インフォデミックとは?意味や問題点をわかりやすく解説

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インフォデミックとは?意味や問題点をわかりやすく解説

目次

「インフォデミック」とは、嘘情報が大量に氾濫し、社会全体に影響が及ぶ状態を意味する言葉です。

新型コロナウイルスが蔓延した際に、真偽が不確かな情報の拡散が日本国内外で発生し、「インフォデミック」という言葉が広く知られるようになりました。

今回は、さまざまな問題を引き起こす「インフォデミック」の意味や具体例、適切な対応方法を解説します。

「インフォデミック」とは

「インフォデミック」とは、嘘情報やデマ、真偽が確かでない情報が大量に氾濫し、社会に影響が及ぶ状態を意味する言葉です。

「インフォデミック」は、「インフォメーション(情報)」と「パンデミック(世界的な大流行)」を組み合わせた造語です。

インフォデミックが広く知られるようになった理由

「インフォデミック」という言葉は、「新型コロナウイルス感染症」や「COVID-19」という言葉が使われはじめたときに、世界保健機関(WHO)によってつくられ、注意喚起をしたことで広く知られるようになりました。

現代は、SNSによって情報が瞬時に拡散され、不特定多数の人の目に留まるため、インフォデミックが起きやすい状態といえます。[注1]

インフォデミックの具体例

SNSによって情報が瞬時に拡散される昨今、インフォデミックは思ったよりも身近なところでも起こる可能性があります。

今回は、インフォデミックが実際に発生した例を2つ紹介します。

改めて、真偽が不確かな情報を拡散することの危険性を理解しましょう。

日本で起きたトイレットペーパーの買い占め

2020年2月末にSNS上で「トイレットペーパーの多くは中国からの輸入のため、新型コロナウイルスの影響で不足する」という嘘情報が投稿され、同年4月上旬まで全国的にトイレットペーパーが品薄や品切れ状態になりました。

品薄・品切れ状態になった原因として、嘘情報を信じた人による買い占めが影響しているのではないかとされています。

当初、トイレットペーパーに関する嘘情報が投稿されたあとすぐに、製紙業界などから「トイレットペーパーの在庫は十分にある」旨が発信され、在庫不足は否定されました。

しかし「嘘の情報」の投稿がなされている事実が、SNSやマスメディアを通じて広まってしまったことにより、結果的に「デマを信じた人が買い占めて、トイレットペーパーが品薄となるかもしれない」と思った人々が買い占めて品薄になるという事態が発生しました。

インフォデミックが影響して、社会に混乱が生じた事例といえるでしょう。[注2]

イランで起きたメタノール中毒死

2020年2月下旬のイランにおいて、新型コロナウイルス感染症への対処法として「度数の高いアルコールを飲むことで体内のウイルスが死滅する」という嘘情報が広がり、多くの人が飲料用アルコールの成分であるエタノールを求める事態が生じました。

しかし、エタノールの供給はすぐに困難になり、悪意のある業者によってエタノールと見た目や味が似ている「メタノール」を混ぜた酒が出回るようになりました。

メタノールは、天然ガスやバイオマスなどから作られた化学物質で、人間の身体にとっては毒であり、メタノール中毒になると失明する恐れもあります。

イランでは、嘘情報をきっかけとして出回ってしまったメタノールを含んだ酒を飲んだ人がメタノール中毒になり、2か月ほどのうちに約5,800人が入院し、800人以上が死亡するという事態を招きました。[注3]

インフォデミックが引き起こす問題

前述した事例の通り、インフォデミックは、社会や人々にさまざまな悪影響や問題を引き起こします。

今回は、インフォデミックが引き起こす問題の例を紹介します。

  • 社会に混乱が招かれる
  • 差別意識が強まる
  • 正しい情報が見失われる

インフォデミックが引き起こす悪影響や問題を理解し、改めて情報の取り扱いを意識するきっかけにしましょう。

社会に混乱を招いてしまう

インフォデミックが発生すると、トイレットペーパーの買い占め事例のように、社会に混乱が招かれてしまいます。

嘘情報を信じた人の行動だけに留まらず、嘘情報を信じていない人でも、「周りの人が信じていたら」と疑心を抱いてしまい、自らも社会の混乱を招く行動をとりかねません。

また、一度発生したインフォデミックは、収束するまで長期間に及ぶ恐れがあり、普段どおりの日常に戻るまでに時間を要するでしょう。

差別意識が強まってしまう

インフォデミックによって、特定の人物に対する差別意識が強まってしまうという問題が引き起こされる可能性もあります。

たとえば、新型コロナウイルスに感染した人に対して、差別的な発言や暴力的な行為をするケースや、企業が嘘情報によって差別され、店の売上が落ちたケースが例としてあげられます。

嘘情報や不確かな情報による差別が起きると、差別の対象となった人に実害が出たり、心身に大きな負担がかかったりする問題も生じてしまいます。[注4]

正しい情報を見失ってしまう

嘘情報や真偽が確かでない情報が溢れ、広まってしまうと、正しい情報を見失ってしまうことにもつながります。

正しい情報がわからなくなると、イランで起きた出来事のように誤った行動をとり、命を危険にさらす恐れもあります。

また、正しい情報がわからない状態が続くと、不安が長引き、心身に不調をきたすことも考えられるでしょう。

個人ができるインフォデミックへの適切な対応方法

インフォデミックにのまれないようにするには、個人個人がインターネットの海に溢れる大量の情報を取捨選択し、適切に対処する姿勢が求められます。

今回は、個人ができるインフォデミックへの適切な対応方法の例を4つ解説します。

  • SNSで即時拡散しない
  • 情報元や出典元を精読する
  • 情報の真偽を確認する
  • 自分の頭で考えるようにする

大量の情報に溺れないように、情報との適切な付き合い方を考えていきましょう。

SNSで即時拡散しない

SNSで情報を得た際に、即時拡散しないようにする癖をつけましょう。

SNSで情報を拡散できることは、有益な情報・正しい情報であればメリットといえますが、嘘情報や真偽が不確かな情報の拡散は、インフォデミックを引き起こしかねません。

まずは、目についた情報を即時拡散するのではなく、情報が本当に正しいのか、拡散するべき情報なのかを考える癖をつけることが大切です。

情報元や出典元を精読する

SNSなどで情報を得たときには、情報元や出典元と異なる見解になっていないか、意図があっているかを確認するために、情報元や出典元を精読するようにしましょう。

発信された情報によっては、情報元からインパクトのある言葉だけ抜きとられ、情報元が伝えたかったこととは異なる情報に印象操作されているケースがあります。

目に入った情報を鵜呑みにせず、情報元や出典元といった一次情報にあたる癖をつけましょう。

情報の真偽を確認する

企業に関することであれば企業の公式サイトを、自治体や政府に関係することであればそれぞれの公式サイトを確認するなどして、流れている情報の真偽を明らかにすることが重要です。

SNSの普及によって、情報発信がだれでもできるようになっているため、なりすましや関係者を装い、嘘情報を流す人もいるでしょう。

嘘の情報に踊らされないように、まずは情報を疑い、公式サイトなどで真偽を確認することが大切です。

自分の頭で考えるようにする

人から与えられた情報を頼りにするばかりでなく、自分の頭で考えるようにすることもインフォデミック対策として重要です。

目にした情報が本当に正しいのかを疑い、真偽を調べて、嘘情報の被害者や拡散者にならないように注意しましょう。

情報が目まぐるしく変わっても、振り回されずに分析する冷静さが求められます。

自分自身で考える習慣をつけましょう

インフォデミックとは、嘘情報が大量に氾濫することで、社会に混乱を招いたり、差別意識が強まったりなどの悪影響が及ぶことです。

インフォデミックが生じると、日常を送ることが困難になる人や、実害を被る人、命を落とす人もいるため、インフォデミックに加担しないように、情報を取捨選択する姿勢をもつようにしましょう。

大量の情報が行き交う現代だからこそ、情報を疑い、自分自身で考える習慣をつけ、情報の被害者や加害者にならないように意識することが大切です。

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[注1]出典:公益社団法人 日本WHO協会「怪しい情報防止の取組み強化」
https://japan-who.or.jp/news-releases/2008-15/
[注2]出典:国民生活センター「SNSがきっかけとなったトイレットペーパー騒動」
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202011_02.pdf
[注3]出典:日本経済新聞「コロナ禍で広がるメタノール中毒死 世界で最多ペース 」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63020310V20C20A8000000/
[注4]出典:NHKみんなでプラス「インフォデミックがもたらした"デマと差別"」
https://www.nhk.or.jp/minplus/0010/topic040.html

※本記事は、2023年12月時点の情報をもとに作成しています。


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