投資と考えICT導入を決めたことで、電話の時間も半分になり、現場の業務効率もアップ
八王子・多摩地域で地域密着の介護サービスを提供する株式会社アイムでは、訪問介護や訪問入浴、通所介護を運営。以前からヘルパーとサービス提供責任者との情報共有に課題を感じていた同社では、通信費の補助や総務担当者の採用などコストを惜しまずICT化を進めた結果、期待以上の効果が表れているといいます。
八王子、多摩地域で介護サービスを提供。「住み慣れた地域で共に生きる」「人と人との信頼関係に基づいたサービスの提供」がモットー。訪問入浴、訪問介護、居宅介護支援、通所介護、福祉用具、サービス付き高齢者向け住宅などのサービスを展開。
常務取締役 佐藤 裕貴 様
訪問介護課 課長 澤田 綾乃 様
- 電話だと利用者様の情報が他のヘルパーに正確に伝わっているか不安があった
- ICTツールに苦手意識のあるスタッフが使いこなせるか懸念があった
- サ責の業務時間の多くがヘルパーからの電話にとられていた
- 直行直帰の登録ヘルパーでもチャットで連絡や相談ができるようにした
- 通信費の補助や、導入フォローをするパートスタッフの採用をおこなった
- 電話のような1対1ではなく、チャットを使った複数人でのやり取りを推奨した
- 情報が正確に伝わるようになり、サ責とヘルパーのストレスが減った
- サービスに集中できる環境が整い、離職防止や採用コストの低減につながった
- 1日あたり約2時間半あった電話時間が半減し、サ責の業務効率化につながった
課題
- 電話だと利用者様の情報が他のヘルパーに正確に伝わっているか不安があった
- ICTツールに苦手意識のあるスタッフが使いこなせるか懸念があった
- サ責の業務時間の多くがヘルパーからの電話にとられていた
解決策
- 直行直帰の登録ヘルパーでもチャットで連絡や相談ができるようにした
- 通信費の補助や、導入フォローをするパートスタッフの採用をおこなった
- 電話のような1対1ではなく、チャットを使った複数人でのやり取りを推奨した
効果
- 情報が正確に伝わるようになり、サ責とヘルパーのストレスが減った
- サービスに集中できる環境が整い、離職防止や採用コストの低減につながった
- 1日あたり約2時間半あった電話時間が半減し、サ責の業務効率化につながった
経営層が決めたICT化!70代のヘルパーでもLINEが使えていれば、Chatworkの習得も早い
- ICT化を進めようと思ったきっかけを教えてください。
-
佐藤(常務):訪問介護ですとサービス提供責任者(以下、サ責)がヘルパーさんと頻繁に連絡をとることになるのですが、サ責も外出していることが多いのでなかなか連絡がつきません。
特に弊社は登録ヘルパーが100名ほどいて、その方々は基本直行直帰で勤務しているので、事務所で会話すればいい、というわけにもいきません。
そのため、「今日のご様子〇〇でした」「利用者様からこういった要望がありました」など、利用者様に関する情報を早く正確に共有できない現状は以前から課題だと思っていました。
ちょうどその当時、社員の一部がChatworkを社内で使っていたので、これをヘルパーさんにも使ってもらったらどうだろうと考えたのがきっかけです。
- いざ導入することになったとき、ヘルパーさんの反応はどうでしたか。
-
澤田(サ責):年配のヘルパーさんも多く、携帯電話を持っているといってもガラケーであることが多いので、その点は懸念していました。
実際、最初は乗り気ではない人もいましたし、今もヘルパーさん全員が使えているわけではありません。「この歳になって新しいことを覚えるのは難しい」と言われたこともあります。そこは「一緒にやっていきましょう!」と声をかけてサポートしていきました。
- どのようにサポートされたのでしょうか。
-
澤田(サ責):ヘルパーさんに会社に来ていただいて、アカウントの作成や設定などを一緒におこない、使い方をレクチャーしました。レクチャーの時間はだいたい30分くらいです。
その後はヘルパーさんにChatwork上で積極的に問いかけることと、返信があったら何かしらリアクションをすることを意識しました。
やはり、何よりも慣れてもらうことが重要だと考えています。年配の方でも、もともとLINEなんかを使っている方は習得が早かったですね。70代の方でも使えています。
- LINEと同じイメージです、と説明したのでしょうか。
-
澤田(サ責):イメージはそうですが、「LINEと同じです」と説明してしまうと「じゃあ、LINEでいいですか」という会話になってしまいます。
- Chatworkはビジネス向け、LINEは個人向けであること
- Chatworkには画像の保存期間制限がないので、アップロードした後にスマートフォンから画像を削除して良いこと
- 利用者様の個人情報を扱うには、セキュリティ上ビジネス向けのものでないといけないこと
は、LINEとの違いとして伝えています。
投資と考え、個人端末の利用者にはICT導入のために通信費として1人あたり2,000円を補助
- スマートフォンを持っていないヘルパーさんにはどのように対応しましたか。
-
澤田(サ責):もともとスマートフォンを持っていなかった方については現在もChatworkを使っていない方もいますが、エリアによっては会社からスマートフォンを貸与するケースもあります。強制ではなく、選択肢の1つとして貸与するかどうかを選べるようにしています。
佐藤(常務):個人のスマホを使ってくれているヘルパーさんもいます。その場合は通信費の補助として月額2,000円を支給しています。
- 1人につき2,000円というと全体ではかなりのコストアップではありませんか。
-
佐藤(常務):ICTツールの利用料と通信費用の補助は必要経費という認識です。ヘルパーさんにはスピーディーに正確な情報を送っていただきたいし、記録にも残したい。
Chatworkならそれが可能です。これまでは電話しかなかったので、伝言ゲームになって情報が不正確に伝わってしまうことも多々ありました。
澤田(サ責):これまではヘルパーさんに何度も電話して、掛け直して、というのを重ねて結局ケアマネージャーさんへの報告も翌日になっていました。
Chatworkのやり取りは他の人にも共有されるので、自分から情報を取りにいかなくてもチャットを見ているだけで状況がわかります。ケアマネージャーさんとの話もスムーズになりました。会社としてこういった手当があるのは然るべきかな、と思います。
チャットでヘルパー同士の会話が見える化し、サ責がサービス担当者会議で発言がしやすくなる
- 具体的にどのようにChatworkを活用していますか。
-
澤田(サ責):シフトの調整上、どうしても複数人で1人の利用者様を担当することが多いので、利用者様ごとにグループチャットを作成しています。グループチャットには、関係者を入れて情報共有をおこなっていて、サービスに入っているヘルパー同士で会話がおこなわれています。
- チャット上でヘルパーさん同士の会話が見えることでサ責として変わったことはありますか。
-
澤田(サ責):サービス担当者会議の発言が変わりました。
これまでは利用者様の状況について聞かれた際に、よくサービスに入っているヘルパーさんに電話をして情報を得ていたのですが、つながらずに「現場に確認して報告します」と伝えることがよくありました。
今では、チャットで近々の情報がリアルタイムにわかるので、聞かれて答えられないことがなくなります。自分自身の発言も増えましたし、他の事業所さんの話の背景も理解しやすくなりました。
また、要支援の方について報告をするためのグループチャットを別に作成しています。要支援の方に関しては、毎月報告をする義務があります。グループチャットに要支援の方の情報を集めておけば、いざ報告が必要な時に時もそこから情報を引っ張ってくるだけで報告書を作成することができます。
- 利用者様に関すること以外の情報共有でも使っていますか。
-
澤田(サ責):特定のサ責にヘルパーさんからの連絡が集中してしまって、情報共有が漏れてしまったりすることがあるので、職員用の連絡グループチャットもあります。
- できるだけヘルパーさんとサ責の1対1のやり取りではなく、複数人で共有できる場所で発言するようにしてもらっているのですね。
- 澤田(サ責):そうですね。やり取りは主にヘルパーさんのシフト調整や、サービス内容の変更等の連絡、キャンセルの連絡などです。何か職員への依頼があるような場合には、「利用者様から追加の予定依頼があったので、ケアマネージャーさんと調整お願いします」などの事務的な業務の依頼にタスク機能も使っています。
Chatworkでサ責とヘルパーのストレスが軽減!電話の時間も半分になり、業務効率もアップ
- Chatwork導入の効果はいかがですか。
-
佐藤(常務):情報が間違いなく早く伝わるようになり、ストレスが軽減されました。
Chatworkを導入する前は、ヘルパーさんは何かあると事務所に電話していたわけですが、サ責は外出していることが多いのでなかなか連絡がとれません。もうこれがお互いにストレスだったんです。Chatworkはこのストレスを解消してくれました。
また、報告するとチャットでサ責から感謝の言葉が返ってくることは、ヘルパーさんにとってもモチベーションアップにつながっていると思います。電話による伝言ゲームではそれもできていませんでしたから。
澤田(サ責):ヘルパーさんは1人で現場に行って直行直帰されるので、時に不安になることもあるんです。
例えば、「サービスはこれで良かったんだろうか」とか、「利用者様への対応は正しかったんだろうか」とか、「お湯を熱い設定のままにしてしまったけれども、のちのち火傷につながってしまうのではないか」とか。
- そういうときに利用者様に関するグループチャットで気軽に質問したり共有したりできると安心できますよね。
-
佐藤(常務):伝言についても同じで、利用者様に関する大事な情報を事務所に電話で伝えても、サービスについて把握していない電話の窓口担当がそれをしっかりと他のヘルパーさんに共有されているかはわからないわけです。「ちゃんと伝わっているのかな?」と不安になることもあると思います。
そういう不安が積み重なると、不満に変わっていきます。Chatworkを導入したことで、伝わっているかわからないことによる不安がなくなってきました。
澤田(サ責):業務効率も上がっていると感じています。私の場合ですと、現場から事務所に戻ってきて退社するまで3時間あるとすると、以前はそのうち2時間半を電話に費やしていました。今はその時間が半分になっています。
人件費を惜しまず、サ責やヘルパーがサービスに集中できる環境を整えることが離職防止や業務効率化のカギ
- 介護業界は多忙で、新しいツールを導入したくても余裕がない施設も多いと聞きます。ICTツールをスムーズに導入するためのポイントがあれば教えてください。
-
佐藤(常務):たしかに、いかに良いツールでもスムーズに導入できるとは限りません。サ責にしても通常の仕事があるわけですからね。通常業務だけでも忙しいのに、ICTツールの導入をスタートさせるなんていう余裕はほとんどないのです。
実際、当社でも導入を決めた時に、それがなかなかうまいように進まない時期もありました。
- 導入が進まない問題はどう解決しましたか。
-
佐藤(常務):これは反省にもなりますが、サ責に頑張ってもらったというのが正直なところです。
今では、Chatworkを導入・管理をサポートしてくれる総務担当のパートさんを新たに採用しました。
- それは、また思い切った判断ですね!
-
佐藤(常務):導入さえしてしまえば、勝手に使えるようになっていきますが、最初はどうしてもサポートが必要ですから。
また、総務担当者にはヘルパーさんとサ責の仲介役という役割もあります。
というのも、導入初期に何か問題や不明点が発生すると、ヘルパーさんは事務所にきてその場にいる人に聞くわけです。総務担当者がいなければ、その問題や質問を受け止めるのはサ責になります。
現場の人間であるサ責に本来の業務ではないことをさせてはいけません。ICTツールのフォローは総務などの事務スタッフがやるべきです。
- 本来の業務に集中できるように業務を住み分けているのですね。しかし、経営的にはそれもまたコストになるのではありませんか。
-
佐藤(常務):人件費については通信費と同様、必要経費としか考えていません。人件費を惜しんで職場環境が悪くなると離職が増え、結局、採用コストがもっとかかることになります。トータルで考えて、必要なところにしっかりとコストをかけた方が良いのです。
- 今後の展望について教えてください。
-
佐藤(常務):Chatworkはコロナ禍でも有用でした。すぐにテレワークに入ることができ、情報共有にも役立ちました。今後は他事業所や利用者様のご家族など、外部との連携にもChatworkの活用を広げていきたいと考えています。
- ありがとうございました。
- 業種
- 利用規模
- 目的・効果