パワーナップとは?効果や実践方法、注意点、企業の導入事例を解説
目次
仕事の作業効率をいかに上げるかというのは、多くの企業にとって課題といえるでしょう。
時代とともに働き方に対する考え方も変化し、長時間労働ではなく効率的に働き、心身ともに健康であることの重要性も注目されています。
こうした社会情勢の中にあって、「パワーナップ」を取り入れる企業も出てきました。
この記事ではパワーナップとはなにか、パワーナップのメリットや効果、実践方法や注意点についてわかりやすく解説します。
パワーナップとは
パワーナップとは、昼寝、仮眠のことです。
おおよそ12時から15時の間に15分から30分までの短時間の仮眠のことを、パワーナップといいます。
社会心理学者ジェームス・マースによる研究から、昼間の短時間仮眠の概念であるパワーナップが広まりました。
短時間の昼寝は、仕事のパフォーマンスを向上させるとして注目され、社内に仮眠用のスペースを設置して、パワーナップを推奨している企業も国内外に存在しています。
NASAによる研究結果
NASA(アメリカ航空宇宙局)の研究結果からも、科学的にパワーナップの効果が実証されています。
NASAでは1990年代から睡眠に関する研究をおこなっており、昼に仮眠をとった群ととらなかった群の比較から、仮眠には効果があると実証しました。
具体的には、昼に26分間の仮眠をとることで認知能力が34%、注意力が54%向上するという研究結果を得ています。
パワーナップによる効果
パワーナップをとることによる具体的な効果について紹介します。
ストレスの軽減
眠気がある状態で仕事をしなければならないのは、ストレスになります。
人間は生体リズムとして、お昼の午後2時から4時ころに眠気が生じやすくなります。
また昼食後には血糖値が上昇することからも、午後には眠気を感じやすく、かといって仕事中に寝るわけにはいかず、眠気を我慢することによるストレスは大きいでしょう。
パワーナップをとることができれば、午後の眠気を我慢する必要がなく、ストレスの軽減につながります。
集中力の向上
パワーナップでは、眠り始めてから20分で出現するノンレム睡眠という段階で目覚めることになります。
人間の睡眠には、体が休まるレム睡眠と脳が休まるノンレム睡眠の2つがあります。
パワーナップによって、ノンレム睡眠で目が覚めるため、脳内の記憶がクリアな状態となるので、NASAの研究結果で示されたような認知能力や注意力の向上につながり、集中力が上がるのです。
疲労回復
午前中の段階で、事務作業の処理などで脳が疲れている人も多いでしょう。
午後のちょうど眠気を生じるタイミングでパワーナップを取り入れることは、疲労回復の効果も期待できます。
パワーナップでは20分前後の短時間の睡眠のため、深い眠りにつく前に起きるので、すっきりと目覚めることができ、疲労の回復効果を感じやすいでしょう。
パワーナップを効果的に実践する方法
パワーナップを効果的に実践する方法について紹介します。
落ち着いて眠れる場所や環境を確保する
通常の睡眠同様にパワーナップでも、うるさい場所や明るすぎる場所では、うまく眠りにつくことができないでしょう。
パワーナップの際にも、光や音、室温など落ち着いて眠れる環境を確保することが必要です。
姿勢に気をつける
パワーナップでは、横になってしまうと深い睡眠状態に入ってしまい、短時間で起きられず長時間眠ってしまい、逆に体のだるさにつながるおそれがあります。
また、職場によっては、横になってパワーナップをとれる場所を確保するのがそもそも難しいケースもあるでしょう。
横にならずに椅子にもたれたり、机に突っ伏して眠るのがおすすめです。
短時間でなかなか起きられない人は、横にならないなど姿勢に気をつけましょう。
アラームを設定する
パワーナップでは、短時間で起きられるように、アラームを設定しておきましょう。
30分以内に、確実に起きられるようにするためです。
30分以上寝てしまうと、深い睡眠に入ってしまい、逆に起床時の倦怠感につながります。
また、パワーナップで寝すぎると夜に眠れなくなるなど、本来の睡眠と起床のサイクルに支障をきたすおそれもあります。
起床後はストレッチをする
目覚めたあとは素早く、仕事モードに戻れるように軽いストレッチをおこなうのがおすすめです。
血流がよくなることで、脳の活性化につながるので、素早く活動モードに切り替えることができるでしょう。
パワーナップをとりいれる際の注意点
さまざまなメリットがあるパワーナップですが、実際にとりいれる際には知っておきたい注意点もあります。
パワーナップをとりいれる際の注意点について、紹介します。
30分以上は眠らないようにする
30分以上眠ってしまうと、眠りが深くなり、寝覚めが悪く、起きてから体の倦怠感や頭がぼーっとして働かない状態になってしまいます。
そのため、パワーナップをとる際には30分以上は眠らないようにすることが大切です。
また、午後の活動効率を高めるためのパワーナップにもかかわらず、長時間眠ってしまっては、そもそも作業時間も減ってしまい、あげく体もだるくなるなど本末転倒です。
眠る姿勢やアラームの設定などで、30分以上眠らないために対策するようにしましょう。
横にならない
体を横にして眠ってしまうと、深い眠りに入りやすく、パワーナップで効果的とされる20分前後の睡眠以上に長時間眠ってしまうおそれがあります。
ストレス解消や疲労回復などパワーナップの効果を高めるためには、体を横にせずに眠るのがおすすめです。
15時前までにおこなう
パワーナップは15時までにとるようにしましょう。
午後の遅い時間に仮眠をとってしまうと、通常の夜の睡眠に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
パワーナップはあくまで、午後の活動効率を上げるためにおこなうものです。
日中のパフォーマンスを最大化させつつ、通常の睡眠覚醒リズムを乱さないためにも、パワーナップは15時前までにおこなうようにしましょう。
パワーナップを導入している企業事例
実際にパワーナップを導入している企業の事例について紹介します。
業務中に自分のデスクで、自分の好きなタイミングでパワーナップがとれる制度を導入している企業があります。
社内の研修や会議でもパワーナップについての周知をおこなっており、会社の制度としてパワーナップを浸透させることにも成功しているのです。
強制ではなく「必要な人はパワーナップをとっていい」という権利としてパワーナップが実施されている点も特徴といえるでしょう。
専用の枕を持参している社員やアロマスプレーを使用している社員など、それぞれが工夫してパワーナップを取り入れています。
また、別の企業では、空いた会議室を利用してパワーナップをとるためのスペースとして活用している事例もあります。
パワーナップ用の部屋に並べられているのは、リクライニングタイプの椅子です。
部屋は照明が暗く、ヒーリングミュージックが流れ、ラベンダーのアロマがたかれているなど、効果的な睡眠がとれるように工夫されています。
男女のスペースはパーティションで区切り、入口もわけるといった配慮がされており、男性社員も女性社員も利用しやすい環境といえるでしょう。
パワーナップスペースの利用ルールを事前に決めておくなどして、トラブルもなく、効果的なパワーナップがとれるよう工夫されています。
いずれも国内の事例ですが、パワーナップは国内外問わず注目している企業も多く、浸透しつつあります。
パワーナップを導入して業務効率化を目指そう
パワーナップは、15時までの時間に20分前後の睡眠をとることです。
パワーナップをとることで、ストレスの軽減や集中力の向上、疲労回復などさまざまなメリットがあります。
多くの企業にとって業務効率の改善は、課題のひとつといえるでしょう。
同時に、働き方に対する社会の意識も変わり、長時間労働に対する批判も強く、働く人にとっても負担のない形で業務効率の改善を目指すことは重要です。
パワーナップは、企業で働く人にとっても無理のない形で業務効率の改善を目指す方法のひとつといえます。
ぜひ、企業の生産性向上のためにパワーナップの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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