社会人基礎力とは?3つの能力の必要性や鍛え方をわかりやすく解説

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社会人基礎力とは?3つの能力の必要性や鍛え方をわかりやすく解説

目次

「社会人基礎力」という言葉を聞いたことがありますか。

「社会人基礎力」とは、「多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として定義された概念で、人生100年時代と言われるようになった昨今、ますます重要度が高まっています。

「社会人基礎力」が求められる理由から、それぞれの能力と能力要素の内容、鍛え方について解説します。

社会人基礎力とは

「社会人基礎力」とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことで、2006年に経済産業省によって提唱された概念です。[※1]

社会人基礎力は、もともと、企業と学生のあいだに存在していた「社会人に必要な能力の認識差」を埋めるために定義づけられたもので、昨今ますます注目を集めています。

なぜ「社会人基礎力」の重要性が高まっているのか、そもそも社会人に必要な能力とはどのようなものなのかを、詳しくみていきましょう。

社会人基礎力が求められる理由

平均寿命が延びた現代では、従来の「学ぶ」「働く」「引退する」という3つのステージを、それぞれ少しずつ延ばしていくのではなく、それぞれのステージを柔軟に組み替えながら、新しい生き方を模索していく必要がでてきました。

このような、従来のライフプランが変更になる可能性があることを提示した言葉が「人生100年時代」で、この時代を生き抜くためには、常に学び続け、必要なスキルをアップデートしていくことが求められます。

しかし現代は、「第四次産業革命」と呼ばれるように、AIやIoTなどの情報技術の進化が日々進んでいるため、せっかく新しいスキルや知識をつけても、すぐに新しいものが出てきて、使えなくなってしまう可能性があります。

社会人基礎力は、このように革新が目まぐるしい環境のなかで、活躍し続けるために必要な能力です。

社会人基礎力は、いわば「普遍的に求められるスキル」のため、能力やスキルを発揮するためのベースや土壌と考えることができます。

ベースがしっかりとしていれば、身につけたスキルや知識が古くなり、使えなくなってしまったとしても、アップデートしていくことができます。

このような背景から、「社会人基礎力」は、年々重要度が高まっています。

社会人基礎力の3つの能力と12の能力要素

社会人基礎力は、以下の3つの能力と12の能力要素から構成されています。

能力 能力要素
前に踏み出す力(アクション)
  • 主体性
  • 働きかけ力
  • 実行力
考え抜く力(シンキング)
  • 課題発見力
  • 計画力
  • 想像力
チームで働く力(チームワーク)
  • 発信力
  • 傾聴力
  • 柔軟性
  • 状況把握力
  • 規律性
  • ストレスコントロール力

それぞれの能力の内容について、確認していきましょう。

能力(1):前に踏み出す力(アクション)

ひとつ目の能力は、「前に踏み出す力(アクション)」です。

一歩踏み出すことは、勇気がいることですが、失敗を恐れず、粘り強くとりくむ姿勢は、社会人に限らず求められる能力です。

この能力には、「主体性」「働きかけ力」「実行力」の3つの能力要素が含まれます。

「主体性」は、自らが進んでものごとにとりくむ力のことです。

当事者意識をもち、積極的にやるべきことをみつけて行動する力は、指示をうけなければ行動できない人が多い昨今、とくに求められる要素のひとつでしょう。

「働きかけ力」は、周囲の人に働きかけながら、巻き込んでいく力です。

仕事を円滑に進めるためには、周囲の協力は必要不可欠です。

そのため、周囲の人に呼びかけながら、目標に向かって進んでいく力は、普遍的に求められる能力でしょう。

「実行力」は、目標を設定して、確実に実行する力です。

目的意識をもって、ゴールを目指すことは、どのような仕事でも求められる姿勢でしょう。

そのため、失敗することを恐れず、経験や知識を活かし粘り強くとりくむ「実行力」は、社会人にとって必要な能力です。

能力(2):考え抜く力(シンキング)

ふたつ目の能力は、「考え抜く力(シンキング)」です。

社会人には、身の回りのことに疑問をもち、課題をみつけ、改善や解決のプロセスを考える能力が求められるシーンが多くあります。

この能力には、「課題発見力」「計画力」「創造力」の3つの能力要素が含まれます。

「課題発見力」は、現状を冷静に分析して、目的や課題を明確にする力です。

課題を発見するためには、ときには必要な情報収集をしたり、周囲から意見を聞いたり、積極的に行動する姿勢が求められるでしょう。

「計画力」は、目的達成や課題解決までの道筋を明らかにし、準備する力です。

課題解決のプロセスは、必ずしもひとつとは限らないため、さまざまな観点から、メリット・デメリットや影響範囲などを考え、複数の案のなかから、最適な方法を選択する必要があります。

また、起こりうるトラブルを事前に想定し、リスクヘッジを図ることも大切です。

「創造力」は、新たな価値を生み出す力です。

経験や知見が増えていくと、「○○のときは△△で対応する」など、固定観念に縛られてしまいがちです。

しかし、固定観念にとらわれずに、新しい視点や感覚で、柔軟にものごとを捉えられるようになると、いままでにない新たな発想が生まれ、課題解決の手助けになるケースもあるでしょう。

能力(3):チームで働く力(チームワーク)

3つ目の能力は、多様な人々とともに、目標に向けて協力する力である「チームで働く力(チームワーク)」です。

この能力には、以下の6つの能力要素が含まれます。

  • 発信力:自分の考えをわかりやすく伝える力
  • 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
  • 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
  • 状況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する能力
  • 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
  • ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力

さまざまな働き方や雇用形態が拡大している現代では、異なる考え方や価値観をもつ人と、一緒に働く機会も多くあるでしょう。

多様な考え方の人と協働するためには、高いコミュニケーション能力や柔軟な考え方、また的確な判断力などが求められます。

>ダイバーシティとは?に関する記事はこちら

人生100年時代の新たな社会人基礎力

上述した通り、「人生100年時代」と言われるようになった昨今、社会人基礎力の重要性は高まっています。

2006年に定義された「社会人基礎力」ですが、2018年には、人生100年時代ならではの切り口として、新たに「人生100年時代の社会人基礎力」が定義されました。

「人生100年時代の社会人基礎力」においては、能力の発揮には、「目的」「学び」「組合せ」の3つのバランスをとることが、今後のキャリアを切り開いていくうえで、必要とされてきています。

新たに加わった3つの視点について、みていきましょう。

視点(1):何を学ぶか(学び)

新たな社会人基礎力の1つ目は、「何を学ぶか(学び)」です。

多様な働き方や雇用形態がひろがり、副業や兼業など、複数のキャリアをもつ人も増えている現代では、知識やスキルをアップデートし続ける「学び」は欠かせない能力です。

また、ただ「学ぶ」だけでなく、自分の人生を考えたときに、どのような知識が必要か、なにを学ぶ必要があるのかなどを、考え抜くことも重要になっています。

視点(2):どのように学ぶか(組み合わせ)

新たな社会人基礎力の2つ目は、「どのように学ぶか(組み合わせ)」です。

新たな学びをインプットするだけではなく、自分のこれまでの経験や能力と組み合わせたり、協働するさまざまな人々の能力や考えと組み合わせたりなど、いかに視野を広げていくかが重要になります。

視点(3):どう活躍するか(目的)

新たな社会人基礎力の3つ目は、「どう活躍するか(目的)」です。

自己実現や社会貢献に向けて行動するためには、どう活躍するかをイメージし、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を決める必要があります。

この力は、従来の「社会人基礎力」にある「前に踏み出す力(アクション)」が重要です。

社会人基礎力の鍛え方:個人

環境変化が目まぐるしい社会のなかで、活躍し続けるためには、社会人基礎力は必要不可欠なものです。

では、社会人基礎力はどのように鍛えたらいいのでしょうか。

まずは、個人でできる社会人基礎力の鍛え方についてみていきましょう。

自分の能力を客観視する

社会人基礎力を鍛えるためには、まず、現状の自分の能力を客観視する必要があります。

社会人基礎力の3つの能力と12の能力要素を、それぞれ自分の得意不得意に振り分けてみましょう。

客観的に自己分析することで、これまで気づかなかった自分の能力や特性を、明確にすることができます。

自分ひとりでの客観視が難しい場合は、同僚や上司、家族や友人の意見を聞いてみる方法や、社会人基礎力診断を活用することがおすすめです。

個人の目、第三者の目から見た自己分析を試してみましょう。

社会人基礎力を意識して生活する

日々の生活のなかで、社会人基礎力を意識することも大切です。

社会人に限らず、社会人基礎力で定義されている能力が必要とされる場面は、日常生活のなかに多く存在します。

社会人基礎力を意識して生活することで、自分が得意なもの、不得意なものが、具体的に把握できるようになります。

不得意なものや、習得できていない能力があれば、改善するように努めましょう。

具体的な目標を決める

社会人基礎力を鍛えるためには、具体的な目標を決めることも効果的です。

具体的な目標を定めることで、目標の達成にはどんな能力が必要になり、現状どんな能力が不足しているかを明確にすることができます。

また、目標があることで、主体的に学ぶ姿勢を維持することもできるでしょう。

社会人基礎力の鍛え方:企業

社会人基礎力は、個人で鍛えることもできますが、企業のバックアップがあることでより習得しやすくなります。

企業の持続的成長を目指すうえでも、従業員の社会人基礎力は重要です。

従業員の社会人基礎力を鍛えるために、企業ができることを解説します。

育成環境を整備する

社会人基礎力を鍛えるための育成環境を整備しましょう。

社会人基礎力の3つの能力について、研修で取り扱うことで、新卒時代から社会人基礎力を鍛えることができます。

社内で研修をおこなう方法以外に、外部講師を呼んで講座をおこなう方法や、講座受講費用を企業が負担する方法など、さまざまな方法があります。

また、社会人基礎力のなかには、OJTや実務研修などを通して鍛えることができる能力もあります。

1on1の実施やメンター制度の導入など、育成制度を整えることも検討しましょう。

>メンター制度のメリットに関する記事はこちら

>人材育成のポイントに関する記事はこちら

質の高いフィードバックをおこなう

質の高いフィードバックをすることも、社会人基礎力を鍛えるためには重要です。

自分のもっている能力や、不足している能力は、自分では気づきにくいものです。

そのため、上司や先輩社員は、部下や同僚の能力について的確な、フィードバックをおこないましょう。

フィードバックをもとにすることで、俯瞰的な意見を聞くことができ、社会人基礎力を伸ばすことにもつながります。

従業員にフィードバックを意識させる方法として、360度フィードバックなどの制度を導入することも良いでしょう。

>360度フィードバックとは?に関する記事はこちら

社内コミュニケーションの円滑化に「Chatwork」

社会人基礎力は、新入社員に求められるものだと思われがちですが、新卒に限らず、社会人全員に求められる普遍的な能力のことです。

人生100年時代を生き抜くために、自分に足りていない力はないか、もっと伸ばせる力はないかなど、自己分析をおこなってみましょう。

社会人基礎力のひとつである「チームで働く力」は、円滑に業務を進めるうえでも、非常に重要な力ですが、テレワークやリモートワークなど、ひとつのオフィスで、顔をあわせて働く機会が減少している昨今、チームワークの醸成方法を模索している企業も多いのではないでしょうか。

ビジネスチャット「Chatwork」は、多様な働き方のなかでも、ストレスなく、簡単にコミュニケーションがとれるコミュニケーションツールです。

チャット形式でやりとりができるため、電話のように相手の時間をもらう必要や、メールのような定型的なやりとりをする必要もありません。

1対1のやりとりはもちろん、グループチャット機能を活用することで、複数人でのやりとりも実現できるため、部署やチーム、全社での情報共有も簡単におこなうことができます。

>Chatworkのグループチャットに関する記事はこちら

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[※1]出典:経済産業省|社会人基礎力
https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html


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社会人基礎力に関するQ&A

社会人基礎力とは?

「社会人基礎力」とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことで、2006年に経済産業省によって提唱された概念です。

社会人基礎力は、もともと、企業と学生のあいだに存在していた「社会人に必要な能力の認識差」を埋めるために定義づけられたもので、年々、重要性が高まってきています。

社会人基礎力の3つの能力とは?

社会人基礎力は 3つの能力と12の能力要素から構成されており、3つの能力とは以下を指します。

・前に踏み出す力(アクション)
・考え抜く力(シンキング)
・チームで働く力(チームワーク)

社会人基礎力の12の能力要素とは?

社会人基礎力は 3つの能力と12の能力要素から構成されており、12つの能力要素は以下のとおりです。

・3つの能力(1)前に踏み出す力(アクション)の能力要素:
 「主体性、働きかけ力、実行力」

・3つの能力(2)考え抜く力(シンキング)の能力要素:
 「課題発見力、計画力、想像力」

・3つの能力(3)チームで働く力(チームワーク)の能力要素:
 「発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力」

社会人基礎力の鍛え方は?

社会人基礎力は、個人で鍛えることにくわえて、企業のバックアップがあることでより習得しやすくなります。

個人で鍛える方法としては、自分の能力を客観視したり、社会人基礎力を意識して日々の生活を送ることが有効です。

企業側が鍛える方法としては、育成環境を整備し、質の高いフィードバックを行う仕組みを構築することが必要です。

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