コロナを機に新たなチャレンジ 病院が抱える様々な課題に効果

埼玉県日高市で地域密着型の医療を提供する武蔵台病院。同院ではコロナをきっかけにChatworkを導入。その結果、情報伝達の円滑化や業務効率化、スタッフのメンタルケア、心理的安全性の向上、BCP対策の強化など様々な部分に良い効果が表れているといいます。

規模
301〜1,000名
業種
医療・介護・福祉
目的・効果
業務効率化 情報共有の効率化

武蔵台病院

埼玉県日高市にて地域密着型で運営する医療法人。救急医療から急性期治療、慢性期治療ならびにリハビリテーション、訪問看護および、訪問リハビリ等の在宅医療関連のサービスを提供している。(取材:2022年11月)

理事長
河野義彦 様

  • コロナに関する情報共有のスピードと正確さに課題があった
  • 災害時の連絡に電話の緊急連絡網を使用しており情報伝達が遅かった
  • 会議等で使用する紙が多く、ペーパーレス化がなかなか進まなかった
  • Chatworkでコロナ情報を逐一共有、感染したスタッフとの連絡にも活用
  • 災害時の連絡をChatworkで行うことにした
  • Chatworkを活用し、会議の議事録などをデジタルで共有
  • スタッフの孤独感をケアし、組織の心理的安全性も向上
  • 電話よりもはるかに早い情報伝達に成功。
  • 使用する紙の量が大きく削減でき、ペーパーレス化に寄与

課題

  • コロナに関する情報共有のスピードと正確さに課題があった
  • 災害時の連絡に電話の緊急連絡網を使用しており情報伝達が遅かった
  • 会議等で使用する紙が多く、ペーパーレス化がなかなか進まなかった

解決策

  • Chatworkでコロナ情報を逐一共有、感染したスタッフとの連絡にも活用
  • 災害時の連絡をChatworkで行うことにした
  • Chatworkを活用し、会議の議事録などをデジタルで共有

効果

  • スタッフの孤独感をケアし、組織の心理的安全性も向上
  • 電話よりもはるかに早い情報伝達に成功。
  • 使用する紙の量が大きく削減でき、ペーパーレス化に寄与

コロナ禍で院内コミュニケーションを強化する必要があった

まず、御社の事業について教えてください。

河野:武蔵台病院は埼玉県日高市に院を構える地域密着型の医療法人です。救急医療から急性期治療、慢性期治療ならびにリハビリテーション、訪問看護および、訪問リハビリ等の在宅医療関連のサービスを提供しております。現在、約300名のスタッフが勤務しています。

Chatwork導入のきっかけは何だったのでしょうか。

河野:Chatworkを導入したのは2020年4月です。それよりも前から知り合いの経営者にChatworkの紹介を受けており、情報のスピードが上がるからとおすすめされていました。私としては導入したかったのですが、新しいツールを入れることに抵抗感を持つスタッフが多いのではと思って躊躇していました。

ただ、コロナがきっかけで院内のコミュニケーションの質とスピードを向上させる必要にかられ、Chatworkの導入に踏み切った流れです。

どのようなコミュニケーション課題を抱えていたのでしょうか。

河野:まず、コミュニケーションが1対1になりがちだということです。Chatworkの導入前に使っていた連絡手段は主に電話だったため、他の人に伝えてほしい情報は言伝を頼むことになります。すると、ニュアンスが変わったり、伝言ゲームになってしまったりと、伝えたいことが伝わりきらないことが多かったのです。また、そもそも医療従事者は電話に出られないことも多々あります。私自身も手術や外来を行っているため、対応中は基本的に電話には出られません。

このように、病院という環境はスタッフ全員が集まる機会をほとんど持てないのです。当院では月に1回、全体昼礼を行っているのですが、集まれるスタッフは300人中、100人程度です。昼礼での伝達事項について、中間管理職には「部内の人に伝えてください」とお願いしますが、やはり全員に伝わりきらなかったり、違うニュアンスで伝わったりしてしまうこともありました。

もう1つの課題が、コロナ禍におけるインフォデミック、すなわち不確かな情報の拡散です。特に2020年頃はコロナの情報も錯綜しており、スタッフも恐怖心を煽られていました。結果として退職者が増えてしまう医療機関も少なくなかったと聞いています。

こうしたインフォデミックを防ぐには、正しい情報をしっかりと伝達し、スタッフが感染した際にはしっかりとコミュニケーションをとって支えてやらなければなりません。そのためにも、電話よりも気軽でいつでもコミュニケーションがとれる仕組みが必要だったのです。

ITが苦手な年配スタッフも簡単に使えた

他社のチャットツールと比較検討はされましたか。その中でChatworkを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

河野:他社のビジネスチャットツールも検討しました。ただ、そのなかでもChatworkの使い勝手がもっともよかったことが決め手になりました。医療や介護従事者はスタッフの年齢に幅があり、ベテランのスタッフにはITが苦手な人もいます。そうした者でも簡単に使えるツールであることが重要です。Chatworkは操作性も良好ですし、価格も妥当だと思いました。

Chatworkの導入について、社内外の反響はいかがでしたか。導入する際の懸念点などはありましたか。

河野:最初は反発の声もありました。個人のスマートフォンにChatworkアプリを入れることに抵抗を持つ人もいたようです。その点については、病院として様々な補助やルールを決めることで対応しました。

たとえば、勤務時間外は緊急時以外Chatworkを見なくていいというルールです。これにより、Chatworkはあくまでも仕事のツールであることを強調しました。また、院内にフリーWi-Fiを設置し、自由に使っていいことにしました。これなら病院にいる間、スマホの通信量もかかりません。さらに、スマートフォンの利用にかかる料金も特別ボーナスを出して補填しています。このようにしっかりとサポートすることで、Chatworkの浸透を目指しました。

事務長の榎本様の印象はいかがでしたか。

榎本:メールよりも伝達が早く、電話と違って「1対1」か「1対多」かを選んでコミュニケーションができる点がとても好印象でした。グループチャットを活用すれば、メールのようにいちいち相手を選ぶ必要もありません。文字データも残るので、いつでも見返しもできます。とても手軽で、病院に適したツールという印象でした。

コロナの情報共有に活用、スタッフのメンタルケアにも有効

ここからは、Chatworkの具体的な活用法についてお聞きします。

河野:まず、導入のきっかけともなったコロナの情報共有です。近隣市町村の感染情報を整理してChatworkで発信することで、自分たちの行動範囲にどれくらいの感染者がいるのか正確に把握することができます。

また、コロナに感染して自宅待機になったスタッフについては、「コロナ健康観察管理」というグループチャットで熱や咳、喉の痛みなどについて毎日報告を上げてもらっています。そうやって上がってきた報告に対して、私や他のスタッフから励ましの言葉が送られることも多いです。自宅療養の孤独さからくる不安を和らげる効果があるようで、コロナに感染したスタッフからも「心強かった」「すごく励まされた」といった感謝の声が上がっています。

こうした取り組みは、スタッフのメンタルケアにもつながっていると感じています。たとえば、コロナに感染したスタッフが「自分が感染したことで病院に迷惑をかけた」と落ち込んでいたことがありました。もちろん、そんなふうに責任を感じる必要はまったくないのですが、そのまま放置しているとさらに落ち込んでしまい、精神的によくない状況になると思いました。そこで私は、Chatworkで「責任を感じる必要はないですよ」と言葉を送り、スタッフのメンタルケアに努めました。他のスタッフからも同じように励ましの言葉が送られたことで、感染したスタッフも落ち込みすぎることなく無事に復帰できました。こうした取り組みは、Chatworkがなければできなかったでしょう。コロナで療養しているスタッフに、何度も電話をかけるわけにもいきませんからね。

メッセージを送る側も、受け取る側も、自分のタイミングで利用できるChatworkならではですね。

電話による緊急連絡網と比べて、災害情報の伝達速度が大幅アップ

河野:コロナ以外の情報の共有にも活用しています。たとえば、先ほど申し上げた昼礼については、話した内容を後から文字に起こしてChatworkで共有しています。これにより、参加できなかった人にも昼礼の内容が正確に伝わるようになり、不正確な伝言ゲームを避けられるようになりました。

BCP対策にもChatworkが役立っています。9月に大型の台風が直撃した際は、注意喚起を促すメッセージをChatworkで全スタッフに発信しました。このとき、ふと思い立って「Chatworkのメッセージがどれくらいの時間で、どれくらいのスタッフに行き渡るのか」について検証してみたので結果を紹介します。

当院では、Chatworkでメッセージを見たらリアクションボタンで反応することをルールにしています。つまり、どれくらいの人がメッセージを確認したのかがわかるわけです。これを利用し、5分おきにリアクション数を確認して、メッセージの周知のスピードを計測しました。その結果、週末の夜という忙しい時間帯にも関わらず、発信からわずか100分で55%のスタッフに周知できていることがわかったのです。さらに、40時間後には87%のスタッフに周知されていました。

これはすばらしい数値です。以前でしたらこうした連絡は電話による緊急連絡網で行っていましたが、出られない人もいるなど効率が悪く、とてもここまでのスピードで周知することはできていませんでした。

チャットと電話のスピードの差がはっきりと数字に表れたのですね。

河野:普段の業務の連絡でもChatworkが役立っています。たとえば、休日・夜間の入院情報の伝達です。以前は土日などに入院患者が来院した場合、週末が休みの医師にその情報が伝わっていないことが多々ありました。すると、月曜日に出勤した医師を驚かせてしまうので、仕方なく休日であっても医師に電話で連絡していたわけです。これは医師にとっても大きなストレスになっていました。

しかし、Chatworkで連絡すれば電話連絡を回避できるので、情報を発信するスタッフにとっても医師にとっても負担が少なく済みます。結果として、現場の心理的安全性も向上し、それがサービスの質の向上にも良い影響を与えているのです。

手術室業務にもChatworkが活用されています。たとえば、患者さんが入院してからの機械の発注や、手術時間の調節、業者への連絡など、手術前後で発生する業務です。これらをChatworkで一括連絡できるので、大きな効率化につながっています。電話ですと相手につながらないことも多く、同じ手術について何度も電話をかけるようなこともありました。

組織の心理的安全性と業務効率が向上し、ペーパーレス化も促進

Chatworkを導入した効果について教えてください。

河野:当初の課題だった情報共有については、Chatworkで劇的に改善しました。特に手術室業務について計算したところ、これまで年間850分かかっていたのが300分にまで短縮できています。

コロナの情報共有も速く正確に行えるようになり、自宅療養しているスタッフにも気軽にコミュニケーションをとって、孤独感を和らげられていると思います。

榎本:事務局としては、ペーパーレス化も推進できていると感じています。会議の議事録もデータにしてChatworkで共有できますし、勉強会で配るアンケート用紙もGoogleフォームとChatworkを連携することでデジタル化できました。大量の紙と集計時間を削減できていると思います。

河野:台風の例でお話したように、災害対策などBCP対策の構築もChatworkのおかげで進みました。近年、法改正があり、2024年には介護保険の要件としてBCP対策が必要になります。中小の病院ではまだ着手できていないところも多いのですが、当院ではChatworkを活用することでBCP対策に取り組んでいます。

Chatworkの導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。

榎本:私にとっては「チャットってなんぞや」という状況からの導入でしたが、使ってみると操作性もよく、手軽に使えるので、情報の伝達がとても早くなっています。スタッフにとっても欠かせないツールになっていると思います。

河野:医療介護のDXとは、コミュニケーション革命だと思っています。それなら、Chatworkを利用しない手はありません。Chatworkを使わないのは、ジェットエンジンの船があるのに手漕ぎボートで大海原をわたるようなものです。医療介護の現場は高齢のスタッフも多く定着するか不安になるかもしれませんが、少なくとも当院で実施した導入後のアンケートでは、70代のベテランスタッフからも「Chatworkは使いやすい」「紙の使用が減った」「伝達ミスが減った」といった声が多く挙がっています。Chatworkはそれくらい、全年代で使いやすいツールです。ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。

ありがとうございました。
※記載の内容は取材時点の情報です。現在のChatworkの機能や料金プランとは異なる可能性がございますのでご了承ください。