社外でメール送受信ができず情報の伝達が遅かった

チャットを導入しようと思ったきっかけを教えてください。

黒木:私が入社したのは昨年の8月です。当時、川崎フロンターレでは連絡手段が電話かメールしかなく、特に社内メールが多いことに驚きました。

川崎フロンターレはプロサッカークラブなので、チームの運営をしているイメージが強いと思いますが、実際にはイベントやキャンペーン企画のほか、オフィシャルグッズショップ「アズーロ・ネロ」、ファンクラブ、世代別に選手の育成をおこなうアカデミーやサッカースクールの運営など事業が多岐にわたります。

それらの事業に関する連絡がすべてメールでやり取りされていたのです。議事録の回送、各種原稿の回送、アカデミーの試合結果、プレス・ニュース掲載記事の案内、各部署の状況......何十通ものメールが飛び交うため、自分にとって必要な情報の粒度や鮮度を判別するのにどうしても時間がかかっていました。

また、当時の社内インフラでは事務所にいないとメールの送受信ができず、情報の伝達も遅かったのです。

社内にいないとメールの送受信ができないというのはたしかに不便ですね。

黒木:これはスポーツ業界ならではの事情だと思いますが、月額で継続して支払うサービスを避ける傾向が強いのです。というのもスポーツ業界はその年のチームの順位に応じて収益が大きく変わるからです。そのため固定費として費用がかかるものは好まれないのです。メールサーバーをオンプレミスで持っていたのもそれが理由でした。

また、業界的にITリテラシーにばらつきがあります。効率化するのにお金をかけてクラウドサービスを導入するよりも、マンパワーでがんばってしまう空気感が強いのです。

でもそれは無駄が多いのも事実です。川崎フロンターレの事務所は駅から徒歩15分。メールを見るためだけに往復すると、それだけで30分かかってしまいます。無駄な時間を削減すれば、その分本業に集中して時間を使うことができます。それだけでも十分コストはペイするだろうと思いました。

これまで当たり前になっていた社内の無駄と向き合い、業務効率化を推進する黒木氏。

できるだけ説明しなくても使える直感的なツール

チャットツールの中でもChatworkを選んだ理由は何だったのでしょうか。

黒木:前職でITベンダーにいた頃、私はChatwork、Slack、Skypeの3つのチャットツールを使用していました。ですから、川崎フロンターレで導入するときもこの3つで検討しました。

その結果、川崎フロンターレ社員にとってもっとも使いやすいのはChatworkだと思ったのです。当時IT改革を推進していくなかで、新しいものを取り入れるときに抵抗感なく直感的に使えるツールであること、受け入れられやすいことが重要でした。

実際、説明しなくても使えましたか?

黒木:そうですね、インターフェースに関しても「LINEみたいに使える」という一言でだいたいわかってもらえました。

Chatworkという新しいツールを導入する上で、浸透施策は何か実施しましたか。

黒木:社内でも相談し、まずはITツールに抵抗がなさそうな社員に試験的にフリープランを利用してもらうことから始めたのですが、便利さを実感した社員たちから口コミが広がっていきました。ビジネスプランを導入する過程では、先に懸念事項を洗い出し、想定される疑問点なども解決した上で一気に広めていきました。

スモールスタートがうまくいったのですね。

黒木:それでもいざ全体に導入すると、やはり予期せぬところで声もあがりました。そこでしっかりと詳しいマニュアルを作り、全体のレベルを引き上げました。

マニュアルを拝見しましたが、すごくわかりやすいですね。導入目的から運用のルール、よくある質問など丁寧に説明されていて、一読するだけですぐにChatworkを活用できそうです。

黒木:ありがとうございます。

川崎フロンターレ独自のChatworkマニュアル。事前に想定される課題を検証した上で運用ルールが明確に定められたため、スムーズに浸透していった。

部署とプロジェクトごとにグループを整理して活用

普段、Chatworkをどのように活用しているのでしょうか。具体的な使い方について教えてください。

黒木:部署やプロジェクトごとにグループを作り、やり取りをしています。たとえば、スポンサーセールスグループでは、冠スポンサーや試合日の協賛企業様の対応状況などを共有しています。グッズセールスグループでは、新商品(グッズ)製作の進行状況、グッズの説明文の原稿のやり取り、公式グッズショップとのやり取りなどをおこなっています。チケットセールスではチケット販売状況や後援会とのやり取り、ビジネスパートナーを含めたチケット販売戦略のやり取りなどが主なチャットの内容です。

中でも1番使われているのは広報用の原稿を入稿するグループです。各部署からそれぞれ広報で露出する情報をこの原稿グループにアップしますが、他部署がどのような取り組みをしようとしているか、どういう情報を露出する計画なのか、社内の情報が幅広く見えるようになりました。

議事録も今まではメールでしたが、グループチャットを作ってからそこに流しています。別の部署の議事録って普段はあまり見ないですし、メールで飛んできても埋もれてしまって困るんです。Chatworkなら議事録専用のグループチャットが作れますから、必要なときだけそこを確認すればいいので便利ですね。

その他、社内全員が入ったグループでは、報道されない練習試合の結果など、非公開情報の社内共有や、川崎フロンターレの記事情報を共有するなど、社内掲示板のような使い方をしていますね。

内定選手やアカデミー出身の選手の状況なども、Chatworkを通じて社内全員に共有されている。

情報伝達や連絡スピードが大きく向上、スポーツ業界にもChatworkは最適

Chatworkを使ってみて良かった点を教えてください。

黒木:まず、各グループの仕事が可視化されたことです。今までは業務を共有するために1度、可視化する作業が必要だったわけですが、Chatworkならその必要がありません。それから、スポーツ業界全体にいえることですが、とにかく物事を決定するスキームが速いんです。川崎フロンターレの試合は2週間に1回おこなわれますから、それまでにやるべき仕事は絶対に終わらせる必要があります。ですからスピードはとにかく重要です。Chatworkは情報伝達や連絡スピードを大きく向上してくれました。スポーツ業界にも適したツールだと思います。

また、チャットはやはり手軽ですよね。正直、私はもう「お疲れ様です」という文章を見たくも書きたくもありません(笑)。それを書くだけで年間にどれだけの時間を無駄にしているか......。

使う前は想定していなかった予想外のメリットや活用例などはありますか。

黒木:試合当日などの急な変更事項などの連絡に使えることは予想していなかったですね。試合日のスケジュールは当然、細かく作ってあって事前に紙で配布しているのですが、どうしても当日になってから急な変更は発生してしまいます。その修正をChatworkでおこなうというのは、現場から生まれた使い方でした。当日はスタジアムのあらゆる場所で活動しているため、トランシーバーなどを使ってやり取りはしているのですが、なかなか共有が仕切れない課題がありました。しかしChatworkならいつでもどこからでも確認ができ、履歴としても残るため後々の共有に活用できるという意味でも便利でしたね。

また、私自身はChatworkをIFTTTと連携して使っています。勤怠を締める日が近くなったら、お願いのメッセージをChatworkに流すように設定しているのです。チャットボットっぽい使い方ですね。今後はSNSから地震速報や天気予報などの有益な情報を自動で引っ張れないか検討中です。

最後に、これからChatworkを使おうと思っている企業へ一言、お願いします。

黒木:ChatworkはあまりITに詳しくない社員でも容易に使えるツールです。ルールの整備は必要ですが、社内のメールが多くて埋もれてしまうという企業にとっては必要なツールだと思います。まずはスモールスタートで始めて、そこから広げていくとスムーズに浸透すると思いますよ。