働き方改革が始まったきっかけは?内容や実施のメリットとともに解説

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働き方改革
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働き方改革が始まったきっかけは?内容や実施のメリットとともに解説

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目次

働き方改革関連法の施行により、多くの企業で働き方改革が進められています。

働き方改革を実施することで、労働者一人ひとりがワークライフバランスに合わせた多様な働き方を実現できるでしょう。

今回の記事では、働き方改革が始まったきっかけや、その具体的な内容について解説します。

実施のメリットについても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

そもそも働き方改革とは?

働き方改革とは、労働者一人ひとりがワークライフバランスに合わせた多様な働き方を選択できる社会を実現するための取り組みです。

現代の日本は少子高齢化による労働人口の減少や、働き方のニーズの多様化など、さまざまな問題に直面しています。

2018年には「働き方改革関連法」が成立し、2019年4月1日より順次施行が始まりました。

企業には今、生産性の向上や就業機会の拡大などを通じ、労働者が意欲・能力を十分に発揮できる環境を整備することが求められています。

ワークライフバランス実現に向けた取り組みに関する記事はこちら

働き方改革が始まったきっかけ

働き方改革はなぜ推進されるようになったのでしょうか。

ここでは、働き方改革が始まったきっかけについて解説します。

  • 人口減少による労働者不足
  • 出生率の低下
  • 労働生産性の低迷
  • 長時間労働による健康被害

人口減少による労働者不足

働き方改革が始まった大きなきっかけは、人口減少による労働者不足です。

特に、中小企業では深刻な労働者不足が発生しています。

労働者不足を解消するため、働き方改革で女性や高齢者などの就労機会を増やしている企業もあります。

また、労働者不足は日本の社会保障システムにも重大な影響を与えるでしょう。

労働者不足により健康保険制度の支え手が減少する一方で、少子高齢化により受給者は増大しています。

このまま放置すると将来的な影響は拡大の一途をたどるため、迅速な対応が求められているのです。

出生率の低下

出生率の低下も、働き方改革が始まったきっかけの一つです。

人口の維持にはおおむね2.07の合計特殊出生率が必要といわれていますが、2023年は1.20と大きく下回っています。[※1]

出生率の低下は労働人口の減少にもつながり、労働者不足の原因となるでしょう。

出生率を上げるには、ワークライフバランスを改善し、働きながら育児をしやすい環境を整えることが重要です。

しかし、現在の日本は共働き世帯が多く、働きながら育児をすることが難しいという問題があります。

特に、女性は結婚・出産・子育てによりキャリアアップの機会を失うことが多いでしょう。

このような事態を解決するために、働き方改革による労働環境の改善が求められています。

労働生産性の低迷

労働生産性とは、投入した労働量に対してどのくらいの産出量を生み出したかを数値化した指標です。

労働者1人あたり、もしくは労働1時間あたりにどれだけの成果があったかを把握できます。

労働生産性が高いほど、少ない労働量で多くの成果を得ているといえるでしょう。

日本はアメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・カナダ・イタリアなどの主要先進国と比べると、労働生産性が最下位です。

この現状を改善するためにも、働き方改革が求められています。

長時間労働による健康被害

長時間労働による健康被害が発生していることも、働き方改革が求められるきっかけの一つといえるでしょう。

長時間労働が常態化すると適切な休養が取れず、疲労やストレスなどで心身に重大な健康被害を及ぼす恐れがあります。

また、過労死や過労自殺などの労働災害が発生するリスクも高まるでしょう。

実際、さまざまな企業で長時間労働による労働災害が問題となり、労働環境の改善が求められるようになりました。

長時間労働による健康被害を防ぐためにも、働き方改革は重要です。

長時間労働の問題に関する記事はこちら

働き方改革の目的

働き方改革にはどのような目的があるのでしょうか。

ここでは、働き方改革の目的について解説します。

  • 長時間労働の改善
  • 労働格差の是正
  • 多様な働き方の実現

長時間労働の改善

働き方改革の大きな目的として、長時間労働の改善があげられます。

日本は先進国のなかでも労働時間が長い国といわれています。

また、有給休暇取得のしにくさや年間休日の少なさなども問題です。

長時間労働を改善するため、働き方改革関連法でも労働時間に関する規定が定められています。

企業では、休日の出勤禁止や残業の事前申請制のほか、短時間勤務制度やフレックスタイム制度などを導入する企業が増えています。

また、業務効率化による労働時間の短縮を図っている企業もあるでしょう。

労働格差の是正

労働格差の是正も、働き方改革の目的の一つです。

日本では、これまで正社員と非正規雇用の従業員の待遇差や賃金格差などが問題視されていました。

具体的には、通勤手当の金額に差があったり、派遣切りにあったり、アルバイト・パートは有給休暇が取得できなかったりするなど、さまざまな不平等があったのです。

こうした労働格差をなくす動きも、働き方改革によって高まっているといえるでしょう。

また、建設業・製造業・飲食業など、人手不足が慢性化している業界では、非正規雇用から正社員採用を行っています。

多様な働き方の実現

多様な働き方の実現も、働き方改革の目的の一つです。

現代の日本は、育児や介護と仕事の両立など、労働者の働き方に対するニーズが多様化しています。

多様な働き方に対応できる環境を整えることで、さまざまな労働者が働きやすい社会を実現できるでしょう。

例えば、在宅勤務を許可したり、短時間勤務制度・フレックスタイム制度を導入したりしている企業があります。

また、福利厚生として職場にキッズスペースや託児所を設置している企業もあり、子連れでの出勤が可能です。

働き方改革関連法の内容

具体的に、働き方改革関連法にはどのような内容が含まれているのでしょうか。

ここでは、働き方改革関連法の内容について解説します。

時間外労働の上限規制

時間外労働には上限規制が設けられており、以下の3つすべての条件を満たさなければなりません。[※2]

時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とする

臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(2~6カ月平均が全て80時間以内)を限度とする

臨時的な特別な事情がある場合でも時間外労働が月45時間を超えるのは年6か月を限度とする

有給休暇取得の義務化

働き方改革関連法により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日以上の年次有給休暇を取得させることが義務付けられました。[※3]

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日、取得時季を指定して年次有給休暇を適宜与えなければなりません。

この労働者には、管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。

時季指定は労働者の意見を聴取し、可能な限り希望に沿った取得時季を実現しなければなりません。

勤務間インターバル制度の努力義務化

労働時間等設定改善法の改正により、勤務間インターバル制度が企業の努力義務となりました。[※4]

勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を設ける制度です。

日々の労働において必ず一定時間の休息時間を確保し、労働者の生活時間や睡眠時間を守ります。

労働者のワークライフバランスを守る制度として期待されており、ほかの働き方改革への取り組みと合わせて実施すれば、より高い効果を発揮するでしょう。

フレックスタイム制の拡充

フレックスタイム制とは、労働者が日々の始業・就業時刻や労働時間を自ら設定できる制度です。

フレックスタイム制は、以下の2つを満たせば導入できます。

就業規則等に規定すること

労使協定で所定の事項を定めること

また、労働基準法の改正によりフレックスタイム制が拡充され、清算期間の上限が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。[※5]

清算期間は、労働時間の調節を行える期間を指します。

清算期間が延長されたことで、仕事と生活の調和を取りながら柔軟な働き方を選択できるようになりました。

高度プロフェッショナル制度の導入

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識等を持ち、一定の年収要件(最低1,075万円以上)を満たした労働者に関して、労働時間、休憩、休日および深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度です。[※5]

該当者には働く時間や時間配分に関して、自分で決定できる広範な裁量が与えられます。

適用するためには、以下の3つの手続きが必要です。

  • 労使委員会の決議
  • 所轄労働基準監督署長への決議の届出
  • 労働者本人の同意

また、対象労働者の健康を確保するため、以下の4つを確実に実施しなければなりません。

  • 健康管理時間の把握
  • 休日の確保
  • 選択的措置
  • 健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置
  • 同一労働同一賃金の義務化

同一労働同一賃金とは、同一の労働をした場合は同一の賃金を支給するという考え方です。

雇用形態に関わらない均等・均衡待遇を確保するための考え方で、正社員と非正規雇用労働者の間における不合理な待遇差の解消を目指しています。[※6]

同一労働同一賃金では、賃金だけでなく、福利厚生やキャリア形成・能力開発なども含めた取り組みが必要です。

厚生労働省のホームページでは「同一労働同一賃金ガイドライン」が公開されており、具体例付きで問題のある待遇差と問題のない待遇差を示しています。

中小企業への割増賃金率の猶予措置の廃止

企業は月60時間以上の時間外労働に対して、50%の割増賃金を支払わなければなりません。

2023年3月31日までは、中小企業に対してこの割増賃金率を25%にする猶予措置がされていました。

しかし、2023年4月1日からは猶予措置が廃止され、大企業と同様に50%の割増賃金を支払う義務が生じています。[※7]

ただし、引き上げ分の割増賃金の代わりに代替休暇を付与することも可能です。

働き方改革のメリット

働き方改革を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、働き方改革のメリットについて企業側・従業員側両方の視点から解説します。

企業側のメリット

働き方改革による企業側のメリットは、主に以下の3つです。

  • 生産性が向上する
  • 経費を削減できる
  • 人材が定着する

以下の見出しで、それぞれのメリットについて解説します。

生産性が向上する

働き方改革は生産性の向上につながります。

労働格差の是正により労働者の能力や職務が正当に評価されるようになり、業務やスキル向上に対するモチベーションが高まるでしょう。

また、長時間労働が解消できれば、心身ともに健康な状態で働けるようになるため、業務の効率化が実現できます。

さらに、多様な働き方を選択できることで、労働者一人ひとりの持つ能力を発揮しやすくなるでしょう。

その結果、生産性の向上が期待できます。

経費を削減できる

働き方改革は、無駄な経費の削減にも効果があります。

長時間労働が是正できれば従業員の時間外労働や休日出勤を減らせるため、残業代を削減できます。

また、人の手で行っていた業務をシステム化できれば、人件費をより抑えられるでしょう。

さらに、在宅勤務などの多様な働き方が可能になると出社する必要がなくなり、オフィスの賃料や従業員の通勤手当なども節約できます。

このように、働き方改革は経費面でも大きなメリットがあるのです。

人材が定着する

働き方改革で従業員が働きやすい環境が整えられれば、人材が定着しやすくなります。

また、多様な働き方のニーズに対応することで、働く意思はあるものの環境によって労働参加を諦めていた人材も確保できるでしょう。

さらに、長時間労働を解消し柔軟な働き方がしやすい環境にできれば、育児や介護を理由とした離職も減らせます。

その結果、人材が定着しやすくなるだけでなく、求職者の応募増加も期待できるでしょう。

従業員側のメリット

働き方改革による従業員側のメリットは、主に以下の2つです。

  • ワークライフバランスが整う
  • ライフスタイルに合った働き方ができる

以下の見出しで、それぞれのメリットについて解説します。

ワークライフバランスが整う

働き方改革により長時間労働を解消できれば、ワークライフバランスが整えられます。

プライベートにかけられる時間が増えるので、生活や趣味を充実させられるでしょう。

さらに、副業に回せる時間が増えるのもメリットです。

また、休息もしっかり取れるため、心身ともに健康な状態で過ごせるでしょう。

その結果、モチベーションや生産性にも良い影響を与え、目標を持って仕事に取り組めるようになります。

ライフスタイルに合った働き方ができる

働き方改革で多様な働き方が認められるようになれば、ライフスタイルに合った働き方が可能です。

在宅勤務や短時間勤務制度・フレックスタイム制度などにより、さまざまな働き方を選択できるでしょう。

出産や育児・介護などでライフスタイルが変化しても仕事を辞めずに続けられ、仕事との両立が可能です。

また、職場にキッズスペースや託児所を設置している企業なら子連れでも出勤でき、安心して働き続けられるでしょう。

働き方改革の問題点

働き方改革にはメリットがある一方で、問題点もあります。

最後に、働き方改革の問題点について解説します。

労働時間短縮による業務の影響

働き方改革は長時間労働の改善を目的としていますが、業務量が変わらないまま労働時間のみを短縮するのは危険です。

人手不足が起きている企業で無理やり労働時間を短縮すると、時間外労働として申請できない残業が生まれる恐れがあります。

従業員が自宅に仕事を持ち帰って対応してしまうので、数字上は残業が減っていても実質労働時間が変わっていなかったり、むしろ増えてしまったりする場合もあるでしょう。

一方的に残業を禁止したり労働時間を短縮したりするのではなく、自社が抱えている問題の本質を見極めて対策することが大切です。

残業代の減少

労働時間が短縮されると残業時間も減るため、残業代が減少します。

家計を残業代に依存していた場合、残業時間が減ると急な収入減が起きる恐れがあるでしょう。

その結果、家計にとって大きな打撃となり、生活に困ってしまうことも考えられます。

このような事態を防ぐため、企業は基本給の見直しや、残業を減らした従業員の賞与を増やすインセンティブ制度の導入などを検討しましょう。

また、労働者側も節約をしたり、収入源を増やしたりして対策するのがおすすめです。

働き方改革のきっかけを理解し労働環境の改善を図ろう

働き方改革のきっかけを知ることで、日本の労働環境のどこに問題があるか理解できます。

また、目的を認識しながら働き方改革を進めれば、問題解決の方向性を見失う心配もないでしょう。

働き方改革は企業・従業員双方にメリットのある改革です。

自社はどこを改善すべきか見極め、労働者が働きやすい環境を整えましょう。

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