ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用のメリットや導入のポイントを解説

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業務効率化
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ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用のメリットや導入のポイントを解説

目次

昨今では、ジョブ型雇用を日本企業でとりいれる企業が増えています。

ジョブ型雇用は企業の成長が期待でき、多様性のある人材が集まるなどのメリットがあります。

ジョブ型雇用導入の注意点や、メリット・デメリットについてみていきましょう。

ジョブ型雇用とは

ジョブ型雇用とは、職務や勤務地、労働時間などの要素が限定される雇用形態のことです。

ジョブ型雇用を採用する場合、職務内容や給与体系などが記された職務記述書の作成が必要です。

ジョブ型雇用は、職務記述書をもとに採用活動をおこないます。[※1]

メンバーシップ型雇用との違い

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いは、職務を限定しているかどうかです。

経済産業省は、日本のメンバーシップ型雇用について以下のように定義しています。

ポテンシャル重視の新卒一括採用、終身雇用を前提に、職務を限定せず、OJT を重視した人材育成、年功序列型賃金

一方でジョブ型雇用は、職務記述書を作成し、職務や待遇を限定したうえで、決定する雇用方法です。[※2]

タスク型雇用との違い

ジョブ型雇用とタスク型雇用は、スポットでの雇用かどうかの点で異なります。

タスク型雇用は、タスク(課題)ごとに雇用をおこなう制度です。

課題ごとの依頼になるので、数時間で終わるものもあれば数日から数か月かかるものもあります。

成果主義との意味の違い

ジョブ型雇用と成果主義の違いは、職務規定があるかどうかです。

成果主義は、業務の成果に応じて給与が異なるべきだという考え方です。

また成果主義は、職務が限定的ではないため、メンバーシップ型雇用で成果主義をとりいれているケースもあります。

ジョブ型雇用が始まった背景

新型コロナウイルス感染症の流行により、リモートワークを導入した企業も多いでしょう。

リモートワークの増加にともない、人事の評価項目も変化しています。

評価項目のなかでも、成果に対してより注視せざるを得なくなっています。

また、日本の人口が減少していくなかで、IT人材などの専門職も減少傾向にあります。

ジョブ型雇用は、これらを含めた様々な要因により導入が進められるようになりました。

ジョブ型雇用が日本で注目される理由

日本では、メンバーシップ型雇用がメジャーな雇用方法です。

経済産業省によると、日本の労働市場には3つの課題があります。

  • スキル陳腐化の加速と、人的資本投資の減少
  • 流動性が低く、活力も乏しい労働市場
  • 多様な人材が十分に活躍できていない環境

一方でジョブ型雇用は、流動性が高い雇用方法です。

女性や障がい者の方の活躍も期待できるために注目されている雇用方法です。[※3]

ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用のメリットについてみていきましょう。

企業の成長が見込める

ジョブ型雇用は、実現したい事業に合わせた人材の雇用が可能になるため、企業の成長をうながすことができます。

強化したい業務部分などにあわせて、ピンポイントで強化人材を雇用することが可能です。

変化に対応した人材を雇用できる

ジョブ型雇用は、変化に対応した人材の雇用が可能です。

ジョブ型雇用に応募する人材は、時代の流れに対応するため、自主的に勉強を重ねていることが多いです。

職務単位での採用になると、最新の技術をもっていて、かつ変化に対応した人材が有利になりやすいでしょう。

スキルに応じて給与を決定できる

ジョブ型雇用は、スキルに応じて給与を決定できます。

ジョブ型雇用を採用すると、新卒社員の場合でも、スキルや能力に合わせて給与を設定することが可能です。

スキルの高い人材に対して適切な給与を与えられるので、仕事に対するモチベーション向上も見込めます。

強みに特化した人材を雇用できる

専門性の高い人材の雇用が可能です。

メンバーシップ型雇用では、専門性の高い人材を育てたい場合は、社内で研修や教育を重ねる必要があります。

ジョブ型雇用の場合は、採用段階から専門性の高い人材を雇用することが可能です。

入社後のミスマッチが少ない

入社後のミスマッチが少ないのもジョブ型雇用の特徴です。

メンバーシップ型雇用は、企業側が求職者の部署配置を決めます。

その場合、希望する部署に配置されず、仕事のモチベーションが下がる社員もいるでしょう。

一方でジョブ型雇用の場合は、入社前に職務記述書を用いて職務内容などを確認できるため、入社後のミスマッチが少ないという特徴があります。

多様性のある人材が集まる

ジョブ型雇用を進めると、多様性のある人材が集まります。

グローバル化が進むなかで、企業が成長をしていくためには、多様な価値観を持った人材が必要です。

ジョブ型雇用では、多方面の専門的な知識を持った人材を集められるため、社員の多様化を進めることができます。

専門分野の教育費用がかからない

ジョブ型雇用をとりいれると、専門分野の教育費用がかかりません。

メンバーシップ型雇用の場合、専門的な知識を学んでもらうための教育費用が必要になります。

ジョブ型雇用は、専門性に特化した人材を採用しているので、教育にかかる経費を削減することができます。

ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用のデメリットをみていきましょう。

詳細な条件だと人材が集まらない

詳細な条件を設定すると人材が集まりにくいです。

たとえば、プログラミングに関して複数言語をあつかえる人材を募集する場合、該当するスキルを持つ人は少なくなります。

スキルが高く、希少価値の高い人材は、他社も欲している人材のため、募集をかけても人が集まらない場合が多いです。

業務範囲外の仕事を任せられない

ジョブ型雇用のデメリットのひとつに、さまざまな種類の仕事を任せられないことがあげられます。

人材不足の部署がある場合、メンバーシップ型雇用では部署異動が可能です。

しかし、ジョブ型雇用で採用した場合、職務記述書と異なる仕事を任せることは禁止されています。

条件の良い企業へ転職することがある

ジョブ型雇用で採用した人材は、専門性を発揮して仕事をおこなうため、よりよい条件や、希望する職務ができる企業へ人材が転職してしまうことも多くあります。

ジョブ型雇用は、メンバーシップ型雇用に比べ、人材の流動性が高いのも特徴です。

多方面に知識のある人材が育たない

専門的な仕事のみをおこなうため、多方面に知識のある人材が育ちにくいです。

メンバーシップ型雇用の場合、部署異動が可能なため、複数の知識をつけることができます。

複数の部署を経験することで、社内全体のノウハウを蓄積し、マネジメント能力をつけることもできます。

一方、ジョブ型雇用の場合、部署異動ができないので、限られた知識しか得ることができません。

ジョブ型雇用導入のポイント

ジョブ型雇用を導入する際のポイントをみていきましょう。

評価項目の整備

ジョブ型雇用を採用する場合、評価項目の整備が必要になります。

まずは、どのような評価項目が適切かを考えましょう。

たとえば、日本のあるIT企業では、下記のような評価項目を設けています。[※4]

  • 定量的に測れるもの(売上)
  • 定量的に測れないもの(スキル、影響力、行動力など)

自社で活躍するのに必要な能力はなにか、どのような社員を評価するべきか考えてみましょう。

給与体系の設定

ジョブ型雇用を導入する際は、給与体系の設定をおこないましょう。

整備した評価項目に対して、どのような給与体系が適切かを設定しましょう。

ジョブ型雇用で採用した人材は、よりよい待遇先が他にあった場合、転職してしまう可能性があります。

スキルに見合った給与体系にすることを念頭において、給与設定をおこないましょう。

ジョブ型雇用導入の注意点

組織にとって、最適なジョブ型雇用のとりいれ方がおこなわれているかどうか確認しましょう。

なかには、いち早くジョブ型雇用を取り入れたいと考えている企業も多いでしょう。

しかし、ジョブ型雇用を本格的に導入するには、評価項目や給与体系など、細かく見直すべき項目があります。

最近では、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用をかけあわせた雇用をとりいれる企業も多いです。

ある職種のみジョブ型雇用を採用し、ほかはメンバーシップ型雇用とするなど、両方を取り入れながら、限定的にジョブ型雇用をおこなうなど、自社の課題などをよく考えたうえで、とりいれていくのがよいでしょう。

ジョブ型雇用の事例

ジョブ型雇用の事例をみていきましょう。

グローバルに対応する電機メーカー

従業員の過半数が外国の方である電機メーカーでは、グローバル化のさらなる推進を目指して、ジョブ型雇用の導入を決めました。

メンバーシップ型雇用を続けると、グローバル化を推進できないと判断したためです。

2020年度から、技術系職種の一部に対して、一律の初任給ではなく、経験や技能を考慮して給与を決定する雇用方法に変更しました。[※4]

新卒へのジョブ型を導入したIT企業

新卒へのジョブ型を導入したIT企業があります。

この企業は、2020年4月より幹部社員へジョブ型雇用の導入を始めました。

職責を観点として、影響力や専門性、多様性などの項目に加え、売上などを考慮して、給与を決めるというしくみです。

そこから新卒にも職種別採用をはじめ、専門性などに応じた待遇をおこなっています。[※5]

領域を示し等級を表した化粧品メーカー

個の力を強めることを狙いにしたある化粧品メーカーは、ジョブ型雇用を推進しています。

ジョブ型雇用の領域を整備し、等級を決め、2021年度から、管理職や一部の総合職を除く社員にジョブ型雇用を導入しています。[※6]

ジョブ型雇用のメリットを理解しよう

ジョブ型雇用は、企業成長の促進、教育費用の削減などメリットも多いですが、デメリットも理解しながら進めるべき雇用方法です。

一気に導入を検討するのではなく、組織にあった形で少しずつ導入していくとよいでしょう。

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[※1]出典:経済産業省「5問で分かる「ジョブ型正社員」」
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/discussion/170413/170413discussion01.pdf
[※2]出典:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/pdf/006_01_00.pdf
[※3]出典:経済産業省「事務局資料」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/pdf/002_03_00.pdf
[※4]出典:富士通「富士通と従業員の成長に向けた「ジョブ型人材マネジメント」の加速」
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/04/21.html
[※5]出典:日立「ジョブ型人財マネジメント:採用・インターンシップ」
https://www.hitachi.co.jp/recruit/hrsystem/
[※6]出典:資生堂「人材育成と公正な評価 | 人材 | サステナビリティ」
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/labor/training.html
※本記事は、2022年4月時点の情報をもとに作成しています。


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