BCP訓練とは?BCP訓練の進め方とBCP訓練実施のポイント
目次
自然災害や予期せぬ緊急事態に備えて、BCP(事業継続計画)を策定する企業が増加しています。
しかし、日ごろから十分にBCP訓練をしておかないと、いざというときに意味がないものとなってしまいます。
BCPが実際に必要になった場合に備えて、どのような訓練をしておけばよいのでしょうか。
企業を将来的に存続させるためにも、BCP訓練の理解と進め方について解説します。
BCP訓練とは
BCPとは、Business Continuity Planの頭文字を取った言葉で、日本語に訳すと「事業継続計画」という意味を持ちます。
自然災害や緊急事態が起きた際に、企業経営の被害を最小限に抑えながら、事業の継続を目的とした策定です。
そして、BCP訓練は、企業経営に被害を与えるような事態に遭遇した場合に備えて、日ごろから経営陣や従業員で訓練をおこなうことを指します。
BCP訓練が求められる理由
BCP訓練が求められる理由は、自然災害による被害が増加しているためです。
2019年、中小企業庁が公表した「中小企業白書」によると、日本国内における自然災害の件数は、2001〜2005年の36件から、2011〜2015年には47件と右肩傾向にあります。[注]
とくに、日本は地震大国とも呼ばれており、過去30年の間に阪神淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)と大地震が頻繁に発生しています。
当然ながら企業への被害も大きく、いつ起こるか分からない災害に備えて、BCP対策はもちろん、日常的にBCP訓練を実施する必要があります。
BCP訓練の種類
BCP訓練と言っても、さまざまな種類があります。
企業の特徴や災害に合わせて、どのようなBCP訓練を実施するか参考にしてみましょう。
机上訓練
机上訓練とは、BCP訓練のなかでも一般的な訓練方法で、企業が策定したBCPの内容どおりに行動できるかを議論します。
BCPの実施に関わる従業員や経営層が、計画自体に問題がないかをチェックする訓練です。
実際に訓練は被害を想定した訓練をおこなうわけではありませんが、日ごろからBCPの内容をイメージをしておくことで、緊急事態に備えてチームの方向性を確認できます。
代替オフィスへの移動訓練
施設機能に影響を及ぼすような大地震が発生した場合、既存のオフィスが使えなくなってしまうことがあります。
代替オフィスへの移動訓練は、オフィスとしての機能が使えなくなった事態に備えて、事業や経営基盤をほかのオフィスに移動させる訓練です。
また、オフィスだけでなく、工場が被災した際に、生産拠点をほかの工場に移すことも移動訓練に含まれます。
バックアップデータの保存・出力訓練
自然災害や緊急事態による企業への影響は、経営やオフィスだけでなく、データにもおよびます。
たとえば、停電によってサーバーが破損した場合、普段使っているデータをほかのサーバーからも抽出できるように準備をしておく必要があります。
スペアとなるサーバーの選定やバックアップ体制など、緊急事態が起きた場合でも、データの復旧に支障が出ない状態に整備する訓練です。
BCP訓練の進め方
BCP訓練は、単純に訓練を実施するだけでなく、適切な進め方に沿っておこなうことが推奨されます。
どのような進め方によって、BCP訓練を実施するべきか解説します。
BCP訓練の計画と準備
BCP訓練を実施する際には、まずBCP訓練そのものの計画を決めます。
たとえば、BCP訓練の種類、どのような災害を想定するかといったシチュエーションを計画し、BCP訓練を進めていきます。
また、緊急事態に近い形でBCP訓練をおこなうためにも、人員やシステムなどの準備も必要です。
緊急事態発生時の役割分担をする
BCP訓練では、実際に被害が発生したことを想定して、個々の役割分担を明確にしておきます。
データの移設を行うデジタル班や、従業員の身の安全を確認する連絡班などを決め、緊急事態が発生した場合の行動を確認し合います。
さらに、被害状況の細かく設定しておくと、各班の判断力を養えるようになり、訓練としての価値を高めることも可能です。
BCP訓練のフィードバックをおこなう
BCP訓練は、訓練後に実施するフィードバックも重要です。
訓練において問題があって点や、実際の緊急事態に向けて強化するべき内容などを取り上げ、常に改善するようにします。
また、フィードバックを実施する場合、訓練に参加した従業員が自由に意見を出せるような環境を用意しましょう。
悪かったことを振り返ることもBCP訓練では大切な要素であるため、さまざまな意見を取り入れ、修正をしていきます。
BCP訓練を実施する際のポイント
BCP訓練の効果を得るためにも、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
実際に緊急事態が発生した場合に備えて、どのようなことを意識するかがポイントです。
従業員にBCP訓練の目的を浸透させる
まずは、従業員にBCP訓練を実施する目的を浸透させることです。
BCP訓練は、あくまでも訓練であるため、緊張感が抜けてしまったり、訓練そのものの必要性を感じてしまったりする従業員も出ると考えられます。
しかし、いつ起こるかわからない緊急事態に対して、BCP訓練の存在意義を徹底的に理解することが大切です。
従業員自身の生活のためにも、企業活動の存続を目的としたBCP訓練の目的を共有するようにしましょう。
被害状況を細かく設定する
BCP訓練では、可能な限り被害状況を細かく設定することも重要です。
地震を想定とした訓練であれば、震度や地震の発生地域、オフィスにどのような影響が出たのかを具体的に設定します。
細かい被害状況の設定によって、緊急事態が起きた場合に備えて冷静な対応力を身につけることが可能です。
BCP訓練の価値を高めるためにも、さまざまなシチュエーションでの被害状況を想定しましょう。
日常業務からBCP対策を意識する
BCP訓練だけでなく、日ごろの業務からBCPを意識しながら取り組むことも大切なポイントです。
たとえば、メール以外にもチャットツールを用いたり、従業員各自にスマートフォンを配布したり、緊急時に備えて連絡手段を強化します。
日常的に代替手段を取り入れることで、緊急事態が起きても慌てずに、対応できるようになります。
災害時に備えてBCP訓練を実施しよう
自然災害や緊急事態がいつ発生するかわからないなかで、BCP訓練の重要性を再確認することが求められます。
BCP訓練では、どのような影響を及ぼすかを想定し、日ごろから訓練することで被害を最小限に抑えるようにしましょう。
多くの従業員を抱えている企業や、地方に拠点が分散している企業であれば、緊急時における連絡手段の確保がポイントです。
チャット形式でメッセージのやりとりをおこなうビジネスチャットツール「Chatwork」は、拠点や部署などでチャットルームを作り、日常業務だけでなく緊急時の連絡手段にもなります。
いつ緊急事態が起きても混乱が生じないように適切なBCP対策と危機感を持ちながらBCP訓練をおこなうようにしましょう。
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[注]出典:2019年中小企業白書|中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/2019/html/b3_2_1_2.html