ITに不慣れな現場にも浸透
従業員のモチベーション向上に効果

生しいたけの栽培・加工・販売をおこなう深山農園。口頭連絡が中心で「言った言わない」などのコミュニケーション課題を抱えていた同社は、DXの一環としてChatworkを導入。結果、情報共有が効率化できただけでなく、従業員のモチベーション向上などの効果も表れているそうです。

深山農園株式会社

昭和40年創業。兵庫県相生市、瀬戸内の里山にある深山農園株式会社。生しいたけの栽培・加工・販売のほか、漢方薬原料のレイシの栽培や、廃棄菌床を利用したカブトムシやクワガタのビジネス、昆虫食時代を見据えた食用昆虫の飼育など、新たなビジネスを手掛けている。(取材:2023年9月)

代表取締役
深山 陽一朗 様

  • 口頭での連絡が中心で、「言った言わない」などの問題が生じていた
  • 現場がITに不慣れで、使いこなせるチャットツールが限られていた
  • 収穫量などのKPIが現場に共有できていなかった
  • シンプルなUIでビジネス利用に特化したChatworkを導入
  • Chatworkを導入し、テキストベースの連絡に切り替えた
  • API連携による自動通知によりKPIが簡単に共有できるように
  • 情報共有が効率化され、連絡の抜け漏れなどがなくなった
  • ITに不慣れな年配層でも使いこなせるようになり、今では必須ツールに
  • KPIの共有により従業員のモチベーションが向上

課題

  • 口頭での連絡が中心で、「言った言わない」などの問題が生じていた
  • 現場がITに不慣れで、使いこなせるチャットツールが限られていた
  • 収穫量などのKPIが現場に共有できていなかった

解決策

  • シンプルなUIでビジネス利用に特化したChatworkを導入
  • Chatworkを導入し、テキストベースの連絡に切り替えた
  • API連携による自動通知によりKPIが簡単に共有できるように

効果

  • 情報共有が効率化され、連絡の抜け漏れなどがなくなった
  • ITに不慣れな年配層でも使いこなせるようになり、今では必須ツールに
  • KPIの共有により従業員のモチベーションが向上

口頭での連絡が中心だったため「言った言わない」が起きていた

Chatworkを導入いただくきっかけになった組織課題について教えてください。

深山:弊社では生しいたけを菌床製造から出荷まで通して一貫栽培しております。私は以前別の仕事をしていたのですが、2016年4月に家業を継ぐ形で代表取締役に就任しました。そこで気づいたのが従業員のコミュニケーションに関する課題です。

弊社は土日祝も操業しており、なおかつ週2~3日勤務のパートタイム社員も多いことから、業務の引き継ぎを頻繁におこなう必要があります。しかし、それまで連絡や情報共有は口頭が中心だったため「言った言わない」が起きたり、紙で提示しても見ていなかったりなどの問題が発生していたのです。

当時は今ほど従業員が多くなかったのですが、人が増えると問題が大きくなると確信し、課題の早期解決のためにChatworkの導入を決めました。

Chatworkと比較検討したツールやサービスはありましたか。その中でChatworkを選んだ決め手についても教えてください。

深山:他のチャットツールも検討しましたが、どれも課題がありました。まずLINEは公私の区別がつけづらく、同時ログイン端末数に限界があったり、スマホを変更すると履歴が消えてしまったり(※当時)といった問題がありました。未読・既読機能も不要です。

海外製のビジネスチャットは当時、日本語版がまだリリースされておらず、UIも日本人の年配者にはフレンドリーではないと感じました。弊社はスタッフの年齢層が幅広く、下は20代前半から上は70歳以上です。それまでガラケーしか使ったことのない年配者に最適なのはシンプルなUIのChatworkだと思いました。

もう1つの決め手は、Chatworkがビジネスチャットに特化したツールであることです。チャットやオンライン会議、メール、カレンダー機能などを統合したグループウェアなどもありますが、個人的にはそうしたツールを使いやすいと感じたことはありません。やはりチャットはチャット、オンライン会議はオンライン会議、メールはメールと専用のツールを使い分ける方がいいと思います。もちろん、それらのツールがAPIなどで連携できることは重要ですよ。Chatworkも、Google Apps ScriptやZapierなどの外部ツールと連携できますからね。

トップダウンで導入、使ってみると現場にもすぐに馴染んだ

Chatworkの導入にあたり、心配していたことはありましたか。

深山:年配者からの反発は少なからずありました。「(Chatworkを使えない人は)もう仕事に来るなということか!?」のような感情的な意見も出ました。また、ガラケーからスマホに替えるのを嫌がる人もいましたね。

他にも「目の前にいる人に伝えるなら口頭で済むことを、わざわざ文字で伝えるなんてコミュニケーション的にいかがなものか」といった意見も出ました。

そうした反対意見に対して、どのように対処されたのでしょうか。

深山:トップダウンで半ば強制的に導入を進めていきました。これができるのは中小企業ならではかもしれませんね。たとえば「口頭で全員に同じことを伝えるのは大変だし時間もかかる。仮に何かトラブルが起きて早期に対処しないといけないとき、口頭で伝えていたら遅すぎる。口頭はリアルタイム性が高いようで低く、実はChatworkの方がリアルタイム性がある」といったChatworkのメリットを伝えました。

また、いつまでもガラケーのままでは時代に取り残されてしまいます。それなら、Chatworkの導入をスマホに替えるきっかけにしてあげた方が従業員のためにもなると思いました。

実際に使い始めてスマホに慣れると、いかにChatworkのUIが年配者にフレンドリーなものかを実感できたようです。今ではChatworkが使いやすいかどうか、みたいな話題すら出なくなりました。毎日使うものだし、文字でやりとりすることが当たり前になっているからです。

なお、弊社には外国籍のスタッフもいますが、端末の言語設定がChatworkにも反映されるようで、問題なく使えています。

KPI(収穫量)の共有で従業員のモチベーションが向上

Chatworkの活用法についても教えてください。

深山:社内のグループチャットは、全社、正社員、収穫、栽培、パッキング部、生産管理、FAX・送り状・出荷数量など、部署や業務別に作成しています。全社グループチャットでは前日の収穫量の共有や台風、コロナ等の連絡。正社員グループチャットでは前月のタイムカード実績の確認依頼や報告。栽培や生産管理グループチャットは正社員だけが参加しており、パートタイム社員までは共有しなくてもいい情報の共有。パッキング部はパッキング結果の共有や集荷依頼内容の共有。FAX・送り状・出荷数量グループチャットはFAXの送受信データやスキャンデータをBOTが自動で投稿するようにしています。

また、特徴的なのは収穫用のグループチャットです。ここには栽培部のメンバー全員が参加しており、当日の作業予定の指示やKPIの共有などをおこなっています。

このKPIとは、たとえば収穫量や収穫スピードのデータです。Gmailに届く日々のデータをChatworkと連携することにより自動で投稿されるように設定しています。ちなみにChatwork導入前はKPIどころか、収穫量すら計測していませんでした。

KPIを従業員の方々に共有するようになったことによるメリットはありましたか。

深山:KPIの共有で従業員の収穫成績が上がったということは特にありません。逆にいえば、収穫成績が落ちず維持できているということです。これこそKPI共有の効果だと感じています。

というのも、弊社はChatwork導入後も社員がどんどん増えているのですが、通常は人が増えると収穫成績の平均値は落ちるものだからです。人数が増えるとそれだけモチベーションが低い社員が増えるので、それは当然ですよね。しかし、人が増えているのに成績を維持できているということは、KPIを意識することで社員のモチベーションが向上しているのだと思います。

機械的に共有するだけではなく、マネジャーがそのデータを見ながら、社員にフィードバックや指示をできるようにするという意味でも、文字やグラフ化をして共通認識をもつということが重要だと感じます。

Chatworkの活用によるKPI共有が、社員の育成にもつながっているわけですね。

深山:さらに、「おんどどり」というサービスを活用して温度データもChatworkに通知しています。おんどどりはメールに通知が来るので、連携アプリで通知文をカスタマイズし、それをさらにChatworkに連携して通知するようにしています。温度が異常値になると通知が来るので、すぐに対処できるのです。

この他、社外とは税理士や社労士、取引先ともグループチャットを作成してやりとりしています。しいたけなどの生鮮野菜業界は未だに電話やFAXでやりとりするのがメインで、メールすらほとんど使われていない状況です。そんな中でも、Chatworkは簡単なので使ってもらうことができています。

この他、個人的なグループチャットとして体重の日次レポートグループチャットを作成しており、自分の体重や体脂肪等のデータをBIツールでグラフ化して自動投稿しています。

時間的コストを大きく削減、思わぬメリットも

Chatworkの導入効果について教えてください。

深山:連絡事項の伝達が非同期のテキストベースでおこなえるようになったことで、時間的な制約が大きく減りました。また、口頭連絡の場合は誰に言ったか言わなかったかなどを記憶しておく必要がありましたが、Chatwork導入でそれもなくなり、脳内メモリの無駄遣いを排除できました。

数値化こそできていませんが、人件費や紙代、印刷代、移動費などのコスト削減効果も大きいと感じています。むしろ逆に、Chatworkを使わずにチームで仕事を効率的に進める方法があれば教えてほしいというレベルでChatworkが必須になっています。

また、誰に伝えたいというわけでもない些細な気づきを備忘録的にグループチャットに投稿しておくことで、想定もしていなかった問題が起きたときにその原因を探るきっかけになることもあります。

たとえば、ある日の夜中に3分間の停電が発生し、エアコンの再起動をした旨をChatworkに投稿したことがありました。その後1ヶ月ほど、しいたけの菌床に雑菌が混入する問題が続き、調査をしたところ、雑菌が急増したのは停電が発生した日以降だったことが判明しました。原因はエアコンと一緒に落ちた換気扇を復旧できていなかったことでした。こうしたトラブルの解決のきっかけにChatworkが役立つことがあるのです。

Chatworkの導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

深山:まず「チャットツールを使うべきかどうか」という観点については、議論の余地なく「必須である」といえます。その上で、どのチャットツールがいいのかについては、特に中小・零細企業はChatworkがもっとも使いやすいと思います。ITリテラシーが低く、ITツールに英語っぽさを少しでも感じると思考停止してしまう社員が大半なのであれば特にChatworkがおすすめです。

とはいえ、Chatwork以外にLINEや他社のビジネスチャットを使う人もいるでしょう。オンラインミーティングツールも、ZoomやTeams、Google Meetなどを使い分けるのが一般的です。チャットもそれと同じです。ツールを1つに絞らなければいけないという考え方を捨てて、Chatwork含めてすべて使えるようにしておかないと仕事が進まないと思います。

※記載の内容は取材時点の情報です。現在のChatworkの機能や料金プランとは異なる可能性がございますのでご了承ください。