重要な「タスクブレイクダウン」とは?細かく分解して業務の抜け漏れを防止!

目次
タスクブレイクダウンの意味とは?
タスクブレイクダウンとは、仕事(タスク)を細分化(ブレイク)して、効率を上げる手法のひとつです。
自分に与えられている仕事を棚卸しして、優先順位をつけ、何をどのように取り組めばよいのかを可視化するために行います。
チームで業務を行う場合には、メンバー全員で各タスクの共有ができるので、進捗状況が常に確認できてスムーズに仕事が進められます。
タスクを分解・細分化するメリット
タスクを分解・細分化するタスクブレイクダウンには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、タスクブレイクダウンを行う5つのメリットを紹介します。
メリット①終了までの時間を見積もりやすくなる
タスクブレイクダウン最大のメリットは、業務終了までの時間が見積もりやすくなることです。
タスクが大きいままでは、具体的に必要な作業が見えないため、時間の見積もりが正確にできません。細分化して、作業レベルに見える化すれば、処理にかかる時間が読みやすくなります。
また、タスクが多く見えるので、楽観的な見積もりもなくなり、より現実的な時間管理が行えるようになるでしょう。
メリット②達成までのプロセスを理解できる
タスクブレイクダウンを行うことで、達成までのプロセスの理解も深まります。ひとつのタスクは、いくつかのプロセス(手順)から成り立っています。プロセスを順番にこなしていき、タスクを完了させるのです。
タスクを細分化すれば、完了までの業務のプロセスが明確になります。プロセスが理解できれば、順に取り組んでいくだけなので、仕事がスムーズに進められるのです。
メリット③タスクに取りかかるハードルが下がる
タスクブレイクダウンは、取りかかりのハードルが下げられるのもメリットのひとつです。
タスクが漠然としていると、なにから着手すればいいかがわからずに、なかなか作業が始められません。取りかかるまでに時間がかかるため、仕事にも遅れが出てしまいます。
タスクブレイクダウンにより、作業が具体化されていれば、すぐに仕事への着手が可能です。これにより、タスクの先延ばしも防げるため、遅れやミスの削減につながります。
メリット④作業の抜け漏れを防止できる
作業の抜け漏れを防止できることも、タスクブレイクダウンのメリットです。
タスクに対する理解が漠然としていると、必要な業務の抜け漏れが起こってしまいます。プロセスを細かに把握していれば、順に進めていくだけのため、抜け漏れが起こることはありません。
また、タスクブレイクダウンはチームでの情報共有が可能です。他のメンバーも進捗状況が確認できるため、抜け漏れがないようにフォローできるようになるのです。
メリット⑤仕事の達成を実感できる
タスクブレイクダウンのメリットには、仕事の達成を実感できることもあげられます。
大きなタスクの完了までには、長い時間が必要です。そのため、作業を進めていても、なかなか達成感が得られません。細分化されたタスクであれば、完了数が多くなり、その度に達成感が得られます。
達成感は、モチベーションにもつながるので、作業効率や質の向上も期待できるでしょう。
タスクを分解・細分化する3つの方法
タスクブレイクダウンは、具体的にどのように行えばいいのでしょうか。ここからは、タスク分解・細分化する3つの方法をお伝えしていきます。
ステップ①手順ごとに分解する
最初に行うべきことは、最終目標のタスクを完了させるために、どのくらいの手順が必要なのかを分解していくことです。
ここでは、料理を例に説明します。最終目標は、夕飯のカレーです。しかし、「カレーを作る」というだけでは、何をすれば良いのかわかりませんし、何をどの順番で行うのかがわかりません。
そこで、カレー作りの手順を次のように分解してみました。
- 野菜(たまねぎ・人参・ジャガイモ)を切って炒める
- 水を入れて煮込む
- 肉を炒めて2に入れる
- アクを取る
- カレールウを入れて溶かす
- 煮込んで出来上がり
ここまで細分化すれば、手順だけではなく必要な時間や物が明確になります。手順ごとに分解していく作業は大変ですが、これから先のステップに進むための大切なプロセスです。
ステップ②難易度や所要時間で分解する
全体の細かい手順が把握できたら、次に難易度や所要時間で分解します。このとき、難易度の基準は自分で設定しても問題ありません。自分がそのタスクを行うと仮定した場合、どの程度の時間がかかるのかを見える化しましょう。
難易度や所要時間でタスクを分解することで、集中できる時間を何に使うか判断できるようになり、スキマ時間も有効に活用できます。
ステップ③「HIROEN」を意識して分解する
ステップの①②の次は、最終的に「HIROEN」を意識して分解していきます。
「HIROEN」とは、タスクをブレイクダウンするときの視点に関するフレームワークです。
H | Hear:聞く | 誰かに聞いておくこと・確認したいこと |
---|---|---|
I | Inform:知らせる | 誰かに伝えなければいけないこと |
R | Request:頼む | 誰かに頼まなければいけないこと |
O | Operate:作業 | 自分が行う作業 |
E | Examin:調査・検討 | 調査や検討をしなければいけないこと |
N | Negotiate:交渉する | 誰かと交渉しなければいけないこと |
チームで仕事を進めていくときには、事前にメンバーと連携すべきことを確認しておく必要があります。連携が必要なことを、「HIROEN」の視点で洗い出しておくと、効率的に仕事が進められます。
業務の抜け漏れを防ぐにはWBSの活用がおすすめ
タスクブレイクダウンと似たタスク管理方法に、WBSがあります。WBSとは「Work Breakdown Structure」の略で、作業を分解して構造化していくものです。
プロジェクトの計画時などに利用されることが多く、プロジェクト管理の基礎ともいわれています。
大きなタスクをブレイクダウンしていくときに、業務の抜け漏れを防ぐには、WBSの活用がおすすめです。ここでは、WBSについて詳しくお伝えしていきます。
(1)WBSの役割
WBSは業務の抜け漏れを防ぐ役割があります。WBSはスケジュール作成の元となるため、
- タスクの期限の明確化
- タスクの前後関係の把握
- 全体から見たタスクの重要度の把握
上記3つの役割があるのです。
(2)WBSのメリット
WBSの活用で得られる主なメリットは、次の5つです。
①スケジュールが組める | ガントチャート(工程表)に展開することでスケジュールを組みことができる |
②進捗状況が把握できる | タスクを細分化することで、遅れを把握できる |
③優先順位が理解できる | 通常のタスク管理と異なりトップダウン方式で管理をするため、優先順位が理解できる |
④役割分担ができる | タスクを細分化し担当者を決めることで、ハッキリとした役割分担ができる |
⑤目標が可視化できる | 何が目標となるのかを可視化できる |
特にWBSの特徴ともいえるのは、⑤の目標の可視化です。何が計画されているのかわからない状態よりも、目標が明確でイメージできる方がモチベーションも向上します。
(3)WBSとタスク管理表の違い
WBSとタスク管理表は混合されがちですが、異なるものです。それぞれの目的や管理方法を比較すると、その違いがわかります。
WBS | タスク管理表 | |
---|---|---|
目的 | プロジェクトの全タスクの把握 進捗管理 | 忘れの防止 進捗管理 |
タスク洗い出し | 計画時にすべてのタスクを洗い出す | その都度、洗い出す |
進捗管理 | 開始日、終了日で管理 | 対応状況も含めて管理 |
プロジェクトの全体像=目標を周知できるWBSは、管理をさらにわかりやすく明確にできる特徴があります。
【タスク管理が捗る】WBSの作成手順は5ステップ
次にタスク管理がさらに捗る、WBSの作成手順を5つのステップに分けて解説します。
ステップ① | 全てのタスクをリスト化する
WBSにおける最初の手順は、タスクをすべて洗い出し、リスト化することです。
必要なタスクを洗い出す中で、重なるタスクや波及するタスクも出てきますが、とにかくすべてをリストにしていくことを優先しましょう。
このステップは、プロジェクトの進捗状況にも影響を与えるので、時間をかけてしっかりと行ってください。
ステップ② | タスクを分解・細分化する
①の洗い出しでできたタスクのリストを、分解・細分化していきます。
このステップでは、どのタスクがどのタスクと影響し合うのか、階層の関係が正しいかなどにも注意して、できるだけ細かく分解することが大切です。
ひとつのタスクにこだわらず、思いついたタスクはどんどんピックアップしていき、最終的な段階で調整をすれば問題ありません。
ステップ③| タスクに優先順位をつける
次のステップは細分化できたタスクへの優先順位づけです。
重要度・期限などを明確化して、下記の4つに分類すれば、優先順位がつけやすくなります。
- 期限がタイトで重要度が高い
- 重要度は高いが期限には余裕がある
- 重要度は高くないが期限がタイト
- 重要度も高くなく期限にも余裕がある
上記の通り、1がもっとも優先順位が高いタスクです。2と3のタスクは、状況に応じて優先順位をつけていきましょう。4のタスクは後回しで問題ありません。
ステップ④ | タスクを構造化する
①~③のステップが完了したら、タスクを構造化していきます。
- 大きなタスク(部署ごとなど)
- 大きなタスク達成のために必要な中タスク(チームなど)
- 中タスク達成のために必要な小タスク(個人)
親→子→孫のように、大きなタスクから小さいタスクまでをツリー状にトップダウン方式で作成していくのがポイントです。
ステップ⑤ | 誰がどのタスクをやるのか決める
タスクの構造化ができたら、最終的に誰がどのタスクをやるのか、担当を決めます。基本的には、1タスク1担当者が理想です。ひとつのタスクに複数の担当者をつけてしまうと、責任の所在が曖昧になってしまいます。
また、担当者を決めるときには、開始~終了までの日時も同時に決定しておきましょう。
タスクブレイクダウンを行い業務の抜け漏れを防止しよう!
タスクブレイクダウンは業務の抜け漏れを防ぎ、適切なタスク管理を行うために重要な手法です。タスクが細かく分解できれば、業務の抜けや漏れが軽減され、仕事の効率化が図れます。
またWBSやツールを活用すれば、より効率的にタスクブレイクダウンが行えます。ここで紹介したツールのなかから、適切なものを選んで導入を検討してみましょう。