BCP対策でIT化に踏み切り、廃棄物の収集漏れがゼロに!求人応募数も6倍増
広島県東部に位置する府中市で廃棄物処理業を展開する株式会社太陽都市クリーナー。西日本豪雨をきっかけにBCP対策(事業継続計画)としてクラウド化を決意。廃棄物の回収業務漏れがなくなっただけでなく、離職率の低下や求人応募数の増加にも繋がったといいます。
広島県東部に位置する府中市で廃棄物処理業を展開する会社。府中市から委託を受け、市内700箇所のゴミステーションや、約100箇所の市内企業・飲食店をルート巡回して廃棄物の回収をおこなうほか、各家庭の浄化槽管理、し尿汲み取り業務も担っている。 社会公共性の高い事業を維持するために、クラウド化に取り組んだことが評価され、中国総合通信局長賞を受賞している。 会社紹介(取材:2022年06月)
株式会社太陽都市クリーナー
代表取締役
森山直洋 様
- 西日本豪雨で、BCP対策の必要性を痛感していた
- ベテランや特定の人間に業務が集中してしまうなど業務の偏りがあった
- 業界ならではの離職率の高さや採用難など、人材の確保に苦戦していた
- BCP対策としてクラウド化を決意し、Chatworkと会計システムを導入
- 汲み取り業務依頼にタスク機能を使うことで、業務の抜け漏れを防止
- 経営者の考えやビジョンを社内外に積極的に発信していった
- 情報共有が滞りなく進むようになり社員の働き方も変わった
- 業務の対応漏れがゼロになっただけでなく、対応スピードと顧客満足度も向上
- 離職率が大幅に低下し、求人応募数も6倍になった
課題
- 西日本豪雨で、BCP対策の必要性を痛感していた
- ベテランや特定の人間に業務が集中してしまうなど業務の偏りがあった
- 業界ならではの離職率の高さや採用難など、人材の確保に苦戦していた
解決策
- BCP対策としてクラウド化を決意し、Chatworkと会計システムを導入
- 汲み取り業務依頼にタスク機能を使うことで、業務の抜け漏れを防止
- 経営者の考えやビジョンを社内外に積極的に発信していった
効果
- 情報共有が滞りなく進むようになり社員の働き方も変わった
- 業務の対応漏れがゼロになっただけでなく、対応スピードと顧客満足度も向上
- 離職率が大幅に低下し、求人応募数も6倍になった
西日本豪雨で危機感を感じ、BCP対策としてクラウド化を決意
- まず、貴社の事業について教えてください。
-
森山:広島県東部に位置する府中市で廃棄物処理業を展開しています。
一般廃棄物の収集運搬がメイン事業です。府中市から委託を受け、市内700箇所のゴミステーションや約100箇所の市内企業・飲食店をルート巡回して廃棄物の回収をおこなっています。また、各家庭の浄化槽管理、し尿汲み取り業務も担っています。
- 御社のような一般廃棄物の処理事業者は多いのでしょうか。
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森山:当社を含めて市内に3社です。市町村が作る一般廃棄物処理計画に沿って業務をおこなうので新規参入はほとんどありません。一度委託を受ければ随意契約で続いていくことが多いので、業績も安定している企業が多いです。
そのため、一般廃棄物の処理業者の中には、わざわざこれまでのやり方を変えてまで効率化をする必要がないと考えている企業も多いかと思います。
- 御社の場合、業績が悪くない中で、なぜクラウド化に踏み切ったのでしょうか。
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森山:2018年の西日本豪雨で危機感を感じたのがきっかけです。会社の前を流れる一級河川の川が氾濫危険水位まで増水しました。
それまでは、会社に自社サーバーを設置していたり、経理業務に手書きの複写伝票や帳簿を使っていたり...もし会社が水没していたら、仕事が続けられなくなってしまいます。
廃棄物を処理する私たちの仕事が止まると、地域で暮らす人々に迷惑がかかってしまいます。なので、有事の時でも事業を継続できるようにクラウド化を決意しました。
廃棄物の回収依頼にタスク機能を使うことで、対応漏れが激減
- Chatworkの導入の経緯を教えて下さい。
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森山:クラウド化を決意し、情報収集する中で、商工会議所の開催するセミナーでChatworkとマネーフォワードを知りました。「社内のコミュニケーションや会計業務をクラウド化できたら便利だ!」と感じて、導入に至りました。この2つのツールのおかげで、当社のクラウド化が一気に進みました。
- ビジネスチャットに関しては比較検討したのでしょうか。
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森山:他社ツールとも比較検討をしましたが、シンプルで使いやすく、これなら現場のスタッフも使えると感じ、Chatworkを選択しました。それまでは無料のチャットツールを使っていたので、移行期間を1週間だけ設け「今日から仕事ではChatworkを使います」と伝えただけでスムーズに移行ができました。
- どういった点が便利だと感じたのでしょうか。
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森山:タスク管理機能の使いやすさです。
廃棄物の回収業務、特に汲み取り業務はプロジェクトのように長い期間をかけて進むようなものはなく、「どこどこ町の〇〇さんから回収の依頼があったのでお願いします」といったような単発のタスクばかりです。
Chatworkを導入する以前は、お客さまから汲み取りの依頼をいただくと、会社に置いてある紙のファイルに依頼内容を書き、その紙のファイルを昼休みに会社に帰ってきたタイミングで現場のスタッフが確認していました。1時間に何件も汲み取り依頼の電話があるので、現場のスタッフに電話で伝えているとキリがなく、こういった運用をしていたのです。
ただ、この運用だと、会社を出る前と昼休み、夕方に帰社したタイミングでしか依頼内容を確認できませんし、対応漏れの原因にもなっていました。
そこで、現場スタッフへの回収業務の依頼にタスク機能を使うことにしたのです。
- 実際使ってみていかがでしたか。
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森山:廃棄物の回収スピードと対応漏れ、ともに改善しました。
業務の特性上、現場のスタッフは一度会社を出てしまうと夕方まで帰ってこないとも多くあります。外出先では、運転や回収作業をしているので、電話に出れず、結局会社に来ないと依頼ができない状態でした。
Chatworkのタスク機能を使うと、対応状況がわかるので、漏れもなくなります。現場スタッフも作業の間に依頼内容を確認できるので、依頼内容の確認のためだけに会社に戻ってくる必要がなくなりました。
思い切って朝礼を廃止!社長の考えは「社長の独り言チャット」で伝えるように
- 回収業務の依頼以外には、どのような使い方をしていますか。
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森山:社内では、全社共有、部門ごと、雑談用のグループチャットを作成しています。社外とは、デザイン会社や商工会議所などとのやりとりに使っています。
また、運用ルールは「誰でもいつでもなんのグループを作成してOK!」というルールを設けているくらいです。それ以外のルールは決めていませんが、見返したい情報は概要欄に貼るなど、お互いが見よう見まねで使い方ができていますね。
- Chatworkを使うことで、代わりにやめたことはありますか。
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森山:Chatworkを使い始めてから、スタッフに伝えたいことがチャットで伝わるようになったので、それまで毎日会社でやっていた朝礼もやめてしまいました。
- 朝礼を廃止されたのですね、問題は起こらなかったのでしょうか。
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森山:大丈夫でしたね。「朝礼はやるべきだ」と思っていただけで、特段やめても問題なかったです。
ただ、朝礼をやめた代わりに「社長の独り言チャット」を作って、会社のビジョンや「こうやって頑張っていこうね」といった想いを週に一回投稿するようにしています。
チャットの方が画像も送れますし、スタッフも振り返りができます。日々、私が何を考えているかを伝えられたり、前に言ったことを引用できるのも良いですね。
ちなみに、投稿する文章は一度マイチャットで下書きをして推敲してから、スマートフォンでの見え方を確認した後に、グループチャットに投稿するようにしています。
また、会社に集まっての朝礼は廃止したのですが、月に一度オンライン朝礼は実施するようにしています。
- オンライン朝礼とは、どのようなものでしょうか。
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森山:スマートフォンを使っておこなうビデオ通話を使った朝礼です。
オンライン朝礼をしなくてはならないわけではないのですが、西日本豪雨のような災害が起きた時のための訓練として実施しています。
万が一、災害で会社に来れなくなってしまっても、顔を見てコミュニケーションが取れるように普段から慣れておけるようにしたいのです。
離職率の大幅な低下や、求人応募数6倍増といった効果にも繋がった
- Chatworkを導入し、実際どういう効果がありましたか。
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森山:スタッフの意識が変わりました。
2006年に家業を継ぐために東京から帰ってきて、当社の社長に就任したのですが、当時は本当にめちゃくちゃでした。正直、サービスの質も悪く、スタッフもネガティブで、求人を出しても人が集まらないような状況でした。
私たちの仕事は、ごみを取るだけ、汲み取りをするだけ、といったいわゆるルーティンワークです。ルーティンワークは、ビジョンや仕事の重要性を理解していないと、ただただ意味もわからずやる機械的な作業になってしまいます。
地域の人たちの当たり前の生活を守り続けるのに、私たちの仕事がいかに重要か。当たり前のことを当たり前にやることで、市民や業務を委託してくれている市町村との信頼関係が生まれる。そういった話を日々、Chatworkで発信したことで徐々に意識が変わり、社内の雰囲気も変わってきています。
- 具体的にどのように変わったのでしょうか。
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森山:それまでは「どうせうちの業界なんて... 」といったネガティブな思考や、「昔からこうやっている」といった古くからの習慣から抜け出せず、業務が属人化していました。
今では、「私もやってみていいですか?」「〇〇さんが行けないなら、私が行きます!」と積極的な声が出て、業務をみんなで分散できるようになったり、新人の自発的な動きにも繋がっています。また、回収作業で外に出てしまっても、チャットでやりとりできることで社内のコミュニケーションも深まりました。
- 他にも、導入効果はありましたか。
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森山:離職率の大幅な低下や、求人応募数の増加にも繋がっています。求人応募数に関しては、2017年と比較して6倍になっています。
業界的には採用しにくく、どこの企業も困っているので、すごいことかと思います。
アナログ企業のDXはチャットツールから。それだけで働き方が変わる
- 御社がこれだけうまくいっているのはなぜなのでしょうか。
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森山:Chatworkを皮切りにクラウド化を進めたおかげで、スタッフの働き方や当社に対する地域からのイメージを向上できたからだと思います。
今では、Chatworkのほか、スケジュール管理、勤怠管理、名刺・顧客管理、POSレジアプリ、車両運行管理などのクラウドツールを導入しています。
例えば、勤怠管理を使って有給を取りやすくしました。収集した廃棄物は、市の処理施設が閉まる17時までに持ち込みをするので、残業はもともとないのですが、仕事が早く終わった日はスマートフォンから打刻をして、時間有給を使った早上がりをできるようにしています。
- DXに成功しているんですね。秘訣はなんでしょうか。
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森山:当社のような業界では「これだけ生産性が上がる」、「何%の効率化を実現できる」と無理に数字を出すよりは、クラウド化を進めることで、どれだけ会社もスタッフも幸せになれるのかを伝えるようにしています。
数字だとピンとこないですが、少しでも変わるイメージが持てると変化にも対応しやすくなるのではないでしょうか。実際、当社では私が会社にいなくても業務が進むようになりましたし、回収依頼の対応漏れが防げ、クレーム、トラブルがなくなりました。まさに「幸せ」です。
また、ITとかDXとかの言葉でアレルギーを感じているアナログ企業はチャットツールの導入から始めると成功しやすいと思います。IT化の第一歩はChatworkです。
最初に何から取り組むべきか聞かれたら「チャットツールから入れましょう。それだけで変わります」と伝えるようにしています。すぐクラウドの利便性や効果を実感できるので。
- 業種
- 利用規模
- 目的・効果