【社労士監修】Society5.0とは?意味や事例をわかりやすく解説

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働き方改革
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【社労士監修】Society5.0とは?意味や事例をわかりやすく解説

目次

人間中心の社会(Society)は、原始時代の狩猟社会からはじまり、作物を育て、機械を作り、現代ではインターネットで世界と繋がるようになりました。

そして技術は発展し、仮想空間と現実空間を融合させたシステムによって、また一歩社会が進化しようとしています。

新たな社会(Society5.0)で日本が今後目指す未来について解説していきます。

Society5.0が目指す未来とは

Society5.0とは、仮想空間と現実空間を融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会のことです。

内閣府の第5期科学技術基本計画において、日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

Society5.0では、ビッグデータを踏まえたAIやロボットが、今まで人間が行っていた作業や調整を代行・支援する社会と定義されています。

人が日々の煩雑で不得手な作業などから解放され、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができる社会を目指しています。[※1]

Society4.0までの社会

内閣府では、社会の変化をSociety1.0から4.0まで定義しており、それぞれ以下の特徴を表しています。[※1]

Society1.0
(狩猟社会)
狩りや採集をして生活をする社会
Society2.0
(農耕社会)
米や小麦など作物を育てて安定した食糧を確保できる社会
Society3.0
(工業社会)
機械や蒸気機関の開発などで大量生産や長距離移動が可能になり、経済発展した社会
Society4.0
(情報社会)
インターネットの普及によりあらゆる情報が手に入る社会 

Society4.0の課題

インターネットが普及したSociety4.0の情報社会では、人々の働き方や暮らしは大きく変わりました。

一方、Society4.0では以下の課題も生まれてきました。

  • 知識や情報の共有不足
  • 地域の課題や高齢者のニーズに十分な対応ができない
  • 必要な情報の探索や分析が困難
  • 年齢や障害などによる労働や行動範囲の制約

それぞれの課題を詳しく解説します。

知識や情報の共有不足

インターネットの普及により、Society4.0ではあらゆる情報が手に入るようになりました。

しかし、Society4.0では自ら情報を取りに行き、それを自ら活用する必要があります。

そのため、情報が取れず共有できない人と、情報を使いこなせる人の間には情報格差が生まれているのが現状です。

地域の課題や高齢者のニーズに十分な対応ができない

知識や情報の共有不足による情報格差が生まれたことにより、地域の課題や高齢者のニーズに十分な対応ができなくなっています。

たとえば、過疎化している地域ではインターネットに詳しい人がいないと情報が行き届かず、地域の課題を解決するための情報を得ることが難しくなります。

また、自らの課題を発信する術がなければ、課題を解決する糸口をみつけることができません。

高齢者においても同様に、情報を得る手段を身に着けていない人にとっては、情報を得ることも活用することも難しい状況となっています。

必要な情報の探索や分析が困難

多くの情報があふれていることで便利になった反面、情報が多すぎてどれが必要な情報かを探索し、分析することが困難になりました。

Society4.0では、情報を探索・分析するのはあくまで「人」であり、情報が多ければ多いほど、一人の負担が多くなります。

たとえば、「パソコンの修理方法」をインターネットで検索すれば、多くの情報が出てきます。

しかし、どれが最適でコストがかからない方法かを検証するのは探索者自身であり、情報があるほど時間がかかり、分析が困難になるという課題があります。

年齢や障害などによる労働や行動範囲の制約

Society4.0では多くの情報が手に入る一方、課題を解決するのは自分自身です。

たとえば、課題を解決する方法が力仕事であれば、年齢や障害などによっては解決が困難になる場合もあります。

そのため、年齢や障害によって労働や行動範囲が制約されているものは、解決できないという課題があります。

Society5.0で実現する社会

これまでのSociety4.0の社会では、情報は豊富に手に入りますが、それを活用するには多くの人的コストや時間的コストが必要でした。

Society5.0では、AIやロボティクスなど新しい技術を導入することにより、コストをかけずに課題を解決できるため、今まで人が労力をかけていた部分が軽減されます。

たとえば「検索」は、Society4.0では以下の手順で情報を検索していました。

  1. 情報を入力
  2. 知りたい情報が書いていそうなサイトを人が選ぶ
  3. 選んだサイトの中から情報を人が探す

上記のように、知りたい情報は人が取りにいかなければなりません。

しかし、Society5.0では以下の手順で情報が検索できます。

  1. 情報を入力
  2. AIがキーワードを分析して情報を提供
  3. 知りたい情報が自動的に手に入る

AIが自動的に情報を提供してくれるため、サイトを選ぶ必要がなくなります。

このように、コンピュータ自身が情報を活用することで、これまで実現できなかった新しい価値を生み出し、より充実した社会の実現を目指すのがSociety5.0です。

Society5.0を支える技術

経済産業省によると、Society5.0を実現するためのカギは第4次革命技術と言われています。

その革命技術は以下のようなものが挙げられます。

  • AI(人工知能)
  • ロボティクス(ロボット)
  • ビッグデータ解析技術
  • IoT
  • XR(エクステンデッドリアリティまたはクロスリアリティ)

それぞれの技術を詳しく解説します。

AI(人工知能)

AI(人工知能)とは、多くの情報をコンピューターにより分析し、推論や問題解決などの知的行動をコンピューターに行わせる技術を指します。

一人で多くの文献や情報を整理するのは難しく、限界がありますが、AIに学習させることにより、分析にかかる時間を大きく短縮できます。

たとえば、レシピを考えるときには、膨大な量のレシピサイトから情報を探し、自分で作るものを判断しなければなりません。

しかし、AIを活用すれば、今家にある食材を入力しただけで最適なレシピを提案してくれます。

このように、AIを活用することで、人が情報を取りに行くのではなく、コンピューターから提案を受ける社会へと変わっていくことが予想されています。[※2]

ロボティクス(ロボット)

ロボティクス(ロボット)の技術は、力仕事や危険な仕事を大いに助けることとなるでしょう。

昨今ではロボットを身体に装着して、重い荷物を運ぶ作業を軽減してくれる技術も登場しました。

これにより、人間の身体にかかる負担を大きく軽減し、力のない人でも重労働が可能になります。

また、危険な場所への調査には、ドローン(無人航空機)を使えば危険を冒すことなく調査を行うことが可能です。

ビッグデータ解析技術

ビッグデータとは、インターネットとIT技術の発展により、蓄積された膨大なデータのことです。

現在では多くの情報がインターネット上に存在しており、AIがビッグデータを解析して新しいサービスが開発されています。

たとえば「自動運転」は、AIが周囲を走行している車両や歩行者、道路の白線や標識などを検知し、その情報をもとにコンピュータが運転するものです。

ビッグデータを活用することで、社会の課題解決が大きく進むと期待されています。[※3]

IoT

IoTとは、家電や住宅、車などの「モノ」にネットワークを接続することをいいます。

たとえば、エアコンとスマートフォンが接続されていれば、外出先からでも温度調整が可能になります。

また、車にIoTが搭載されれば、スピードの自動制御や盗難防止機能、渋滞状況把握などもできるようになるでしょう。

このように、モノにネットワークを接続することで、遠隔地からの操作管理や安全性・利便性の向上がされるようになります。[※4]

XR(エクステンデッドリアリティまたはクロスリアリティ)

XR(エクステンデッドリアリティまたはクロスリアリティ)とは、現実の物理空間と仮想空間(VR)を融合させて、現実では知覚できない新たな体験を創造する技術です。

たとえば医療の現場で、人体について学ぶには実際に人体を解剖する必要があります。

しかしバーチャル技術で、仮想空間に人体を作り、実際にその中を覗ければ、何度でも体の構造を学ぶことができます。

XRの技術を駆使することにより、実際の体験をより充実したものにできるでしょう。[※5]

Society5.0実現に向けた各分野の取り組み

Society5.0実現に向けて、各分野ではさまざまな取り組みが行われています。

これまでは人の手を介していたことや、整備が行き届いていなかった領域にも新しい技術が参入し、さらなる発展を遂げようとしています。

特に以下のような分野での取り組みが大きく変わろうとしています。

  • エネルギー分野
  • 医療・ヘルスケア分野
  • 製造分野
  • 金融分野

それぞれの取り組みを解説します。

エネルギー分野

Society5.0では実際にそれぞれの家庭でどのくらいのエネルギーが使われているか、気象情報など多くの情報をAIで分析・解析することができます。

それにより、エネルギーの安定供給や地産地消、地域間でのやりとりなど、環境負荷の軽減を図ることができます。

また適切な需要予測ができれば、エネルギーを無駄なく安定して供給することも可能になるでしょう。 

医療・ヘルスケア分野

医療においては各個人の日常生活の健康状態や感染情報、環境情報などをAIで分析することにより、高齢者でも安心して生活できるようになるでしょう。

たとえば、ロボットによる生活や介助支援によって医療現場のスタッフの負担を軽減したり、病状をいち早く患者や医師に伝えたりなど、AIによる医療支援が期待できます。

 

製造分野

製造分野は少子高齢化によって、人材不足が課題となっています。

そのためSociety5.0では、AIやロボットの導入によって作業を自動化し、人材不足が解消されることが期待されています。

またロボットの導入により、人件費が削減されるため、企業のコスト削減にもつながるでしょう。

金融分野

昨今では多くの金融サービスがあり、どれが最適なものか自分で判断するのが困難になっています。

AIで情報を分析し、その人の生活スタイルにあった金融サービスを提供することができれば、生活水準を向上させることができ、所得格差が解消される可能性もあります。

Society5.0実現へ向けた政府の取り組み

Society5.0の実現は国を挙げての国家プロジェクトとして政府もさまざまな取り組みを行っています。

主な取り組みは以下のとおりです。

  • ITを活用したキャッシュレス化
  • 公共サービスのデジタル化
  • さまざまな働き方の実現
  • 地方創生
  • DXの推進

それぞれの取り組みを解説します。

ITを活用したキャッシュレス化

政府は、現金を必要としないITを活用した「キャッシュレス化」を推進しています。

キャッシュレス化を普及することで、日本円を持たない外国人観光客の利便性を向上し、日本経済の活性化を促す狙いがあります。

また、キャッシュレス化が進むとより細かなデータを収集することができ、それにより詳しい需要予測も可能になるでしょう。

2023年4月からは、給与デジタル払いが解禁されており、今後ますますキャッシュレス化が進むと予想されています。 

公共サービスのデジタル化

政府はSociety5.0を目指すにあたり、行政手続きの電子化を行うことで手続きのスマート化を目指しています。

マイナンバーを活用した健康保険証との一体化や銀行口座との連携により、公共サービスをスムーズにするとともに、給付金の支給や確定申告などの手続きも効率化する狙いがあります。

 

さまざまな働き方の実現

 

ICT(通信技術)を活用したテレワークが浸透し、自宅やカフェなど好きな場所で働くことができるようになりました。

現代では、遠隔地から会議に参加したり、人とコミュニケーションしたりなど、時間や場所を問わず働ける環境が構築されています。

今後、Society5.0の実現によって、ますます個人が自分の意思で働く場所と時間を選択し、自分のライフスタイルを選べるような社会になっていくでしょう。

地方創生

 

政府はSociety5.0の実現に向けた地方創生事業としてAIやIoT、自動運転、ドローンなどを活用した地域課題の解決と地方創生を目指しています。

たとえば、北海道岩見沢市では、自動走行トラクター・ドローン農薬散布を導入し、無人で農作業を行う取り組みが行われています。[※6]

また、福岡県ではメタバース(仮想空間)を活用し、ひきこもりなどで長期無業の方を対象に、個別心理相談やバーチャル交流会が実施されました。[※7]

Society5.0では、デジタルテクノロジーを活用した地域課題解決の促進が期待されています。

DXの推進

DXとは「デジタル変革」あるいは「デジタル革命」という意味です。

似たような言葉で「IT化」がありますが、ITは最新の技術を導入するまでを意味し、DXはそれらを活用していくことを意味します。

政府は、Society5.0を実現するためにDXを推進し、組織のあり方や業務の効率化を促進させる狙いがあります。

デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活をより良いものへと変革することは、今後の日本の経済発展には欠かせないものとなっています。

Society5.0に向けたDX化に「Chatwork」

「Society5.0」は、仮想空間と現実空間を融合させたシステムによって作られる新しい社会のことです。

ビッグデータやAI、IoTなどの技術の活用により、社会の課題が解決されることが期待されています。

しかし、すべての人がビッグデータやAIを活用できるわけではありません。

まずは一人一人が目の前の作業をDX化することを検討しましょう。

ビジネスチャット「Chatwork」はコミュニケーションをDX化するチャットツールです。

チャット形式のコミュニケーションだけではなく、ファイル共有やタスク管理などの機能を兼ね備えているため、プロジェクトの進行管理がスムーズに行えます。

Society5.0に向けたDX化に、ぜひ「Chatwork」の活用をご検討ください。

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[※1]内閣府「Society5.0」
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/
[※2]総務省「人工知能(AI:エーアイ)のしくみ」
https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/use/economy/economy_06.html
[※3]総務省「ビッグデータ」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc121410.html
[※4]独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
https://dx.ipa.go.jp/iot
[※5]デジタルハリウッド大学
https://www.dhw.ac.jp/now/list/howtobe/cross_reality/
[※6]内閣府「地域におけるSociety5.0の推進に向けて」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000775127.pdf
[※7]福岡県「令和5年度メタバース活用長期無業者就労支援事業を実施します!」
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/metaverse-fukuoka05.html


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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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記事監修者:北 光太郎

きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。

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