ロジカルシンキングとは?手法や鍛え方、フレームワークを解説

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ロジカルシンキングとは?手法や鍛え方、フレームワークを解説

目次

ロジカルシンキングは、問題解決や目的達成に効果的な思考法です。

ロジカルシンキングを鍛えることで、相手に自分の意見を伝えやすくなります。

メリットの多いロジカルシンキングですが、注意点もあるため、理解したうえでロジカルシンキングをおこなうことが大切です。

ロジカルシンキングの構成要素やメリット、注意点や鍛え方を解説します。

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングとは論理的思考法という意味です。

問題が発生したときや目的を達成したいときに、論理的に物事を思考することで、問題解決や目的達成を目指す際に効果を発揮する思考法です。

また、論理的に物事を思考するため、自分の考えを相手にわかりやすく伝えられるというメリットがあります。

ロジカルシンキングにより自分の考えが相手に適切に伝わることで、認識の相違を防ぐことや、より生産的な話し合いをすることができます。

 

日本でロジカルシンキングが広まった背景

ロジカルシンキングが日本で広まった背景には、一冊の書籍の影響があります。

『ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル』という名の書籍で、2001年に刊行されロジカルシンキングブームのきっかけとなりました。

ロジカルシンキングをおこなうための技術習得を目的とした書籍で、著者は企業に対するロジカル・コミュニケーション手法の開発や研修プログラムの開発などをおこなっています。

 

クリティカルシンキングとの違い

クリティカルシンキングとは、批判的思考と呼ばれる思考法です。

批判的と聞くと、人の粗を探すマイナスな思考法というイメージが湧きますが、クリティカルシンキングはマイナスな思考法ではありません。

クリティカルシンキングは、導き出された結果に対して「本当に合っているのか」という客観的な視点を持ち、結果を疑い続け、分析を重ねる思考法です。

 

ラテラルシンキングとの違い

ラテラルシンキングとは、新たな視点で物事を見る思考法です。

世の中には当たり前と思われている既成概念が存在しますが、ラテラルシンキングは既成概念を除外して新たな視点から考えを導き出す思考法です。

ラテラルシンキングで既成概念を外れることにより、画期的なアイデアや独創的なサービスが生まれる可能性があります。

ロジカルシンキングの構成要素

ロジカルシンキングを習得するために、次の構成要素を意識しましょう。

 

合理的思考である

合理的には、「無駄がないこと」という意味があります。

目的を達成するために、無駄のない最も効率的な方法を考えることを合理的思考といいます。

合理的思考をすることで、適材適所に人を振りわけることなどができ、迅速に物事に対応することができるようになります。

 

バイアスに惑わされずにとらえる

バイアスには、「思い込み」や「かたより」という意味があります。

人は自分にとって都合のいいことばかりに目を向けがちですが、バイアスをかけて物事を見てしまうと大きなミスにつながる恐れがあります。

バイアスに惑わされずに物事を客観的にとらえることが大切です。

 

適切な分解により物事を把握する

何かトラブルが発生した際に、トラブルという大きな事象の括りで見るのではなく、内容を適切に分解し、何がトラブルの原因だったのかを把握することが大切です。

トラブルの原因や問題点を適切に把握できないと、同じ失敗を繰り返してしまう恐れがあります。

発生した事象の内容を分解し、再発防止のために原因を把握するようにしましょう。

 

原因と結果を把握する

原因と結果を把握することで、再発防止や問題解決につなげることができます。

事象が起こった原因と、それが引き起こした結果を容易に決めつけてしまうと、根本的な解決にはつながりません。

適切な問題解決ができるようになるためにも、原因と結果の把握を適切におこなうことが重要です。

 

言葉や数字を誤りなく扱う

ロジカルシンキングをおこなう際に、正しい言葉や正しい数字を使うことが大切です。

ロジカルシンキングは論理的に思考する方法のため、事実に即している言葉や数字を使う必要があります。

たとえば、ロジカルシンキングでデータを扱う際に、使用する数字が誤っていた場合、導き出される結果が異なってしまう恐れがあります。

また、自分の意見を相手に伝える際にも、正しい言葉を使わなければ、適切に伝えることはできません。

ロジカルシンキングの手法

ロジカルシンキングには3つの手法があります。

ロジカルシンキングの手法を理解し、正しく使いこなしましょう。

 

帰納法

帰納法とは、複数の実例のなかに共通した部分を見つけ、それを用いて結論を出す思考法です。

たとえば、自社が運営している複数サイトの利用者比率で、女性の比率が高かった場合、「自社のサイトは女性利用者のほうが多い」という結論を導き出せます。

 

弁証法

弁証法とは、肯定と否定などの対立するふたつの思考をあわせ持つことで、解決へと導く思考法です。

たとえば、ジョギングをしたい(肯定)、しかし外に出るのが面倒(否定)と思う人がいたとします。

この場合、肯定と否定の双方の思考をあわせ、「家の中でジョギングができるようにジョギングマシンを買う」という解決法が導き出されるという思考法です。

 

演繹法

演繹法(えんえきほう)とは、三段論法とも呼ばれる手法で、「ルール」と「観察事項」から結論を導き出す思考法です。

たとえば、「A商品とB商品の売上が高いほうを主力商品とする」というルールを定め、B商品のほうが売上が高かったという観察事項を得た場合、主力商品はB商品となる、という結論を導き出せます。

ロジカルシンキングのフレームワーク

ロジカルシンキングには、手法のほかにも代表的なフレームワークが4つあります。

 

MECE

MECEは、「ミーシー」もしくは「ミッシー」と読み、Mutually(互いに)Exclusive(重複せず)Collectively(全体に)Exhaustive(漏れがない)のそれぞれの頭文字をとった言葉です。

「重複も漏れもない状態」という意味を持ち、商品やサービスのターゲット層を決めるときなどに、性別や年齢などを網羅的に考え、重複や漏れがないように仕分けていくフレームワークのひとつです。

 

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーは、結論と根拠をピラミッドのように組み立てるフレームワークです。

ピラミッドの頂上に自分が最も相手に伝えたい思考、その下になぜその思考を伝えたいのかの事実や根拠を用意します。

ピラミッドの下部に用意する事実や根拠は複数存在するため、ピラミッドストラクチャーは複数の実例から結論を導き出す、帰納法的なフレームワークといえます。

 

ロジックツリー

ロジックツリーは、木が枝葉を広げるように、問題を細かく分解していくことで、原因を導き出すフレームワークです。

ロジックツリーには「要素分解ツリー」「原因究明ツリー」「問題解決ツリー」の3つの種類があります。

要素分解ツリーとは、発生した問題を細かく分解することで、原因がどこにあるのかを特定していくフレームワークです。

原因究明ツリーは、発生した問題の原因を細かく分析していくことで、なぜ問題が発生したのかを特定し、問題解決ツリーは、問題解決に向けて改善策ややるべきことを整理し、可視化することを目的としたフレームワークです。

 

ゼロベース思考

ゼロベース思考とは、ロジカルシンキングの要素のひとつで、思い込みなどで物事を見ないようにする思考法のことです。

かたよった考えで物事を見てしまいそうになった場合、一度思考をクリアにし、ゼロベースであらためて思考するようにしましょう。

ゼロベース思考を意識することにより、世間の枠や既存概念にとらわれない斬新なアイデアを生み出せる可能性があります。

ロジカルシンキングを鍛えるメリット

ロジカルシンキングのメリットを紹介します。

 

分析力と問題解決力が向上する

ロジカルシンキングをおこなうことで、物事を客観的に、事実に即して見るようになるため、分析力と問題解決力の向上が期待できます。

物事を分析する力と問題解決能力が向上すれば、トラブル発生時などに迅速に対応でき、プロジェクトを滞りなく進めることが可能となるでしょう。

 

考えを適切に伝えやすくなる

ロジカルシンキングを鍛えることで、相手に自分の考えを適切に伝えやすくなります。

まとまっていない考えや感情的な考えは、伝えたいことが不明瞭になっています。

そのような考えを伝えると、相手は内容が理解できなかったり、説得力が欠けているとして聞く耳を持たなくなったりしてしまう可能性があります。

物事を論理的に伝えることができれば、相手と考えを共有しやすくなり、建設的なコミュニケーションをとることができます。

 

生産性が向上する

ロジカルシンキングを実践することで、自分自身のスキルアップに役立ったり、建設的なコミュニケーションをとることができたりなど、企業の生産性向上につながるメリットがあります。

従業員のスキルが上がり、問題解決がスムーズになることで、業務に費やす時間を増やすことができます。

また、ロジカルシンキングにより独創的なアイデアが形になることで、企業の発展を望むこともできます。

ロジカルシンキングの鍛え方

ロジカルシンキングの鍛え方を5つ解説します。

 

結論から伝える

意見などを述べる際は、結論から伝えるようにしましょう。

結論から伝え、理由となる事実や根拠を続けて話すことは、ピラミッドストラクチャーのフレームワークの活用に当てはまります。

意見を結論から伝えることで、聞いている相手も内容が理解しやすくなり、意見交換がしやすくなります。

 

主張と根拠をセットにする

意見を主張するときには、根拠をセットにして主張するようにしましょう。

ロジカルシンキングは論理的思考のため、事実に即して思考しなければいけません。

そのため、意見を主張する場合は根拠をセットにする必要があります。

主張と根拠がセットになっていれば、意見を聞いている相手も主張を承諾しやすくなるでしょう。

 

目的のために思考する

ロジカルシンキングは、論理的思考力を鍛えることを目的におこなうものではありません。

あくまでも、ロジカルシンキングは問題解決などの目的を達成するためにおこなうものです。

ロジカルシンキングをおこなうことが目的となり、フレームワークや手法を無理に使うことがないようにしましょう。

ロジカルシンキングは、目的達成のための思考法だということを念頭に置きましょう。

 

具体的な表現をする

相手に自分の思考を伝えるときには、具体的に表現することを意識しましょう。

たとえば、A商品の女性の購買率が高かった場合、「女性のほうが多く買っている」というよりも、「女性のほうが男性に比べて67%多くA商品を買っている」と具体的な数値を用いたほうが説得力が増します。

具体的な表現を用いて相手に伝える際には、数字や言葉などを誤らないように、事実に即しているかを念入りに確認するようにしましょう。

 

事実からシンプルに思考する

ロジカルシンキングはシンプルに思考することも大切です。

論理的に考えようと思うと、次第に複雑な思考になる恐れがあります。

複雑すぎる思考は目的から逸れてしまったり、相手に伝えたいことが伝わりづらかったりします。

そのため、事実をベースに、シンプルに思考することを意識しましょう。

ロジカルシンキングの手法やフレームワークを活用すると、複雑になりすぎずに思考することが可能です。

ロジカルシンキングで気を付けるべきこと

ロジカルシンキングで注意すべきことを3つ紹介します。

 

正論だからと押し付けない

ロジカルシンキングは事実に基づいて結論が出されているため、正論として相手に伝えることができます。

しかし、正論だからと相手に押し付け、相手の意見を全否定しては人間関係が悪化してしまう恐れがあります。

結果として、問題解決ができたとしても職場の雰囲気が悪くなり、社員のモチベーションが低下したり、生産性の減少につながったりすることも考えられるでしょう。

自分の意見だけを押し付けるのではなく、相手の意見も尊重することが大切です。

 

事実が変化することを想定する

ロジカルシンキングは事実をベースにしていますが、事実が変化することを想定しておくことも大切です。

現在では、科学的にAが正しいといわれている事実でも、数年後にはやはりBが正しい、となる可能性もあります。

ベースとなる事実が変化した際に、ロジカルシンキングで導き出した結論だからといって、新たな事実を拒否すると思いもよらない結果になる恐れがあります。

ロジカルシンキングでは事実が変化することを想定し、変化した事実に適応していくことが求められます。

 

導き出した答えが確実だとは限らない

ロジカルシンキングで導き出した答えに固執しすぎないように気を付けましょう。

ロジカルシンキングではさまざまなデータを分析し、導き出した事実をベースに思考します。

しかし、分析したデータは、検討すべき項目すべてを網羅しているとは限りません。

「男性の9割が選ぶ」とうたっている商品があったとしても、日本人男性全員にアンケートをとって得た情報ではなく、限定的なデータを参考にしていることもあります。

データを網羅的に収集することにより、結論が変わる可能性もあるため、導き出した答えが必ずしも正しいとは思わないようにしましょう。

ロジカルシンキングを鍛えよう

ロジカルシンキングは論理的思考法であり、事実をベースにして問題解決を図ることを目的としています。

ロジカルシンキングをおこなうことで、相手に自分の意見を伝えやすくなったり、企業の生産性が向上したりするというメリットがあります。

メリットを生みだすロジカルシンキングは、鍛えることが可能なため、意識しておこなうようにしましょう。

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