リスクマネジメントを企業がする目的とリスクマネジメントの適切な進め方
目次
企業の情報漏洩問題や、災害による企業への影響への対策が求められる中、「リスクマネジメント」という言葉が注目されるようになりました。
ビジネスのグローバル化や情報技術の急速な発展をはじめとする社会情勢の変化にともない、企業はさまざまなリスクに直面する可能性があります。
リスクに対して何かしらの対策を講じるリスクマネジメントは、事業継続や経営目標達成のためにはなくてはならない重要事項です。
企業に求められるリスクマネジメントの定義や目的、対策例について紹介しますので、参考にしてみてください。
企業がすべきリスクマネジメントとは
リスクマネジメントとは、企業経営に損失を及ぼす危険性があるリスクに対して適切に対処することにより、損失を回避するあるいは最小限に抑える経営管理手法を意味します。
将来に起こる可能性があるリスクを想定したうえで、リスクが起こった場合の対策を考える対応です。
リスクマネジメントには、ふたつの側面があり、ひとつ目は「リスクの発生確立を低下させる」こと。
そして、ふたつ目は、「リスクが起こった際の対策をあらかじめ考えておく」ことが大切になります。
これらを意識して企業はリスクマネジメント対策を用意し、実行していくことが求められます。
リスクマネジメントを企業がする目的
リスクマネジメントを企業が講じる際には、さまざまな目的があります。
リスクマネジメントが、なぜこれほどまでに注目され、取り入れられているのか、背景に潜む目的について解説します。
事業継続リスクへの対応
企業が事業を継続していくためには、事業利益や社会的信用が欠かせません。
リスクマネジメントは可能性があるすべてのリスクに対策を講じることで、事業における損失を最小限にとどめ、株主をはじめとする関係者、一般消費者からの信用を失墜させないようにすることが目的です。
事業機会損失リスクへの対応
リスクマネジメントの対象となる要因には、製品の事故、顧客からの苦情、偽装問題、情報漏えい、コンプライアンス違反、自然災害など、多くの要素が存在します。
上記のリスクが生じた場合、企業は直接的な金銭的損失を被るだけではなく、社会的な信用を失う可能性も避けれられません。
一般消費者からの社会的信用が得られなくなれば、事業機会の損失が起こり、結果として企業の売上は低下してしまいます。
また、一般消費者だけでなく、取引先企業からの信用も失くし、ビジネスが難しくなります。
情報漏洩対策の必要性
情報技術が急速かつ高度に発展した現代社会においては、IT技術やITシステムを事業に取り入れて活用する企業が増加しています。
しかし、情報技術の発展にともない、企業の機密情報をインターネットを通じて盗むサイバー犯罪の危険性も高まっているのが現状です。
サイバー犯罪の被害にあってしまうと、企業は機密情報の漏洩により金銭的な被害を被り、企業イメージと社会的信用の低下につながるおそれがあります。
つまり、リスクマネジメントにおいて情報漏洩対策を講じることは、現在のビジネスにおいて欠かせないことになります。
企業がすべきリスクマネジメント対策
リスクマネジメントは事業継続と経営目標達成のために、必要な要素です。
しかし、具体的にどのような対策を講じることが必要なのでしょうか。
企業においてリスクマネジメントを導入する際に、必ずおこなうべき対策についてご紹介します。
リスク管理部署を設置する
リスクマネジメントを効果的かつ確実に進める場合、リスクマネジメントを業務として取り組むリスク管理部署を設置することが有効です。
自社の事業活動において起こる可能性があるリスクを想定し、リスク発生時の対策を検討します。
また、リスクの対策が本当に効果的であるかどうかをモニタリングし、適宜改善していく必要があります。
社内のコンプライアンス違反によるリスクに対しては、コンプライアンス問題を相談できる従業員用窓口を設置することも効果的です。
従業員に対するリスクマネジメント教育の実施
リスクマネジメントの対象となる要因にはさまざまな種類が存在します。
従業員個人では対策できないような不可抗力のリスクも存在するため、必ず防ぎきれるとは限りません。
一方で、従業員が意識を持って防止策に取り組むことで、リスクを抑止できるものも多く存在します。
たとえば、コンプライアンス違反や情報漏洩が挙げられ、従業員に対してリスクマネジメント教育を実施することが有効です。
コンプライアンス違反については、どのようなものがコンプライアンス違反となるかについての実例や、なぜコンプライアンス違反をしてはいけないか、などについて指導するのが適切です。
また、情報漏洩は、社内の機密情報の取り扱いのルールや、怪しいメールやサイトへの対処法などの教育をおこなうことで、リスクを防ぎやすくなります。
アクシデント発生時の代替手段の確保
自然災害やサーバーダウンなど、アクシデントが生じた場合であっても、何らかの代替手段を用意しておくことで、事業活動を継続できるようにしましょう。
また、アクシデント発生時の代替手段を検討する場合には、アクシデント発生からの行動のフローチャートを策定し、冷静に対応することが求められます。
リスクマネジメントを企業が進めるには
リスクマネジメントを経営管理手法として有効に取り入れるためには、対策を順次立てて行い、PDCAサイクルを回していくことが欠かせません。
リスクマネジメントを実施する際の主なプロセスについて、解説します。
リスクの特定
リスクの特定とは、企業活動において発生すると想定されるリスクを洗い出すことです。
リスク管理部署の従業員だけではなく、さまざまな部署の従業員にヒアリングをおこない、考えられるすべてのリスクを一覧に示します。
社内の情報のみならず、ニュースや新聞、ビジネス誌の情報を参考にし、最近の社会情勢においても可能性があるリスクを把握することも必要です。
リスクの算定・評価
リスクを特定したあとはは、それぞれのリスクに関して「発生する確率」と「起こった際の影響の大きさ」を定量的に算定します。
その後、算定した数値をもとに対策の重要度順にリスクを並び替えます。
定量的な評価だけでは算定が難しい場合には、定性的な評価も加えることも検討しましょう。
リスク対策の方法選択
リスク対策を検討する上で有効な方法として、リスクコントロールとリスクファイナンシングというふたつの手法が挙げられます。
リスクコントロールは、リスクが起こる確率を低下させ、損失を最小化させることが目的となります。
一方、リスクファイナンシングは、損失が起こった場合に金銭的な補充をおこなうことが目的です。
具体的には、保険で損失を補償してもらうことや、自社の積立資金によって損失を補います。
リスク対策の実施
検討したリスク対策を実際に履行するために、具体的なリスクマネジメントプログラムを策定します。
そして、リスクマネジメントプログラムを実施し、対策後のモニタリングと評価に移ります。
対策後のモニタリングと評価
リスク対策を実施したのちは、必ずプロセスを評価し、対策で得られた結果を振り返るようにしましょう。
リスク対策を講じても残留する損失を算定したうえで、リスクマネジメントプログラムを段階的に評価します。
改善すべき対策については、再度計画を練り直し、目標となる数値まで残留損失を減らせるようにPDCAサイクルを回すことが大切です。
リスクマネジメントを徹底して企業の損失を防ごう
社会情勢の変化が激しい現在においては、企業にとってさまざまなリスクが顕在化しています。
経済活動における損失を防ぎ、事業継続性を高く保つためにも、リスクマネジメントは欠かせません。
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