【臨床心理士監修】カクテルパーティー効果とは?マーケティングにおける効果と具体例を解説
目次
カクテルパーティー効果は、世間一般にも広く知られている心理学用語のひとつで、「人間が雑音のなかでも特定の情報を選択的に聞き取る能力」のことを指します。
マーケティングにおいても多用されていて、この効果を利用することで、企業は消費者の注意を引き、メッセージを効果的に伝えることができます。
本記事では、カクテルパーティー効果とはなにか、及ぼす影響や具体例、マーケティングにおける活用例などをわかりやすく解説します。
カクテルパーティー効果とは
カクテルパーティー効果とは、パーティーや駅前の人混みのなかなど、騒々しく何人もの人の声が同時に聞こえてくる場合でも、特定の人との会話に注意を向けられるという効果のことです。
カクテルパーティー現象ともいいます。
簡単にいうと、カクテルパーティー効果とは「周りがうるさくても自分が気になるものだけ聞き取ることができる」というものです。
人間には「選択的集中」といって「多くの情報のなかで特定の情報のみ意識する」という注意機能があります。
カクテルパーティー効果は、たくさんの情報があるなかでも特定の聴覚情報にのみ注意を向けられるというものであり、選択的集中が機能している典型例です。
カクテルパーティー効果が実証された実験
カクテルパーティー効果に関しては、提唱者による実証実験だけでなく、アメリカの心理学者によって人間関係への影響を調べるための実験などがおこなわれました。
有名な実験を2つ紹介します。
提唱者による実験
カクテルパーティー効果はエドワード・コリン・チェリーによって提唱されました。
チェリーは、両耳分離聴呈示(両耳にそれぞれ異なる音声を聞かせる)と、追唱(音声を耳で聞きながら即座に復唱させる)というテクニックを使って、カクテルパーティー効果の研究をおこないました。
追唱はシャドーイングともいい、外国語の習得の際にもよく使われる方法です。
チェリーは実験のなかで、片方の耳の音声に集中すると、注意を向けたほうの耳からは情報を受け取れるものの、注意を向けていないもう片方の耳からは情報をほとんど得られていないという現象を見つけました。
「両耳にそれぞれ別の音声を聞かせ、シャドーイングをおこなう」という実験方法は、その後もさまざまな研究に用いられています。
アメリカの実験
カクテルパーティー効果が人間関係にどのような影響を及ぼすかを調べた研究があります。
実験では15分間、普通に会話するパターンと、お互いの名前を意識的に呼ぶパターンのふたつを比較しました。
実験の結果、普通に会話した場合よりもお互いの名前を呼び合った場合のほうが、相手に対するポジティブな印象が強くなるということがわかりました。
カクテルパーティー効果によって、相手に注意が向きやすくなったためといわれています。
カクテルパーティー効果の影響
耳から入ってくる音に対して注目されがちなカクテルパーティー効果ですが、ほかにもさまざまな影響を及ぼします。
具体的なものをいくつかを紹介します。
視覚的影響
カクテルパーティー効果は耳から聞こえる情報に対して発生するものですが、視覚的な情報に対して選択的集中が発生するケースもあります。
日常生活のなかでは、たとえば「赤い看板のお店」を探していると、ほかの色の看板が目に入らなくなるというのは、視覚的な影響です。
特定の視覚情報に集中していると、ほかの視覚情報をキャッチできないという現象が発生します。
心理的影響
カクテルパーティー効果は心理的な影響を及ぼすともいわれています。
会話をしている途中で近くの人達がヒソヒソ話をしていて、そちらに意識が向いてしまうと、いま目の前の会話に集中できなくなることがあります。
これもカクテルパーティー効果の影響です。
カクテルパーティー効果によってヒソヒソ話に意識が向いてしまうと、「なにか自分の悪口を言われているのではないか」と不安になるなど心理的な影響が見られるケースがあります。
カクテルパーティー効果の活用方法
カクテルパーティー効果は日常生活やコミュニケーションのなかで活用できます。
カクテルパーティー効果の活用方法には以下のような例があります。
- 相手の名前を呼ぶ
- 相手が気になりそうなキーワードを入れる
- ターゲットを明確にする
ひとつずつ詳しく解説します。
相手の名前を呼ぶ
コミュニケーションのなかで相手の名前を呼ぶと、相手の注意をひきつけることが可能です。
適度に会話のなかで相手の名前を呼ぶことで、自分の話を集中して聞いてもらえます。
名前を呼ぶと、相手からの好感度も高まるなどの効果もあるため、コミュニケーションにおいて名前を呼ぶのはおすすめの方法のひとつです。
相手が気になりそうなキーワードを入れる
相手が気になりそうなキーワードを入れるのも、カクテルパーティー効果の活用方法のひとつです。
たとえば、転職を考えている人は「年収アップ」「残業なし」「年間休日○○日」などのワードが目につきやすいでしょう。
転職関連サービスの宣伝をしたい場合、転職を考えている人が気になりそうなキーワードを入れた広告を使用することで、相手の関心をひきつけられます。
ターゲットを明確にする
相手の注意や関心をひきつけるためには、ターゲットを明確にするという方法もあります。
ターゲットを明確にするというのは、たとえば以下のような表現を使うことです。
- ○○市にお住まいの方限定
- この広告をご覧のあなたへ
- 新社会人必見
誰に向けたメッセージなのか、ターゲットを明確にすると、相手の注意を引きやすいでしょう。
カクテルパーティー効果を使った具体例
日常生活やコミュニケーションにおいて活用できるカクテルパーティー効果ですが、ビジネスシーンでも有用することが可能です。
特に、マーケティングにおいて活用した具体例について解説します。
- メルマガ
- Web広告
- 店頭での営業
- バナー広告
ひとつずつ見ていきましょう。
メルマガ
メルマガでは、送ったメールをいかに相手に読んでもらうかが重要です。
1日にたくさんのメールが送られてくると、そもそもメールを開いてさえもらえないことがあります。
件名で「肩こりがひどいあなたへ」「引っ越し業者選びでお困りのあなたへ」などターゲットを明確にしたワードを入れると、メールを受け取った人は「自分宛てのメールだ」と感じやすくメールの開封率が上がります。
宛名の差し込み機能を使って、メールに相手の名前を入れるという方法も効果的でしょう。
Web広告
Web広告では、いかに広告に注目してもらうか、いかに顧客になりそうな人に内容を見てもらうかが大切です。
相手の注意をWeb広告に向けてもらうための方法として、カクテルパーティー効果を使う方法があります。
メルマガと同様に「肩こりがひどいあなたへ」のようにターゲットを明確にする方法もよいでしょう。
ほかにも「今だけ無料体験!」といった相手の注意を引きやすいワードを入れる方法も効果的です。
「無料」という言葉は多くの人の注意を引きやすいため、広告でもよく使われています。
店頭での営業
店頭での営業にカクテルパーティー効果を活用すると、売り上げ増加などの効果が期待できます。
たとえば、「人気のから揚げ、新作の○○味、発売中です!」のように、声掛けをおこなうと店内にいる人に新商品を知ってもらいやすくなります。
また飲食店の呼び込みでも「いまならお席をすぐにご案内できます」と声掛けをすると「待たずにすぐにお店に入りたい」と思っているお客さんの気を引けるでしょう。
バナー広告
バナー広告とは、Webサイトやアプリの決まった広告枠に表示される画像や動画形式の広告のことです。
横長のものや正方形のものなど、多様な形やサイズのものがあります。
バナー広告は、枠内の限られた情報によって、見る人の心をひきつけ、クリックしてもらうことが重要です。
相手の気になるキーワードを入れたり、ターゲットを明確にしたワードを入れたりといった方法があります。
言語的な情報以外にも、使用する画像や文字の配色など視覚的な情報をコントロールして、注意を引く方法もよいでしょう。
ビジネスコミュニケーションに「Chatwork」
カクテルパーティー効果とは、周りがうるさくても自分が気になるものだけ聞き取ることができるといった効果のことです。
カクテルパーティー効果はメルマガやWeb広告など、ビジネスシーンでもさまざまな活用がなされています。
相手の名前を呼ぶ、相手の気になるキーワードを使うなど、コミュニケーションのなかで簡単に実践できる方法もあります。
ビジネスシーンでのコミュニケーションでは、チャットツールが使われることも多いでしょう。
チャットツールでのやりとりは、文章のみでのやりとりです。
短い文章のなかで相手の注意関心をひく必要があります。
カクテルパーティー効果をうまく使えば、チャットツール上のやりとりでも相手の関心を引き、効果的な情報伝達につなげられます。
ビジネスチャット「Chatwork」は、多くの人に使われているチャットツールです。
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