【社労士監修】年間休日とは?最低ラインや平均、決め方をわかりやすく解説

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働き方改革
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【社労士監修】年間休日とは?最低ラインや平均、決め方をわかりやすく解説

目次

年間休日とは、企業が定める1年間の休日数です。

年間休日は、企業の採用活動や従業員の生産性にも影響するため、企業は適切な年間休日の設定が求められています。

従業員の満足度を高めるために、年間休日の最低ラインや平均日数を知っておきましょう。

年間休日とは

年間休日とは企業が定める1年間の休日数のことです。

労働基準法で定められている「法定休日」と企業が独自で定めている「法定外休日」を合わせた日数が年間休日となります。

そのため、年間休日は企業ごとに異なり、何日にするかは企業の判断にゆだねられています。

年間休日の最低ラインとは

休日は労働基準法で「週1日」または「4週を通じて4日以上」休日を設けなければならないと定められています。

仮に日曜日のみを休日とした場合、年間休日は52日が最低ラインとなります。

しかし、労働基準法では週の労働時間が40時間を限度として定められているため、1日の所定労働時間が8時間の企業であれば週5日が労働日の限度日数です。

週5日勤務の場合は、年間260日が出勤日数の限度日数になり、残りの105日が年間休日の最低ラインとなります。[※1]

そのため、1日の所定労働時間が8時間の企業は、年間休日が105日を下回ると労働基準法違反になる可能性があります。

年間休日の平均日数とは

「令和4年就労条件総合調査の概況」によると、年間休日の平均は従業員1人あたり107日との結果が出ています。

また、企業規模別にみると「1,000人以上」が115.5日、「300~999人」が114.1日、「100~299人」が 109.2日、「30~99人」が105.3日と、企業規模が大きいほど年間休日は多い傾向にあります。[※2]

ただし、年間休日は産業別でも異なっており、企業規模が大きければ年間休日が多いわけではありません。

たとえば、東京産業労働局の調査では、金融・保険業が121.2日であるのに対し、宿泊飲食サービス業は97.7日と産業によって大きく差が出ています。[※3]

年間休日に含まれる休暇・含まれない休暇

年間休日は名称を問わず、企業が休日として定めた日が年間休日に含まれます。

休日や休暇といった言葉の定義の違いや、含まれる休暇と含まれない休暇について解説します。

休日・休暇・休業の違い

休日・休暇・休業は「会社を休む」という点では同じですが、異なる意味を持っています。

それぞれの違いは以下のとおりです。[※4]

  • 休日:労働の義務がない日
  • 休暇:労働の義務が免除された日(短期間のもの)
  • 休業:労働の義務が免除された日(長期間のもの)

休日は、就業規則で定められた「公休日」にあたるため、従業員は申請せずに休むことができます。

一方、休暇・休業は労働の義務がある日に休むことをいい、基本的には従業員の申出や申請によって休みとなります。

一般的には、短期間のものを「休暇」と呼び、長期間休むものは「休業」と呼んでいます。

含まれる休暇

「休暇」という名称がついている休みでも、就業規則で休日として定めていれば年間休日に含みます。

たとえば、夏季休暇や年末年始休暇などで、企業が休日として定められている場合は年間休日の日数としてカウントします。

含まれない休暇

有給休暇や介護休暇などは、従業員が任意で取得できる休暇であることから、年間休日の日数には含まれません。

年間休日は、必ず休みになる日が対象となるため、従業員によって取得日数が異なる有給休暇などは含まれないことになります。

年間休日の最低ラインを下回るケースとは

1日の所定労働時間が8時間の企業では、年間休日の最低ラインは105日です。

しかし、以下のような条件次第で最低ラインを下回るケースがあります。

労働時間が短い

最低ラインの105日は、1日の所定労働時間が8時間であることが条件です。

そのため、1日の所定労働時間が8時間を下回る場合は105日を下回っても違法になりません。

たとえば、1日の所定労働時間が7時間30分の場合、最大労働日数は278日(2,080時間÷7.5)となり、年間休日の最低ラインは87日になります。[※1]

変形労働制を採用している

変形労働時間制とは、繁忙期に長い労働時間を設定し、閑散期に短い労働時間を設定することにより、効率的に労働時間を配分できる制度です。

変形労働時間制は大きく分けて以下2つに分かれています。

  • 1か月単位の変形労働時間制
  • 1年単位の変形労働時間制

1か月単位の変形労働時間制は、1か月の範囲内で週平均40時間の労働時間内に収まっていれば1日の労働時間に制限がなくなる制度です。

休日数も、法定休日である「週1日」または「4週を通じて4日」以上休日を与えていれば違法とならないため、最低ラインの105日を下回るケースがあります。

一方、1年単位の変形労働時間制は、1か月超から1年の範囲内で1日の労働時間を変動できる制度です。

ただし、対象期間が3か月を超える場合は、年間休日の最低ラインが85日と定められています。[※5]

1年単位の変形労働時間制は、通常の最低ラインである105日を下回ることも可能ですが、85日を下回れないことを覚えておきましょう。

年間休日の最低ラインを下回った場合の罰則

休日は、週に1回または4週間に4回の法定休日を設ける必要があります。

企業が定めた休日が法定休日数を下回った場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。[※6]

また、週40時間を超えて労働させた場合は割増賃金支払いが必要です。

割増賃金支払い義務に違反した場合も、同様の罰則が科せられるので、注意しましょう。

年間休日の決め方とは

年間休日は、企業ごとに異なりますが、休日数である程度傾向がわかります。

年間休日数 傾向
125日 通常のカレンダーより休日が多い
120日 ほぼカレンダー通りの休日
110日 土日休みで祝日は出勤、もしくは隔週で土曜日が出勤になる
105日 1日の所定労働時間が8時間の企業における最低ラインの休日数

年間休日の日数ごとに想定される休日を解説します。

年間休日125日

年間休日が125日の企業は、通常のカレンダーより休日が多い企業です。

土日祝に加えて、夏季休暇や年末年始休暇、創立記念日など、企業独自の休日を設けている企業が該当します。

年間休日120日

年間休日が120日の企業は、ほぼカレンダー通りの休日です。

土日祝休みの企業が120日となることが多くあります。また祝日がない企業で、お盆や年末年始が休みという場合も120日になることが多いです。

年間休日110日

年間休日が110日の企業は、土日休みで祝日は出勤、もしくは隔週で土曜日が出勤になるようなケースです。

土日休みで祝日を出勤する代わりに夏季休暇、年末年始休暇などを設けている企業もあります。

年間休日105日

年間休日が105日は1日の所定労働時間が8時間の企業における最低ラインの休日数です。

労働時間は週40時間が上限の原則であるため、1年間で260日が労働日数の限度となります。そのため、残りの105日が年間休日の最低ラインとなります。

従業員の働きやすさを向上させる取り組み

年間休日は、求職者が企業を選ぶ際に重視している項目の一つです。

しかし、年間休日を増やすだけで優秀な人材が集まるわけではありません。働きやすい職場であることが人材確保の重要な要因です。

従業員の働きやすさを向上させる取り組みはさまざまあります。

  • 福利厚生や制度を充実させる
  • 柔軟な働き方を採用する
  • 適正な評価制度を採用する
  • 教育や研修制度を整備す
  • 円滑な情報共有を実現する

各取り組みについて解説します。

福利厚生や制度を充実させる

福利厚生や制度が充実していると、従業員の仕事に対するモチベーションが向上し、生産性向上にもつながります。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 企業独自の休暇制度
  • 育児や介護支援制度の整備
  • 社内クラブやサークル活動
  • 社内研修や自己啓発支援

企業規模や業種によって、導入できる福利厚生や制度は異なります。

自社の従業員のニーズや状況に合わせて、最適な制度を検討することが大切です。

また、福利厚生や制度を充実させる際には、従業員の声を積極的に聞き、制度の利用率や満足度を定期的に調査することも重要です。

柔軟な働き方を採用する

柔軟な働き方とは、従業員のニーズに合わせて、働く時間や場所を自由に選択できる働き方のことです。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 在宅勤務
  • フレックスタイム制度
  • 裁量労働制
  • 時差出勤制度

柔軟な働き方を採用することで、従業員のワークライフバランスが向上するだけではなく、育児や介護の両立もしやすくなり、働きやすさを向上させます。

適正な評価制度を採用する

適正な評価制度とは、従業員の成果や貢献度を公正かつ客観的に評価できる制度のことです。

適正な評価制度が導入されていると、従業員は自身の仕事が評価されていると実感でき、モチベーションが向上します。

また、評価結果に基づいて給与や昇進などの処遇が決定されるため、従業員のキャリアアップへの意欲を高められるでしょう。

教育や研修制度を整備する

教育や研修制度が整備されていると、従業員のスキルや知識が向上され、仕事に対する自信ややりがいも高めることができます。

また、キャリアアップや自己実現の機会を得られるため、仕事に前向きに取り組むことができるでしょう。

教育や研修制度を整備する際には、実施する目的を明確にし、従業員と企業がともに成長につながる内容にすることが大切です。

円滑な情報共有を実現する

情報共有が円滑に行われれば、従業員は必要な情報を迅速かつ正確に把握することができ、仕事の効率化やミスの防止につながります。

また、コミュニケーションの活性化にもつながり、従業員同士の理解や信頼を深めることで、働きやすい環境を整えることができるでしょう。

情報共有には、従業員が利用しやすい適切なツールを導入し、浸透させることが大切です。

円滑な情報共有に「Chatwork」

年間休日とは、労働基準法で定められている「法定休日」と、企業が独自で定めている「法定外休日」を合わせた休日数です。

年間休日が多ければ、ワークライフバランスが充実し、従業員の定着率も向上するでしょう。

しかし、年間休日が多ければ、働きやすい職場になるというわけではありません。

柔軟な働き方を採用したり、円滑にコミュニケーションができる環境を整えたりなど、さまざまな取り組みを行う必要があります。

ビジネスチャット「Chatwork」はチャット形式でコミュニケーションがとれるビジネスツールです。

グループチャットを作成すれば、複数人でも簡単にコミュニケーションをとることができます。

円滑なコミュニケーションができれば、従業員同士の理解や信頼を深められ、働きやすい職場環境が構築できるでしょう。

従業員の働きやすさを向上させる取り組みとして、ぜひ「Chatwork」の導入をご検討ください。

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[※1]厚生労働省「労働時間、休憩及び休日」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118961.pdf
[※2]厚生労働省「令和4年就労条件総合調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/dl/gaikyou.pdf
[※3]東京都産業労働局「中小企業の賃金事情(令和元年版)」
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/r1tintyou_33_36.pdf
[※4]労働政策研究・研修機構「日本労働研究雑誌 休日と休暇・休業」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2015/04/pdf/054-055.pdf
[※5]厚生労働省「1年単位の変形労働時間制の手引き」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/jikanka/1nen.pdf
[※6]e-Gov法令検索「労働基準法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

※本記事は、2023年11月時点の情報をもとに作成しています。


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

記事監修者:北 光太郎

きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。

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