なぜペーパーレス化が進まない?ペーパーレス化へ移行する際の課題
目次
「ペーパーレス化」は、業務で使用する紙を削減する目的でおこなわれる業務改革の一種です。
これまで紙の書類に慣れ親しんできた企業には導入ハードルが高いと感じるかもしれませんが、政府が推し進める「働き方改革」のひとつにもペーパーレス化は具体例として盛り込まれており、経済活動全体での普及が求められています。
また、ペーパーレス化を進めるとテレワークをはじめとする新しい働き方にも対応しやすくなるため、多様な働き方の実現やデジタル化、IT化の推進にもつながっていきます。
日本企業の急務ともいえるペーパーレス化が進まない原因や推進する上で注意しておきたい点、ペーパーレス化を推進することでどのような変化が期待できるのかなどを解説します。
ペーパーレス化が進まない要因
企業のペーパーレス化が進まない要因として、ペーパーレス化を実現するまでやペーパーレス化を導入してから課題が生じたことから導入や推進が止まってしまうということがあるでしょう。
また、ペーパーレス化が適切におこなえていない状態は自社に対しての影響だけでなく、他社との関係性や企業価値にも関わる影響があるため、早急な対策が必要です。
初期投資が必要になる
用紙や印刷代などのコストがかからなくなるペーパーレス化ですが、導入時には紙の代わりとなるタブレットやPC、管理システムなど電子データを扱うための初期投資が必要です。
また、システムや機器は揃えればいいというだけではなく、適切に扱うための学習た知識も必要になります。
しかし、導入したものの結局ペーパーレス化が定着しなかったとなると、単純に無駄な投資をしただけになってしまいます。
一度ペーパーレス化を推進を始めたのであれば、推進者は定着するまでやりきる必要があるのです。
情報管理が困難になる場合がある
すべてを電子データ化せず、紙で保管する情報を残しておく場合には、電子データで保管する情報と、紙のまま保管する情報を分別するルールを明確に設定しておく必要があります。
ルールがないと、契約書など同じカテゴリーに分類される書類がばらばらに保存されてしまい、あとで特定の情報を探し出すのに苦労したり、同じものを重複して保存してしまったりする可能性があります。
また、これまで紙で保存していたものをデータに移行する手間が多いことや社員がデータの扱いになれていないければやりにくさを感じるかもしれません。
社員によっては作業効率が下がる
ペーパーレス化をおこなうと、紙の代わりとなるものはタブレットやPCなどのデジタルデバイスです。
デバイスの操作に慣れている社員であればスムーズに対応できますが、扱いに慣れていない社員の場合は慣れるまで紙でおこなっていたころの何倍もの時間が同じ作業にかかってしまう場合があります。
社員それぞれのリテラシーの差はペーパーレス化したあとの作業効率に直結し、かえって企業としての足並みがそろわなくなってしまうことがあるのです。
ペーパーレス化の実現がもたらす効果と変化
ペーパーレス化がうまく浸透した会社はにはどのような効果や変化が生まれるのでしょうか。
ペーパーレス化を実現することで何が起きるのかを見ていきましょう。
組織全体としての生産効率の向上
ペーパーレス化を進めることにより、ITリテラシーの低い社員が遅れをとってしまう可能性は否定できません。
しかし、ペーパーレス化によって得られる情報管理・検索性の向上効果は、紙での情報管理では決して得られない大幅な生産効率の向上につながります。
ランニングコストの削減
ペーパーレス化の推進初期には大きな導入コストがかかりますが、日々消費していた用紙やインクの使用量は減ります。
特に、毎月数千・数万もの印刷をおこなうような会社であれば、毎月使用している用紙やインクの量は無視できません。
そのため長い目で見た場合には、削減できるランニングコストの方が大きい可能性が高いといえます。
また、大量の資料の保管場所も削減できるコストのひとつです。
ペーパーレス化によって事務所のスペースを確保できたり、資料保管用に倉庫などを借りたりする必要もなくなります。
情報共有の促進
情報の電子化によって、社員それぞれが持つデバイスから会社の保管する情報にアクセスできるようにもなります。
情報共有が格段に簡易化された結果、生産効率の向上だけではなく、社内のチームワーク向上にもつながる場合があります。
セキュリティの向上
今や電子データのセキュリティは紙よりも強固であるといえます。
もちろんセキュリティシステムの導入とその適切な運用は必須ですが、物理的な紛失の可能性がなくなることは、情報漏えいの観点から見て大きな違いといえるでしょう。
また、情報をデータファイル化することで、ファイルそれぞれに管理権限を付け、一部の情報は限られた社員しかアクセスできないようにするなどといった社内統制をとることもできます。
テレワークの推進
ペーパーレス化によって社内のほとんどの情報がネットワークを介してやり取りできるようになれば、在宅勤務などテレワークへの移行もスムーズになります。
テレワークの導入の推進や必要性を感じる企業にとっては、ペーパーレス化は必須であるといえるでしょう。
ペーパーレス化の課題を解決するための進め方
メリットの多いペーパーレス化ですが、実際に社内に普及させるまでには困難が多いものです。
それらを乗り越えるためには、ペーパーレス化の課題が生じないような施策を経営陣から積極的におこなうことが重要です。
プロの助けを借りる
すでに自社にある紙資料をすべて電子データ化することは膨大な時間と人員が必要になります。
スキャナーなどがあれば社員におこなわせることも可能ですが、人件費などかかるコストのことを考えると専門の業者に依頼したほうがいいでしょう。
業者の作業は安い単価で高いクオリティが期待できるほか、ファイルの名付けなど手間がかかる作業も代行してもらえます。
ただし、契約書のなど本来書面での保管が義務付けられている文書の電子データ化には「e-文書法」に定められているいくつかのルールに沿わなければなりません。
e-文書法に対応している代行業者を選ぶことは大前提として、セキュリティ対策の内容なども業者選びのポイントです。
ミニマムな業務からはじめる
< p>いきなり自社のすべての業務にペーパーレス化を導入することは、リスクが高く失敗のもとになります。まずはひとつのプロジェクトや一部の部署からなど、小さい範囲で導入し、ノウハウを蓄積してから拡大していきましょう。
定例会議などある程度進行が定型化しているものからはじめることもおすすめです。
リテラシー教育をおこなう
デバイスの操作に慣れない社員のためのリテラシー教育も、ペーパーレス化推進のためには必須です。
また、電子データでの情報管理自体に不信感を覚える社員が出てくる可能性も否定できないので、ペーパーレス化のメリットや安全性についても同時に周知していく必要があります。
ツールの導入をする
すべての社員がペーパーレス化に馴染めるよう、使いやすいツールやシステムを導入しましょう。
少ない手間で便利に運用できることに社員が気づければ、ペーパーレス化は一気に浸透していきます。
すべての紙類を排除しない
ペーパーレス化は大変効率的ですが、中には紙のほうが電子データに利便性で勝る業務も存在します。
無理のあるペーパーレス化の強行は避け、必要に合わせて従来の形式を残しておくのがおすすめです。
また、ペーパーレス化を進めると、前述のように担当者によってはかえって生産効率が下がってしまう可能性もあります。
そのため、一定の業務については引き続き紙を用いることができるよう、できるだけ柔軟性を残しておきましょう。
ペーパーレス化の実現がデジタル化・IT化につながる
ペーパーレス化の推進は今後の企業運営において避けて通れない課題ですが、中途半端に実施すると、かえって効率の低下になってしまう恐れがあります。
落とし穴にはまってしまわないよう、性急な導入は避け、社員の理解を得ながら徐々にペーパーレスの業務を拡大していくようにしましょう。
ペーパーレス化が定着すれば、生産性の向上やコストの削減など企業の成長・飛躍に大きなプラスの作用が期待できます。
また、テレワークなど新しい働き方との親和性が高くペーパーレス化を推進することで、デジタル化やIT化の推進にもつながるので、ペーパーレス化を適切に進められると効果的になるでしょう。
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