ベンチャー企業とは?定義やスタートアップ・中小企業との違いを解説
目次
ベンチャー企業は、新しい技術の発見や経済発展に欠かせないものです。
あらためてベンチャー企業とは何かについて聞かれると、答えられない人も多いのではないでしょうか。
ベンチャー企業とは何かについて触れながら、スタートアップ企業や中小企業との違いをご紹介します。
また、変化の速い時代だからこそ注目すべき、ベンチャー企業の必要性や、抱える課題も知っておきましょう。
ベンチャー企業とは
経済産業省は、平成26年におこなわれたベンチャー有識者会議でベンチャーの意味を以下のように触れています。
[※1]ベンチャーとは、新しく事業を興す「起業」に加えて、既存の企業であっても新たな事業へ果敢に挑戦することを包含する概念である。
ベンチャー企業と混同しやすい用語との違いを紹介しましょう。
新興企業との違い
新興企業とは、事業を起こしてまもない新しい企業という意味です。
一方、ベンチャー企業も、新しく事業をおこなう企業に使われるので、ベンチャー企業と、新興企業は同じ意味合いです。
スタートアップ企業との違い
スタートアップ企業は、世界にイノベーションを巻き起こす新たな価値を提供する企業に使われることが多いです。
中小企業との違い
中小企業の定義は、中小企業基本法により明確に定められています。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
中小企業は、資本金や人数で定義されるものと言えます。
一方、ベンチャー企業は新しい事業を起こす会社を称して呼ばれるものです。[※2]
ベンチャー企業のビジネスの仕組み
ベンチャー企業は、他の企業から資金を調達する、国から融資をもらうことで、事業を拡大していきます。
ベンチャー企業の資金源の主なものに、ベンチャーキャピタルと呼ばれる、ベンチャー企業に出資できる投資会社やファンドがあります。
既存企業は、ベンチャーキャピタルを利用しベンチャー企業に投資します。
ベンチャーキャピタルに、返済義務はありませんが、資金を使い事業を拡大することが望まれます。[※3]
ベンチャー企業の必要性
国からの融資もあるベンチャー企業は、なぜ必要とされているのでしょうか。
ベンチャー企業の必要性を4つの観点で紹介します。
- 新事業の発見がある
- 新しい雇用口の創出になる
- イノベーションの創出につながる
- 経済の発展につながる
具体的にどのようなことがベンチャー企業に期待されているのかを確認していきましょう。
新事業の発見がある
ベンチャー企業は、世の中のニーズをいち早く汲み取り新事業に着手します。
世界ではこれからの時代に必要な分野について、未発達で不明瞭な点が多くあります。
ベンチャー企業には未発達や未知の分野を明らかにし、市場のニーズを満たすような新事業を発見する役割があるでしょう。
新しい雇用口の創出
ベンチャー企業が生まれるごとに、求職者にとっては新しい雇用の選択肢が増えます。
既存企業が成長しない限り、新しい企業が生まれないと雇用口は少なくなるでしょう。
アメリカでのベンチャー企業の雇用創出は、民間雇用の11%もの割合を占めています。
日本のベンチャー企業の雇用創出の割合はアメリカよりは少ないと考えられるものの、労働人口の増加にはベンチャー企業の必要性は大きいです。[※1]
イノベーションの創出
ベンチャー企業では、思いがけないイノベーションが創出されます。
SNSや検索エンジン、宅配などはすべてベンチャー企業から生まれたものです。
未知の事柄が多い分野でも新しいことに挑戦していく気概があれば、イノベーションの創出につながります。
経済の発展
ベンチャー企業は経済の発展に必要です。
新しい事業や分野が生まれなければ、その製品やサービスの市場は成熟し衰退してしまいます。
ベンチャー企業の力で新しい事業が生まれると、新たな市場が生まれ経済が発展していきます。
ベンチャー企業の活躍が期待される分野
ベンチャー企業の活躍が期待される分野について見ていきましょう。
IT分野
日本の労働人口の減少の懸念にともない、IT分野の活躍が期待されています。
特に、テクノロジーで人々の生活を豊かにしていくという概念「DX(Digital Transformation)」は、近年注目されています。
手作業の多い製造業や車や船を使って物を運ぶ運搬業など、さまざまな分野で自動化が進むでしょう。
ヘルスケア分野
健康増進・疫病予防や生活支援サービスの充実など、ヘルスケア分野の活躍が期待されています。
内閣府によると、令和47(2065)年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上となる予想です。
高齢者の割合が増加する未来に向けてヘルスケア分野が発達すれば、現状よりさらに快適なサービスを提供できるでしょう。[※4]
環境保護分野
環境保護分野は、ベンチャー企業の活躍が迫られる分野です。
地球温暖化が進み、異常気象が増えています。そのため、環境保護分野は、早急な対策が求められる分野です。
たとえば、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収・除去量を差し引いて実質的にゼロにする概念)は注目されています。環境保護を進めながら、経済を発展させていく概念に注目しましょう。
ベンチャー企業が抱える課題
ベンチャー企業が抱える課題について見ていきましょう。
ベンチャーキャピタルが少ない
ベンチャーキャピタルは、2008年時点でアメリカで250億ドル以上であるのに対し、日本では40億円程度に留まっています。
日本は、アメリカに比べてベンチャーキャピタルにかける投資額が少ないことが分かります。
また、資金に余裕があれば、ベンチャーキャピタルに投資を考える企業も増えるはずです。[※5]
人員の不足
ベンチャー企業は人員不足が課題です。
企業の知名度が低く、経営面に不安定要素を感じるなど、人が集まりにくいことが懸念されます。
求職者に事業内容や経営面の取り組みなどを知ってもらい、ベンチャー企業に抱きがちな先入観を払拭する必要があるでしょう。
企業のスキルやノウハウが乏しい
ベンチャー企業は、創業数年の会社も多く、企業のスキルやノウハウが乏しいです。
事業を継続・拡大していくためには、事業の専門性だけでは不十分でしょう。
経営に関しての財政面や、売り込むためのマーケティング面などのノウハウも必要です。
そのようなスキルは、一朝一夕で身につかず、徐々に体系的に身に着けるものです。
国によるベンチャー企業への支援政策
ベンチャー企業を活発化させるための、国がおこなっている支援政策を見ていきましょう。
企業のベンチャー投資促進税制
企業がベンチャー企業への資金投資を促進する税制度です。
企業が認定ベンチャーファンドに出資をする際に、ベンチャー企業に出資をおこなった8割を損金に算入するという税制措置をおこないます。
事業会社からベンチャー企業への出資を拡大するために考えられた支援政策です。
ベンチャー企業に出資するハードルを低くしています。[※3]
起業家人材育成事業
起業家を志す大学生や社会人向けに、起業家教育推進ネットワークを推進しています。
起業家推進ネットワークでは主に、以下の事業をおこなっています。
- 外部講師を招いた起業推進プログラム
- 全国フォーラムの開催
- ホームページの充実・メルマガの発信
また、学生向けに「University Venture Grand Prix」というビジネスプランコンテストもおこなっていて、起業を志す方の後押しをしています。[※6]
女性・若者・シニア起業家支援資金
日本政策金融金庫では、女性・若者・シニアの起業家を志す方向けに支援金を融資しています。
日本政策金融金庫のホームページによると、利用できる方の条件は以下のとおりです。
女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
融資の限度額は7000万円が限度で、一定の条件を満たせば、利率が減少します。[※7]
ベンチャー企業は新技術や経済の発展に重要
ベンチャー企業は、新技術や経済の発展には欠かせないものであることを理解する必要があります。
ビジネスチャット「Chatwork」は、創業して間もないベンチャー企業のような人数の少ない会社の方の利用にも適しています。
複数の新規事業を同時に進めている場合にも、Chatworkは、グループごとにリアルタイムでやりとりができるために、素早い意思決定が可能です。
ベンチャー企業のように、新たな価値を生み出す事業を推し進めている企業も、ぜひChatworkのご利用をご検討ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※1]出典:経済産業省「ベンチャー有識者会議とりまとめ(平成26年度)」
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/downloadfiles/yushikisya_kaigi_torimatome.pdf
[※2]出典:中小企業省「中小企業・小規模企業者の定義」
https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
[※3]出典:経済産業省「経済産業省におけるベンチャー政策について」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/venture_dai1/siryou3.pdf
[※4]出典:内閣府「高齢化の状況」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/gaiyou/s1_1.html
[※5]出典:内閣府「豊かさを支える成長力」
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je10/10b03020.html
[※6]出典:経済産業省「起業家人材育成事業」
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/edu.html
[※7]出典:日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/02_zyoseikigyouka_m.html
※本記事は、2022年3月時点の情報をもとに作成しています。