社内外の情報共有をChatworkに一本化し、弁護士の生産性が2倍に

弁護士法人Nexill&Partnersでは、顧問先とのやりとりもChatworkに統一したことで、業務効率は大幅にアップ。一般的な弁護士が担当可能な顧問数は50~70といわれますが、同事務所の弁護士はその2倍のクライアントを担当できているといいます。

規模
1〜50名
業種
士業
目的・効果
業務効率化 顧客対応

弁護士法人Nexill&Partners

弁護士法人を母体とし、社労士法人、税理士法人、司法書士法人、行政書士法人を有する総合法律事務所。複数士業によるワンストップサービスを強みに、BtoB向けには中小企業支援、BtoC向けには相続に力を入れている。ワンストップの強みを活かしながら、クライアントの『幸せ』を追求する伴走者であり続けている。(取材:2022年06月 更新:2024年10月)

菰田 泰隆 様

  • 外出時はタスクや伝言が確認できず業務スピードが落ちてしまう
  • 他社チャットツールではデータファイルの閲覧期限が短い
  • 一般的な弁護士事務所の場合、クライアントへの回答に数日かかることも
  • 事務所スタッフとの連絡をChatworkで行う
  • データ保存期限のないChatworkにファイルをアップ
  • クライアントともChatworkでやりとりを行う
  • 外出時でも必要な情報が取得でき、業務スピードも向上
  • 数年前の事例も検索して参照できるため、業務の引き継ぎも容易
  • クライアントからの相談や質問にすばやく回答でき、満足度も向上

課題

  • 外出時はタスクや伝言が確認できず業務スピードが落ちてしまう
  • 他社チャットツールではデータファイルの閲覧期限が短い
  • 一般的な弁護士事務所の場合、クライアントへの回答に数日かかることも

解決策

  • 事務所スタッフとの連絡をChatworkで行う
  • データ保存期限のないChatworkにファイルをアップ
  • クライアントともChatworkでやりとりを行う

効果

  • 外出時でも必要な情報が取得でき、業務スピードも向上
  • 数年前の事例も検索して参照できるため、業務の引き継ぎも容易
  • クライアントからの相談や質問にすばやく回答でき、満足度も向上

情報共有を効率化し、業務スピードを上げたかった

貴法人の事業について教えてください。

菰田:当事務所は、弁護士法人を母体とし、社労士法人、税理士法人、司法書士法人、行政書士法人を有する総合法律事務所です。複数士業によるワンストップサービスを強みに、BtoB向けには中小企業支援、BtoC向けには相続に力を入れています。事務所は福岡にありますが、クライアントは日本全国におります。

Chatwork導入の背景となった組織課題について教えてください。

菰田:事務所を不在にすることによる業務スピード低下への懸念です。導入当時の2015年頃、当事務所はまだ弁護士が2~3名の体制でした。私自身も毎日クライアントを訪問してまわったり、月の半分は東京に出張していたりと、丸一日事務所にいないことも珍しくありませんでした。現在は弁護士も増え、事務所規模も大きくなりましたが、相変わらず弁護士は外出していることが多いです。

社外からは業務管理系のシステムにはアクセスできませんし、当時はクラウドツールもそれほど多くありませんでした。そのため、外出時はタスクや伝言が確認できず、他のスタッフに指示も出しにくい状態でした。結果として業務スピードが落ちてしまうことに課題感を持っていました。

そうした課題を解決するソリューションとしてChatworkに注目されたのはなぜですか。

菰田:社外にいても、社内にいるのと変わらないコミュニケーションがとれること。また、隙間時間を使ってすばやくレスポンスできること。Chatworkなら、この2点を実現できると感じました。コミュニケーションツールとしてはもちろんですが、情報の管理にも役立ちそうだという印象を持ちました。

アカウントの一括管理やデータファイルの無期限保存が決め手

他社のチャットツールと比較検討はされましたか。比較された場合、Chatworkを選んだ決め手は何でしたか。

菰田:他社ツールとの比較は特にしていません。導入の決め手になったのは、プロジェクトごとやクライアントごとにグループチャットを作り、情報の整理ができること。そして、組織として導入して一括でアカウントを管理できることです。プライベートで使っているツールを業務に使ってしまうと、組織としてアカウントの管理ができませんからね。

また、プライベートチャットの中にはデータファイルの閲覧期限がありますが、Chatworkはずっと閲覧できます。タスク管理機能があるのも便利です。

士業の業務では、過去に遡ってデータを参照することも多いのでしょうか。

菰田:そうですね。訴訟案件ともなると、一段落するのに年単位で時間がかかることもあります。数年前のデータを見たいこともあるので、一定期間で閲覧できなくなる仕様は困るのです。それに、Chatworkはデータだけでなく、テキストも検索できるのが便利です。新しく入ったスタッフに案件の概要を伝える際も、検索して出てきた情報を見てもらえばいいので効率的です。

なお、データファイルそのものはChatworkにアップロードするだけでなく、オンラインストレージにも保存しています。ただ、テキストを検索できるおかげで、Chatworkで検索した方が早く見つかる場合も多いです。

「メールを使っていない」とクライアントにも断言している
菰田先生の名刺には、メールアドレスの記載がなく、代わりにChatwork IDが記載されている

Chatwork活用を社外にも呼びかけ、8割以上のクライアントが導入

Chatworkをどのように組織へ導入されたのでしょうか。

菰田:いきなり組織全体に導入したわけではなく、最初の数ヶ月は私一人で使用してみました。イメージしていた通り、やっぱり便利だなと感じたので組織全体への導入に踏み切りました。

Chatworkの利用を広める上での苦労などはありましたか。

菰田:社内については特に苦労などはありませんでした。一方で、クライアントなど社外にも利用を広げようとしたときには、難色を示すクライアントも多かったです。

社内だけでなく、社外でも活用いただいているのですね。

菰田:かなり早い段階で、社外へもChatworkの利用を広めることを決めました。せっかく社内の連絡がChatworkオンリーになっているのに、社外との連絡を別のツールにするのは不便ですからね。Chatworkだけを見ていれば仕事が進むようにしたかったのです。

難色を示されたクライアントには、どのように対応されたのでしょうか。

菰田:まず、名刺にChatwork IDを記載して、メールアドレスを記載しないようにしました。また、Chatworkアカウントの作り方について自社でマニュアルを用意して、クライアントが簡単にアカウント作成できるようサポートしました。今後はマニュアルを動画でも作ろうと考えています。

新規のクライアントについては、最初の段階でアカウントを作っていただいています。「メールではダメなのか?」という質問を受けることがありますが、その際には「メールではダメです。私はもうメールは使っていません」と断言しています。

そこまで徹底されると、Chatworkも受け入れていただけそうです。

菰田:それでも、なかにはどうしてもChatworkは無理だというクライアントもいるので、その場合は電話やメールを使うことになりますが、割合としては少ないです。600社以上いるtoBのクライアントのうち、8~9割はChatworkでやりとりしています。toCのクライアントに限っては、9割近くがChatworkを利用してくれています。

API連携も活用しながら社内外の情報をグループチャットで細かく管理

具体的な活用方法についてもお聞きします。どんなグループチャットを作って活用されていますか。

菰田:まず、社内向けのグループチャットからご説明します。社内全員参加のグループチャットのほか、経営層のみ、所属オフィスごと、部門ごとなどのグループチャットを作って案件に関するやりとりをしています。電話やFAXの内容の伝達については、「電話連絡用(〇〇部門)」というチャット名で、それぞれの部門別に専用のグループチャットを作っておこなっています。

クライアントに関するやりとりは、各クライアント名をつけたグループチャットを用意して、担当する士業やスタッフが参加しています。ポイントは、士業ごとにグループチャットを分けていることです。たとえば、A社から法律と経理と労務に関する案件を請けている場合は、弁護士向けのグループチャット、税理士向けのグループチャット、社労士向けのグループチャットというように、3つのグループチャットを作ります。こうすることで、情報が整理できるのです。弁護士だけでなく、ほかの士業も在籍している当事務所ならではの特徴といえます。

なお、グループチャットのアイコンを用途別に色分けしており、瞬時に何のグループチャットなのか見分けがつくようにしています。グループチャットを探す手間が省けますし、誤送信も未然に防げます。

社外向けについてはいかがでしょう。

菰田:社外向けには、クライアントとのやりとりをおこなうグループチャットと、クライアント以外の外部取引先とのやりとりをおこなうグループチャットがあります。クライアント向けのグループチャットには、クライアントの担当者様と弊所担当者が入り、連絡や相談、案件依頼などをおこなっています。GoogleスプレッドシートとのAPI連携をおこなっており、業務報告書を一斉送信できる仕組みを整えています。以前は個別に1社ずつ、手作業で送付作業をおこなっていたのですが、ChatworkとのAPI連携により、グループチャットに一括で送付できるようになりました。

外部取引先とのやりとりは、主にバックオフィスメンバーがおこなっています。すでに先方がChatworkを導入していることも多いので、可能な限りChatworkでやりとりするようにしています。

API連携までおこなわれているのですね。もともと社内にIT専門の部署などがあったのでしょうか。

菰田:ITを担当しているスタッフはおりますが、SEというわけではありません。もっと大きな事務所であれば専任のSEが在籍していることもありますが、弊所くらいの規模感ですといないのが一般的です。外部にアドバイザーがいるので、相談しながら進めていきました。

API連携に関しては、業務報告書以外にもグループウェアとの連携や、問い合わせフォームとの連携などにも活用しています。

Chatworkの運用ルールを教えてください。

菰田:Chatworkは個人間の連絡用ではなく、あくまでも「情報共有」のための業務ツールです。その観点から、1対1でやりとりするダイレクトチャットは原則として使用しないルールで運用しています。

生産性が向上し、1人の弁護士が担当できるクライアント数が通常の2倍に

Chatworkを導入したことで、どのような効果が得られましたか。

菰田:もともと課題感として持っていた業務スピードが向上し、生産性は確実に高まりました。社内だけでなく、クライアントへのレスポンスも早くなっています。実は弁護士業界は士業のなかでも一番レスポンスが遅い業界です。お客様がご相談にこられても、回答は3日後、それも事務所まで来てもらって回答するという事務所も珍しくありません。実際には対面しなくても、チャットで済むご相談も多いですし、クイックレスポンスはお客様にとっても嬉しいことだと思います。

Chatworkで生産性が向上した結果、弁護士が顧問として担当する企業数も増加しました。ふつうは50~70社くらいが限度だと思いますが、弊所の弁護士は少なくともその倍の企業を担当できています。つまり、Chatworkは間接的に売上増にも寄与してくれているのです。

Chatworkの導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。

菰田:Chatworkはシンプルで使いやすいツールです。シンプルだからこそ、企業ごとに活用方法をいろいろとアレンジできます。活用方法がきっちり決まっている方が使いやすいと感じるかもしれませんが、「自社に合わせて活用方法を考えられる」ことこそがChatworkの旨味だと感じています。

ありがとうございました。
※記載の内容は取材時点の情報です。現在のChatworkの機能や料金プランとは異なる可能性がございますのでご了承ください。