円滑な業務遂行には欠かせません。

4. 費用対効果

単に料金が安いだけでなく、提供されるサービス内容と料金のバランスが取れているかを判断することも重要です。

安価な委託先であっても、対応内容に必要なサポートが含まれていなければ、結果的に社内の負担が増えてしまう可能性があります。

5. 実績と信頼性

上記のような点に問題がなければ、これまでの実績や同業他社での導入事例などを確認し、信頼できる業者であるかを見極めておきましょう。

社会保険手続きを業務委託する際の注意点

社会保険手続きを業務委託する際には、以下のような点に注意しましょう。

社内での情報収集体制を整える

委託先が社会保険手続きを行うためには、従業員の入退社情報や給与データなどを、正確かつタイムリーに提供する必要があります。

社内でこれらの情報を漏れなく収集し、委託先に連携するフローを確立しておくことが重要です。

委託先との役割分担を明確にする

「どこまでを自社で行い、どこからを委託先が行うのか」という役割分担を明確に取り決めておきましょう。

線引きが曖昧なままだと、手続き漏れや責任の所在が不明確になるなどのリスクがあります。

従業員への周知

社会保険手続きの業務委託に伴い、従業員からの書類提出先や問い合わせ窓口が変わるケースがあります。

そのような場合には、事前に従業員へ周知し、混乱を招かないように配慮しましょう。

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  • 社会保険・労働保険手続き:入退社時の資格取得・喪失、算定基礎届、年度更新などの各種手続きを、提携社労士が代行します。

  • 給与計算・賞与計算:毎月の勤怠データ集計から、給与・賞与の計算、明細書作成までを代行します。

  • 勤怠管理:勤怠データのチェック、打刻漏れの確認、有給休暇管理などを行います。

  • 年末調整:従業員への案内から申告書のチェック、年税額の計算、源泉徴収票の発行までをサポートします。

  • 入退社手続きサポート:雇用契約書の作成補助や、入社時に必要な書類の回収・案内などをサポートします。

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まとめ

本記事では、社会保険手続きの業務委託について解説しました。

社会保険手続きは従業員の安心な生活を支える基盤であり、企業にとっては絶対にミスが許されない重要な業務である一方、専門性が高く、法改正も頻繁なため、社内リソースだけで完璧に対応し続けることは容易ではありません。

信頼できる外部の専門家への業務委託は、さまざまなリスクを低減し、企業の生産性を向上させるために役立ちます。

自社の課題やニーズに合わせて最適な委託先を選定し、スムーズな依頼につなげてみてはいかがでしょうか。

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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社会保険手続きの業務委託に関するQ&A

従業員が数名しかいない小規模な会社でも、委託するメリットはありますか?

はい、むしろ小規模な会社ほどメリットが大きい場合があります。

専任の担当者を置く余裕がない場合、経営者自身が手続きを行っているケースも多いですが、本業に支障が出かねません。

外部に委託することで、経営者は経営に集中でき、法改正への対応漏れなどのリスクも回避できます。

もし委託先を切り替える場合、手続きは大変ですか?

適切な手順を踏めば、それほど大変ではありません。

新しい委託先が、切り替えに必要なデータや書類のリストを提示してくれますので、それに従って準備を進めます。

旧委託先との契約解除のタイミングや、データの引き継ぎ方法などを調整し、空白期間ができないように注意することが重要です。

助成金の申請も代行してもらえますか?

助成金の申請代行は、社労士の独占業務です。

社労士事務所であれば、多くの場合対応可能です(別途費用がかかることが一般的です)。

アウトソーシング会社の場合は、提携している社労士が対応できるかを確認する必要があります。

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