高齢者介護事業における情報漏えいリスク低減や業務効率向上に効果
山口県下関市で高齢者介護を中心とした福祉サービスを提供する社会福祉法人松美会。Chatwork導入以前は電話やメールで職員間の連絡を行っており、不在時にかけ直す手間や定型文で挨拶を入れることによる非効率さを感じていたという同社ですが、Chatworkを導入した結果、業務効率が上がるだけでなくセキュリティ面でも安心が得られたといいます。 ホームヘルプサービスの管理者であり、Chatworkの導入を進めた永田英一さまに、導入の背景や浸透の工夫、導入のメリットなどを伺いました。
社会福祉法人松美会は、山口県下関市において6拠点16事業所で高齢者介護を中心とする福祉サービスと幼保連携型認定こども園を経営しています。アイユウの苑ホームヘルプサービスでは、ご利用者さまへのサービスの質を高める「品質マネジメントシステムISO9001」、働く職員の安全・安心の職場環境をつくる「労働安全衛生マネジメントシステムISO45001」の認証取得(審査登録)をし、「利用者・職員の満足度向上」を目指しています。
管理者
永田英一 様
- 電話やメールでの連絡が非効率だった
- 情報を紙で持ち歩いていたため、荷物になったり紛失のリスクがあった
- 職員個人のメールアドレス管理ができず、退職に伴う情報漏えいリスクがあった
- 緊急時以外の連絡をChatworkに統一
- ペーパーレス化を進め、紙の情報はスキャンしてChatworkで共有
- メールの使用をやめてChatworkを連絡ツールとして使用
- 情報共有の効率が向上した
- 紙を持ち運ぶ手間がなくなり、紛失のリスクもなくなった
- 管理者がアカウントを管理できるため、情報漏えいリスクを抑えられた
課題
- 電話やメールでの連絡が非効率だった
- 情報を紙で持ち歩いていたため、荷物になったり紛失のリスクがあった
- 職員個人のメールアドレス管理ができず、退職に伴う情報漏えいリスクがあった
解決策
- 緊急時以外の連絡をChatworkに統一
- ペーパーレス化を進め、紙の情報はスキャンしてChatworkで共有
- メールの使用をやめてChatworkを連絡ツールとして使用
効果
- 情報共有の効率が向上した
- 紙を持ち運ぶ手間がなくなり、紛失のリスクもなくなった
- 管理者がアカウントを管理できるため、情報漏えいリスクを抑えられた
電話やメールでの連絡に非効率さを感じてChatworkを導入
- 貴社の事業について教えてください。
-
永田:松美会は、1994年に山口県下関市に設立した社会福祉法人です。訪問介護をはじめ、通所介護、訪問看護、特別養護老人ホームなど、高齢者介護を中心に下関市内で6拠点16事業所で福祉サービスを提供しています。ホームヘルプサービスでは、訪問介護、総合事業、障害福祉サービスを実施しています。
- 永田様のお立場についても教えていただけますか。
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永田:私はホームヘルプサービスの管理者をしています。事業所の運営、サ責やヘルパーの管理が主な業務です。また、山口県訪問介護事業所連絡協議会の代表や、全国ホームヘルパー協議会の副会長も務めています。
- Chatworkを使おうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
-
永田:2017年10月に、ソフト会社の営業の方から教えていただいたことをきっかけにChatworkを知りました。ただ、最初から事業所に導入したわけではなく、とりあえずIDだけ取得して私が個人的に使っていた状態でした。それもチャットツールとしてではなく、ファイル等のデータ保存と確認用に使用していました。
- Chatworkのファイルアップロード機能をオンラインストレージとして利用されていたのですね。
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永田:はい。介護業界では基本的に情報を紙で伝達・保存することが多いのですが、私はデジタルの方が良いと考えており、ペーパーレス化を進めていたのです。Chatworkを知る前はEvernoteを使っていたのですが、2名のサ責と情報共有するにあたり、EvernoteよりもChatworkの方が利便性が高いと感じました。そこで、2019年12月にサ責にChatworkを紹介して、まずは私とサ責で利用することにしました。
- Chatwork以前の連絡手段はどのようなものが多かったでしょうか。
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永田:職員間の連絡手段は電話かメールでした。内容によっては、連絡したことを経過記録に手書きで記録する作業があり、非効率さを感じていました。
- Chatworkの印象はいかがでしたか。
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永田:電話やメールよりも生産性が高いと思いました。たとえば、メールは「お世話になっております」といった挨拶など、本題と違うやりとりも慣習として求められますが、チャットならいきなり本題から入れます。電話は相手の状況がわからないため、かけても相手が出られず、かけ直す手間が発生してお互いに時間を無駄にすることがあります。
また、職員が共通の端末やアプリを使用することで、事業所側が情報共有をコントロールできるため、情報漏えいの防止にもつながると考えました。
- 他社のチャットツールと比較検討されましたか。
-
永田:検討しました。実は当初はプライベートでも使用するチャットツールを検討していましたが、業務用とプライベート用のツールは分けるべきだと考えました。また、プライベート用のチャットツールでは乗っ取りや誤送信などの心配もありますし、家族や利用者、退職した職員とのつながりから、情報漏えいの懸念もありました。
他のビジネスチャットとも比較しましたが、ログがCSV形式で保存できることや、セキュリティの高さ、国産ツールなのでサポートなどの面で安心できる、直感的に利用できる優れたインターフェースといった点でChatworkを選びました。比較検討を始めたときにすでにサ責とChatworkの利用を開始していたので、「慣れているのでChatworkが良い」という声が上がったことも決め手の1つです。また、Chatworkの営業の方が素朴な疑問にも迅速かつ親切丁寧に教えてくださったこともポイントでした。
- Chatworkからのサポートで印象に残っていることはありますか。
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永田:「グループチャットをこんなふうに作ろうと思っているのですがどうでしょうか」と、グループチャットの一覧表をお見せして相談したり、通信料について質問したりと、かなり密にやりとりしていた時期もあります。今までソフトを導入するときでも、こんなにベンダーさんとやりとりしたことはなかったというくらいサポートいただきました。
高齢の職員もメリットを実感、全員が「これからも継続して利用したい」と希望
- Chatworkを導入することに対して、サ責の皆さんの反響はいかがでしたか。
-
永田:サ責の多くは、Chatworkのメリットを理解して歓迎してくれました。たとえば、紙媒体の派遣表をPDFでChatworkにアップすれば、いつでもどこでもスマホで派遣表が確認できること。また、派遣表の紛失などの事故防止にもなること。そうした点が大きなメリットだと思ってもらえました。
ただ、一部、反対したサ責もいました。高齢の人だったこともあり、「この歳で新しいことを覚えるのは嫌だ」とか、「日々の業務に追われて覚えられない」とか、そのような意見をもらいました。
- そうした意見に対して、どのように対処されましたか。
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永田:Chatworkでなくてもいいけれど、連絡に関しては少なくともデジタルに統一するのでメールを使ってほしいと伝えました。その結果、メールの面倒くささをあらためて実感したようだったので、Chatworkの利用を勧めたところ、受け入れてくれました。
サ責がChatworkを活用できる状況になったことと、2020年9月からスマホの記録用アプリを導入したことなどを踏まえて、ヘルパーを含めた全職員がChatworkを使用できると確信し、全社導入に至りました。
Chatwork導入後に、職員を対象としたアンケートをとったのですが、全員が「Chatworkを導入してよかった。これからも継続して利用したい」と回答し、良くなかったと回答した人はゼロでした。
「情報をどこまで共有するか」を考えてグループチャットを作成
- Chatworkの活用方法についてお聞きします。普段、どのような方とのやりとりに利用されているでしょうか。
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永田:まず、職員間の連絡です。管理者である私と、サ責、ヘルパー間で日々連絡を取り合っています。他にも、当事業所が加盟している山口県訪問介護事業所連絡協議会の事務局や役員とのやりとりや、他事業所の管理者とのやりとりもChatworkを使っています。他事業所でも以前からChatworkを使っていたという方はけっこういらっしゃるんですよ。おかげでやりとりもスピーディーになっています。
- グループチャットをどう分けて活用しているか等、活用方法について教えてください。
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永田:グループチャットは現在、12個作成しています。たとえば派遣表と勤務表を共有するためのグループチャットです。この派遣表&勤務表グループチャットは2種類用意しており、それぞれメンバーが異なります。まず、「【調整用(配布前)】派遣表&勤務表」グループチャットは、私とサ責がメンバーとして入っており、ヘルパーは入っていません。このグループチャットでは、派遣表作成時の原案をサ責間で確認・調整するのですが、まだ確定していない状態なのでヘルパーを入れると混乱やトラブルのもとになるからです。ここで調整を行って派遣表や勤務表が確定したら、もう1つの「【確定版(作成後)】派遣表&勤務表」グループチャットでヘルパーに共有します。ここで、サ責からヘルパーに対して訪問先の確認やサービス内容の確認を行い、訪問先の変更や調整などを行います。
また、当事業所では記録用アプリ「けあピアノート」を使用しているのですが、そのけあぴピアノートに関する情報共有を行う「【報告・相談】専用チャット」もあります。「。私とサ責がメンバーとして入っており、ヘルパーからの訪問後の報告や相談で使用することで特定事業所加算の算定要件を満たす一助となっています。
他にも、電話や口頭で連絡を受けた際に、その内容を投稿する「連絡【電話&口頭etc】」グループチャットや、管理者やサ責同士で確認や協議したいことをアップする「サ責会議」グループチャット、利用者の方に関する情報を共有する「利用者グループチャット」などがあります。
- Chatworkを使う前は想定していなかったメリットや活用法はありますか。
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永田:研修のグループチャットを作り、FormsやYouTubeのURLを貼り付けることで、職員が自分のタイミングで研修用の動画を見られるようになったのは予想していなかったメリットでした。
セキュリティリスクが低減し、業務効率も向上
- Chatworkを導入した効果や、Chatworkを使ってみてよかったと感じる点について教えてください。
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永田:これまでは職員が個人のメールアドレスを使用して連絡を行っていたのですが、Chatworkに統一したことで、管理者が管理権限を持てるようになりました。退職や異動があった場合でも事業所側でアカウントの管理ができるので、情報漏えいのリスクも低くなりますし、チャットのログで管理できることも安心につながっています。個人ファイルを持ち出さなくても、必要な情報をグループチャットにアップしておくことで荷物にもならず、紛失のリスクもないのは大きなメリットといえます。
また、Chatworkはメールよりもやりとりが頻繁なので、職員間のコミュニケーションが増えましたし、意思決定も早くなったと感じています。
加えて、私個人の実感としては、とにかく電話が減りました。以前は午後から夕方にかけて、ヘルパーからの報告の電話が頻繁にかかってきていたのですが、今はまったくないといっていい状態です。その分、他の業務に集中できるので生産性も向上したと感じています。
もちろん、完全に電話をなくしたわけではありません。緊急性の高い場合は、電話をするように決めています。逆にいえば、緊急性がないならChatworkを活用するわけですから、うまく用途として棲み分けができたといえます。
- Chatworkの導入を検討されている企業や事業所に向けてメッセージをお願いします。
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永田:Chatworkの導入については、職員がどの程度スマホを使っているのかを把握した上で、どれだけ便利なのかを体験してもらうことがポイントだと思います。当事業所には70代の職員も、パソコンが苦手な職員もいますが、問題なくChatworkを活用してくれています。職員が納得して使ってくれることで、より効果的な活用ができるでしょう。
- ありがとうございました。
- 業種
- 利用規模
- 目的・効果