Chatworkを活用した多職種連携を目指し、医療と介護の密な連携を促進

埼玉県春日部市で在宅診療を推進する、医療法人忠恕 春日部在宅診療所ウエルネス。薬局や介護施設など、事業に関連する多くの関係者とChatworkでネットワークを構築。業務が効率化した結果、診ることのできる患者数が増加し、介護医療情報連携の促進が進んでいます。

医療法人忠恕 春日部在宅診療所ウエルネス

埼玉県春日部市を中心に、訪問診療を提供する医療法人忠恕 春日部在宅診療所ウエルネス。患者の自宅での生活を支援するために、定期的な訪問診療で慢性疾患の管理や病状の把握をおこない、24時間365日の緊急対応体制を整えている。また、地域の医療機関や介護施設と連携し、患者とその家族への支援をおこないながら、安心して在宅療養を続けられるようサポートしている。(取材:2024年12月)

理事長/院長
笹岡 大史 様

  • 多職種連携で情報共有を効率化したかった
  • 多くのチャットツールは使い勝手に課題があった
  • 訪問診療専用スケジュールソフトであるクロスログ[注1]との連携機能が欲しかった
  • 関係者にChatworkの使用をお願いし、グループチャットでつながった
  • 使いやすく、大企業や官公庁での導入実績のあるChatworkを選択
  • ChatworkであればクロスログとのAPI連携が可能
  • 各職種との連絡がChatworkに一本化でき、情報共有がしやすくなった
  • 職員も迷うことなく利用できており、問題なく導入浸透できた
  • クロスログとChatworkを連携することで業務効率が大幅向上

課題

  • 多職種連携で情報共有を効率化したかった
  • 多くのチャットツールは使い勝手に課題があった
  • 訪問診療専用スケジュールソフトであるクロスログ[注1]との連携機能が欲しかった

解決策

  • 関係者にChatworkの使用をお願いし、グループチャットでつながった
  • 使いやすく、大企業や官公庁での導入実績のあるChatworkを選択
  • ChatworkであればクロスログとのAPI連携が可能

効果

  • 各職種との連絡がChatworkに一本化でき、情報共有がしやすくなった
  • 職員も迷うことなく利用できており、問題なく導入浸透できた
  • クロスログとChatworkを連携することで業務効率が大幅向上

地域に根ざした在宅診療所

まずは、診療所の内容について教えてください。

笹岡さん:医療法人忠恕 春日部在宅診療所ウエルネスは、在宅療養支援診療所です。定期的な訪問診療のほか、24時間365日、緊急時にも対応できる体制を整えており、患者様が急変した際には迅速な対応が可能です。また、地域の病院や介護施設、薬局、介護施設と連携し、患者様の包括的な医療・介護を支援。医療だけでなく介護や生活の相談、アドバイスなどもおこなっており、患者様だけでなく、ご家族が安心して在宅診療を続けられるようサポートしています。

Chatworkを導入いただいたきっかけについて教えてください。

笹岡さん:在宅医療では、物理的に同じ建物の中で多職種が診療をする訳ではないので、情報ネットワークが重要になります。在宅医療に関わる在宅診療所や訪問看護ステーション、薬局、介護施設、居宅介護支援事業所など、多くの職種のスタッフが連携できるようなチャットツールを以前から探していました。そんな折、顧問税理士からChatworkを紹介され、使ってみると便利だったので導入を検討することにしました。

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自社で作成したチラシを関係各所に配布し、Chatworkの利用を促す

他社のチャットツールとの比較検討はされましたか。

笹岡さん:いくつか検討しました。ただ、エンジニア向けで機能が多すぎたり、個人情報を取り扱うのに適していなかったり、仕事の場面にそぐわないスタンプ機能があったりと、どれも診療所には合っていないと感じました。医療介護の現場向けに特化したチャットツールもあるのですが、機能が乏しく、多職種間でレスポンス良く頻回に情報連携させるツールとしては、あまり使われていない印象です。

Chatworkの導入にあたり、心配していたことや不安だったことはありましたか。

笹岡さん:それは特になかったですね。そもそもスタッフも皆、プライベートでチャットは使っていましたから、チャットというツール自体には慣れていました。他のチャットツールから徐々にChatworkへ移行していきました。

連携先の介護施設にChatworkを導入していただいた際には、最初は導入に対する抵抗感がありました。しかし使い始めると、介護施設側も「迅速な指示が受けられる」と喜ばれました。今では、介護施設の入居者の管理も効率化し、経営状態も良好なようです。

Chatworkを多職種連携に活用されているとのことですが、どのように連携を進めていったのでしょうか。

笹岡さん:私が思い描いていた多職種連携を実現するには、普段やりとりしている訪問看護や薬局、各施設、ケアマネジャーなどの方々にChatworkを使っていただく必要がありました。そこで当院でオリジナルのチラシを作成し、配布するなどして地道に周知させていきました

チラシにはどんな情報を記載されたのでしょう。

笹岡さん:まずChatworkの概要です。いつでも情報共有ができて、人的負担を軽減できるツールであること。さらに大企業や官公庁も導入できるだけのセキュリティ水準があり、通信の安全性と厳格なデータ管理がおこなえることで個人情報の共有にも安心して使えること。またChatworkの連携方法についても記載しました。登録するメールアドレスから当院にメールを送っていただく必要があるので、メールアドレスに加えて二次元コードも掲載しました。

連携事業所の方々の反響はいかがでしたか。

笹岡さん:基本的に施設や事業所も、医療と介護の連携を密に取ることの重要性を感じていると思います。当院も開業当初は、病院や居宅介護支援事業所から患者様を紹介されるばかりでしたが、最近では当院からも患者様を紹介することが増えてきました。そのため、多職種連携の強化は歓迎してもらえました。

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クロスログとの連携で情報共有がよりスムーズに

Chatworkの具体的な活用方法についてお聞きします。グループチャットはどのように分類しておられますか。

笹岡さん:グループチャットは、従業員への全体連絡のほか、診療部、看護、地域連携部、医事課、ルート、新患、資料、算定......というように、組織や目的別に作成しています。また、「訪問看護ステーション名×ウエルネス」や「薬局名×ウエルネス」など、他事業所とのやりとりに使うグループチャットもたくさんあります。顧問税理士や社会保険労務士ともChatworkで連携しており、Eメールのように本業以外の情報と混同することがないため、業務に集中でき助かっています

細かく分類されているのですね。普段はどのように活用されているのでしょうか。

笹岡さん:まず、訪問診療での活用です。当院ではクロスログという訪問診療に特化したスケジュールソフトを導入しており、電子カルテやChatworkと連携しながら活用しています。具体的には、クロスログで訪問診療ルートを確認します。診療先で電子カルテにバイタルや病状、診察内容、処方内容などを入力し、連携事業所への申し送りなどをChatworkでおこないます。

もし処方がなされた場合は、電子カルテ上の「診療内容」をコピーして、Chatworkグループの「担当の薬局名×ウエルネス」グループを開いて、メッセージ送信する。これで処方理由が薬局担当者に伝わります。このようなリアルタイムな連携を実現している事業所は多くないと思います。

移動中には、Chatworkで届いた各事業所からの問い合わせや、薬局からの疑義照会に対応します。必要に応じて電話連絡もおこないますが、電話では記録が残りません。そこで、電話で話した内容については通話後、あらためて電子カルテに記載するほか、Chatworkで先方に連絡する必要があります。その他、病院や各連携事業所から紹介された患者様への対応準備などもChatworkで共有をし、スムーズに初診に介入できるようにします。

Chatworkを使用する際のデバイスは何をお使いでしょうか。

笹岡さん:訪問診療中はiPad(タブレット)と外付けのキーボードを使用しています。初期にはノートパソコンとWi-Fiルーターを使用していたのですが、インターネットへのアクセスや通信品質が不安定なために、iPadで運用するようになりました。事業所内ではデスクトップPCで使いますね。短いメッセージを送ったり、問い合わせの確認をしたりするだけの場合には、スマートフォンを利用することもあり、Chatworkは様々なデバイスで使えるので助かります

API連携[注2]もおこなっているとお聞きしました。

笹岡さん:クロスログとChatworkを連携させています。クロスログの「患者情報」の中に関連する訪問看護ステーションなどが記載されているのですが、そこをクリックするとChatworkの該当グループチャットに飛べるようになっています。訪問看護ステーションであれば、「訪問看護ステーション名×ウエルネス」のグループチャットですね。

さらにクロスログの電子カルテ内の「ステータス」を「訪問済み」に変更すると、Chatworkに通知が飛ぶようになっています。これにより、私が診療を完了したことが事務所に残っている医事課にも伝わり、算定もスムーズに入力することができます。

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診療中や移動中の車内では、iPad(タブレット)とキーボードを使いながら
クロスログやChatworkを確認・入力している

多職種連携による業務効率化と連携強化

Chatworkのメリットについて教えてください。

笹岡さん:いくつものメリットがあります。まずは電話が減ったこと。電話の行き違いによる時間的なロスが激減しました。電話は1対1のやりとりですが、Chatworkは複数の関係者に一斉に情報を伝達できます。また、電話よりも効率的なこともあります。たとえば薬局から医師に対して、処方された薬の疑義照会をおこなう場合などは電話よりも正確で、Chatworkのほうが早いですね。

電話をかける側は気軽なのかもしれないですが、受ける側は都合が悪い場合もあり、負担も増えます。聞いた内容を伝言ゲームのように電話したり、内容をタイピングして再度Chatworkで共有したり......と、非効率で時間的コストになりますが、ほとんどの診療所では、気が付けないまま非効率な情報伝達をしていることが多いと考えています。

もうひとつのメリットは、テキストでやりとりできること。電子カルテとのコピー&ペーストも簡単ですし、文字に残ることで認識の相違が起きにくいです。言った言わないにもなりません。写真を添付できるのも良いですね。患者様の症状やケガの様子などを写真で視覚的に得られます。書類も写真を撮って添付できますし、Chatworkは写真のプレビュー表示ができるのでわかりやすいです。電話やオンライン診療では、音声と動画になり記録が残らないので、記録が残るChatworkのほうが効率的なことも多いです。

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事務所内ではデスクトップに常にChatworkを開いておき
いつでも情報をキャッチアップできる環境にしている
Chatworkの導入効果について教えてください。

笹岡さん:Chatworkで業務が効率化できたことで、診ることのできる患者数が増加しました。現在当院で関わっている患者様は約350名。これは常勤1名で対応する患者数としてはとても多い数字です。通常ですと、訪問診療は15時頃までに終えて、事務所に戻ってから事務作業や連絡作業をおこなうのが一般的です。雇用も難しい地方都市では、少ない人員で無駄なく、たくさんの患者様の診療ができる体制作りが重要になります。少人数で労働生産性を上げることにもなり、経営も安定しやすいと考えられます。

春日部在宅診療所ウエルネスでは連絡や連携作業がリアルタイムにおこなえるため、事務所に戻ってからの業務が通常よりも少ないのです。そのおかげで夕方まで訪問診療をおこなえるようになり、正確性と効率化の2つを実現しています。また、Chatworkの導入により多職種連携を実現し、ほとんどの患者様で「在宅医療情報連携加算」が算定できています

Chatworkの導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

笹岡さん:Chatworkは労働生産性の向上や業務効率化に間違いなく効果があるツールです。まずは使ってみることをおすすめします。

ありがとうございました。

[注1]クロスログは、クロスログ株式会社の登録商標です。

[注2]API連携とは:異なるソフトウェアやシステム同士がAPI(Application Programming Interface)を利用してデータや機能をやりとりし連携する仕組みです。


※記載の内容は取材時点の情報です。現在のChatworkの機能や料金プランとは異なる可能性がございますのでご了承ください。