ダイアローグとは?メリットや実施方法、実施のポイントを解説
目次
企業におけるコミュニケーションは重要なものですが、実際には「チームのコミュニケーションに課題がある」「うまく意思疎通ができない」など、うまくいかないことも多いでしょう。
コミュニケーションの質を向上させ、組織や個人のパフォーマンスを改善する手法に「ダイアローグ」と呼ばれるものがあります。
この記事では、ダイアローグとはなにか、メリットや実施方法、実施のポイントについて紹介します。
ダイアローグとは
ダイアローグとは、お互いの理解を深めるコミュニケーション手法のことです。
ダイアローグは、もともとは演劇用語で、2人以上の人物による対話や対談という意味をもちます。
コミュニケーション手法においては、自分の考えや意見を伝えながらも、自分の主張にこだわるのではなく、相手の発言や意図も理解しようとする会話のあり方をさします。
日常会話のように、ただその場の流れで会話をしたり、単に情報をやりとりするだけではなく、お互いの思考の過程にも注目し、共感しあう点がダイアローグのポイントです。
ダイアローグとディスカッションの違い
ディスカッションとは、複数人での議論や討論を意味する言葉です。
ディスカッションは、参加者が自分の意見を主張をしながら、最適解を見つけ課題解決する手法です。
ディスカッションでは、自分の主張を通すために、異なる意見を持つ相手に対して説得をおこなうこともあります。
ダイアローグでは、自分の主張や意見にこだわらず、お互いに何を意図しているのか、思考のプロセスも含めて理解し合うという点でディスカッションとは異なります。
ダイアローグが注目されている背景
年齢、性別、家庭環境、雇用形態などが異なるさまざまな個人が集まる企業において、組織が団結して業務にあたるには「自分とは異なる考えや価値観を持った相手との相互理解」が重要です。
時代の流れとともに、理想とされる企業のあり方や働き方も変化し、そのなかで労働者のあり方や考え方も多様化したため、コミュニケーションのずれもより一層起こりやすくなっています。
個人が多様化した組織において、相互理解の手法としてダイアローグは注目されるようになりました。
ダイアローグを実施するメリット
ダイアローグを実施する具体的なメリットは以下の3つです。
- 新しい価値観を発見できる
- 自己理解を深められる
- チームワークの向上につながる
それぞれくわしく解説していきます。
新しい価値観を発見できる
ダイアローグでは相互理解を目的としており、相手が自分と異なる考え方を持っていても理解しようとするため、自分とは異なる新しい価値観にも気づきやすくなります。
ディスカッションのように、相手の説得や最適解の発見を目的とすると、「相手をどう説得しようか」など、自身の考えに執着し、他人の価値観への関心が低くなりがちです。
ダイアローグによって、相手の考え方に注意や関心を向けることで、新しい価値観を発見しやすくなるでしょう。
自己理解を深められる
ダイアローグでは、思考の過程にも注目するため、「なぜこの考え方に至ったのか」などを深く考えることにより自己理解が深まります。
相手の思考過程と比較すると、同じ答えに至ってもその過程が異なる点に気づくなど、さまざまな発見が得られるでしょう。
チームワークの向上につながる
異なる考えや価値観を持っていても、理解してもらえる安心感があれば、自分の意見も主張しやすく、チームワークの向上につながります。
異なる考えを持った相手から、自分の考えを否定されてばかりいてはネガティブな感情を持つようになり、人と考え方が違った場合に自分の意見を伝える意欲もなくなってしまうでしょう。
ダイアローグを用いて、チームのコミュニケーションのあり方を変えることで、チームワークの質も変化する可能性があります。
ダイアローグを実施する方法
ダイアローグを実施する時の、主な流れは以下の3ステップです。
- ファシリテーターを用意する
- テーマを設ける
- テーマについて対話する
流れに沿ってくわしく解説します。
ファシリテーターを用意する
ファシリテーターとは、会話や会議の進行役のことです。
ファシリテーターを用意することで、時間内にスムーズに会議を進行できます。
ファシリテーターがいれば、ほかの参加者も自分の考えや発言に集中しやすくなるでしょう。
話が目的からそれた場合にも、ファシリテーターがいれば、軌道修正もしやすくダイアローグを効果的に実施できます。
テーマを設ける
話し合いの方向性を決めるために、テーマの設定をおこないます。
テーマが設定されることで、参加者も自分の主張やその主張に至った過程について考えを深めていくことができます。
フリートークではなく、ダイアローグをおこなう際はテーマ設定が必要です。
組織の状況に応じて適切なテーマ設定をして、ダイアローグを実施しましょう。
テーマについて対話する
テーマが決まったら、参加者同士で対話をしていきます。
まずは参加者がそれぞれ自分の意見を率直に主張し、相手の意見に対して質問したり、反対意見を述べていきましょう。
自分の思考の過程について説明したり、根拠となる体験についても必要に応じ話していきます。
否定的な発言や断定的な表現を抑え、どんな意見にも関心を持って質問することでお互いを理解し合うようにしましょう。
ダイアローグを実施するときのポイント
ダイアローグをより効果的に実施するために、いくつかのポイントがあります。
ポイントを意識しながらダイアローグに取り組むことで、チームの団結をより一層深める効果を期待できます。
全員が発言する
ダイアローグをおこなう際には、全員が発言するようにしましょう。
参加者それぞれが積極的に発言する意識も必要ですが、場合によってはファシリテーターによるうながしも必要です。
とくに役職が上の人がいる場合など、ほかの社員や若手が発言しにくいケースでは、事前に全員が発言することの意義をスタート時点で確認しておくと、発言しやすい雰囲気を作れます。
多くの人が発言することで、参加者もさまざまな気づきを得られるようになるので、全員が発言できるダイアローグを目指しましょう。
アイメッセージを意識する
アイメッセージとは、「私」を主語にして主張することで、「アイ」は英語の「I」のことです。
「YOU」で「あなた」を主語にした主張は「ユーメッセージ」と呼びます。
たとえば、会議でなかなか自分の意見をいわない人に対するアイメッセージとユーメッセージの例は以下のとおりです。
アイメッセージ:(私は)あなたの意見も聞いてみたいです。
ユーメッセージ:(あなたは)自分の意見をいうべきだ。
ユーメッセージよりもアイメッセージでいいかえて主張することで、相手の行動を制限せず、相手に配慮した表現になります。
主体性をもつ
相互理解が重要視されるダイアローグですが、主体性を持って自分の意見を主張することは必要です。
お互いを理解し合うことは、相手の意見に流されて簡単に自分の意見を変えることではありません。
異なる意見であっても尊重し合い、対話を進めることによって、新しい価値観やアイディアを見つけられます。
異なる意見に対しても「なぜそのような意見を持ったのか理由を知りたい」など積極的に質問し、参加者それぞれが主体的にダイアローグに参加しましょう。
他人の意見を尊重する
どんな意見でも他人の意見を尊重する考え方は、ダイアローグの基礎として重要なポイントです。
日本は特に同調圧力が強い文化といわれ、人と違う意見を主張することに否定的な印象をもたれがちです。
異なる意見でも関心を向けてもらえること、お互いに理解し合うプロセスがあることは、意見を主張する際の安心感につながります。
安心して意見を主張できれば、お互いに考えを深く知り、チームワークを向上させるきっかけにもなるでしょう。
お互いを尊重できるチーム作りのためにも、まずは他人の意見を尊重することが大切です。
ダイアローグをコミュニケーションに活用しよう
ダイアローグとは、相手の意見を尊重しながら相互理解を目指すコミュニケーション手法です。
生活環境や価値観の違う多様な人材が活躍する企業において、ダイアローグは注目されています。
ダイアローグの活用は、企業にとってもさまざまなメリットがあります。
ダイアローグの実施方法やポイントを踏まえながら、よりよい組織づくりのためにぜひダイアローグにとりくんでみてください。
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