21世紀型スキルとは?従来のスキルとの違いや種類、構造、育成方法を解説
目次
21世紀型スキルとは、変化の激しい時代を生き抜くために必要なスキルのことです。
たとえば、批判的思考やコミュニケーション、情報リテラシーのスキルなどがあげられます。
教育現場を中心に、企業の人材育成の方法としても注目されている内容です。
21世紀型スキルの種類・構造・育成方法を解説します。
21世紀型スキルとは?
21世紀型スキルとは、変化の激しい時代を生き抜くために必要なスキルのことです。
たとえば、コミュニケーションスキルや情報リテラシー、創造力に関するスキルなどがあげられます。
21世紀型スキルは、国際団体「ATC21s」が提唱しました。
現代社会は、グローバル化、情報化社会など、時代の流れに対応できる教育方針が求められています。
21世紀型スキルが必要な背景
株式会社野村総合研究所と英オックスフォード大学との共同研究の内容によると、国内601 種類の職業は、人工知能やロボットなどに代替できると考えられています。
同研究を参考にすると、将来的に日本の労働人口の約49%の職業において、代替が可能という結果が出ました。
上記の内容を踏まえて、今後の時代は代替ができない仕事のスキル、新しい時代に適応できる人々を教育することが必要だと考えられています。[※1]
従来のスキルと21世紀型スキルの違い
これまでの教育方針は、先生が生徒に知識を与える「知識偏重型」のスタイルが中心でした。
21世紀型スキルでは、座学に加えて参加型のグループディスカッションなどの教育方針が採用されています。
従来の教育は先生から生徒に指導をするイメージに対し、今後の教育では先生が問題提起をして、生徒が自らの力で仲間とコミュニケーションをとりながら学んでいくという違いがあるでしょう。
ATC21sが定める21世紀型スキルの種類
21世紀型スキルは、主に4つの項目に分類されます。
- 思考の方法(Ways of thinking)
- 仕事の方法(Ways of working)
- 仕事のツール(Tools for working)
- 社会生活(Ways of living in the world)
スキルの種類をみていきましょう。
思考の方法(Ways of thinking)
21世紀型スキルでは、自ら課題を発見して、解決を図っていくスキルが求められます。
「思考の方法」に関する内容は、下記のとおりです。
- 創造力とイノベーション
- 批判的思考、問題解決、意思決定
- 学びの学習、メタ認知(認知プロセスに関する知識)
学習内容の知識習得を中心にするのではなく、学習の過程を大切にして学びを深める特徴があります。
仕事の方法(Ways of working)
グローバル社会では、さまざまな人々と関係性を築けるコミュニケーションスキルが求められます。
21世紀型スキルの「仕事の方法」に関する内容は、下記のとおりです。
- コミュニケーション
- コラボレーション(チームワーク)
企業を例にあげると、企業同士で新商品を開発したり、部署同士が連携してプロジェクトを立ちあげたりすることがあげられます。
日本国内だけでなく、世界中の人々と仕事を進めていくには、お互いに協力し合えるスキルが必要です。
仕事のツール(Tools for working)
21世紀型スキルでは、情報化社会に対応できる知識を始め、ツールの操作スキルなどが求められます。
「仕事のツール」に関する内容は、下記のとおりです。
- 情報リテラシー
- 情報通信技術に関するリテラシー
情報化社会のなかでは、正しい情報を取捨選択しながら、仕事に応用していけるスキルが必要です。
社会生活(Ways of living in the world)
21世紀型スキルの「社会生活」に関する内容は、下記のとおりです。
- 地域と国際社会での市民性
- 人生とキャリア設計
- 個人と社会における責任(文化に関する認識と対応)
仕事や日常生活の両方を含めて、さまざまな人々や多様性のある考え方を受け入れていくことで、人生そのものが豊かになるという考え方が求められます。
文科省が定める21世紀型スキルの3構造
21世紀型スキルの3構造について、詳細を見ていきましょう。
基礎力
3構造の中心になる基礎力には、情報リテラシーなどのスキルを含めて、下記の内容があげられます。
- 言語
- 数
- 情報(ICT)
従来の学習に含まれる「読み書き」「計算」など、基礎になる部分の知識も習得していきます。
思考力
3構造の基礎力の外側にある思考力では、下記のようなスキルを習得していきます。
- 問題解決、発見、創造力(アイデア力)
- 論理的思考、批判的思考(筋道をたてる力)
- メタ認知、適応的学習力など(検証力)
思考力を養うことで、自ら課題を発見して解決に導けるスキルを身につけていきます。
実践力
3構造の思考力の外側にある実践力では、下記のようなスキルを身につけていきます。
- キャリア設計力(自分で主体的に選べる力)
- コミュニケーション力(スムーズに意思疎通を図れる力)
- 社会参画力(市民のひとりとして、責任をもって行動する力)
21世紀型スキルでは、自らが社会と関わりながら、主体的に行動できるスキルが必要です。
21世紀型スキルと社会人基礎力
経済産業省では、社会人が身につけておきたいスキルとして「社会人基礎力」という考え方を提唱しています。
- 前に踏み出す力(アクション)
- 考え抜く力(シンキング)
- チームで働く力(チームワーク)
21世紀型スキルと重なる部分がある社会人基礎力について見ていきましょう。[※2]
前に踏み出す力(アクション)
社会人基礎力には、自ら課題に向かって一歩前に踏み出し、失敗しても諦めずに行動する力が求められます。
- 主体性
- 働きかけ力
- 実行力
自ら目標や目的を設定して、行動していく力が必要です。
考え抜く力(シンキング)
社会人基礎力には、自ら疑問をもって、考え抜く力が求められます。
- 課題発見力
- 計画力
- 創造力
自ら課題を発見して、解決に導く創造力や計画力が必要です。
チームで働く力(チームワーク)
社会人基礎力には、さまざまな人々と目標達成に向けて、協力し合えるスキルが求められます。
- 発信力
- 傾聴力
- 柔軟性
- 情況把握力
- 規律性
- ストレスコントロール力
チームワークを発揮するためにも、自分の意見を伝える力、他人の意見を聞く力など、コミュニケーションスキルを磨くことが重要です。
「社外人基礎力」について、より詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
21世紀型スキルを育成する方法
21世紀型スキルを身につけるために、実践できる方法を見ていきましょう。
グループディスカッションを実施する
21世紀型スキルでは、座学の勉強が中心ではなく、参加型のスタイルが中心になります。
たとえば、グループディスカッションで意見交換をすることで、コミュニケーションスキルや意見を伝える発信力を養えるでしょう。
企業の人材育成に活かしたいときは、社内の課題をグループごとに話し合い、改善策を出し合う方法があげられます。
自分への問いかけを大切にする
21世紀型スキルを身につけるには、日頃から自分で考えて、物事を判断するスキルが求められます。
主体的に物事を考えるには、仮説を立てながら「どういうことか?」「なぜか?」「どうしたらよいのか?」など、疑問を検証していく姿勢が大切です。
企業の人材育成に活かしたいときは、従業員の創造力を養うためにも、自由にアイデアを出し合える機会を設けてみましょう。
ICTスキルの習得を目指す
21世紀型スキルでは、さまざまな人々とコラボレーションしながら働くために、情報通信技術を扱うスキルを身につけることも重要です。
企業の人材育成では、ICTツールの操作スキルをはじめ、情報リテラシーを身につける研修を実施する方法などがあげられます。
ICTスキルを習得することで、時代の流れに合ったテレワークの働き方を推進しやすくなるでしょう。
21世紀スキルを育成するメリット
21世紀型スキルを身につけることで、主体的に考えられる人材を育成できます。
たとえば、企業が生き残るためのアイデアを出し合えるなど、事業活動においても参考にできる部分が多いでしょう。
従業員が自ら課題を発見して、解消に導くスキルを養えるメリットがあります。
21世紀型スキルは時代を生き抜くために重要
21世紀型スキルは、グローバル化や情報化社会など、変化する時代を生き抜くために必要です。
教育現場だけでなく、企業における人材育成にも活用できるでしょう。
企業の人材育成で、ICTスキルを習得する方法のひとつとして、ビジネスチャット「Chatwork」を活用する方法もおすすめです。
「Chatwork」を活用することで、ICTスキルが身につくだけでなく、社外・社内の人々とのテキストによるコミュニケーションを図るスキルも身につけられます。
21世紀型スキルの習得方法として、ぜひChatworkをご活用ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。
[※1]出典:野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf
[※2]出典:経済産業省「社会人基礎力」
https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html
※本記事は、2022年6月時点の情報をもとに作成しています。