「尽力」「ご尽力」の意味とは?正しい使い方や言い換え表現、注意点を例文付きで解説
目次
「尽力させていただきます」「ご尽力をいただきありがとうございます」など、ビジネスシーンで使う機会も多い「尽力」という言葉ですが、正しい意味や使い方を知っている方は少ないのではないでしょうか。
「尽力」の正しい意味や使い方、また類語との使い分けについて、例文を参考にしながらみていきましょう。
「尽力」の正しい意味とは
「尽力」は、「じんりょく」と読み、物事をおこなうにあたって、最大限の力を尽くすことを意味する言葉です。
「すべてを出しきる・空になる」という意味の「尽」と、物事を動かす「力」という単語があわさって、「自分のもっている力をすべて出し切る」という意味が生まれました。
尽力は、ある物事にむけて力を尽くす旨を相手に表明したり、相手のサポートに対してお礼を伝えたりする際に使用される表現で、他者と支え合いながら、物事を進めていく必要があるビジネスシーンでは、よく使われる表現です。
尽力を使用することで、相手との関係を円滑にする役割も期待できるでしょう。
「お力添え」との違い
尽力と混同しやすい言葉として、「お力添え」があげられます。
「お力添え」は、手助けをする意味の「力添え」に、接頭語の「お」がついた言葉で、サポートをおこなうことを丁寧に表した言葉です。
「お力添え」は、相手に対して使用する言葉である一方で、「尽力」は自分の行動に対して使用するという点で違いがあるため、使用する際は注意しましょう。
なお「ご尽力」と表現すれば、相手を主語として使用できます。
また、「お力添え」は、相手に敬意を示す言葉となるため、主に、目上の人や取引先などに対して使用できる言葉です。
自分に使う「尽力」の使い方と例文
「尽力」という表現は、自分に対しても相手に対しても使うことができる表現です。
まずは、自分に対して使う「尽力」について、例文を用いて3つの使い方を解説します。
- 尽力いたします
- 尽力させていただきます
- 尽力してまいります
ビジネスシーンで使うことも多い表現のため、正しい使い方を確認していきましょう。
尽力いたします
「尽力いたします」は、「する」の謙譲語の「いたす」に、丁寧語「ます」を追加した表現で、なにかを任された際や、依頼に対しての意気込みを述べる際などに活用する表現です。
この際の「いたす」は、「する」の謙譲語なので、ひらがな表記が適切です。
漢字の「致す」を用いると、「行き届く」という別の意味になってしまうため、注意が必要です。
「尽力いたします」をビジネスシーンで使う際は、以下の例文を参考に使用してみましょう。
- 事業のさらなる発展のために尽力いたします。
- プロジェクトの成功のために尽力いたします。
尽力させていただきます
「尽力させていただきます」の「させていただきます」は、「させてもらう」の謙譲語で、自分自身の行動をへりくだることで、相手を敬う気持ちを表現することができます。
取引先や上司などの目上の人に対して、意気込みなどを伝える際に活用できる表現です。
また、「尽力させていただきます」の言い切りが不自然に感じる場合は、「所存です」などの言葉を付け加えるようにしましょう。
- 貴社の業務効率向上のために、尽力させていただきます。
- 今後も尽力させていただく所存です。
尽力して参ります
「尽力して参ります」は、「尽力する」という動詞に、「行く」の謙譲語の「参る」、丁寧語の「ます」をつけた表現です。
「○○して参る」は、未来も、現在と同様に継続して進めていくことについて、自分自身をへりくだり、相手を敬う表現として使用できます。
そのため、これからも変わらず、最大限のサポートをしていきたいという気持ちを示したい場合に、活用するとよいでしょう。
- 今後とも喜んでいただけますよう尽力して参ります。
- この作業が年内に完遂できるよう、尽力して参る所存です。
相手に使う「ご尽力」の使い方と例文
ここまで自分が主語になる場合の「尽力」について確認してきましたが、ここからは相手を主語にする場合の使い方を確認していきましょう。
相手を主語にして「尽力」を使用する場合は、「ご尽力」という言い回しを適用します。
たとえば、力を貸してもらったことにお礼を言いたいときや、引続きサポートをお願いしたいときなどに使用します。
なお、相手を敬う接頭語の「ご」を伴うため、自分自身の動作について表わすには不適切です。
使用する際は、以下の例文を参考にして表現してみてください。
- 今年度も弊社の事業運営に、ご尽力をいただきまして誠にありがとうございました。
- 引き続きご尽力いただけますと幸いでございます。
「尽力」を使う際の注意点
「尽力」という表現を正しく使用するために、使用する際の注意点を確認しておきましょう。
- 二重表現に注意する
- 依頼やお願いには使わない
- 自分が過去におこなったことには使わない
「尽力」を使用する際の注意点についてみていきましょう。
二重表現に注意する
「尽力を尽くす」という表現を耳にしたことがあるかもしれませんが、これは二重表現という、誤った表現です。
「尽力」という単語は、それ自体で、「自分がもつ最大限の力を出し切る」という意味があるため、「尽力を尽くす」と表現してしまうと、「自分がもつ最大限の力を出し切ることをつくす」という意味になってしまいます。
ほかにも、「尽力を出し切る」「尽力を努力する」「尽力を奮闘する」「尽力を注ぐ」なども、二重表現にあたるため、注意しましょう。
依頼やお願いには使わない
依頼やお願いする際は、「尽力」の使用は避けましょう。
「尽力」とは、自発的に最大限の力を出すという意味をもつ言葉のため、依頼やお願いをする際に使ってしまうと、尽力を他人に強要したり、お願いしたりすることになってしまいます。
相手を主語にして使う場合は、「引き続きご尽力いただけましたら幸いです」「これからもご尽力いただけましたら大変ありがたく存じます」などのように、すでに相手が力を尽くしてくれていることに対して、感謝を伝える場合が適切です。
自分が過去におこなったことには使わない
「尽力」は、過去の動作を述べる際には使用できません。
たとえば、「尽力させていただきました」「尽力して参りました」などのように、過去形の形で使うことは誤りです。
「尽力」の類語・言い換え表現
最大限の力を尽くすことを意味する「尽力」ですが、類語と使い分けることで、より気持ちを伝えやすくなる場合があります。
「尽力」の類語・言い換え表現についてみていきましょう。
ご協力
「ご協力」は、複数人で力をあわせることを意味する「協力」に、相手への尊敬を表す接頭語の「ご」をあわせたものです。
複数人で構成されるチームやプロジェクトなど、ある目的達成に向けて、互いに力をあわせることを促したり、依頼したりする際に使用されます。
尽力と比べると、ややフランクな表現になるため、使用する相手やシーンには注意が必要です。
- 今回の事業に関しまして、○○様のご協力をいただいたおかげで無事終了することができました。
- 業務改善のため、調査にご協力のほどお願いいたします。
ご支援
「ご支援」は、必要な援助をして相手を支えることを意味する「支援」に、接頭語の「ご」をあわせた言葉です。
取引先や上司などの目上の人に対しても、問題なく使用できる言い回しであり、大多数に耳馴染みのある表現のため、メールやチャットなどの文章のみでなく、電話や対面したときなど、口頭でも使いやすい表現です。
- 多大なるご支援をいただきまして、誠にありがとうございます。
- 大変恐縮ですが、今後ともご支援をいただけましたら幸いに存じます。
ご助力
「ご助力」は、力を貸してサポートすることを表す「助力」に、接頭語の「ご」をあわせた言葉です。
お願いや依頼などの懇願の気持ちが強い表現で、目上の人に対しても使用できる表現です。
相手にサポートや協力を依頼したり、支援してもらったことに対してお礼をしたりするときにも使用できる表現です。
- ○○様に今後ともご助力いただけますと、ありがたい限りでございます。
- このたびは、弊社案件へのご助力をありがとうございました。
精進する
「精進する」は、「脇目も振らずに、一心に努力する」という意味をもつ言葉で、やや改まった表現となるため、取引先や社内の目上の人などに使用するのが適切です。
- 今後も継続して高い成果を出せるように、チーム一丸となって精進して参ります。
- 来年度にはさらによい成績を残せるように精進いたします。
邁進する
「邁進する」は、「ある目標に向けて、わき目もふらずに力を尽くす」という意味をもつ言葉で、「続けて進んでいくこと」を表す「邁」が、その後の「進」の意味を強めています。
さまざまなことに恐れず挑戦したい際や、強い意思をもって前進したいときなどに使用するとよいでしょう。
- 一日でも早くお力になれるよう、日々邁進して参ります。
励む・努力する
「励む」や「努力する」は、「心を尽くして物事に打ち込む」という意味を表すことができる言葉です。
「精進する」や「邁進する」のように、堅い表現ではないため、ややフランクな場でも使用しやすいでしょう。
- さらなる成長のために努力いたします。
- お客さまからいただいた意見をもとにして、製品の品質向上に励んで参ります。
「尽力」の英語表現
英語で「尽力」を表現する際は、「make an effort(努力する)」や「exert one's efforts(力を尽くす)」などを活用することができます。
また、ほかにも、「I will do my best(わたしはベストを尽くします)」などのように、未来に向けて最大限の努力をすると表現することもできます。
- I will exert my efforts for your company's growth.
(貴社の成長のために尽力いたします) - I will do my best on the next project.
(次の案件も尽力させていただきます)
正しい言葉遣いで円滑なコミュニケーションを
最大限の力を尽くすことを示す「尽力」という言葉は、ビジネスシーンで信頼関係の構築を目指す際などに、使いやすい言葉といえます。
相手や場面に応じて、「協力」や「支援」などの言葉と使い分けることで、より円滑なコミュニケーションを目指すことができるため、それぞれの言葉の意味や使い方をおさえておきましょう。
また、信頼関係の構築を目指す際は、ビジネスチャット「Chatwork」の使用がおすすめです。
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