社内相談窓口の設置が必要な理由と効果的な運営の仕方は?
目次
社内相談窓口は、社会問題にもなっているパワハラやモラハラの対応や社員のメンタルヘルス対策やストレスチェックなどにも活用するために設置が必要になりました。
社内相談窓口の設置が必要になった背景には、2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法によって設置が求められるようになったからです。
大企業に設置が義務化された段階ではありますが、中小企業であっても社員の働きやすさや風通しのよい職場にするためには、社内相談窓口のような仕組みを持つことは重要です。
職場環境や労働環境の改善にもつながる社内相談窓口の設置方法や効果的な運用方法や注意点を見ていきましょう。
社内相談窓口の設置が必要な理由
労働安全衛生法の第69条により、事業者は労働者の健康教育や、健康相談に応じるよう努めることが義務づけられています。[※1]
労働安全衛生法の第69条は、労働者が快適に働ける環境を整備するために用意されたもので、主にメンタルヘルスケアを目的としています。
さらに2020年6月1日からは、改正労働施策総合推進法も試行しました。[※2]
改正労働施策総合推進法はパワハラ防止法とも呼ばれ、社会問題化しているパワーハラスメントやモラルハラスメントに対応する窓口の設置を求めるものです。
現在は大企業のみ義務化された法律ですが、中小企業に関しても努力義務が課せられており、中小企業においても2022年4月1日から義務化されることになっています。
また、相談窓口の設置を怠った場合、是正勧告などの処分を受ける可能性あり、企業イメージの低下や働いている社員の不満や不信感につながってしまうかもしれません。
2022年4月1日からは、すべての企業で社内相談窓口の設置が必要になりますので、しっかりと理解し準備を進めておくことが中小企業にも求められます。
社内相談窓口の設置の仕方や注意点
職場内の衛生委員会などで協議をおこない、設置についての指針や運営ルールを定めます。
その中で、社内相談窓口の設置をするのに重要なのは、相談対応をする人材を決めることです。
デリケートな内容の相談を扱う可能性が高い立場になりますので、衛生管理者や産業医、カウンセラーなどの外部の専門家や社内に精通した人事や労務などの業務をおこなっている内部の社員から選ぶこともあるでしょう。
相談員に選ばれた社員に対して研修などをおこなうことも、必要になるかもしれません。
相談員が決定したら、どのように相談を受け付けるか、相談後の対応はどうするか、プライバシーの保護など細かな部分を詰めて、社員にどのような運営内容になるかを周知して安心して相談ができる環境づくりに努めましょう。
実際に運用してから見えてくる課題などもあるでしょうから、マニュアルやルールは改善していくように定期的に見直しや即時対応ができるような柔軟性を持てるようにしておくといいでしょう。
社内相談窓口は設置して終わりではない
社内相談窓口は、設置することがゴールではありません。
重要なのは、社員が社内相談窓口の存在を正しく認識し、相談が必要と感じたタイミングですぐに相談できる体制が整っている必要があります。
相談の内容がパワハラやモラハラだという場合、多くののケースで部下が上司の問題について相談をすることになるでしょう。
これは弱い立場の社員にとってみれば非常に難しく、勇気が必要になるはずです。
社員が安心して問題を相談し、告発できる運営を取り入れなければ、社内相談窓口は一切意味を成しません。
窓口を設置しただけで、ハラスメントの抑止力が必ずしも強まるわけではないため、設置後に効果的な運営をおこなえるかどうかが重要といえるでしょう。
また、相談窓口の担当者に求められることは、相談者の内容に対する事実確認と情報が漏れないように気をつけることです。
相談内容を冷静に事実かどうか見極め、事実調査なども情報漏洩に気を配りながら慎重に進める必要があります。
事実確認が取れた相談については適切に対処していく必要がありますが、内容に応じて専門家などに相談をおこなえるような仕組みを事前に用意しておくことも重要です。
社内相談窓口を効果的に運営するには?
社内相談窓口の機能を効果的に運営するためにはどのようなポイントを意識しておけばいいでしょうか。
社内相談窓口の機能を飾りだけで終わらせないようにするために、意識すべきポイントを整理しておきましょう。
相談方法を複数用意する
どのような相談方法が適しているのかは、相談の内容や相談者の状況、考え方によっても異なります。
面談という形で直接相談したいと考える人がいれば、匿名で話を聞いてもらいたいという人もいるでしょう。
相談方法によって相談しやすさや相談しようと感じる部分が変わってくるので、相談方法を複数用意して相談しやすくする必要があります。
対面の相談ができる窓口を用意する以外にも、電話相談、チャットやメールをつかった相談などを用意することで相談者が相談方法を選べるようにしておくといいでしょう。
女性担当者など複数の相談員を用意する
相談内容によっては女性社員は相談員が女性のほうがいいという場合もあるでしょう
男性の相談員と女性の相談員を選べるようにしておくといいかもしれません。
また、相談員を複数人用意することで相談員の負担も減りますし、相談者も話しやすい相談員を選べるということで利用しやすくなるでしょう。
内容によっては、専門家や専門医などに相談したほうがいいこともあるかもしれませんので、適切な相談先を紹介できるように用意して誘導してあげるということも必要かもしれません。
専門家に相談が必要という内容でなくても、社内の人ではなく外部の人のほうが相談しやすいということもあります。
外部相談員の利用もできるようにするとより多くの相談や利用につながる可能性もありますので、相談先の選択肢を考えておくことも重要です。
社内相談窓口が身近な存在であることを周知する
社内相談窓口を設置したら、社内相談窓口の利用のハードルを下げるようにしましょう。
相談がないことは好ましい状態ともいえますが、気軽に利用できない状態であると社内相談窓口を設置した意味がありません。
基本的にパワハラなどのハラスメント防止のために設置義務が課されたものではありますが、相談内容に縛りを持たす必要はなく、社員が働きやすくなるための相談やストレスチェックやメンタルヘルス対策を兼ねて相談を受け付けることも大切です。
些細な相談でも聞いてくれるという印象を社員に与え安心感を与え、社内相談窓口を身近に感じてもらえる工夫をしましょう。
定期的に利用を呼び掛けたり、社内で相談窓口の存在を周知したり、情報発信をおこなうなどもいいかもしれません。
社内相談窓口が、社員が快適に働けるために設置されたものであると理解してもらい、利用の促進や安心を与えられる存在となるような運用を意識しておこないましょう。
専門家や外部相談員に依頼する
必要に応じて外部相談員や専門家を利用する必要性があるといってきましたが、相談内容が心身の問題であったり、パワハラやセクハラ、モラハラなどといって社内の人間関係に大きな影響があるものや処罰なども発生してしまう内容であれば、最初から専門家に相談できるようにしておくことも大切です。
社内相談員は事実確認が仕事になりますが、相談員のキャパや手が及ばないような深刻な内容や、ナイーブな内容の相談は、社内の相談員が話を聞いたとしても聞いただけで終わってしまう可能性もあるからです。
社内相談員のことを考えても専門家や適切な機関に相談できるようにするほうが得策ということもあります。
また、社員が相談しても意味がない、真剣に対応してもらえない、といったネガティブな印象を社員が社内相談員に対して抱いてしまうと、相談員自身もストレスになりますし、社内相談窓口を無意味なものと社内で感じられてしまうかもしれません。
社内相談員のスキルやノウハウにもよる部分もありますが、専門家や外部相談員に内容によっては委託することは対応の質を高めるという部分でも効果的でしょう。
社内相談窓口の相談はChatworkで受付!
社内相談窓口を設置したとしても、身近に感じてもらえなかったり、相談する気にならいような運営では意味がありません。
相談しやすい雰囲気や仕組みを作り、多くの社員に相談窓口を利用してもらえるようにすることが重要です。
そのために大切なポイントとなるのが、よりプライバシーに配慮できる対面以外の相談窓口を用意することでしょう。
相談すること自体を悩まないように相談を受け付けられる方法を導入することで、相談しやすさを感じてもらえることにつながります。
メッセージのやり取りが可能なツールをお探しの場合は、ビジネスチャットの「Chatwork」が適しているかもしれません。
Chatworkで相談を受け付けることによって、相談も応対もメールよりもスピーディーに進めることができるでしょう。
また、気軽に連絡を取ることができるChatworkであれば、社内相談窓口以外に通常の業務や社内のコミュニケーションの活性化にも利用できる機能が備わっていますので、Chatworkの導入は効果的といえるでしょう。
社内相談窓口の設置や社内コミュニケーションに関してお悩みの方は、Chatworkの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※1]出典:労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000057
[※2]出典:職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000683138.pdf
※本記事は、2021年2月時点の情報をもとに作成しています。