【社労士監修】マイナンバーカードが健康保険証になる?マイナ保険証について解説

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働き方改革
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【社労士監修】マイナンバーカードが健康保険証になる?マイナ保険証について解説

目次

2024年12月2日以降、現行の健康保険証は廃止され、マイナンバーカード(マイナ保険証)が健康保険証となります。

しかし、マイナンバーカードの発行や健康保険証との紐付けは従業員自身がおこなわなければなりません。

そのため、企業側はマイナ保険証のメリットや登録方法などを、従業員に説明・周知することが求められます。

本記事では、マイナ保険証のメリットとデメリット、登録方法について詳しく解説します。

マイナンバーカードとは

マイナンバーカードは、政府が発行する個人番号が記載されたカードで、行政手続きの効率化と個人の利便性向上を目的として2016年1月から発行が開始されました。

カードには氏名や住所、生年月日、12桁の個人番号、顔写真が記載されています。

マイナンバーカードは本人確認書類として利用できるほか、ICチップが搭載されているためオンラインでの本人確認にも使用可能です。

2024年8月の時点で、マイナンバーカードの取得は任意であり、強制ではありません。

しかし、現行の健康保険証が廃止になり、マイナ保険証に一本化されることで強制力は高くなるでしょう。

マイナ保険証とは

マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる制度です。

「マイナンバーカードと健康保険証の原則一本化の方針」に基づき、従来の健康保険証は2024年12月2日に廃止され、マイナンバーカードに統合されます。[※1]

現行の健康保険証が廃止される理由

現行の健康保険証が廃止される主な理由は、デジタル化による効率化と医療サービスの質向上を目指すためです。

デジタル化による行政手続きの簡素化が進められており、マイナンバーカードを活用することで、コンビニで公的な証明書を発行できたり、医療情報の一元管理ができるようになったりするなど、さまざまな手続き・情報管理が効率的におこなえるようになります。

また、マイナ保険証の利用により、医療機関間での情報共有が容易になるため、より適切な医療サービスの提供や重複投薬の防止などが期待されています。

マイナ保険証が利用できる医療機関の割合

マイナ保険証は現状、すべての医療機関で利用できるわけではありません。

2024年4月28日時点で、医療機関全体でマイナ保険証を利用できる医療機関の割合は以下のとおりです。[※2]

病院 医科診療所 歯科診療所 薬局
カード―リーダー申し込み率 98.6% 90.3% 87.8% 92.8%
マイナ保険証を利用できる機関 98.1% 89.4% 86.2% 95.3%
※数値(%)は全国平均値です。

マイナ保険証の使い方

マイナ保険証は、顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置き、顔認証や暗証番号を入力することで受付が完了します。

従来の健康保険証と違い、受付時にカードを渡すことはありません。

来院した時の流れは以下のとおりです。[※3]

  1. 顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く
  2. 本人確認の方法を選ぶ(顔認証または暗証番号)
  3. 特定健診情報や薬剤情報の各種同意
  4. マイナンバーカードをカードリーダーから取り出す

ただし、現在すべての医療機関にカードリーダーが設置されているわけではありません。

マイナ保険証はカードリーダーが設置されていない医療機関では利用できないため、現行の健康保険証を提示する必要があります。

マイナ保険証を申請する方法

マイナ保険証を申請する方法は以下の3つです。

  • セブン銀行ATMで申し込む
  • パソコンで申し込む
  • スマートフォンで申し込む

それぞれの申請方法を紹介します。

セブン銀行ATMで申し込む

セブン銀行ATMからマイナ保険証を申し込む手順は以下のとおりです。

  1. マイナンバーカードと4桁のパスワードを準備する
  2. TM画面の「各種お手続き」ボタンを押す
  3. 「マイナンバーカードの健康保険証利用の申込み」ボタンを押す
  4. マイナンバーカードを挿入する
  5. パスワードを入れる
  6. 申し込み完了

詳しい申し込み手順は、>マイナンバーカードの健康保険証利用で確認できます。

パソコンで申し込む

パソコンからWebでマイナ保険証を申し込む手順は以下のとおりです。

  1. ICカードリーダー、マイナンバーカード、4桁のパスワードを準備する
  2. 専用サイトの「利用を申し込む」をクリックする
  3. マイナポータルの利用規約を確認したあと、「同意して次へ進む」をクリックする
  4. パソコンにICカードリーダーを接続し、マイナンバーカードをセットする
  5. 「申し込む」をクリックする
  6. 4桁のパスワードを入力し、「OK」をクリックする
  7. 申し込み完了

なお、申請時にはマイナポータルの利用者登録が必要です。

詳しい申し込み手順は、>マイナンバーカードの健康保険証利用で確認できます。

スマートフォンで申し込む

スマートフォンからマイナ保険証を申し込む手順は以下のとおりです。

  1. マイナンバーカードと4桁のパスワードを準備する
  2. スマートフォン用のマイナポータルのアプリをインストールする
  3. マイナポータルのアプリから「健康保険証利用申込」をタップする
  4. 「マイナポータル利用規約」の確認後、「同意して次へ進む」をタップする
  5. 「申し込む」をタップする
  6. スマートフォンでマイナンバーカードを読み込む
  7. 4桁のパスワードを入力し、「次へ」をタップする
  8. 申し込み完了

なお、申請時にはマイナポータルの利用者登録が必要です。

詳しい申し込み手順は、>マイナンバーカードの健康保険証利用で確認できます。

マイナ保険証に切り替えるメリット

現行の保険証からマイナ保険証に切り替えることで、以下のようなメリットがあります。

  • 自己負担限度額を超える支払いがなくなる
  • 転職や引越しによる保険証の発行が不要になる
  • データに基づくより良い医療が受けられる
  • 医療費控除の確定申告の手間が削減できる

それぞれの詳細を詳しく解説します。

自己負担限度額を超える支払いがなくなる

健康保険の制度には、医療機関の窓口での支払額が高額になった場合に、あとから自己負担限度額を超えた額が払い戻される「高額療養費制度」があります。

また、窓口での自己負担限度額を超える支払いを避けるためには、事前に「限度額適用認定証」を申請し、医療機関に提示しなければなりません。

一方、マイナ保険証を利用すれば、「限度額適用認定証」がなくても限度額を超える分を支払う必要がなくなります。

事前に申請をする必要がないため、事務手続きの手間がなくなります。[※4]

転職や引越しによる保険証の発行が不要になる

マイナ保険証があれば、転職や引越しによって保険証を発行する手続きが不要になります。[※5]

現行の保険証であれば、転職した際に企業が手続きをおこない、転職先が加入している健保が保険証を発行するのを待つ必要があります。

また、国民健康保険に加入している場合は、引越しした際に自治体で発行手続きをしなければなりません。

マイナ保険証があれば、登録情報の変更手続きは必要になりますが、新しく保険証が発行される時間を待つ必要がありません。

被保険者にとっては発行までの時間が削減でき、健保側は保険証を発行する事務手続きが不要になるメリットがあります。

データに基づくより良い医療が受けられる

マイナ保険証を利用することで、過去に処方された薬や健診の情報が医療機関に共有されます。[※6]

新しい医療機関で受診する際に医師や薬剤師に過去の受診歴を口頭で伝える必要がなく、かつ正確な情報が共有できるため、より良い医療が受けられるようになるでしょう。

なお情報共有は、受付時にマイナ保険証を用いて受付し、情報提供に同意することで過去情報が共有されます。

医療費控除の確定申告の手間が削減できる

支払った医療費が一定額を超える場合は、確定申告をすると所得控除を受けることができます。

マイナ保険証を利用すれば、かかった医療費の情報がマイナポータルに記録されているため、確定申告をオンライン申請した際に自動で転記されます。

また、医療費の領収書を保管する必要もありません。

そのため、マイナ保険証を利用すれば確定申告する際の手間が削減できるようになります。[※7]

マイナ保険証に切り替えるデメリット

マイナ保険証には、さまざまな事務手続きが削減できるというメリットがある一方で、「紛失時の再発行に時間がかかる」「紛失時の個人情報漏洩のリスクが高い」というデメリットがあります。

それぞれのデメリットの特徴を紹介します。

紛失時の再発行に時間がかかる

マイナンバーカードを紛失した場合は、再発行に1ヶ月から2ヶ月程度かかるため、再発行までの間はマイナ保険証が利用できなくなります。

政府は、マイナンバーカードの再発行を最短で5日でできるよう検討していますが、実際に対応される時期や詳細は発表されていません。

また、マイナンバーカードが手元にない状態で保険診療を受ける場合の対応はまだ公表されていないため、マイナンバーカードの紛失には注意が必要です。

紛失時の個人情報漏洩のリスクが高い

マイナンバーカードには、氏名・住所・生年月日・性別のほか、個人番号と顔写真が記載されています。

そのため、従来の健康保険証よりも紛失した際の個人情報漏洩リスクが高いといえるでしょう。

なお、万が一マイナンバーカードを紛失した場合でも他人は悪用できません。

マイナンバーカードには、特殊加工が施されており、顔写真を含めた券面の偽造ができにくい構造になっているためです。

また、紛失した場合は、コールセンターに電話で連絡すれば、一時停止が可能です。[※8]

マイナ保険証に対する企業側の対応

2024年12月2日以降は、マイナ保険証が健康保険証として扱われることになります。

企業側は従来の保険証との違いを理解し、マイナ保険証の切り替えに備え、事前に準備しておかなければなりません。

マイナ保険証に対する、企業側の主な対応を解説します。

マイナ保険証の利用申し込みに関する情報提供

マイナンバーカードの未取得者については、マイナ保険証のメリットや利用しないことでのデメリットを伝え、利用を促す対応をおこなう必要があります。

マイナンバーカードを取得しない意向の従業員に対しては、現行の健康保険証廃止後の対応も伝えましょう。

なお、マイナ保険証を保有していない方には、「資格確認書」が交付される予定です。

2024年12月2日以降は、「資格確認書」を提示すれば引き続き医療機関で受診することができます。

ただし、マイナポータルを活用したさまざまなメリットは受けられません。[※9]

従業員への制度周知

現行の健康保険証廃止に伴い、企業の担当者にはマイナ保険証の仕組みや利用方法など現行の健康保険証との違いについて従業員に説明をすることが求められます。

マイナ保険証への切り替えは、従業員自身がおこなわなければならないため、都度適切な説明と対応が必要です。

説明会の開催や資料の配布などもおこないながら、質問に対応できるよう担当者自身も制度について十分に理解しておきましょう。

社員の人事管理と情報共有の効率化に「Chatwork」がおすすめ

マイナ保険証は、限度額適用認定証の発行や確定申告の集計手続きなどの事務手続き軽減、薬や健診の情報の共有など、企業・従業員・医療機関にとって多くのメリットがあります。

一方、再発行までの時間がかかるデメリットもあるため、従業員には丁寧に説明する必要があります。

ビジネスチャット「Chatwork」は、情報共有に最適なチャットツールです。

タスク管理やファイル共有機能も搭載されており、効率的に情報共有ができます。

マイナ保険証の切り替えに伴う情報共有効率化に、ぜひ「Chatwork」の導入をご検討ください。

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[※1]出典:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
[※2]出典:厚生労働省「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/index_14821.html
[※3]出典:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000577618.pdf
[※4]出典:厚生労働省「限度額適用認定証の準備が不要になりました」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000843688.pdf
[※5]出典:マイナポータル「既にマイナンバーカードでの保険証等利用登録は完了していますが、就職や転職、退職等により、健康保険証等が変更になりました。手続きは必要ですか」
https://faq.myna.go.jp/faq/show/6493?category_id=107&site_domain=default
[※6]出典:厚生労働省「マイナンバーカードで受診をすると、どんないいことがありますか?」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000919901.pdf
[※7]出典:国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/mnp_junbi/kakutei.htm
[※8]出典:マイナンバー総合サイト「紛失・一時停止/セキュリティ」
https://www.kojinbango-card.go.jp/security/
[※9]出典:マイナンバー総合サイト「健康保険証としての利用について」
https://www.kojinbango-card.go.jp/faq_facial_hic3/

※本記事は、2024年8月時点の情報をもとに作成しています。

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。


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記事監修者:北 光太郎

きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みをおこなう。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。

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