アジャイル開発におけるレトロスペクティブとは?KPTなどの手法ややり方を解説

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アジャイル開発におけるレトロスペクティブとは?KPTなどの手法ややり方を解説

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目次

アジャイル開発では、スピーディかつ柔軟な開発サイクルが重視されますが、その中で重要な役割を果たすのが「レトロスペクティブ(振り返り)」です。

レトロスペクティブは、メンバー個々の気づきを共有し、チーム全体の成長へとつなげていくプロセスです。

しかし、「なんとなく実施している」「毎回同じような内容に終始してしまう」といった声も少なくありません。

そこで本記事では、レトロスペクティブとは何かを解説し、KPTなどの代表的な手法、効率的な進め方などについてもわかりやすく紹介します。

レトロスペクティブの意味や目的・必要性について

レトロスペクティブは、単なるミーティングではありません。

ここでは、レトロスペクティブの基本的な意味、目的、実施の必要性について解説します。

レトロスペクティブの意味

レトロスペクティブ(Retrospective)は、直訳すると「回顧」や「振り返り」を意味する言葉です。

アジャイル開発におけるレトロスペクティブは、スプリント(開発サイクル)やプロジェクトの区切りごとに実施される振り返りミーティングのことを指します。

チームメンバー全員が集まり、開発期間中の取り組みを振り返り、「うまくいったこと」「課題となったこと」「次に改善すべきこと」などを共有する場として活用されています。

>自分自身を振り返る「セルフモニタリング」に関する記事はこちら

レトロスペクティブの目的・必要性

レトロスペクティブのおもな目的は、チームのパフォーマンス向上と、プロジェクト全体の品質向上にあります。

とくに、変化への柔軟な対応と継続的な改善が重要視されるアジャイル開発では、定期的な振り返りが欠かせません。

レトロスペクティブは、過去のスプリントで起きたできごとを客観的に見直し、次のアクションに結びつけるための重要な機会です。

レトロスペクティブのメリット・デメリット

チームの成長を促す重要なプロセスであるレトロスペクティブには、以下のようなメリット・デメリットがあります。

【メリット】

・チーム内の信頼関係が深まることにより、意見を共有しやすい環境が生まれる

・課題を明確にして改善に活かすことにより、生産性向上につながる

・常に「より良くする」視点がチームに根付き、継続的な改善につながる

【デメリット】

・取り上げる内容が多い場合は、時間が長引いてしまうことがある

・心理的安全性が確保されず、意見を出しづらいことがある

・振り返りだけで満足し、改善策が実行されないことがある

レトロスペクティブの代表的なフレームワーク10選

レトロスペクティブを効果的に進めるには、目的やチームの状況に応じたフレームワークを使い分けることが大切です。

ここでは、現場でよく使われている代表的な10のフレームワークを紹介します。

KPT法

KPT法は、「Keep(継続すべきこと)」「Problem(問題点)」「Try(今後試したいこと)」の3項目に分けて振り返りをおこなうシンプルな手法です。

現在の取り組みを可視化しやすく、改善点と維持すべき点を整理するのに適しています。

Fun Done Learn

Fun Done Learnは、「Fun(楽しかったこと)」「 Done(完了したこと)」「Learn(学んだこと)」に着目して振り返りをおこなうフレームワークです。

ポジティブな側面にフォーカスすることで、チームの士気を高めつつ、実際の経験から学べる点が特徴です。

TimeLine

TimeLineは、スプリントやプロジェクトを時系列で振り返る手法です。

起きたできごとに沿って振り返ることで、課題が発生したタイミングや背景を把握しやすくなります。

プロジェクト全体の流れを俯瞰しながら振り返りをおこないたいときに有効です。

3匹の子ぶた

3匹の子ぶたとは、同名の童話をもとに「ワラの家(脆弱な要素)」「木の家(改善の余地がある要素)」「レンガの家(うまくいっている要素)」という分類でチームの状態を評価するフレームワークです。

実施時にイメージがわきやすく、楽しみながらも本質に迫った振り返りをおこなえることが特徴の手法です。

What Went Well

What Went Wellは、「うまくいったこと」にフォーカスするシンプルな振り返り手法です。

ネガティブなフィードバックが多くなりやすいプロジェクトにも導入しやすく、成功体験を共有することによってチームのモチベーション向上にもつながります。

4L

4Lは「Liked(よかったこと)」「Learned(学んだこと)」「Lacked(足りなかったこと)」「Longed for(もっとこうしたかったこと)」の4つの観点で振り返りをおこなうフレームワークです。

肯定・改善の観点が2つずつ含まれているため、両面からバランスよく振り返ることができることがメリットです。

Start Stop Continue

Start Stop Continueは、「Start(今後始めたいこと)」「Stop(やめたいこと)」「Continue(続けたいこと)」の3点を整理するフレームワークです。

直感的に考えやすく、具体的な施策や実行可能なアクションに落とし込みやすいため、継続的な改善を目指したい際に効果的です。

Mad Sad Glad

Mad Sad Gladは、「Mad(怒り)」「Sad(悲しみ)」「Glad(喜び)」の感情を通じて振り返りをおこなうフレームワークです。

チームメンバーの感情を可視化しやすいため、心理的な問題の兆候を早期に察知できたり、感情を軸にした共有を実現できたりすることが利点です。

スピードボート

スピードボートは、ボートをチームやプロジェクトに見立て、錨(アンカー)となる問題点や、追い風となる要因を整理する手法です。

チーム全体の認識合わせをおこないたい際や、問題点を洗い出したい際に効果的です。

スターフィッシュ

スターフィッシュは、以下の5つの観点を頂点とした「ヒトデダイアグラム」を用いて振り返りをおこなう手法です。

  • Keep doing (やり続ける)
  • Less of (減らす)
  • More of (増やす)
  • Stop doing (やめる)
  • Start doing (始める)

どの要素がどれだけ不足しているかがわかりやすく、実行すべきことが視覚的に実感できる点が特徴です。

スピードカー

スピードカーは、車に見立てた図を使って、チームの推進力と障害を視覚化するフレームワークです。

チームを前進させる原動力は何か、チームの障害となっているもの・ことは何かという点を可視化して分析をおこなうため、チームの良い面と悪い面を同時に確認することができます。

レトロスペクティブの効果的な進め方

レトロスペクティブを形だけの振り返りで終わらせないためには、進め方にも工夫が必要です。

ここでは、レトロスペクティブを効果的に進めるための3ステップを紹介します。

①場を設ける

レトロスペクティブを進めるための第1ステップは、チーム全員が安心して意見を出せる場を設けることです。

リラックスした雰囲気を確保するために、アイスブレイクをはさんだり、レトロスペクティブの基本ルールの共有をおこなったりしながら、率直な対話ができる空気を整えます。

>アイスブレイクに関する記事はこちら

②事前に必要なデータを収集・確認する

効果的なレトロスペクティブのためには、必要な情報を事前に集めておくことも重要なステップです。

スプリント中に発生したできごとや数値、チームの行動履歴などといった客観的なデータがあると、振り返り中の思い込みや印象論の発生を避けることにつながります。

また、データにもとづいて振り返りをおこなうことで、具体的かつ実用的な改善点を見つけやすくなります。

③何をすべきかを決定して終了する

レトロスペクティブは「振り返って終わり」ではなく、次にどう行動するかを決めることがポイントです。

振り返りの中で挙がった意見や課題はフレームワークなどを用いて整理し、チームとして改善に向けた具体的なアクションアイテムを設定しましょう。

振り返りを今後の成長につなげるためには、実行可能なタスクに落とし込むことがコツです。

レトロスペクティブの注意点

最後に、レトロスペクティブ実施時の注意点を紹介します。

①意見が出ない・発言者が偏る

レトロスペクティブをおこなう際によく見られるのが、意見が出にくい、いつも同じ人だけが話すという状況です。

プロジェクトがうまくいっていない場合はとくに、発言しにくい内容も多いと考えられるため、ファシリテーターの工夫が重要となります。

②既に形骸化しているのに続いている

振り返りによって挙げられる内容がワンパターンになっている、すぐに脱線してしまうなどというケースが続く場合、レトロスペクティブが形骸化している可能性があります。

形骸化のおそれがあるレトロスペクティブは惰性で続けるのではなく、本来の目的を再確認する、気づきや改善点を実行に移すよう改善するなど、適宜見直しをおこないましょう。

③チームの範囲外への対応方針を決めておく

上層部・他部署など、外的要因によって発生する課題については、いくらレトロスペクティブで洗い出しをおこなっても解決できないケースがあります。

チーム内で対処できない問題がある際は、建設的な視点で「自分たちに何ができるか」を考える姿勢が求められます。

問題が影響をおよぼす範囲の把握、現実的なアクションの提案、迅速な報告など、チームにできることを見極める判断も重要です。

円滑な情報共有に「Chatwork」

レトロスペクティブは、アジャイル開発においてチームの成長や生産性向上を支える大切な活動です。

フレームワークを使い分けることでマンネリ化を防ぎ、効果的な振り返りが可能になります。

また、注意点を踏まえて運用することで、発言の偏りや形骸化といった課題にも対応できるでしょう。

レトロスペクティブを、よりスムーズに効率よく進めたい場合は、チームのコミュニケーションを支えるビジネスチャット「Chatwork」の活用もぜひご検討ください。

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