ICT化で情報共有が劇的に改善し、地域医療に貢献する機会が増えました

静岡県掛川市に位置する掛川東病院・桔梗の丘。3つの医療病棟、2つの介護保険施設と在宅診療部を有している。コミュニティホスピタルのビジョンを掲げており、地域との連携にChatworkを導入したところ、仕事時間の効率化や生産性の向上にもつながったという。

規模
301〜1,000名
業種
医療・介護・福祉
目的・効果
情報共有の効率化 社外関係者との連携

医療法人社団綾和会 掛川東病院・桔梗の丘

静岡県掛川市に位置する掛川東病院・桔梗の丘。3つの医療病棟、2つの介護保険施設と在宅診療部を有します。「地域のためのコミュニティホスピタル」というビジョンの元、地域の皆様のため在宅復帰をめざした幅広い医療と介護を提供しています。(取材:2022年3月)

病院長
宮地 紘樹

  • 地域との連携で情報共有ツールが根づいていない状況があった
  • 訪問診療や医療の現場で、FAXや電話では効率的に情報共有できなかった
  • 多職種から医師に電話で確認するときのハードルが高かった
  • 外部の連携先の事務所について、スタッフが赴いて導入をサポートした
  • 緊急時以外の連絡をChatworkにして、空き時間に返答するようにした
  • 院内にChatwork専用の担当者を設けて、質問できる体制をつくった
  • ICT化で、地域医療に貢献できる機会が増えた
  • 全体の電話件数が大幅に減るなど、仕事の情報共有を効率化できた
  • 移動時間に緊急性のない業務をこなせて、生産性が3割ほど上がった

課題

  • 地域との連携で情報共有ツールが根づいていない状況があった
  • 訪問診療や医療の現場で、FAXや電話では効率的に情報共有できなかった
  • 多職種から医師に電話で確認するときのハードルが高かった

解決策

  • 外部の連携先の事務所について、スタッフが赴いて導入をサポートした
  • 緊急時以外の連絡をChatworkにして、空き時間に返答するようにした
  • 院内にChatwork専用の担当者を設けて、質問できる体制をつくった

効果

  • ICT化で、地域医療に貢献できる機会が増えた
  • 全体の電話件数が大幅に減るなど、仕事の情報共有を効率化できた
  • 移動時間に緊急性のない業務をこなせて、生産性が3割ほど上がった

地域連携・多職種連携には情報共有ができるツールが必要だった

ビジネスチャットに関心をもたれた背景を教えていただけますか?

宮地:前職の名古屋のクリニックで、ビジネスチャットのノウハウを知りました。クリニック内や連携先の事業所とのつながりで、すでに7~8年前の2014年ごろにはChatworkが使われていたんです。
僕が掛川東病院に赴任したときは、情報共有ツールは地域に全然根づいていない状態だったのですが、ヘルスケアに関して街ぐるみで連携できるツールはないかということで、使い慣れているChatworkを使うこととなりました。

訪問診療からChatworkを導入した理由をお聞きしたいと思います。

宮地:訪問診療や医療の現場では、基本的にFAXか電話だけだったんです。ただ、多職種連携なので、色々な職種が同じ情報を共有する必要がありました。
電話は一対一の共有になるので、記録として残りません。医療では大事になる「言った言わない」の確認ができないところも問題点でした。
たくさんの人に緊急性が高くないことを共有するときは、Chatworkのようなツールが非常に便利だと思っています。

他社のビジネスチャットと比較はされましたか?

宮地:ほかにも、いくつか候補をあげていましたが、操作が簡単ということでChatworkを選びました。アプリもあり、タスク管理ができてセキュリティも担保されており、使い方が直感的にできるという点でChatworkが一番いいかなと思っています。

医師とスタッフの間で情報共有が進めやすくなった

連携している多職種の方は、具体的にどういった職種の方が多かったのでしょうか?

宮地:一番多いのが訪問看護で、看護師さんとケアマネージャーさんが多いですね。あとは、高齢者施設に患者さんを見に行くので、施設のスタッフにもChatworkを使ってもらっています。
看護師さんや施設の方には、患者さんの状態が悪くなったときに、緊急時でなければChatworkに連絡してもらっています。医師に電話するハードルが高くなっている様子なので、時間が空いたときにこちらから返答するという使い方をしています。
あとは薬局です。チャットがなかったときは、薬局と医療機関の情報共有が処方箋のメモ書きで、詳細までわからない部分があったんですが、チャットがあることで薬の変更理由などの詳細が確認できています。

院内外のグループチャットでの情報共有に関するやりとりの一例
その他、医師の方とチャットで情報共有するときは、どのような使い方をされていますか?

宮地:スタッフから患者さんの身体の状態について、グループチャットで画像や動画を共有しています。患者さんの身体の状態について、すべて口頭の説明や文章で伝えるのは難しいのですが、写真や動画で撮ると一発で伝わるので、情報の解像度が一気に上がりました。

Chatwork導入時に心配・懸念していた点があれば教えてください。

宮地:ICTを使うことに対する抵抗はありました。ただ、外の連携先に関しては、こちらのスタッフが事業所に赴いて、導入をすべてサポートしました。
院内の人たちに使ってもらうときは、年配の50~60代の方からは「使い方がわからないし、今のやり方でうまくいっているから、変える必要はないんじゃないか」など、そういうのはありましたね。
また、Chatworkの導入で利用方法のレクチャーに時間が取られることが心配でした。

どのように課題を解決していったのでしょうか?

宮地:導入に関しては、情報共有の問題点を伝えながら、トップダウンの方針で進めました。
簡単なチャットの内容を作って送信するだけなど、30分の動画や生のレクチャーもやりながら、A4サイズ一枚の送信用マニュアルを一緒に配りました。「使い方がわからなかったら、いつでも連絡してください」というふうに、Chatwork専用の担当者を院内に作りました。
ただ、結局便利なので、不平や使えないことに対する不満はほとんど聞かれていないです。

グループチャットの活用で働き方が変わり、仕事の効率化につながった

Chatworkのグループチャットは、どのように分けられていますか?

宮地:緊急度が高いグループ、高くないグループ、書類だけやったらいいグループ、確認だけのグループなどすべて分かれています。
ほかのスタッフが僕の代わりに見てくれているので、緊急性のある場合はすぐに声をかけてもらい、緊急性がなければ、タスク化してもらう形でやっていますね。

緊急度や内容に合わせてグループチャットを分けられているのですね。

宮地:あとは、医師ごとに30minというグループチャットを作っています。「入ったら30分以内に確認して対応してください」という部分です。当日には絶対にやらないといけない内容をふりわけているのでピン止めしています。担当の先生が反応するまで「こういう指示で動いて」など、別の医師が見てカバーもできます。

大変面白いですね。病院ならではの使い方かなと思いました。

宮地:ほかには、24時間報告というグループチャットがあります。いわゆる通常業務じゃない夜間の時間帯、土日祝日や休みの日など、時間外に起こったことを共有するところです。訪問診療は24時間体制でやっていますが、医師もずっと24時間は働けませんよね。
医師が担当する患者さんの状態が悪くなった場合、勤務時間外は、当番の医師が対応しているんですが、こういうことがあったよと申し送りで共有する必要があるんです。

全体として助かっていたり、便利だったりするグループチャットはありますか?

宮地:回覧板のグループチャットがあって、一斉に配ることでスピードが上がっています。紙ベースの回覧板だったときは、職員だけで300何人いるので、各部署に2~3日くらいかけて回していたんじゃないかなと思います。

ほかにも、仕事の情報共有で助かったと感じるグループチャットはありますか?

宮地:修理依頼のグループチャットがあります。病院でいろいろと壊れた物の写真、どの部署なのかなど、記録に残しながらタスク管理で情報共有をしているのですが、すごく動いているんです。
今までは、施設課のスタッフがひとりで飛び回っていて、電話を受けても何をどこから頼まれたのかもわからなくなる状況でした。
ちなみに、施設課で対応していたスタッフが50歳くらいの方なんですけど、スマートフォンを使ったこともなくて、最初は「絶対にやらない」と言っていたんですね。でも、今は一番使っているし、働き方が変わり効率化もできました。

掛川東病院の日常の一コマ。雰囲気の良さが伺える。

生産性が3割アップし、移動時間にやれる仕事が増えた

Chatworkを導入し、実際にどういった効果がありましたか?

宮地:訪問医療は、患者さんの家から別の患者さんの家まで、移動するんですよね。地域によって全然変わりますが、平均すると10~15分程度が移動時間になるんです。移動時間に緊急性がない業務をこなせるので、生産性に関しては、3割ほど上がるという形ですね。
移動時間中は、指示出しや書類づくりをやっています。訪問診療だけをやっていたときは、緊急性が少ないタスクについて、手が空いたら「この指示をしてください」とか、次に見に行ったときのリマインドをつくることはやっていました。

電話応対の頻度に変化はありましたか?

宮地:Chatworkがまったくなかったときにかかってくる電話の数が100件だったとすると、今は病棟を含めて5~10件ですかね。
以前はすべて電話でかかってきましたから、こちらからは選択できない時間を取られていました。院外にいてもつながるようになったので、病棟に関してはほぼゼロに近くなっていますね。

Chatworkの活用方法で、BCP対策などの教育に関する動画をChatwork内に格納しているということですが、具体的にどのような形で行っておられるのでしょうか?

宮地:BCP対策に関して今はコロナもあって、感染対策やこういうときにこういう動きをしましょう、という教育動画をChatworkに入れています。今は一緒の場所に300人は集まれないので、各部署で職員を小分けにしてやる必要があるんです。
大きめの病棟では、部署ごとに置いてあるiPadを利用して、空いた時間にChatworkに格納してある動画を見てもらっていますね。

地域のコミュニティやつながりをモデル化できれば、違う自治体や地域でも使ってもらえる

地域全体で介護・医療の連携をしていくというテーマについて、どのように考えておられますか?

宮地:僕は元々、都市部で在宅医療に関わっていました。そこではICTによる情報共有とコミュニティづくりを大切にしていました。
また、海外医療視察で海外医療の仕組みを見に行ったのですが、シンガポールの病院ですごく良いモデルがあって、これがコミュニティホスピタルという考え方です。
医療職だけではなく、暮らしに関わるすべての人が支え合うような、そういうコミュニティや街をつくっていかないといけないんですよね。
結局今は、社会保障で医療費の半分くらいが高齢者の入院費になっちゃっているので、国としても医療費を削減しようとしていて、高齢者に地域のなかで過ごしてもらおうと考えています。
ただ、地域に帰ったときに支える土台がないので、地域包括ケアシステムを取り入れて、地域のメンバーでうまく支えていく取り組みを手探りでやってくださいという状況です。

具体的には、どのような取り組みやコミュニティづくりを大切にされているのでしょうか?

宮地:地域に帰すための機能として、まずは病院でリハビリをする病床の機能、帰ったあともフォローできる訪問の機能などがあげられます。
それだけではなく、若い人たちには「高齢化ってどういうこと?」といった教育のプロジェクトを進めるなど、高齢者が社会的な地位や存在感を維持できるようなプログラムを地域のなかに発信しています。

今は街なかのスーパーやお寺、本屋なども回って、どういう課題があるのかを共有していますね。コミュニティづくりの連携として「さてつ」というグループを作り、月一回テーマを決めてZoomで話し合いを行っています。
ほかにも、スーパーと連携して広告のなかに一言コラムを載せてもらったり、市と協力して「たわわ」というチームを作ったりするなど、医療介護だけではなく企業や行政と一緒にできることを探っています。

さまざまな活動に取り組まれておられるのですね。

宮地:僕の家は東京にあるのですが、カルテや情報共有の手段などをフルクラウド化したことで、今は静岡と2拠点で生活しています。
今はコロナの影響で、平日はほとんど静岡にいますが、東京に住んでいても指示が出せたり、情報共有ができたりしています。
こういう働き方ができると、週一回だけは静岡に行こうかなということができるので、住む場所を選ばずに地域の医療に貢献するチャンスを増やすことができるんです。あとは、遠隔診療の仕組みができれば、もっとこういう動きが出てくるのかなと思っています。

クラウド化することで、遠方でも仕事が可能になったのですね。

宮地:つながりをモデル化できれば、違う自治体や地域でも使ってもらえると思います。関わる人が支え合う仕組みにはICTが必要で、情報共有の手段に電話やFAXでは無理があるからです。地域の連携や医療職の垣根を越えた連携、全体で情報共有ができる仕組みのひとつとして、Chatworkを使ってもらっています。

Chatworkの連携と未来が見えた気がします。最後に、Chatworkを使おうと思っている企業に一言お願いします。

宮地:Chatworkを使って10年近くなりますが、今はないと業務が成り立たない状態です。自分の事業所以外のところでも使ってもらえて「いつでも連絡できるので、ものすごく安心感がある」と、言ってもらえるのも、すごくありがたいなと感じています。
コミュニケーションツールなどのICTを導入することで、仕事時間の効率化もできるし、生産性も上がります。
医療や介護の分野では、情報共有を迅速かつ確実にやっていくのは肝の部分だと思うんですよね。
Chatworkを使うと、その辺りが劇的に変わるし、電話やFAX、口頭だけのときと比べて、質がまったく別物のように高くなります。

ありがとうございました。