離職率4.2%を実現した介護現場のコミュニケーション革新

佐賀県太良町で20年以上にわたり事業を展開する介護老人保健施設ふるさとの森。同社では、組織内コミュニケーションを改革するためにChatworkを導入し、情報共有の質とスピードが格段に向上、離職率の低減にも効果を発揮しているといいます。秘訣を伺いました。

医療法人誠晴會介護老人保健施設ふるさとの森

佐賀県太良町で1998年開設。介護老人保健施設の他、通所リハビリテーション・訪問リハビリテーション・グループホーム・居宅介護支援事業所の事業を展開。「地域を繋ぐ施設」をミッションに掲げ、介護やリハビリが必要な状態になっても住み慣れた地域で住み慣れた人達との生活を末長く続けられるようサポートしている。(取材:2022年06月)

医療法人誠晴會
介護老人保健施設
ふるさとの森
理事・施設長 巨瀬 健介 様

  • 情報共有の質とレスポンスに危機感を感じていた
  • 組織の情報リテラシーを向上させながら上手にICT化へ誘導できないか
  • 人間関係や将来への漠然とした不安が離職につながっていた
  • Chatworkを導入し、グループチャットを細分化して情報共有の体制を整えた
  • マネジメント層が指導役となって現場スタッフを丁寧に指導した
  • 施設長からミッションやビジョン、運営面に関する情報も積極的に発信した
  • 情報共有の質とスピードが大幅に向上し、コロナ禍でも助けになった
  • ICTを使い慣れていなかった職員も含め、全員が活用できるようになった
  • その他の施策ともあわせた効果で離職率が4.2%まで大きく下がった

課題

  • 情報共有の質とレスポンスに危機感を感じていた
  • 組織の情報リテラシーを向上させながら上手にICT化へ誘導できないか
  • 人間関係や将来への漠然とした不安が離職につながっていた

解決策

  • Chatworkを導入し、グループチャットを細分化して情報共有の体制を整えた
  • マネジメント層が指導役となって現場スタッフを丁寧に指導した
  • 施設長からミッションやビジョン、運営面に関する情報も積極的に発信した

効果

  • 情報共有の質とスピードが大幅に向上し、コロナ禍でも助けになった
  • ICTを使い慣れていなかった職員も含め、全員が活用できるようになった
  • その他の施策ともあわせた効果で離職率が4.2%まで大きく下がった

情報共有の質とレスポンスに課題を抱えていた

まず、貴社の事業について教えてください。

巨瀬:当施設は1998年に佐賀県太良町に開設された介護老人保健施設です。介護老人保健施設の他、通所リハビリテーション・訪問リハビリテーション・グループホーム・居宅介護支援事業所の事業を展開しています。私たちの専門性と地域の資源を繋げることで、介護やリハビリが必要な状態になっても住み慣れた地域で住み慣れた人たちとの生活を末長く続けられるようサポートさせていただきます。

Chatworkを導入した経緯について教えてください。

巨瀬:従来のコミュニケーションスタイルから脱却し、情報共有の質とレスポンスを高めたかったからです。介護業界はIT化が遅れている分野の一つで、当社でもそれは同じでした。

たとえば、業務連絡にしても、回覧板を回して一人ひとりが押印するというやり方が開業以来ずっと続いていました。これでは約100名いる従業員に情報が行き渡るまで1週間ほどかかってしまいますし、情報の出し方が一方通行なので本当に全員が見たかどうかもわかりません。

また、組織として変化への適応力や柔軟性、能動性を促進させたかったこともあります。施設では、各専門職が部署ごとに分かれて仕事をおこなうことが多いです。業務は専門性が高いため、どうしてもセクショナリズムに陥りがちで、部署間連携がうまくいかない面もありました。そんな組織間の隔たりやコミュニケーションラグを改善することが喫緊の課題でした。

それでも施設が回っているのであれば、このままでもいいのではないか、という考え方にはなりませんか。

巨瀬:これまでは制度や地域のニーズに支えられていた部分もあり、なんとか成長し続けることができました。しかし、今後は強い危機感を持って運営にあたらなければ近い将来必ず事業継続が困難になります。生産人口は減り続け、高齢化はさらに進んでいきます。若い世代を採用したくても、IT化が遅れた業界は彼らの目に魅力的には映らないでしょう。少しでも若い世代が「働きたい」と思ってくれるように、まずはコミュニケーションスタイルから変革する必要があるのです。

佐賀県からワーク・ライフ・バランス推進に積極的な企業としても選ばれている同社では、従業員が生き生きと働いている

シンプルなUIとスモールスタートで全社浸透に成功

Chatworkの有料プランをご導入いただいた経緯について教えてください。

巨瀬:コミュニケーションにコストをかけることの重要性を職員に認識してもらいたかったからです。

先ほどの話とも重なりますが、これまではコミュニケーションの重要性があまり浸透していませんでした。コミュニケーションにタイムラグがあっても、少しくらい齟齬が発生しても、それで日々の業務が成立しているならいいんじゃないかという空気感がありました。そうではなく、情報の受け渡しには重要な意味と責任が生じていること。つまり、情報こそ組織力の源泉であるという新しい価値観を浸透させたかったのです。そのためにも、「コミュニケーションにコストをかける」という決定は重要なものでした。

競合サービスとは比較検討されたでしょうか。その中でChatworkを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

巨瀬:他社サービスとも比較はしましたが、ChatworkのほうがUIがシンプルで使いやすいという印象を持ちました。当社には、下は20歳から上は70代までと幅広い年代の職員がいます。当然、ITリテラシーもまちまちです。職員全員が抵抗なく使うためには、シンプルでわかりやすいUIのツールであることが重要でした。

様々なITリテラシーの方がいるなかで、どのように導入を進められたのでしょうか。

巨瀬:最初はとりあえず、私と何人かで始めました。その後、役職者に利用範囲を広げ、次に一部の委員会で使うようになり、最後に全員に使ってもらうようにしたという流れです。スモールスタートを意識し、全社導入までは約2年をかけてじっくりと進めました。

かなり時間をかけて導入を進められたのですね。

巨瀬:そうですね。というのも、変化に対するホメオスタシス(※内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向)を懸念したからです。性急に進めすぎると、変化に対してアレルギーを起こし、面倒なことはしたくないと考える人が多く出てくるだろうと思いました。ですから、少しずつ使い方を覚えてもらって、新しいコミュニケーションスタイルの定着を図りました。

その際、現場への指導役を担ってくれたのが役職者です。それぞれの部署で丁寧に時間をかけ、繰り返し指導してくれました。役職者の努力がなければ、これほどうまく定着しなかったと思います。

組織にChatworkが浸透した決め手は何だったのでしょうか。

巨瀬:実際に使うことでメリットを感じられたからだと思います。特にコロナ禍ではChatworkのおかげで本当に助かりました。コロナ禍で重要だったのは情報の集約とレスポンスです。施設長は組織内の情報をできるだけすばやく把握し、迅速に判断を下すことが求められます。そうした状況下で、以前のように回覧を回していたのではとても間に合いませんからね。

進化し続けるグループチャット活用

Chatworkの活用方法についてもお聞きします。グループチャットの分け方や、どんなやりとりをされているのかについて教えてください。

巨瀬:Chatworkでの普段のやりとりは、全職員への一斉連絡の他、委員会活動や部門ごとの報告・連絡、会議録の閲覧などです。グループチャットの分類については試行錯誤を繰り返しながら改善してきました。数ヶ月前にもグループチャットの体制変更をおこない、よりグループを細分化しています。

緑色が新設予定のグループチャット案。情報の精度を保つため、グループチャットの見直しを実施

たとえば、これまで「老健部門」グループチャットでは、部署間の連絡や担当者会議・面談での共有事項、カンファレンス・継続の共有、ケアの変更や指示の共有といった内容をやりとりしていたのですが、現在は、「担当者会議・カンファレンス」グループチャットを新たに作成し、担当者会議・面談での共有事項、カンファレンス・継続の共有をおこなっています。

また、以前は「入退所の連絡」グループチャットで判定会議の連絡もおこなっていたのですが、現在は「入所判定会議」というグループチャットを別に作成し、判定会議に関する連絡に特化させました。Chatworkの活用が組織内で成熟してきたことで、グループチャットを細分化して情報共有の精度をさらに上げることができています。

Chatworkの運用ルールを教えてください。

巨瀬:個人情報は書き込まないこと。それからグループチャット内での誹謗中傷はしないことの2点です。個人情報でいうと、サービスの利用者様については業界に特化した介護ソフトを別途活用しています。ですので、Chatworkでやりとりするのは入退所の連絡ですとか、利用者様情報の申し送りの連絡ですとか、介護ソフトには入力しないような日々の情報です。

介護リフトの体験会の案内や勉強会の案内など、施設内の研修会の案内も各担当者からチャットで案内される

Chatworkがなければコロナ禍でどんな舵取りができたか想像できない

巨瀬:まず、導入目的でもあった情報共有の質と速度が格段に上がったことです。

Chatworkは操作が簡単なのでレスポンスも早くなりますし、電話と違って相手の時間を奪うこともありません。先ほども申し上げたように、特にコロナ禍でChatworkは本当に役立ちました。もしChatworkを使っていなかったら......日々錯綜する情報の中で、どんな舵取りをしていたか想像もできません。ほんとに助かっています。

また、懸念していた組織の柔軟性や変化への適応力ですが、これは思っていた以上に高かったことが判明して嬉しい誤算でしたね。特に役職者などマネジメント層のリーダーシップは想像以上で、あらためて自組織の良い点を知ることができました。

組織を知れたという点では、これまで話す機会が少なかったスタッフの考えや能動性などがチャットのやりとりで見えるようになったのもChatworkの効果です。「この人はこんなにリーダーシップがあるのか」といった気づきを得るなどして、埋もれていた人材の発掘にもつながっています。

会議のスタイルも変わりました。以前は紙で配っていた資料を先にChatworkで共有しておけば、会議の前提について議論する必要がありません。結果として結論を出すまでのプロセスも短縮でき、より濃い議論ができるようになりました。資料の配布や回覧がなくなったことで、ペーパーレス化も進んでいます。

感染症対策委員会のグループチャットでは、業務マニュアルや対応についてやりとりをしている

人間関係改善と将来への不安の払拭にChatworkが寄与

御社の離職率は2014年には24.7%だったところが、2019年度には4.2%まで激減しています。これほど離職率が下がった要因にChatworkが寄与できた部分はあるでしょうか。

巨瀬:離職率を下げるために様々な施策をおこなった結果なので、Chatworkだけが理由というわけではありません。ただ、Chatworkが離職率を改善できた要因の1つであることは間違いないと思います。というのも、退職理由の大部分は人間関係だからです。

Chatworkを導入したことで、縦や横、斜めのコミュニケーションが活性化したことは、人間関係にも良い影響をもたらしたと思います。Chatworkを見ることで現場の状況がわかるので、人間関係が悪化する前に何か手を打てたりするのです。

また、この会社でこの先も働いていていいのだろうか、という漠然とした不安も退職理由になりがちです。Chatworkを導入したことで、経営層からミッションやビジョン、今後の展望などを発信する機会が増え、漠然とした不安をある程度払拭できたところはあるのではないかと思います。

これからChatworkの導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。

巨瀬:Chatworkは組織のパフォーマンスを高める最適なツールです。意思決定やマネジメント、タスク管理、情報発信・共有等、チームのコミュニケーションの質が劇的に高まります。

私たちのチームはChatworkなしのスタイルにはもう戻れません。不確かで時間のかかる伝言ゲームから、Chatworkで脱却し、新たなビジネススタイルを作りましょう。

※記載の内容は取材時点の情報です。現在のChatworkの機能や料金プランとは異なる可能性がございますのでご了承ください。