DX推進指標とは?DX化を進めるための活用方法をわかりやすく解説
目次
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、日本企業が競争社会で優位に立つためにとりくむべき活動です。
しかし、DX推進の進捗は芳しくなく、IT人材不足やシステムのレガシー化などの課題が浮き彫りになっています。
そこで、経済産業省は、日本企業がDXのとりくみ状況を自己診断するためにDX推進指標を策定しました。
DX化を促進するDX推進指標について、目的や活用方法、注意点を解説します。
DX推進指標とは?
DX推進指標とは、2019年に経済産業省が策定した、DXのとりくみ状況を自己診断するためのツールです。
DX推進指標は、DX推進に向けた経営や仕組みに関する指標と、DX実現の基盤となるITシステムの構築に関する指標の2つから構成されています。
キークエスチョンとサブクエスチョンにわけられた35項目からなっており、企業が抱える課題や解決に向けた内容が記載されています。
DX推進指標が策定された背景
DX化とは、企業がデジタル技術を活用して社会のニーズに応える新たな商品やサービスをうみだし、イノベーションをもたらし競争社会で優位になるために、経済産業省が推進している活動のことです。
しかし、DXへとりくめている企業が少なかったり、とりくみを始めていても進捗が芳しくなかったりするため、日本企業のDX化は遅れている状態です。
その結果、DX部門だけでなく、経営幹部や事業部門、IT部門などさまざまな部門がDX推進に関する課題を共有し、解決をはかることが求められたため、DX推進指標が策定されました。
DX推進指標の目的
DX推進指標は、企業が部門間で課題を共有することにより、さまざまな部門の意見から改善策を見出したり、次にとりくむべき工程を把握できたりすることを目的としています。
また、経済産業省は、企業が他社と自社のDX推進の状況を比較できるようにベンチマークを作成しており、情報収集と分析のために企業の自己診断結果を中立組織に提出することをすすめています。
DX化が進まない理由
DX化が進まない理由は、IT人材不足やシステムのレガシー化があげられます。
現在の日本は少子高齢化社会であるため、ITに精通した人材が高齢となり退職することで、企業のIT技術を維持できなかったり、働き手の減少により新たな人材を得づらかったりします。
また、システムのレガシー化により、IT人材が既存システムの運用業務のみに従事せざるを得ない状況が多いため、イノベーションを起こせるデジタル機器の開発にまで着手できないことも、DX化が進まない理由のひとつです。
DX推進指標の成熟度チェックとは
DX推進指標の成熟度を、レベル0からレベル5までの6段階でチェックできます。
レベル0が最も低い成熟度で、DX推進に無関心であったり、とりくめていなかったりする状況です。
最上位のレベル5は、DX推進にとりくんでおり、グローバル競争を勝ち抜けるレベルの企業と位置づけられています。[※1]
成熟度レベル | 特性 |
---|---|
レベル0:未着手 | 経営者が無関心もしくは関心があってもとりくめていない |
レベル1:一部での散発的実施 | 企業戦略が明確でないなか、部門単位で実施している |
レベル2:一部での戦略的実施 | 企業戦略に基づき一部の部門での推進 |
レベル3:全社戦略に基づく部門横断的推進 | 仕組みが明確であり部門横断的に実施されている |
レベル4:全社戦略に基づく持続的実施 | 指標を定め持続的な実施 |
レベル5:グローバル市場におけるデジタル企業 | グローバル競争を勝ち抜けるレベルの企業 |
「DX 推進指標」とそのガイダンスについて
「DX 推進指標」とそのガイダンスとは、DX推進指標策定の目的や使い方、DX推進の定量指標などがまとめられたガイドラインで、2019年7月に経済産業省が公表しました。
DX推進指標の項目だけでなく、DX推進指標のキークエスチョンやサブクエスチョンの具体的な趣旨や留意点、DX推進の成熟度を評価する方法などが記載されているため、自社のDX推進の進捗具合を自己分析しやすいでしょう。
DX推進のメリットとは
DX推進は、企業が競争社会で優位に立つことを目的としているため、社会のニーズを満たす商品やサービスの追求によって、社会にイノベーションをもたらすことにつながります。
イノベーションをもたらすことで、企業価値が向上し継続的な経営が可能になったり、新たなITツールの導入で業務効率化をはかれたりするでしょう。
また、デジタル機器の性能を高めることにより、地震や停電などによるシステムの停止やデータの紛失トラブルを防げる可能性も高まります。
DX推進指標を活用する方法と注意点
DX推進指標は、DX化を進めていくために活用することが求められています。
DX推進指標を活用する方法と注意点を解説します。
DX推進の流れを把握する
何から始めればいいかわからない場合は、まずDX推進指標を読み、どのようなことにとりくんでいけばいいのかを理解することが大切です。
DX推進は一部の部門だけでなく、企業全体でとりくむべき活動のため、DX部門やIT部門など関連する部門だけでなく、経営者からその他の部門まで流れを把握しておきましょう。
自社のDX推進状況を把握する
自社のDX推進状況を自己分析して、足りていない部分を把握したり、DX化を必要とする範囲を決めたりする必要があります。
自己分析も、DXの関連部署だけでなくさまざまな部門で内容を共有し、意見交換をして課題を見つけることが大切なため、企業全体でとりくむ意識をもちましょう。
点数を取ることが目的ではない
DX推進指標は、推進指標でよい点数をとることが目的ではなく、社内でDX推進の進捗状況や課題を認識し、共有することが目的です。
DX推進指標で自己分析をおこなうことで、各部門が課題に対し受け止めている深刻度合いの差を埋めることにつながったり、対処法の認識を統一できたりします。
DX推進の目的を明確にする
DX推進の本来の目的ではなく、よい点数をとることや経営指標を定めることを目的とした場合、DX推進の本質からずれてしまいます。
DX推進へ効果的にとりくんでいくためにも、DX推進の目的を明確にし、目的がぶれないよう社内で認識を一致させましょう。
DX推進の注意点
DX推進にとりくむにあたり、いくつか注意点があります。
想定効果との乖離を確認する
当初想定していたDX推進の効果と、結果を比較し、どのくらい乖離があるのかを把握することで、失敗しているか否かを確認できます。
また、実際に乖離していた場合は、ずれが生じた箇所を確認し改善していくことが大切です。
マニュアルやサポート体制を確認する
DX推進をするツールやベンダーを導入する際には、マニュアルやサポート体制を確認しましょう。
ツールやベンダーを機能や価格を重視して選ぶと、マニュアルがわかりづらかったり、サポートがなかったりして、実際に運用するのが難しくなる恐れがあります。
実運用が難しい場合は、ほかの運用しやすいツールやベンダーに切り替えるといいでしょう。
効果検証体制は整っているか
効果検証体制を整えずに導入した場合、効果や改善点がわからないなどで結果的に失敗してしまう恐れがあります。
定期的に効果検証することで、効果や改善点がわかったり、想定外の状況にすぐに気がついたりできるため、DX化に向けて適宜修正しながら進められます。
DX推進指標を活用して業務効率改善を目指そう
DX推進指標は、経済産業省が策定した、DXのとりくみ状況を自己診断するためのツールです。
DX推進指標でおこなった自己診断結果を、企業の部門間で共有することにより、改善策を見出したり、次にとりくむべき工程を把握できたりします。
DX推進にとりくむことで、業務効率化をはかれたり企業価値が向上したりというメリットを得られるため、DX推進指標を活用し、企業全体でDX化を進めていきましょう。
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[※1]出典:経済産業省「DX推進指標」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/dgs5/pdf/004_s04_00.pdf
※本記事は、2022年6月時点の情報をもとに作成しています。