脱ハンコのメリットとは?実現方法や事例をポイントとあわせて解説

働き方改革
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目次

国が脱ハンコ宣言をして以来、印鑑や署名の電子化「脱ハンコ」を検討する企業が増えています。

脱ハンコは、押印のための出社をなくし、テレワークの普及や多様な働き方を後押しするとりくみとして、注目を集めています。

しかし、脱ハンコの実現方法が分からず、導入を見送る企業もあるかもしれません。

脱ハンコのメリットや、実現方法を事例と合わせて解説します。

脱ハンコとは

脱ハンコとは、書類や文書への押印をなくすとりくみです。

2020年に、国が働き方改革を推進するとりくみの一環として、脱ハンコを目指し、行政手続きの押印を99%以上廃止すると発表しました。

なお、2022年の時点で、婚姻届や確定申告書などへの押印廃止が決定しています。

国の脱ハンコ宣言に影響を受け、電子印鑑や電子署名などへ転換する企業が増えています。

脱ハンコが広まる背景にある問題点

脱ハンコが広まる背景には、テレワークの導入やペーパーレス化の推進があります。

脱ハンコを阻んでいる、ハンコ文化の問題点について見ていきましょう。

ハンコ文化がテレワークの導入を阻害している

多様な働き方の推進などにより、テレワークの導入を検討する企業が増えています。

しかし、脱ハンコが進んでいない企業では、押印のために出社する必要があるため、テレワークの導入を見送るケースが少なくありません。

つまり、脱ハンコはテレワークの導入を後押しし、多様な働き方を実現するために必要なとりくみと考えられるでしょう。

ハンコ文化がペーパーレス化の障壁になっている

従来のように紙とハンコで承認をおこなう仕組みは、紙などの購入にかかる費用や、管理する社員のコストがかさみます。

また、紙とハンコの承認は、コンプライアンスやセキュリティの観点からみても、紛失や不正などのリスクが高いといえるでしょう。

書類のペーパーレス化や脱ハンコは、コスト削減やリスク低減の課題解決になるため、企業にとってメリットがあるとりくみでしょう。

ハンコ文化が企業の生産性を低下させている

紙の書類に承認のハンコをもらうためには、書類の作成、印刷、配布、押印、書類の回収など、承認完了までに数日かかるのが一般的です。

また、取引先との契約など、社外とのやりとりが必要な場合、さらに多くの時間を要してしまいます。

 

つまり、ハンコ文化は、時間と労力が必要になってしまい、結果として企業の生産性を下げる原因になっていると考えられます。

企業が脱ハンコを進めるメリット

脱ハンコの推進には、多様な働き方の実現など、7つのメリットがあります。

企業が脱ハンコを進めるメリットについて見ていきましょう。

多様な働き方の実現につながる

脱ハンコによって書類の電子化が進むことで、場所や時間を選ばずに、承認作業をおこなえるようになるため、多様な働き方が実現できます。

その結果、多種多様な人材が集まりやすくなり、組織の多様化も期待できるでしょう。

コストの削減になる

脱ハンコの導入で、書類へ押印するための出社が必要なくなると、承認作業をおこなう社員の業務や時間を削減できます。

また、ペーパーレスが実現できることで、紙の書類にかかる用紙代、印刷代などの費用や、管理にかかる人件費、保管スペースの削減も可能になります。

生産性の向上が見込める

紙の書類に押印する作業を省くことができるため、力を入れるべきほかの業務に費やす時間が増え、生産性の向上が期待できます。

社員がやりがいを感じられる場面が増え、モチベーション向上も期待できるでしょう。

セキュリティやコンプライアンスの強化になる

文書を電子化する際に、セキュリティ対策も万全にすることで、紛失や盗難などのリスクを減らすことができます。

また、操作記録が残るシステムを活用することで、文書の改ざんや情報漏えいなど、コンプライアンス面でのリスク防止になります。

社員のワーク・ライフ・バランスの実現につながる

ハンコの承認業務にかかる時間の削減や、脱ハンコによるテレワーク導入で、業務時間の使い方が変わるため、ワークライフバランスの実現を期待できます。

ワークライフバランスは、昨今の就職活動や転職活動で重視されるため、採用活動にもポジティブな影響を与えるでしょう。

環境問題に貢献できる

紙の利用は、森林伐採や自然環境の破壊などにつながるため、世界規模で問題視されています。

脱ハンコによるペーパーレス化を進めることは、紙の処分やリサイクルの際に排出されるCO2を減らすことにつながるため、地球温暖化防止になります。

環境問題へ貢献することは、企業のブランディングにもつながるでしょう。

世間からの評価につながる

多様な働き方の採用や、ワークライフバランスの実現は、企業の柔軟性を表す指標となります。

また、セキュリティ対策やコンプライアンスの強化、環境問題への貢献は、社会や環境に対する高い責任感を示します。

企業の柔軟性や責任感の強さは、取引先や顧客などから好意的にとらえられ、企業評価にもプラスの影響を与えるでしょう。

企業が脱ハンコを進めるデメリット

企業が脱ハンコを進める際は、業務内容の変更が必要になるなど、4つのデメリットが考えられます。

業務内容や仕組みの変更が必要

印鑑や署名を電子化し、ペーパーレス化が進むと、業務内容や業務の仕組みが変わるため、業務フローを見直す必要が出てきます。

また、脱ハンコの導入担当者への負担や、変更後の業務内容や仕組みに、社員が慣れるまでの負担が考えられるでしょう。

そのため、企業が脱ハンコを進める際は、担当者の負担を軽減する方法や、社員がスムーズに業務を進められる方法を検討したうえで、導入するようにしましょう。

電子化できない文書や書類がある

文書や書類のなかには、紙の書面で作成する義務のある文書もあるため、すべてが電子化できるわけではありません。

電子化できない書類の例
  • 事業用定期借地契約
  • 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約
  • 意見後見契約書

また、契約者の承諾・希望・請求がなければ電子化できない文書や書類もあるため、電子化を進める際は、法令を確認する必要があります。

契約者の承諾・希望・請求がなければ電子化できない文書
  • 建設工事の請負契約書
  • 下請会社に対する受発注書面
  • 不動産売買・賃貸借契約の重要事項説明書

ツールやシステムの導入コストが必要になる

電子化にあたり、電子印鑑や電子契約サービスなど、ツールやシステムの導入が必要になるため、導入コストが発生します。

サブスクリプション型のサービスを利用した場合、長期で定期的なコストが発生します。

特に有償オプションを利用する場合は、かかる費用が多くなるため、導入の際は、機能面に加えて、コスト面でも比較するようにしましょう。

社内で反対意見があがることもある

慣れ親しんだ方法を変えることは、心理的に抵抗を感じる人もいるため、ハンコ文化に愛着がある人など、脱ハンコに反対する人もいるでしょう。

反対意見を無視して導入した場合、反対意見の人は企業への不信感を募らせ、企業への愛着心を損なう可能性があります。

脱ハンコを導入する際は、従業員との話し合いの場を設けて、脱ハンコで享受できるメリットを説明するなど、従業員の納得を得たうえで進めるようにしましょう。

脱ハンコが向いている企業の特徴

脱ハンコが向いている企業には特徴があります。

とくに、以下の項目に該当する企業は、脱ハンコが向いている企業といえるでしょう。

  • ハンコの押印に関わる業務削減をしたい
  • 文書や書類の電子化で、コスト削減をしたい
  • 企業や社員の生産性を向上させたい
  • テレワークの導入を推進したい
  • 多様な人材を確保したい
  • セキュリティやコンプライアンスを強化したい

脱ハンコが不向きな企業の特徴

一方、以下の項目に該当する企業は、脱ハンコが不向きな企業です。

  • 紙の作成が義務づけられた書面を多く扱う
  • 取引先や顧客が脱ハンコに消極的
  • 脱ハンコの導入を担当できる人材が不足している

とくに、取引先や顧客が脱ハンコを受け入れていない場合に、脱ハンコを導入してしまうと、関係性が悪化する可能性があるため、注意が必要です。

脱ハンコを実現するためのポイント

脱ハンコを実現するためには、いくつかおさえておきたいポイントがあります。

脱ハンコを実現するためのポイントを見ていきましょう。

法令を確認する

まずは、自社が扱う文書や書類に、法令でハンコの押印が定められたものが、どのくらいあるのかを把握します。

あわせて、取引先などの関係各所に書類電子化の希望可否の聞き取りをおこない、電子化に承諾が必要な場合は、承諾を得るようにしましょう。

社員の理解を得る

脱ハンコの導入は、社員の協力なくして実現できません。

よって、社員に導入を納得してもらう必要があるため、社員が享受できるメリットや、導入後の流れなどを説明する場を設けましょう。

予算を明確にする

ツールやシステムの導入にはコストが必要になるため、自社の予算内で、脱ハンコに費やせる金額を明確にする必要があります。

 

導入に費やせる予算が明確になれば、おのずと選択肢も絞ることができるでしょう。

自社に適した方法を明確にする

企業により、脱ハンコの導入に適した方法は異なります。

自社に最適なサービスを見極めるため、書類のやりとりの流れや、社員が利用しやすいシステムはどのようなものなのかを、明確にしましょう。

社内のルールや仕組みを整える

脱ハンコを導入する際は、社内の押印や文書管理に関する規定を見直し、脱ハンコに合わせた規定に変更する必要があります。

電子契約書類の作成に関わる責任者や管理者、閲覧権限についても明確にし、円滑に運用するためのルールを整えましょう。

ルールを整備する際に、社内フローの見直しや、アップデートもあわせておこなうと、よりスムーズに導入することができます。

電子契約サービスやシステムを活用する

システムの構築などを自社内でおこなうのは、難易度が高いため、脱ハンコを断念する要因になるかもしれません。

しかし、電子契約サービスを活用すれば、スムーズな導入が可能です。

トラブルがあった際なども、サポートや対処をしてもらえるため、万が一のことがあった場合でも安心でしょう。

脱ハンコの実現方法

脱ハンコの実現方法は、主に3つあります。

脱ハンコの実現方法について詳しく見ていきましょう。

電子印鑑を導入する

電子印鑑とは、電子化された印鑑のことで、紙の書面に押印するのと同様に、デジタルで作成した書類への押印ができます。

作成方法は複数あり、実際に紙に押印した判をスキャンしたり、イラスト作成ソフトで作成したり、電子印鑑作成ツールで作成したりします。

印影のデータにシリアルナンバー(識別番号)を組み込んだものを活用すれば、電子印鑑の複製予防や、押印した社員の識別もおこなえます。

また、ハンコの押印のように、判の向きを間違えたり、インクが滲んだり擦れたりなどの失敗もなくすことができます。

電子署名を導入する

電子署名とは、紙の書類におけるサインの役割を果たすもので、ソフトとタッチペンなどをもちいて、デジタルの書面に署名する方法です。

書類の作成者を明確にし、改ざんされていない正式な書類であると証明できるようになります。

国が指定した認証局が発行する「公開鍵証明書」を活用すれば、タイムスタンプによる改ざん防止や、実在する人物による署名である証明にもなります。

紙の書類と同様な効力をもつため、電子化した書類の効力を不安視する取引先や顧客の安心にもつながるでしょう。

ワークフローシステムを活用する

ワークフローシステムとは、電子印鑑や書類の電子化などを、まとめておこなえるシステムです。

システムを活用すれば、書類の申請・確認・承認をまとめておこなえるため、業務の工数削減になります。

承認までの流れを可視化でき、作業を滞らせている人物を特定することも可能なため、一連の流れがスムーズになります。

企業の目的や取引先との状況などによって、最適な方法は異なるため、導入前にシステムの比較をおこなうようにしましょう。

脱ハンコを導入した企業の事例

脱ハンコを導入した企業事例をみていきましょう。

捺印による出社軽減を実現したケース

テレワーク導入の際に、捺印による出社負担が課題になった企業の事例です。

以下が脱ハンコにとりくむ前の課題と、実施したとりくみです。v

社内アンケートの結果、捺印のための出社が、テレワーク勤務の負担になっていることが判明したため、社内の印鑑手続きを完全に廃止した例です。

導入前の課題 テレワーク導入後、捺印の出社が社員の負担になっている
実施したとりくみ 社内(系列含む)の印鑑手続きを完全廃止
(公的に捺印が必要な書類を除く)

取引先との契約締結で脱ハンコを実現したケース

テレワークの導入にともない、取引先との契約締結に必要な捺印・署名を在宅対応に切り替えた企業の事例です。

以下が脱ハンコにとりくむ前の課題と、実施したとりくみです。

導入前の課題 取引先との契約締結における捺印・署名のための出社が、テレワークをおこなう社員の負担になっている
実施したとりくみ 取引先との契約締結時の捺印・署名を電子署名に切り替え

この企業は、とりくみを開始する際に、取引先各所に通知書類を送付し、導入の目的や経緯説明をおこない、取引先との関係維持に努めました。

書類の回付や押印の負担軽減を実現したケース

書類の回付や押印にかかる負担を、ペーパーレス化で軽減した事例です。

以下が脱ハンコにとりくむ前の課題と、実施したとりくみです。

導入前の課題 膨大な書類の回付や押印が、社員の負担になっている
実施したとりくみ <ワークフローシステムの導入/td>

この企業は、脱ハンコに不安が残る社員が一定いたため、まずは一部の業務に限定し、試験的に業務の電子化を進めました。

試験的なとりくみを進めた結果、ペーパーレス化による負担軽減を実感したため、全体への適応を検討しています。

脱ハンコに不安が残る場合、まずは試験的に、一部の業務で導入するという選択肢もあります。

脱ハンコで社内の電子化を進めよう

脱ハンコは、社内の電子化を推進し、テレワーク普及や多様な働き方を後押しするとりくみです。

なお、社内でテレワークを推進する際は、ビジネスチャット「Chatwork」をあわせて活用することで、スムーズなコミュニケーションが実現できます。

ビジネスチャット「Chatwork」は、場所や時間を選ばずにチャット形式で、メッセージのやりとりができるため、テレワークや多様な働き方に柔軟に対応することができます。

また、タスク機能を活用することで、社内やチームの業務管理や、進捗状況の可視化ができるため、業務効率化にも役立つビジネスツールです。

テレワーク推進や業務の効率化に、「Chatwork」の活用をご検討ください。

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Chatworkの中の人です。お役立ちコラムの編集者として、ワークスタイルの変化に伴うコミュニケーションと組織のあり方など発信していきます。

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