「失念しておりました」の意味や正しい使い方を例文付きで徹底解説
目次
「失念しておりました」は、自分がうっかり「忘れてしまったこと」を丁寧に伝えられる表現です。
しかしビジネスシーンにおいては、たとえ丁寧な表現をしたとしても、伝え方次第では相手の感情を逆なでするだけではなく、信頼関係を損なうおそれもあります。
本記事では、忘れてしまっていた旨を伝える際に念頭においておくべきである、「失念しておりました」の正しい意味や実際の使い方について、例文を交えながら解説します。
「失念しておりました」の意味とは?
「失念しておりました」とは、ビジネスシーンにおいて「忘れてしまいました」という意味で使われる言葉です。
「失念」は「忘れる」という意味をもつ言葉で、重要な事柄や約束を忘れてしまった場合に謝罪の意を表現でき、正しく用いれば相手の心証を損なわずに、印象よく伝えられます。
もし、ビジネスシーンで「忘れていました」と表現したなら、忘れていたというミスを軽く捉えている印象を与えてしまい、相手としては軽視されていると感じたり、ぞんざいな扱いを受けていると誤解したりするケースもあるでしょう。
一方で「失念しておりました」は、「念(覚えておくこと)」を「失する(なくす・うしなう)」状態を表現でき、自分に非があると感じている旨を伝えやすく誠実な印象を与えられます。
「申し訳ございません」などの直接的な謝罪の言葉を添えて使うと、より謝罪の気持ちを伝えることができ、誠実な対応と受けとってもらえる可能性が高まります。
「失念しておりました」を使った例文
「失念しておりました」は、ビジネスシーンにおけるさまざまな場面で使用できる表現です。
ただしビジネスメールで使うときは、表情や言動で謝罪の気持ちを伝えられないため、誠実な姿勢を文章で相手に伝える配慮が必要な点に注意しましょう。
本記事では、ビジネスシーンで多く生じる、失念してしまった場面を3つ取り上げます。
- 自身の業務を忘れてしまった場合
- 会議や面談などの参加を忘れてしまった場合
- メールの返信を忘れてしまった場合
具体的なシチュエーションに応じた、口語(話し言葉)とメールでの表現方法を詳しく解説します。
自身の業務を忘れてしまった場合
自身の業務やタスクを忘れてしまった場合に、「失念しておりました」という表現を使用できます。
忘れていたことに気づいたら速やかに謝罪し、すぐに業務に取り掛かりましょう。
○○さんからのご依頼を失念しておりました。すぐに対応いたします。
ご依頼いただいていた見積もりの送付を失念しており、誠に申し訳ございません。
添付ファイルにてお送りいたしますので、ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
会議や面談などの参加を忘れてしまった場合
会議やミーティング、面談、商談などの日程を失念し、参加できなかった場合にも使用できます。
気づいた時点ですぐに連絡・謝罪し、途中から参加するか、日程の再調整などを申し出る必要があります。
○○様、先日の会議に出席することを失念してしまい、大変申し訳ございませんでした。
私の不手際でご迷惑をおかけしてしまい、心よりお詫び申し上げます。
今後はこのようなことがないよう、スケジュール管理を徹底いたします。
どうかご容赦いただけますようお願い申し上げます。
件名:【お詫び】会議への出席を失念しておりました
△△株式会社△△部○○様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲ ▲▲部の⚫️⚫️です。
×月×日×月×時の会議への出席を失念しておりました。
大変申し訳ございませんでした。
私の不手際によりご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
会議の内容については、後ほど資料を拝見させていただき、速やかに対応いたします。
今後はこのようなことがないよう、スケジュール管理を徹底し、再発防止に努めます。
何卒ご容赦いただけますようお願い申し上げます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
署名
メールの返信を忘れてしまった場合
メールの返信を忘れてしまい、返信が遅くなってしまった場合にも「失念しておりました」は使用できます。
返信を忘れている状況に気づいた際には、できるだけ早急に謝罪の連絡をおこないましょう。
とくに、取引先との重要なメールに対する返信や、対応が大幅に遅れたケースでは、謝罪に加えて、その理由や今後の改善策を説明することが望ましいです。
件名:【お詫び】お返事が遅くなりまして大変申し訳ございません
△△株式会社△△部○○様
いつもお世話になっております。
株式会社▲▲ ▲▲部の⚫️⚫️です。
○○様から×月×日にいただいたメールに返信するのを失念しておりました。
お返事が遅くなりまして、大変申し訳ございません。
お問い合わせいただいた件につきましては、本メールに資料を添付いたします。
恐れ入りますが、ご査収いただきますようお願い申し上げます。
この度はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした
今後は二度とこのようなことがないよう、メールのチェックを徹底いたします。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
「失念」の類義語・言い換え表現
「失念」の類義語・言い換え表現の例として、以下の言葉があります。
- 放念(ほうねん)
- 忘失(ぼうしつ)
- 放心(ほうしん)
- 休心(きゅうしん)
- お忘れください
なお、「失念」と意味が似ている言葉に「忘却」がありますが、「忘れ去ってしまうこと」を意味しており、自分の非を認めて誠実に対応しようとする姿勢を伝えにくく、ビジネスシーンにおける言い換え表現としてはふさわしくないでしょう。
それぞれの言い換え表現の意味と例文をみていきましょう。
「放念」の意味と例文
「放念」には「気にしない」という意味があり、ビジネスシーンでは「ご放念ください」という表現で使うのが一般的です。
「気にしないでください」や「忘れてください」という意味があり、口語ではなくビジネスメールで使うのが適切な表現です。
相手に、気にしなくてよい旨を伝える言い回しのため、自分自身に対して「放念します」という使い方はしません。
実際に使うときは、以下の例文のように活用しましょう。
- ○○の件は、どうかご放念ください。
- 本日お会いできますでしょうか。難しい場合はご放念ください。
「忘失」の意味と例文
「忘失」には「失くす」という意味があり、以下の例文のように、物をなくしたときに使える言葉です。
- 書類を忘失してしまいました。
- お借りした本を忘失してしまいました。
「失念」は行動に対して使う表現であり、物に対して使うのは不適切であるため、状況に応じて「忘失」と使いわけるようにしましょう。
「放心」の意味と例文
「放心」には、「心配しない」や「気にしない」という意味があります。
ビジネスシーンでは「ご放心ください」という表現が用いられ、「心配しないでください」や「気にしないでください」という意味で使用できます。
使う場面は「放念」と似ていますが、ニュアンスに「安心してください」という意味を含む点に違いがあります。
実際に活用した例文は以下のとおりです。
- どうぞご放心ください。
- ○○の件は、どうかご放心ください。
「休心」の意味と例文
「休心」には「心を休める」という意味があり、ビジネスシーンでは「安心してください」の意味で「ご休心ください」と表現するのが一般的です。
「放念」や「放心」とニュアンスは似ていますが、「間違いを忘れてほしい」と伝えたいときには「放念」を使うのが適切です。
実際に「休心」を使った例文は以下のとおりです。
- どうぞご休心ください。
- プロジェクトの進行に大きな問題はございませんのでご休心ください。
「お忘れください」の意味と例文
「お忘れください」には「忘れてほしい」という意味があり、相手に直接的な言葉で頼む意味をもつ表現です。
ビジネスシーンでは、以下の例文のように活用できます。
- 先日のメールの件につきましてはお忘れください。
- 今回の○○の件につきましては、お忘れくださいますようお願いいたします。
なお、丁寧な言葉ではあるものの、一方的に「忘れてください」と頼む表現であるため、目上の人や関係性によっては失礼にあたる表現であることに留意しましょう。
「失念しておりました」の英語表現
英語には「失念しておりました」をそのままの意味で表す表現はないものの、以下の3つのフレーズを使うと「うっかり忘れてしまった」と伝えられます。
- slipped my mind
- made a mistake
- forgot about~
実際にメールの文章を書くときは、以下の例文のように活用しましょう。
- I apologize. It must have slipped my mind. (申し訳ございません。失念しておりました。)
- I'm terribly sorry. I made a mistake about the date of the meeting. (大変申し訳ございません。会議の日程を失念しておりました。)
- I apologize. I had completely forgotten about it. (申し訳ございません。すっかり失念しておりました。)
なお「sorry」よりも「apologize」のほうが、よりフォーマルな表現で「申し訳ございません」と伝えられます。
また「forget」は「忘れる」を意味する英語表現ですが、親しい相手への使用が向いており、相手によっては無礼な人だと捉えられる可能性があります。
そのため、関係性を十分に築いていない相手への使用は避けたほうがいいでしょう。
適切な言葉遣いで良好な人間関係を築きましょう
ビジネスシーンでは、言葉遣いによって話し手に抱く印象が大きく変わります。
「失念しておりました」という表現も、知らなければ相手に謝罪の気持ちが伝わらないだけでなく、信頼関係を損なうおそれもあります。
昨今では、ビジネスシーンのコミュニケーション方法が多様化しており、定型文の省略などによって、会話の効率化が進んでいると実感する人もいるでしょう。
しかし、コミュニケーションの手段がどれだけアップデートされても、良好な人間関係を築くための土台には、失礼のない言葉遣いが不可欠であると忘れないようにしましょう。
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