有給取得の理由に「私用」は使える?有給の理由確認の違法性を解説

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目次
企業は有給休暇を使用するときに理由を求める場合があります。
その際、「私用」と記載しても問題はないのか、企業が取得理由を確認することは違法にならないのか、不安に感じる方も多いでしょう。
今回は、有給休暇の取得理由に関するルールや注意点を詳しく解説します。
有給休暇の取得理由に「私用」は使える?
有給休暇は労働基準法に基づく労働者の権利であり、理由を問わず取得できます。
そのため、申請時に「私用」と記載しても、企業が取得理由を理由に有給休暇を拒否することはできません。[※1]
企業の就業規則などで申請時に理由の記載を求められる場合もありますが、法律上は詳細を明かすことまでは求められていません。
ただし、繁忙期による業務調整の観点から、企業が事前に申請を求める場合もあります。
有給休暇取得の理由が虚偽のケース
有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利であり、取得理由が虚偽であったとしても、それを理由に無効とされることはありません。
たとえば、「体調不良」と申請して実際には旅行に行っていた場合でも、有給休暇の効力自体が失われることはありません。
ただし、就業規則の規程において懲戒事由に該当する場合は、懲戒処分の対象となる可能性もあります。
懲戒処分のリスクを避けるためにも、できるだけ「私用」や「一身上の都合」などの表現を用いる方が望ましいでしょう。
有給休暇の取得理由を聞くのは違法?
企業が従業員に取得理由を尋ねること自体は違法ではありません。
業務上必要な観点から確認する場合もあり、一定の範囲でなら問題ないとされています。
ただし、有給休暇の取得理由によって申請を拒否することはできません。
有給休暇は労働者の権利であり、企業側が認めないと取得できないものではないためです。
就業規則などで申請時に取得理由の記入を求めている場合もありますが、プライバシーに関わる内容である可能性もあるため、適度な対応を心がけましょう。
違法になるケース
企業が取得理由を尋ねること自体は違法ではありませんが、取得理由によって拒否することは違法です。
有給休暇は労働者が自由に取得できるものであり、企業側が認めるかどうかを判断するものではありません。
また、取得理由をしつこく問い詰めたり、「そんな理由では認められない」と圧力をかけたりする行為は、パワーハラスメント(パワハラ)に該当する可能性があります。
特に、個人的な事情を無理に聞き出そうとする行為は、有給休暇の取得妨害にもなりかねません。[※2]
もし職場でそのような対応をされた場合は、労働基準監督署や社内の相談窓口に相談することも検討しましょう。
有給休暇が自由に取れないケース
有給休暇は労働者の権利ですが、すべてのケースで自由に取得できるわけではありません。
以下のような場合、企業側の判断によって希望通りの取得ができないことがあります。
時期変更権を行使した場合
労働基準法第39条第5項では、企業に「時季変更権」が認められています。
時季変更権とは、従業員が申請した有給休暇の取得時期が、業務の正常な運営を妨げる場合に限り、企業が別の日程への変更を求めることができる権利です。
[※3]時季変更権の行使には合理的な理由が必要であり、単に人手不足を理由に有給休暇を拒否することは認められません。
企業は代替日を提示するなど、適切に対応する必要があります。
計画年休の対象の場合
計画年休とは、企業が労働組合や従業員代表との協定(労使協定)を結び、有給休暇の取得日をあらかじめ指定する制度です。
計画年休が導入されている場合、従業員は指定された日に有給休暇を取得することになります。
[※4]計画年休の対象となるのは、有給休暇日数のうち5日を超える日数です。
計画年休で指定された日程については、個人の自由なタイミングで取得することが難しくなりますが、それ以外の有給休暇については通常どおり取得が可能です。
よくある有給休暇の取得理由
有給休暇は理由を問わず取得できますが、職場で伝えやすい理由として以下のようなものがあります。
- 冠婚葬祭
- 体調不良や通院
- 家庭の用事
冠婚葬祭
結婚式や親族・友人の結婚式への参列、葬儀への参列などは、有給休暇を取得する理由として一般的に使用されます。
会社によっては慶弔休暇が設けられていることもありますが、対象外の場合や日数が足りない場合に有給休暇を活用することができます。
体調不良や通院
体調が優れない場合や病院への通院が必要な場合も、有給休暇を利用するケースが多くあります。
急な発熱があった場合や勤務時間内にしか受診できない通院などは、有給休暇を活用することが一般的です。
家庭の用事
家庭の事情により有給休暇を取得するケースも多くあります。
たとえば、子どもの学校行事への参加や引っ越し、役所での手続き、親の介護や看病などが挙げられます。
特に、育児や介護の負担がある従業員にとっては、有給休暇を活用することが必要不可欠な場合もあります。
職場によっては、子の看護等休暇や介護休暇が有給で取得できる場合もありますが、無給の場合は有給休暇を取得するケースが一般的です。
有給休暇の取得却下が可能なケース
原則として、有給休暇は労働者の権利であり、企業が取得を拒否することはできません。
しかし、例外的に申請が却下されるケースもあります。
就業規則などのルールに違反した場合
有給休暇の申請期限は、法律で特に定められていません。
しかし、企業の就業規則には有給休暇の取得に関するルールが定められていることがあります。
たとえば、「取得希望日の◯日前までに申請する」などの社内ルールを守らなかった場合、申請が却下される可能性があります。
なお、企業側は労働者にとって不利益とならないよう適切な期限を設定することが大切です。
また、急病や忌引などやむを得ない事情がある場合の措置として、例外についても就業規則に明記することでトラブルを防止できます。
労働義務がない日に申請した場合
有給休暇は「本来出勤する日」に取得できるものです。
そのため、もともと休日である日や、契約上の労働義務がない日に取得はできません。
たとえば、シフト制の勤務でもともと休みの日に有給申請する場合や退職日を過ぎた日に有給休暇を申請するといったケースでは、有給休暇の取得は認められません。
有給休暇の取得に関する注意点
企業は、労働者が適切に有給休暇を取得できるよう配慮する義務があります。
以下の点に注意しながら適切に運用しましょう。
年5日以上の取得義務を守る
2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、最低でも年5日を取得させることが企業の義務となりました。
[※5]企業は労働者の有給休暇の取得状況を適切に管理し、対象の労働者には1年間で5日間の有給休暇を確実に取得させる必要があります。
違反した場合は、労働基準監督署が是正勧告や改善指導を行い、それに従わない場合は30万円以下の罰金が科される可能性があります。
適切に有給休暇の繰越をする
有給休暇は、付与された日から2年間の有効期限があります。
有効期限を過ぎると消滅するため、企業側は従業員に対して適切に取得を促し、有給休暇が未消化のまま消滅しないよう配慮することが大切です。
時季変更権を濫用しない
企業には、業務の正常な運営を妨げる場合に有給休暇の時期を変更できる「時季変更権」があります。
しかし、時季変更権を濫用し、不当に有給休暇の取得を制限することは違法です。
たとえば、繁忙期以外でも一律に取得を認めない、代替日を提示せずに一方的に拒否する、といった対応は認められません。
有給取得を理由に不利益を生じさせない
有給休暇を取得した労働者に対して「昇進・昇給の評価を下げる」「配置転換をおこなう」「不当な発言をする」などの不利益な取り扱いは、労働基準法第136条によって禁止されています。
また、不利益扱いはパワーハラスメント(パワハラ)にも該当する恐れがあるため、有給休暇を申請してきた従業員に対して不利益な取り扱いをしてはなりません。
[※3]有給休暇の必要性
有給休暇は、従業員が心身ともに健康に働き続けるために不可欠な制度です。
また、企業にとっても従業員のモチベーション向上や生産性の維持・向上につながる重要な仕組みとなります。
適切に有給休暇を取得することで、心身のリフレッシュができ、ストレスの軽減や健康維持に役立ちます。
特に、長時間労働や業務の負担が大きい職場では、定期的な休息を取ることが従業員の燃え尽き症候群(バーンアウト)を防ぐためにも有効です。
また、家庭やプライベートの時間を確保しやすくなることで、ワークライフバランスが向上し、従業員の満足度やエンゲージメントの向上にも期待できます。
円滑なコミュニケーションに「Chatwork」
有給休暇の取得をスムーズに進めるためには、職場内での円滑なコミュニケーションが欠かせません。
業務の調整が必要な場合や急な休みを申請する際など、情報共有か確実におこなう必要があります。
しかし、口頭やメールだけでは伝達ミスが起こることもあり、結果として休暇取得に関するトラブルが発生することもあります。
ビジネスチャットツール「Chatwork」なら、チームメンバーや上司とリアルタイムでやり取りでき、休暇の申請や業務の引き継ぎもスムーズに進められます。
また、グループチャット機能を使えば、関係者全員と一括で情報を共有でき、確認漏れのリスクを減らせます。
社内のコミュニケーションを円滑にし、有給休暇を取得しやすい環境を整えるために、ぜひChatworkをご活用ください。
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[※1]出典:厚生労働省「年次有給休暇のポイント」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/var/rev0/0119/6638/2016114113521.pdf
[※2]出典:厚生労働省「有給休暇の取得妨害 ― 日能研関西ほか事件」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/judicail-precedent/archives/17
[※3]出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
[※4]出典:厚生労働省「年次有給休暇の計画的付与制度」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/101216_01e.pdf
[※5]出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501911.pdf
記事監修者:北 光太郎
きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士として不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人向けメディアの記事執筆・監修のほか、一般向けのブログメディアで労働法や社会保険の情報を提供している。