BCP(事業継続)対策としてのテレワークとは?BCPにテレワークが有効な理由
目次
2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大を機に、感染症対策としてテレワークが大きな注目を集めています。
テレワークは働き方改革の一環であり、業務効率性や生産性の向上に寄与すると期待されていますが、BCP対策にもなるという点が評価されたことで、普及が進んでいる部分もあるでしょう。
テレワークがBCP対策として需要が高まっている背景に加え、BCP対策としてのテレワークの導入時の注意点などを紹介します。
BCP対策とテレワークの関連性
中小企業庁ではBCP対策を以下のように解説しています。
[注]中小企業庁が公式Webぺージで公開している「中小企業BCP策定運用指針」によると、BCP(事業継続計画)とは、「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと」を指します。
中小企業庁のBCPの説明を簡潔に言い換えると、「事件や事故、災害などの緊急事態に直面した際に、どのようにして事業を継続させるか、また決められた時間内に事業を再開させるかについての計画」となります。
したがって、BCP対策は事業継続の計画のために取る手段のことを指します。
一方、テレワークとは情報通信技術の活用によって、時間や場所に捉われない働き方のことで、一般的には「在宅勤務」を指す場合がほとんどです。
また、在宅勤務でのテレワークは出社が禁じられた場合にも在宅で仕事ができることからBCP対策としての一面が評価されています。
テレワークは、緊急事態時に事業継続の効果をもたらすだけではなく、自然災害時に出社が困難である場合にも在宅で仕事が可能であるためBCP対策となります。
BCP対策とテレワークが求められる背景
BCP対策は簡単に言えば事業継続の手段の用意をするということになり、テレワークはオフィスに縛られずに自由に働ける環境を手に入れるということでもあります。
事業継続と多様な働き方の観点からBCP対策とテレワークの必要性が増しており、BCP対策にテレワークを組み込むことが求められているともいえるでしょう。
BCP対策とテレワークが求められている主な理由について考えていきましょう。
企業への被害を防ぐため
BCP対策は、自然災害という非常事態に事業停止となることによる企業への被害を防ぐために、有事においても従業員が通常どおり業務をおこない事業を止めないことが重要となります。
この点において、テレワークは被災のリスクや公共交通機関のストップによって出社ができない従業員が、自宅でオフィス同様の仕事をおこなうことができるため、自然災害による事業停止という企業への被害を防ぐことにつなげられるようになります。
各拠点を用意する手間が少なくなる
全国に存在するオフィスなどの拠点を東京など首都圏に集約しようとする場合、地方の拠点で勤務している従業員は転居を伴う転勤を余儀なくされるため、従業員の離職のリスクが生じ事業継続性が危ぶまれます。
BCP対策は、いかに従業員の離職率を低くし、事業を継続させるかということが重要です。
この点において、テレワークは場所の制約がない働き方であるため転居を伴う転勤を必要とせず、従業員の離職を防ぐことにつながります。
業務のIT化が進んでいる
PCやタブレットなどのITツールの普及とともに、業務のIT化が進んでいます。
業務がIT化することによって業務効率や生産性の向上がもたらされる一方で、落雷などの災害の影響でオフィスにあるPCが使えなくなる場合には通常の業務が困難となってしまいます。
BCP対策においては、落雷などの災害によるPCの故障による事業停止のリスクを低減することが重要です。
この点において、テレワークは場所の分散によって落雷などの自然災害での影響でPCが使用できなくなるというリスクを減らし、業務停止を防ぎやすくなります。
BCP対策にテレワークが有効な理由
テレワークをBCP対策の一環として導入する企業は年々増加していますが、なぜBCP対策にテレワークが有効であると考えられているのでしょうか。
緊急時に対応しやすい
地震や台風、大雪などの自然災害が発生した際、外出することは被災のリスクを高めますし、公共交通機関のストップによって通勤できないという可能性があります。
自然災害などの緊急時においては、テレワークの実施によって従業員の物理的な移動を要することなく、通常どおりの業務を継続することが重要です。
感染症対策につながる
オフィス内で感染症が蔓延してしまうと、従業員は出社停止を余儀なくされ、業務の継続が困難となるおそれがあります。
したがって、BCP対策においては、感染症対策を視野に入れることが大切です。
新型コロナウイルスなどの感染症対策においては、オフィス内や通勤経路での人との接触を減らすことで感染を防げると考えられます。
テレワークは自宅で仕事ができるため、人との接触を最小限に抑えることができ、感染症対策に有効です。
オフィス機能の省力化
テナント料や光熱費などオフィス運営に関わる費用をなるべく抑えることは企業の資金を増やすという意味においてBCP対策につながります。
テレワークの導入によってオフィス機能が省力化を果たせば、これまで必要としていたオフィスに関わる費用を削減することができ、BCP対策に効果的です。
BCP対策にテレワークを導入する際の注意点
BCP対策としてテレワークを導入する際、テレワークであっても従業員が通常どおりの業務をおこなえなければ事業継続性は見込めません。
そのため、テレワークを実施するときには、従業員の業務環境やセキュリティ対策の整備をおこない、業務状況を管理下におくことが重要となります。
在宅での業務環境の整備
テレワークをおこなう場合、在宅で使用できる通信機器やインターネット環境を用意することが必須となります。
会社で提供するPCを使用するのか、自宅のPCを使用するのか、インターネット環境は自宅にあるのかなど、ハード面の準備をしっかりおこなうようにしましょう。
また、在宅勤務時の光熱費や通信費の金銭面の負担については、就業規則などで企業の取り決めをおこない、争いがないようにすることも重要です。
情報セキュリティ対策の徹底
テレワークにおいては、情報漏洩やサイバー攻撃やウイルス感染などのセキュリティリスクへの対策を考える必要があります。
自宅という慣れた環境で仕事をおこなうことによって、心の緩みが出て情報の扱いが乱雑になってしまったり、自宅のPCのセキュリティ対策が万全にされていなかったためにインシデントが発生してしまったりという恐れがあるためです。
社内のシステム担当者と現場の管理者とが事前に意見交換をおこない、十分なセキュリティ対策を進めるようにしましょう。
業務遂行状況の管理
テレワークでは、従業員が仕事をしている様子が直接見えないため、業務遂行状況を把握しにくいというデメリットがあります。
業務遂行状況がわからないと、適切な仕事の配分ができない上に、従業員のモチベーションや業務パフォーマンスが低下してしまう恐れがあるためです。
つまり、テレワークであっても、管理者はWeb会議システムや通話などで定期的に業務遂行状況を確認するようにしましょう。
BCP対策にテレワークを導入しよう
新型コロナウイルス感染症の拡大だけではなく、テレワークの推奨や多様な働き方の推進、デジタル化が求められる中で、従来の考え方・手法では事業継続性を確保することが困難になってきています。
自然災害や感染症拡大などの緊急事態への対応、オフィスの省力化に伴う費用削減という意味で、BCP対策にテレワークを導入することは効果的です。
また、多くの企業でテレワークが進むなかで、ITツールやビジネスチャットの導入も忘れないようにしましょう。
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