Chatworkに災害情報を集約し、災害対応に対する体制を構築
茨城県つくば市にある防災に関する科学技術の研究とサービスを提供する国立研究開発法人の防災科学技術研究所。災害発生時に、グループチャットを自動生成する仕組み化を取り入れることで、災害発生時の体制構築スピードを大幅に向上したそうです。
本部が茨城県つくば市にある防災に関する科学技術の研究とサービスを提供する文部科学省所管の国立研究開発法人。全国各地に実験施設や観測施設を持ち、防災科学技術に関する基礎研究や基盤的研究開発などの業務を総合的に行い、防災科学技術水準の向上に取り組んでいる。(取材:2022年09月)
特別技術員
吉森 和城 様
- 災害発生後、即座に大量の災害対応の情報を時系列で記録することが困難
- 勤務時間外に遠方で大規模自然災害が発生した場合、その覚知が遅れてしまう
- 各媒体に点在した災害記録の記録を確認するのが大変
- 大量の災害対応の情報を正確に時系列で記録できるようChatworkを導入
- 災害情報をChatworkに自動通知し、自然災害発生を覚知できる体制構築
- 災害発生時には最大9つのグループチャットが自動生成されるよう仕組み化
- Chatworkで災害情報を簡単に正確に時系列で記録することが可能に
- 気象庁の防災情報を元に、24時間災害を即時覚知する自動システムが実現
- 情報の集約と統制が取れ、災害対応のスピードや連携が大幅に向上
課題
- 災害発生後、即座に大量の災害対応の情報を時系列で記録することが困難
- 勤務時間外に遠方で大規模自然災害が発生した場合、その覚知が遅れてしまう
- 各媒体に点在した災害記録の記録を確認するのが大変
解決策
- 大量の災害対応の情報を正確に時系列で記録できるようChatworkを導入
- 災害情報をChatworkに自動通知し、自然災害発生を覚知できる体制構築
- 災害発生時には最大9つのグループチャットが自動生成されるよう仕組み化
効果
- Chatworkで災害情報を簡単に正確に時系列で記録することが可能に
- 気象庁の防災情報を元に、24時間災害を即時覚知する自動システムが実現
- 情報の集約と統制が取れ、災害対応のスピードや連携が大幅に向上
災害発生時から復旧までの時間を短縮するための情報の見える化・共有の仕組み化を担う防災科学研究所
- 防災科学技術研究所では、どういった活動に取り組まれているか教えていただけますか。
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吉森:あらゆる自然災害の基礎研究および基盤的研究開発に取り組んでいる文部科学省所管の国立研究開発法人です。本部は茨城県つくば市にあり、全国各地に災害の実験施設や観測地点を持っています。防災科学技術に関する基礎研究や基盤的研究開発などの業務を総合的に行うことで、防災科学技術水準の向上に取り組んでいます。
例えば、私の部署では災害発生時には、都道府県の災害対策本部などの現場に入り、あらゆる災害情報を統合し地図などを用いて情報支援を行い、行政や実働機関の災害対応を支援する活動に従事しています。また、一般向けに災害に関する気象や被害などの災害情報を集約し防災クロスビューというWebサイトを介した情報発信も行っています。 - 吉森様と取出様の業務の内容を教えていただけますか?
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取出:大きく分けて2つの仕事をしています。1つは社会の防災力を高める活動、そして2つ目は社会が自然災害発生時から復旧までの時間を短縮する活動です。
社会の防災力を高める活動とは、自然災害が発生することを見越して被害を最小限に食い止めることです。例えば、防波堤を構築することの提案などが分かりやすい一例です。
そして自然災害発生時から復旧までの時間を短縮する活動とは、災害が発生すると県や市、町そして国などの行政が主導となって、人々が元の生活を送れるようになる活動を行うのですが、そういった自治体の活動を支援するのがわれわれの役割です。 - 自然災害発生時に行政が速やかに意思決定や判断をするために必要な情報を提供しているのですね。
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吉森:はい、そうです。行政が主導となり復旧活動を行う際、これまでは、個々の組織が個別に入手した断片的な災害に関する情報に基づいて判断したり行動したりしていました。しかし、情報共有を支援する仕組みや現地での情報支援を行うことで、全ての災害対応機関が総合的な災害に関する情報を入手することが可能になったのです。
自然災害に関する情報は、非常にたくさんある上にさまざまな災害対応機関が管理しているため、情報を集約するだけでも大変な手間がかかります。個々の情報の集約に加えて、行政機関が自然災害から復旧のための意思決定や判断をするために使える総合的な情報に加工して提供するのがわれわれの役割なのです。
各災害情報はSIP4Dと呼ばれる災害情報を共有するパイプラインのようなシステムを介して情報を集約し、地図上に情報を反映した形で災害対応機関に提供したり、防災クロスビューというサイトでネット上に一般公開したりしています。
また、地図を提供するだけでは現地の課題を解決できない場合もあるので、われわれが災害地域に赴き、データを災害からの復旧に役立てる支援活動も行っています。
自然災害情報を地図に入力するだけで手一杯だった
- Chatworkはどのようなきっかけで使われ始めましたか?
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吉森:7〜8年前から災害発生時には複数拠点にスタッフを派遣し、個々のデータを収集して使える総合的な情報に直すチームと情報共有することが必要になりました。当初は外資系の情報共有アプリやメールを使っていましたが使いづらく・・・。ある研究員の勧めでChatworkを使い始めたのです。
- Chatwork導入前後の変化があれば教えてください。
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吉森:Chatworkを使うことで、大量の災害情報を地図に反映することが簡単になり、時系列に記録を取ることができるようになりました。
それまでは、メールを使っていたのですが、本当に大変でした。研究員という職業柄、本来は時系列に記録を取らなければならないのに、大量の災害関連情報を地図に反映することだけで手一杯になり、とてもではありませんが、正確に災害情報の記録をとることは出来ていませんでした。
また、メールだけでは情報のやりとりが完結せず電話での補足が必要なことが多々あったのです。
リアルタイムで大量の情報を交換しながら正確に記録を残すことはとても大変だったのですが、Chatworkを使うことでこれらが可能になり、防災の研究に使うデータの品質が高まりますので、大変ありがたく思っております。
防災情報をChatworkに通知する仕組みを構築することで、大規模な自然災害を取りこぼすことなく覚知できるようになった
- Chatworkの導入は総合防災情報センターからスタートして防災科学研究所全体に広がっていったのでしょうか?
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取出:はい、そうです。総合防災情報センターの災害時の対応力が好評で、高い品質でサービスを提供できている理由にChatworkの導入が考えられることから、研究所全体で使うことになり、研究所の正社員全員がアカウントを保有しています。
- Chatworkはどのようにご利用いただいていますか?
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吉森:平時用、災害情報通知用、災害対応用の3つの目的で活用しています。
平時用は、部署全体、プロジェクト単位、研究員や事務員毎などで目的別にグループを設置し、業務連絡など日常的な情報を共有するために使っております。
災害情報通知用は、当社の従業員が日本で発生しているあらゆる自然災害に関する情報を覚知するために、気象庁XMLから取得した台風、警報、地震情報などをChatworkのグループチャットに自動投稿することで活用しております。
気象庁の仕組みとChatworkをAPI連携させることで、気象庁が発信する災害情報をもとに、予め定められた最大9つのグループチャットが自動的に生成されるようになっていて、災害発生時から復旧までの活動を記録できるようにもなっています。 - 災害対応用の仕組みが大変立派ですね。
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吉森:災害がおきると複数の関係者が良かれと思って、情報共有用のグループチャットを立ち上げてしまい、情報を共有したい人たちがどこのグループチャットを使えば良いのか混乱してしまうことがありました。そうすると、災害対応プロジェクトの運営にも支障がでてしまいます。
あらかじめ情報共有したい情報の分野を決めて、グループチャットを自動生成するようにしたのです。混乱を避けられるように何度も改良を重ねて今の形になりました。
また、同時に、関係者全員に電話が自動で発信される仕組みになっています。大規模自然災害の発生後、速やかに、その災害に対応するプロジェクトの始動を呼びかけられるようにもなっています。 - 9つのグループチャットの構成を教えていただけますか?
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吉森:以下の9つで構成されます。
- 体制- 災害対応中の体制に関する情報を共有します。
- info- 災害対応中の関連情報を共有します。
- 課題- 災害対応中の課題を共有します。
- bXv- サイト運用の技術的対応などについて共有します。
- 衝突防止- サイト運用において複数の作業者の状況を共有します。
- 都道府県庁- 災害が発生した都道府県庁からの情報を共有します。
- 都道府県庁- 災害が発生した都道府県庁からの情報を共有します。
- 都道府県庁- 災害が発生した都道府県庁からの情報を共有します。
- 都道府県庁- 災害が発生した都道府県庁からの情報を共有します。
取出:1の体制では労務管理も行っております。被災地に派遣される社員は、災害発生当初、どうしてもオーバーワーク気味になります。社員が過労で倒れないようにするためにも、Chatworkを使って社員の体調面も管理しているのです。 - このようにグループチャットが自動生成されると情報連携もしやすくなりますね。
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吉森:そうですね。これまでは、初動から人手で防災クロスビューを構築し公開する作業をしなければいけなかったのが、気象庁の仕組みとChatworkを連携させることで、防災クロスビューの構築に関する情報がChatworkに反映されるようになったので対応が迅速になりました。
当社では、社員が輪番制で24時間待機して大規模な自然災害が発生すると同時にシステムに情報を反映するという仕組みになっていません。
例えば、真夜中3時に遠く離れた北海道で地震が発生した時に、茨城にいる社員が誰も覚知せずタイムリーに情報を反映することができないことがあったのですが、今は確実に全ての情報が防災クロスビューにも反映されますし災害情報の記録も残りますので大助かりです。
災害情報の集約と統制が驚くほど向上し、研究の精度も上がった
- Chatworkをご利用いただいてどのような効果や変化を感じていますか?。
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古森: 生産性が高まって非常に助かっています。
繰り返しになりますが、大規模地震が遠隔地で発生しても、とりこぼすことなく防災クロスビューにタイムリーに情報反映できるようになりました。Chatworkにて対応状況を共有することで、漏れなく災害情報の記録が取れるので、当社の研究の精度もあがっています。
また、ChatworkのAPI連携を活用することで、自然災害発生時から関係者全員と連携を取ることができるようになったことも大変便利に感じています。
Chatworkの導入時は、手作業でグループチャットを作成し関係者全員をグループメンバーに追加する作業をやっておりました。
これだけの作業で場合によっては30分以上かかりますから、毎度大規模な自然災害が発生する度にグループチャットを設定する時間が30分節約できている計算になります。
Chatworkを導入する前は電話やメールでやりとりをし、情報の集約と統制がとても大変だった時点から比較すると、数字ではあらわすことが出来ないくらい業務が効率化されたことを実感しています。 - 他にも御社ならではのユニークなChatworkの使い方があれば教えてください。
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吉森:Chatworkの概要欄に、チャットで流れていっては困る大切な情報を保存して見られるようにして運営しています。
チャットツールは情報が流れていく仕組みですが、その仕組み自体がある意味弱点であったりします。情報をストックすることができないからです。
当社ではChatwork上で流れる情報の中で共通して必要になる情報は、Chatworkの概要欄にも掲載するようにしております。
例えば、日報や会議の議事録のアクセス情報など、そのグループチャットで共通して必要となる情報を概要欄に記載するようにしています。 - 最後になりましたが、これからChatworkを使おうと思っている企業へ一言、お願いします。
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取出:今のわれわれにはChatworkはあるのが当たり前で、以前の状態に戻ることは考えられませんし、他よりも便利なコミュニケーションツールを考えることもできません。
非常に便利なツールなので、これまでにChatworkを使ったことがない関係省庁の方にもわれわれの紹介でご利用いただくことになり、大変好評です。
吉森:平時からChatworkを愛用しています。有事にメールや電話が使えない時もChatworkでコミュニケーションを取ることができて非常に助かったこともあります。われわれはChatworkがなくなると業務が破綻するくらいChatworkに依存していますが、多くの方々にもこの便利さを体験していただきたく思います。
- 業種
- 利用規模
- 目的・効果