タスクを抜け漏れなく洗い出す手法を解説!注意すべき点やコツとは?

目次
【タスク管理の重要項目】タスク洗い出しのメリットを解説
タスク管理を行う中で、もっとも大切なプロセスの1つがタスクの洗い出しです。タスクを抜け漏れなく洗い出すことで、タスク管理はぐっと成功へと近づきます。
タスクの洗い出しがどのようなメリットをもたらすのか、4つのポイントに絞って解説します。
(1)全体像を把握してスケジューリングができる
タスクの洗い出しで得られる最大のメリットは、全体の工程を把握してスケジューリングができることです。
例えば、大きな事業を任されたとします。その場合、タスク管理を行う責任者は、事業全体のスケジュールを設定した上で、チーム全員に共有し、一人ひとりにタスクを振り分ける必要があるでしょう。
プロジェクト達成までの工程を俯瞰的に見て、スケジュールを組むには、タスクの洗い出しによる全体像の把握は欠かせません。
(2)担当者を明確に決められる
担当者を明確に決められるのも、タスク洗い出しのメリットの1つです。プロジェクトを効率よく進めていき、仕事の品質を上げるには、適任者へのタスクの割り振りが重要になります。
洗い出しによってすべてのタスクを可視化することで、どの作業を誰に振り分ければいいのかが明確になります。また、各タスクに遅れが出たときに、誰にサポートをお願いするかなども事前に決めておけるので、適切なチームマネジメントが可能になるのです。
(3)予想外のタスクがなくなる
タスクを頭の中だけで管理せずに、洗い出して可視化しておくと、各タスクに付随する作業や起こりうるトラブルなども見えてくるようになります。そのため、予想外に発生したタスクの対処に追われ、期限を遅らせてしまうといったリスクを極力避けることができるのです。
すべてのタスクを洗い出すことによって、細かな作業も把握でき、トラブルの予測もしやすくなります。タスク管理を効率的かつ安全に行えるようになるでしょう。
(4)着実に仕事をこなせる
着実に仕事をこなしていくためにも、タスクの洗い出しは必要です。記憶に頼ったタスク整理では、適切な優先順位がつけられず、次に着手すべきタスクを選ぶ度に、迷う時間が発生します。その結果、仕事のスピードが遅くなってしまうのです。
タスクを洗い出して全体像を把握すれば、優先順位も明確になります。1つ1つのタスクに集中力を持って取り組めるので、効率的かつ着実に仕事をこなせるのです。
タスク洗い出し・管理の方法は主に4つ
タスクの洗い出しを行うには、主に4つの方法が考えられます。それぞれを詳しく紹介するので、自分にはどの方法が合っているのか、検討されるうえでの参考にしてください。
(1)マインドマップ
マインドマップとは、思考プロセスを「見える化」するために作成するものです。頭の中に浮かぶ思考やアイデアなどをマインドマップに落とし込んで可視化することで、きっちりと整理できるようになります。落とし込みには少々手間がかかりますが、マインドマップを使うと関連タスクの洗い出しがしやすくなるため、抜けや漏れのない業務の実践が可能です。また、タスクの全体量が把握できるので、スケジュールも組みやすくなります。
ノートなどの紙に書いても良いですが、修正や変更をすると煩雑になるため、マインドマップツールを利用すると良いでしょう。きれいに整理できるので、より効率的なタスク管理が期待できます。
(2)表計算ソフト
Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトを利用する方法もあります。まずは、表の作成から始めましょう。
- タスク名
- 作業開始日
- 期限(納期)
- 重要度
- 担当者
- 進捗状況
などの項目を作り、次に順不同ですべてのタスクを入力していきます。
フィルター機能を使用し、優先順位の高い(期限の迫っている)ものや、重要度の高いものなどを並べ替えることもできます。無料で使用できるソフトが多いので、始めやすいのもメリットです。(3)タスク管理ツール
タスク管理に特化した専用のツールなら、洗い出しも簡単に行えます。洗い出したタスクのグルーピングや優先順位の決定、スケジュールへの落とし込みまで、1つのツールで行えるので便利です。
タスク管理のツールは種類が数多くあるので、迷った際は下記のポイントに注目して選んでみてください。
- 誰が使うか
- どんな機能が必要か
- 既存のツールとの連携ができるか
- 料金はどのくらいかかるか
業種・職種などによって適したツールが異なるので、上記の4点は事前に確認が必要です。無料で利用できるものも多くあるので、実際にいくつか試してみるのもいいでしょう。
(4)手書き
手間はかかりますが、すぐに取り組める方法が手書きです。ノートやメモ、付箋などに自分のタスクを思いつく限り書いていきます。順番や優先順位にかかわらず、とにかくすべてピックアップするのがポイントです。
手書きは自由度が高く、重要だと感じるタスクは大きく書いたり、わかりやすくイラストを入れたりと、オリジナルにカスタマイズができます。ツールなどを使って機械的に行うわけではないため、思考の整理ができるのもメリットです。
また、記憶力の向上、アイデアが出やすくなるなど、さまざまな効果も期待できます。
タスク洗い出しの手法は?フレームワークを7つ紹介
タスクの洗い出しには、フレームワークの活用がおすすめです。ここでは、タスク管理に使える7つのフレームワークを紹介します。
(1)ロジックツリー
ロジックツリーは、情報整理の基本と呼ばれる手法です。タスクを思いつく限り洗い出し、大きなタスクに紐づくタスクを名称の通り木が枝分かれしていくように整理することで、タスクの分解と階層化をしながらの整理ができます。
ロジックツリーの手法でタスクを洗い出すと、次のようなメリットが得られます。
- タスクの全体像が把握できる
- 優先順位をつけやすい
- 波及するタスクの細分化ができる
- タスクの抜け漏れを回避できる
1つの大きなタスクから枝分かれした細かいタスクまでを、一連で可視化できるので、チームでタスクを実行するケースでは、自分に振られたタスクの役割や意味の理解を深める際にも役立ちます。
(2)アイゼンハワー・マトリクス(緊急・重要マトリクス)
アイゼンハワーマトリクスは、アメリカ第 34 代大統領であるドワイト・D・アイゼンハワー氏が提唱した、タスクの優先順位付けに最適なフレームワークです。
アイゼンハワーマトリクスでは、タスクを下記の4つの領域に分けることで、緊急性の高いタスクや重要度の高いタスクを明確化していきます。- すぐに着手すべきタスク(重要度も緊急性も高い)
- スケジュールに入れておくべきタスク(重要度は高いが緊急性はない)
- 他の人に委任した方が良いタスク(重要度は低いが緊急性は高い)
- 削除を検討すべきタスク(重要でも緊急でもない)
アイゼンハワーマトリクスは、ツールの準備や複雑な表を作成する必要もないため、導入が容易であることがメリットです。タスクを分類する際は重要度を見極める能力が必要になりますが、コストをかけることなく、誰でもすぐに活用できる点は、まずは色々な方法を試してみたいという方に最適といえるでしょう。
(3)SMARTの法則
SMARTの法則とは、効果的な目標を立てる方法のことです。次の5つの要素は、目標を達成するための5因子といわれており、それぞれの頭文字から「SMART」の名称が付けられています。- S=Specific:具体的な
- M=Measurable:測定可能な
- A=Achievable:達成可能な
- R=Relevant:関連性がある
- T=Time-bound:期限がある
タスクの洗い出し方に迷った時は、上記の法則を、タスク管理に当てはめてみましょう。
- Specific(具体的):具体的な業務レベルまで落とし込んだタスクを設定
- Measurable(測定可能):定量的な設定ができるタスクは数的目標も設定
- Achievable(達成可能):定量・定性ともに現実的にこなせるタスクであること
- Relevant(関連性がある):最終的な目標を意識できるようタスク全体を見える化する
- Time-bound(期限がある):タスクには必ず期限を設定する
これらの法則を基準にして、目標設定し、それに必要なアクションを明確にするといったフローでタスクを洗い出してみてください。また、タスク管理をする際は、定期的に見直しを行うこともポイントになります。
(4)PERT図
PERT図とは、プログラム(Program)評価(Evaluation)レビュー(Review)手法(Technique)の略で、比較的大きな事業計画とスケジュール管理に利用される手法です。
基本的に、フローチャートの形でタスクをつないでいくので、業務の前後関係や業務全体の流れが明確になるという利点を持っています。
また、タスクの洗い出しの段階から、PERT図を使っておくと、タスクの多い工程など、業務量の偏りも見えるようになります。そのため、チームメンバーの適切な配置や作業時間の見積もり、スケジュールの調整などもしやすくなるでしょう。
(5)WBS
WBSとは、Work Breakdown Structure=作業分解構成図のことで、プロジェクト管理やスケジュール管理の元となる手法です。目標となる大きなレベルのタスクから順番に小さなタスクへと、作業を細分化しながら洗い出していくため、タスクの抜け漏れが防げるメリットがあります。
また、WBSでは主にツリー構造の図でタスクを管理することが一般的です。タスクは、前段階の業務が終わっていなくても進められるタスクと、前の業務が終わっていなければ着手できないタスクの2種類に分けられます。当然、後者のほうが全タスクを終了するには時間を要することになるでしょう。
その点、WBSで利用するツリー構造は、どのタスクのラインが一番時間がかかるのかがわかりやすいという特徴があります。そのため、スケジュールの管理や納期の見積もりなどにも活かしやすくなります。
(6)ガントチャート
ガントチャートとは工程表という意味で、プロジェクトの計画とスケジュールを1つにしてわかりやすくまとめ、タスクの進行状況を把握する手法のことです。一般的には、縦軸にタスク(作業項目)、横軸に担当者と時間軸を入れたグラフを使用します。そのため、誰が、今、どのタスクを、どの程度進めている、といった進行中のタスクの状況を見える形で確認できるのが最大の特徴です。
このガントチャート自体が、タスクの洗い出しの際に役立つというわけではありませんが、WBSによって洗い出したタスクを、ガントチャートで管理することで、チーム全体がより期限を意識したタスク管理ができるようになります。
(7)GTD
GTDとは、Getting Things Doneの略で、主に個人タスクの整理に向いているマネジメント方法の1つです。頭の中にある(タスクではない可能性のものも含む)をすべて洗い出し、業務別、もしくは、プロジェクト別などに分けてリスト化しつつタスクを管理していきます。リスト化した後は、
- 自分が行動すべきか、誰かに依頼するのか
- 時間はどのくらいかかるか
- いつまでにやるのか
の観点から、リストアップしたタスクの優先順位や重要度を見直しつつリストを完成させます。
このとき、すぐに着手できて数分で完了するタスクについては、その場で処理し、達成感を得ながら進めることも重要です。また、GTDでは、作成したリストを信用し、リスト順のタスクに集中することもポイント。そのため、リストは常に最新の情報であるように注意し、タスクの洗い出しは十分か、優先度に誤りはないかなど、定期的に見直すようにしましょう。
タスクを洗い出すコツと注意点
タスクの洗い出しを適切に行うには、コツや注意点があります。どのような点に注意して洗い出しを行えば良いのか、4つのポイントを確認していきましょう。
(1)全てのタスクを洗い出す
最初のステップの注意点は、とにかくすべてのタスクを洗い出すことです。書くほどではないと思ってしまいがちな小さなタスク、関係ないかも?と感じたタスク、目標達成が難しいと思われる大きなタスクなども含めて、一旦すべてをリスト化しましょう。この時点では構造や階層など細かいことを考えないのがポイントです。メモやスケジュール帳なども確認しながら、羅列で構わないのでピックアップしてください。
(2)タスクの粒度を適切にする
タスクの「粒度」を適切にすることは、タスク管理で重要な意味合いを持ちます。例えば、タスクが大きすぎると、何から手をつければいいのか迷ってしまい効率が下がります。逆に、タスクが細かすぎるとタスクの量が膨大になり、メンバーがタスクに縛られてしまう状況になるでしょう。
また、タスクの粒度が大きすぎたり粗すぎる場合は、正確なガントチャートなどが作成できず、抜け漏れが発生するリスクも発生するので注意が必要です。
タスクをどの程度分解するのか、その粒度を決める基準は一定であることが望ましいので、事前に客観的なルールを設けておくようにしましょう。(3)タスクを構造化する
タスクの構造化は、先に解説したWBSにつながります。洗い出しを行ったタスクを、順序を決めながら並び替えを行い、「目的→カテゴリー→必要なタスク」というような構造を作っていくのです。
方法は手書きでも問題ありませんが、専用ツールを使うことで、さらに効率化が図れます。円滑なタスク管理を行うには、欠かせないステップだと考えておきましょう。
(4)所要時間の見積もり
構造化まで進んだら、最後にタスクの所要時間を見積ります。このステップでの注意点は、ある程度余裕を持った割り振りを行うことです。
あまりにもタイトなスケジュールでは、期限に追われる焦りからミスが起きてしまったり、見積もりの甘さによる、少しの作業の遅れが、大きなスケジュールの遅延につながったりしてしまいます。目安として、所要時間には10~20%程度の余裕を持たせましょう。
タスクの洗い出しを徹底して業務をスムーズに進めましょう!
適切なタスク管理を行い、抜け漏れがなく、スケジュールどおりに業務を進めるには、洗い出しは不可欠なプロセスです。そして、タスクの洗い出しには、さまざまな手法や活用できるツールがあります。
業種や職種、プロジェクトの規模などによって、最適な方法やツールは異なります。ここで紹介した内容を参考に、適切なものを選んでください。タスクの洗い出しが徹底できれば、業務をスムーズに進められるでしょう。