スタッフ間のコミュニケーションを活性化するためにチャットワークを導入

チャットツールを導入した経緯を教えてください。

田中:歯科医院は仕事柄、全員が集まってコミュニケーションすることがなかなかできません。一方で医療の現場ではつねに状況が変わり続けますし、正確な情報を的確に伝えなければいけません。現場ではインカムで他のスタッフと連絡を取りますが、それはあくまで一時の連絡用。しかも口頭だと言った言わないのトラブルが生じることもあります。そうした課題を解決できるツールがチャットでした。

メールは使わないのでしょうか。

田中:メールはまずPCを立ち上げてメーラーを開いて......と手順が多くハードルが高いので、スタッフによって見る頻度に差が出てきます。院内メーリングリストも作ったのですが、自分には関係のない情報も送られてきて、それが続くと「見なくてもいいかな」とかだらけてしまうんですよね。

次に試したのが、タスクをカードで管理する方法でした。すぐにやるべきタスクと比較的余裕のあるタスクで色を分けて、指示を受けた側の人間が内容をカードに書き、胸ポケットに入れておくのです。そうすることで指示が正しく認識できているかというエラーチェックができます。

カードの大きさはポケットからちょっとはみ出るくらいにしておき、心理的にずっと入れておくのが嫌だな、タスクを処理しなきゃと思わせるようにしました。

なるほど。かなり有効な方法に思えますが......。

田中:これも課題が見えてきたのです。というのも、スタッフがカードを何枚抱えているかが指示を出す側からは見えにくくて、仕事の早いスタッフにタスクが集中してしまうんですね。それから、物理的にカードをなくしてしまうというリスクもありました。スタッフの能力が見える化できなかったのです。

チャットワーク導入前に使用していたタスク管理カード。

1:1より1:Nでコミュニケーションする方が良い場面が多い

そこでチャットツールを導入したのですね。

田中:最初はチャットワークではなく、別のチャットツールを使っていたのですが、別のチャットツールでは、院外の方を入れたやり取りに使うことができなかったのです。当クリニックは歯科医向けセミナー「吉野塾」をおこなっており、そちらのメンバーともコミュニケーションを図りたかったので、院外の方とも使えるチャットワークに移行しました。

これまで、院外の方とはメールでやり取りをしていらっしゃったのでしょうか。

田中:そうですね。メール、メッセンジャー、LINEなど様々でした。メールですとCCをつけて一斉送信すればいいのですが、それだと私たちと塾生との1:1の連絡になりがちで、塾生同士のコミュニケーションは生まれにくいのです。チャットワークでしたら誰かの投稿に対して盛り上がったりとか、そういうチャットならではの盛り上がりがあります。塾生の方からの質問に答えるのでも、チャットなら周りの人も見ていて流れを理解しやすいですよね。"1:1"より"1:N"でコミュニケーションする方が良い場面が多かったのです。

集中して仕事ができる時間をつくりだせるようになった

チャットワークの導入に対してスタッフの方の反応はいかがでしたか。

田中:抵抗はまったくありませんでした。逆にスマホだけで処理できるということで、レスポンスが早くなりましたね。メールのときは返信まで何日もかかっていたようなタスクも、その日のうちに返ってくるようになりました。

田中様ご自身も導入効果を感じていらっしゃいますか?

田中:はい。これまでは診療の合間に部屋で仕事をしていると、業務連絡や報告のためにスタッフが入ってくることが多かったのです。もちろん、それは必要なことなのですが、どうしてもそこで集中力が切れてしまうという悩みがありました。今ではそういった「重要ではあるけれど緊急ではない案件」はすべてチャットワークで報告してもらうことで、集中して仕事ができる時間をつくりだせるようになったのです。

スタッフのマネジメントでも効果を実感

チャットワークでは具体的にどういったやり取りをしているのでしょうか。

田中:各部署と目的別にグループチャットを作っています。たとえば総務グループではWebサイトの修正や先生の名刺の発注連絡、会議室事業部ではセミナー関連の報告、治療に関するグループにはドクターと看護師が入って、治療全般に関する業務連絡などをおこなっています。最後に出たスタッフが退館時間を記録したり、外出時に戻り時間などを書いたりするのもチャットワークを使いますね。

タスク管理もチャットワークでしていらっしゃいますか。

田中:そうですね。以前は紙のカードで管理していたものを、チャットワークでタスク付けするようにしています。紙のときと違って、チャットワークだと誰がどれだけタスクを抱えているかということが周りからも見える化できるので、特定のスタッフに集中するということが防げます。

それに、スタッフのマネジメントにも効果的だと感じています。スタッフの処理速度の違いも以前は体感的なものでしたが、今はしっかり時間でわかりますし、それによって指示の出し方を変えるなどのやり方ができるようになりました。チャットワークを使うようになってから、スタッフの個性がすごく見えてきましたね。

スタッフの成長にも役立っていると。

田中:そう思います。当クリニックではスタッフの学びのために治療の様子を動画にしてyoutubeにアップしており、そのURLをチャットワークで共有するようにしています。新人スタッフには学んだ内容をチャットワークでアウトプットさせるようにしていて、それに対して先生から指導が入ります。インプットとアウトプットを繰り返すことで、スキルが向上していくのです。

「吉野塾」セミナー参加者の満足度向上にも貢献

吉野塾の参加者ともチャットワークでやり取りしていらっしゃるのですよね。

田中:はい。参加者全員にアカウントをとってもらっています。単発のセミナーならメールでもいいのですが、6ヶ月間の長期コースの場合は塾生同士でコミュニケーションをとってもらいたいので、チャットワークはそのための会議室という立ち位置ですね。

出欠確認とか、セミナーで使った資料の配布とか、講義内容についての質問の受付などをおこなっています。質問がくると先生が答えるのですが、そのやり取りが他の先生や塾生にも見えるので、途中から追加質問や回答が出たりするなど広がりがあるのです。講義外でもこうしたフォローができることは、セミナーの満足度の向上にもつながっています。

院内では提案箱というグループチャットもあるそうですね。

田中:最初は想定していなかったのですが、院内への意見などをスタッフが自由に書き込める提案箱グループを作ったところ、想像以上に意見が寄せられるようになりました。

スタッフが気になることって、患者様からポンッといわれたことだったりするんですよ。それを言わなきゃなと思っていても、報告のタイミングがつかめなくて、もういいかなとなってしまいがち。チャットワークなら空いている時間でスマホから書き込めますから、意見を出しやすいんだと思います。

そうはいっても考えて意見を出すということはエネルギーを必要とすることなので、スタッフがそうやって出してくれた案は100%とはいかないかもしれませんが、必ずどこかしら拾って採用することにしています。

歯科医院経営戦略塾「吉野塾」には、10年後の安定経営を目指す歯科医院経営者が参加。売り上げに直結する実践的なプログラムだと言う。

「仕事のツール」という意識があれば、ルールはなくてもいい

チャットワークの運用に際してルールなどは決めていますか。

田中:まったく作っていません。ですが、仕事のツールという意識はあるので、絵文字だけで返してきたりということはないですね。それはルールというよりも、自然とそうなったという感じです。チャットワークのルールというわけではないですが、診療室にスマホは持ち込まないというルールがありますので、チャットワークを使うのは主にバックヤードとなります。

ただ、グループチャットのアイコンなどはスタッフが自由に楽しんで設定しているようです。診療はミスが許されないので厳しくルール付けしていますから、逆にそうでないチャットワークでは少しゆるいくらいでいいのだと思います。

チャットワークをこれから導入しようと考えている企業へメッセージをお願いします。

田中:いつでも、どこでも見られるツールなので、スタッフ同士や経営陣とスタッフとの距離感がいい意味で縮まるツールだと思います。導入しての後悔は全く見当たらないので、ぜひ活用してみてください。