経理が突然辞めた!引き継ぎなしで退職された場合のリスクと今すぐできる解決策

目次
会社の金庫番である経理担当者。
もし、その担当者が十分な引き継ぎもなく、「明日から来ません」と告げて突然姿を消してしまったら...。
これは、どんな企業にとっても経営の根幹を揺るがしかねない事態です。
請求書の発行、取引先への支払い、従業員の給与計算、そして会社の経営状況を示す決算書の作成など、会社の「お金」に関する情報を経理担当者のみが抱えているという状態は非常に危険です。
本記事では、経理担当者が突然辞めるという事態がなぜ起こってしまうのか、その理由や実際に起きてしまった場合の致命的なリスク、二度と繰り返さないための根本的な解決策などを、詳しく解説します。
経理担当者の業務内容とは
まず、経理担当者がどれほど専門的で広範な業務を担っているのかを再確認しましょう。
経理の仕事は、単なるお金の計算ではありません。
会社の経営活動を数字として記録・管理し、経営判断の基礎となる情報を提供する、極めて重要な役割を担っています。
その業務には、日次・月次・年次などの単位があり、内容も多岐にわたります。
日次業務
現金・預金の管理:日々の入出金を管理し、帳簿上の残高と実際の残高が一致しているかを確認します。
伝票の起票と整理:すべての取引を会計ルールに基づいて仕訳し、伝票を作成・整理します。
経費精算:従業員が立て替えた経費の申請内容をチェックし、精算処理を行います。
月次業務
請求・支払い業務:取引先への請求書発行や、仕入先への支払い業務を行います。
会社のキャッシュフローに直結する重要な業務です。
売掛金・買掛金の管理:売上の未回収がないか、支払いが漏れていないかを管理します。
給与計算・支払い:従業員の勤怠情報に基づき、社会保険料や税金を控除した給与を計算し、支払い手続きを行います。
月次決算:その月の業績を確定させ、試算表などの経営資料を作成します。
これにより、経営者はタイムリーに経営状況を把握できます。
年次業務
年次決算:一会計年度の最終的な財産状況と経営成績を確定させ、貸借対照表や損益計算書といった決算報告書を作成します。
税務申告:法人税や消費税などを計算し、税務署へ申告・納税します。
専門的な税務知識が不可欠です。
年末調整:従業員の年間の所得税を確定させ、過不足を調整します。
監査対応:会計監査の対象となる企業の場合、公認会計士による監査の対応を行います。
これらの業務は、それぞれが密接に関連しており、一つ一つの処理に高い正確性と専門知識が求められます。
そして、その多くが厳格な締め切りに支配されています。
経理担当者が突然退職する理由
会社の根幹を支える重要なポジションでありながら、なぜ経理担当者は突然の退職を決意してしまうのでしょうか。
その背景には、経理特有のプレッシャーや構造的な問題が潜んでいます。
理由1:業務の属人化によるプレッシャーと孤独感
中小企業では、経理業務を1人、あるいは少人数で担っているケースがほとんどです。
そのため、業務の手順や特殊な処理方法などは担当者の頭の中にしかなく、マニュアルも存在しない「属人化」が起こりがちです。
「自分がいなければ会社の経理が回らない」という過度なプレッシャーと、「大変さを誰もわかってくれない」という孤独感が、経理担当者を精神的に追い詰めていきます。
病気でも休めず、長期休暇も取りにくいという環境も、限界を感じさせる大きな理由となります。
理由2:ミスが許されない緊張感と厳しい締め切り
経理の仕事は、1円のミスも許されません。
支払いや給与計算の遅延は、会社の信用問題に直結します。
月次決算、年次決算、税務申告など、常に厳しい締め切りに追われ続ける日常には、絶え間ない緊張感が伴います。
精神的な疲労が蓄積すると、ある日突然心が折れて退職に踏み切ってしまうケースがあります。
理由3:正当に評価されにくい業務内容
経理は、売上を直接生み出す部門ではないため、「コストセンター」と見なされがちです。
ミスなく業務をこなすことが「当たり前」とされるだけではなく、貢献度が正当に評価されにくく、昇給や昇進にも結びつきにくい傾向があります。
結果として「どれだけ頑張っても報われない」という無力感や不満が生まれ、より良い待遇や評価を求める退職につながります。
理由4:単調な業務とキャリアへの不安
経理の業務は、日次・月次・年次というサイクルで同じ内容の繰り返しが多く、人によっては単調に感じられることがあります。
「このままでスキルアップできるのだろうか」「自分の市場価値は上がっているのだろうか」といったキャリアへの不安が、退職理由となることも少なくありません。
理由5:経営陣との意見の対立
経理は、会社のルールや法律に則って、正しくお金を管理する役割を担います。
そのため、経営陣のどんぶり勘定や、コンプライアンス的に問題のある支出に対して、時にはストップをかけなければなりません。
この際に経営陣と対立したり、不適切な会計処理を強要されたりすることがあると、強いストレスを感じ、働く意欲を失ってしまいます。
経理担当者が突然退職した場合のリスク
もし、引き継ぎが不十分なまま経理担当者が辞めてしまった場合、会社は事業継続が困難になるほどの深刻なリスクに直面します。
リスク1:キャッシュフローの悪化と信用の失墜
請求書の発行が遅れれば、入金が遅れて資金繰りが悪化します。
一方で、買掛金や経費の支払いが滞れば、取引先からの信用を完全に失い、今後の取引を断られる可能性もあります。
会社のお金の流れが、完全に止まってしまうリスクが生じるでしょう。
リスク2:経営状況のブラックボックス化
月次決算ができなければ、経営者は自社の正確な業績を把握できなくなります。
的確な経営判断ができなくなることに加え、金融機関に業績を報告できなければ、融資の停止や引き揚げといった事態にもつながりかねません。
リスク3:税務申告の遅延・誤りによるペナルティ
法人税や消費税の申告には厳格な期限があります。
申告が遅れれば、無申告加算税や延滞税といった重いペナルティが課せられます。
また、不正確な申告をしてしまった場合、後日の税務調査で指摘され、多額の追徴課税が発生するリスクもあります。
リスク4:給与計算の遅延と従業員の信頼喪失
従業員への給与の支払いが遅れることは、彼らの生活を直接脅かす行為です。
これは労働基準法違反であると同時に、従業員の会社に対するエンゲージメントを根底から破壊し、優秀な人材の流出、つまり連鎖的な退職を招く要因となります。
リスク5:後任者採用・教育の困難さ
経理の実務経験者を、急に採用することは非常に困難です。
仮に採用できたとしても、引き継ぎ資料がなければ、その会社独自の経理ルールや過去の経緯を把握するのに膨大な時間と労力がかかります。
その間の業務は完全に停滞し、会社は機能不全に陥ります。
経理担当者の退職を回避する方法
経理担当者の退職を未然に防ぐためには、経理担当者が安心し、やりがいを持って長く働ける環境を整備することが不可欠です。
1. 業務の標準化とマニュアル作成による属人化の解消
最も重要な対策は、経理業務の「属人化」からの脱却です。
誰が担当しても業務を遂行できるよう、業務の手順やフローを可視化し、詳細なマニュアルを作成しましょう。
資料に基づいた運用を徹底することで、業務の透明性が高まり、急な退職時にも対応しやすくなります。
2. ITツールやシステムの積極的な導入
手作業による入力やチェック作業は、ミスの原因となり、担当者の負担を増大させます。
クラウド型の会計ソフトや、経費精算システム、請求書発行システムといったITツールを積極的に導入し、業務の自動化・効率化を図りましょう。
経理担当者が単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになります。
3. 複数担当者制の導入とローテーション
可能であれば、経理業務を1人に任せず、複数人で担当する体制を構築することが理想です。
メイン担当とサブ担当を置くことで、相互にチェックが働き、ミスを防止できます。
また、定期的に担当業務をローテーションすれば、業務の属人化を防ぐとともに、担当者のスキルアップにもつながります。
4. 経理の専門性を正当に評価する制度の構築
経理が会社の経営基盤を支える重要なプロフェッショナルであることを、経営者が認識し、評価制度に反映させることが重要です。
業務改善の提案やコスト削減への貢献などを評価項目に加え、資格取得の支援を行うなど、専門性を高める努力が報われる仕組みを作りましょう。
5. 経営のパートナーとしてのコミュニケーション
経理担当者を、単なる作業者ではなく、経営のパートナーとして扱いましょう。
月次決算の報告を受ける際に、数字の背景にある課題について共に議論するなど、経営に関わる機会を提供することで、担当者のモチベーションは大きく向上します。
経理関連業務は外注できる!
社内リソースだけで経理体制を強化することが難しい場合、「外注(アウトソーシング)」は極めて有効な解決策となります。
記帳代行、請求書発行、給与計算、決算業務など、多くの経理業務は外部の専門業者に委託することが可能です。
属人化のリスクを根本から解消し、安定的で高品質な経理体制を構築することができます。
経理を外注するメリット・デメリット
経理の外注には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
双方を理解した上で、自社に最適な形を検討しましょう。
外注のメリット
退職リスクのヘッジと事業継続性の確保:最大のメリットは、担当者の急な退職というリスクから解放されることです。
外注先は組織として対応するため、業務が滞ることはありません。
専門性の高い業務品質:経理・会計のプロフェッショナルが業務を行うため、正確性が高く、法改正や税制改正にも迅速に対応してくれます。
コンプライアンス遵守の観点からも安心です。
コスト削減効果:経理担当者を一人雇用する場合の人件費や採用・教育コスト、社会保険料、福利厚生費などと比較して、外注費用の方が安く済むケースが多くあります。
コア業務への集中:経営者や他の社員が、煩雑な経理業務から解放され、本来注力すべき売上向上に直結するコア業務に専念できるようになります。
外注のデメリット
社内にノウハウが蓄積されにくい:業務を丸ごと委託するため、社内に経理の実務ノウハウが蓄積されにくいという側面があります。
将来的な内製化を視野に入れる場合は注意が必要です。
情報漏洩のリスク:会社の財務情報という機密情報を外部に渡すため、情報漏洩のリスクはゼロではありません。
信頼できる業者を慎重に選ぶ必要があります。
コミュニケーションコスト:社内担当者であればすぐに確認できることでも、外注先とのやり取りには一定の時間や手間がかかります。
円滑な連携体制を築くことが重要です。
リアルタイムでの対応の難しさ:急な資金移動やイレギュラーな取引への即時対応は、社内担当者に比べて柔軟性に欠ける場合があります。
経理の外注先を選ぶポイント
経理の外注先には、税理士事務所や会計事務所、経理代行会社など様々な選択肢があります。
自社に最適なパートナーを選ぶためには、以下のようなポイントを比較検討しましょう。
対応業務の範囲:記帳代行だけなのか、決算・税務申告まで対応してくれるのか、自社が委託したい業務範囲をカバーしているかを確認します。
料金体系:月額顧問料、記帳数に応じた従量課金制など、料金体系は様々です。
業務内容と料金が見合っているか、複数の業者から見積もりを取り比較検討しましょう。
セキュリティ体制:プライバシーマーク(Pマーク)の取得状況や、具体的な情報管理体制など、セキュリティ対策が万全かを確認することは必須です。
専門性と実績:自社と同じ業界や事業規模の企業の支援実績が豊富かを確認します。
特に、IT業界や輸出入業など、特殊な会計処理が必要な場合は、その分野の専門性があるかが重要です。
使用している会計ツール:自社で導入している、あるいは導入したい会計ソフトに対応しているかを確認します。
クラウド会計ソフトに強い業者であれば、リアルタイムでのデータ共有が可能です。
複数業務を組み合わせて依頼できる『Chatwork 経理アシスタント』への外注がおすすめ!
「決算や税務申告は税理士に任せているけど、日々の記帳や請求書発行の負担が大きい...」
「コストを抑えながら、必要な業務だけを柔軟に頼みたい」
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そのため、社内リソースを圧迫することなく、経理業務の属人化を防ぎ、効率的な運用体制を構築できます。
Chatwork 経理アシスタントを導入するメリット
『Chatwork 経理アシスタント』を導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
メリット1:圧倒的なコストパフォーマンスと柔軟性
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月末の繁忙期だけ時間を増やすなど、業務量に合わせて柔軟に活用できるため、無駄なコストが発生しません。
メリット2:業務の属人化を防ぎ、安定した体制を構築
業務はアシスタントチームが組織として対応し、マニュアルを整備しながら業務を進めます。
これにより、特定の担当者に依存する体制から脱却でき、急な退職といった不測の事態にも業務が滞る心配がありません。
メリット3:既存の税理士との連携もスムーズ
日々の記帳やデータ整理をアシスタントが行い、整理されたデータを顧問税理士に渡す、といった連携が可能です。
これにより、税理士はより専門的な決算業務や税務相談、経営アドバイスに集中でき、質の高いサポートを受けられるようになります。
メリット4:経理以外の業務も依頼できる
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