ツァイガルニク効果とは?意味や例、メリットやビジネスでの活用方法を解説

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ツァイガルニク効果とは?意味や例、メリットやビジネスでの活用方法を解説

目次

仕事の生産性を向上させるために知っておきたい心理現象のひとつとして、ツァイガルニク効果というものがあります。

この記事では、ツァイガルニク効果とはなにか、原因やツァイガルニク効果の例、メリットやデメリット、ビジネスでの活用方法について解説します。

ツァイガルニク効果とは?

ツァイガルニク効果とは、完了した課題よりも完了していない課題の方が記憶に残りやすい心理現象のことです。

精神病理学の研究者であった、ツァイガルニクがおこなった実験から明らかになりました。

ツァイガルニク効果は、日常生活や恋愛、ビジネスシーンなど、さまざまな場面でみることのできる現象です。

ツァイガルニク効果が起こる要因

目標達成を目指して行動をしている場合は緊張状態が続きますが、目標を達成することによりこの緊張状態はなくなります。

そのため、目標が達成されていない、つまり未完了の課題に対しては高い緊張状態が続くため、記憶に残りやすいとされています。

どの程度の緊張状態が続くのか、どのくらい記憶に残りやすいか、という部分に影響を与える要素に、時間の経過、疲労感、感情の興奮度合い、自我に対する脅威などがあります。

状況によって、ツァイガルニク効果の強度も異なります。

心理的リアクタンスとは

ツァイガルニク効果に、心理的リアクタンスという状態が関連しているといわれることもあります。

心理的リアクタンスとは、態度や行動の自由がおびやかされたときに、自由になりたいという気持ちが高まる状態のことです。

目標達成が完了していないことで、「自由になれない」という不満が強まり、心理的リアクタンスがツァイガルニク効果に影響をおよぼしている可能性もあるかもしれません。

ツァイガルニク効果の例

ツァイガルニク効果がどのようなものであるかイメージをつかめるように、ビジネス、勉強、マーケティングなどシーン別に具体例を紹介します。

ビジネスにおけるツァイガルニク効果

ビジネスにおけるツァイガルニク効果の例には、以下のようなものがあります。

  • 途中で中断した仕事の状況が気になってしまい、ほかの仕事に集中できない
  • クレーム処理の対応が長期におよび、なかなか解決せず気になってしまう
  • 仕事の目標を達成できた月のことよりも、目標達成ができなかった月のことばかり覚えている
  • 成功したプロジェクトよりも、成功せず途中で打ち切りになったプロジェクトが記憶に残る

ビジネスシーンにおいては、終わってない仕事の存在は気にしやすくなります。

過去に、未完のまま終わってしまった仕事やプロジェクトも記憶に残りやすいでしょう。

勉強におけるツァイガルニク効果

勉強や学習場面におけるツァイガルニク効果の例には、以下のようなものがあります。

  • テストで制限時間内に問題が解けなかったことがいつまでも忘れられない
  • 試験中や問題集を解いているときに、飛ばした問題があると、その問題のことが気になってしまう

勉強もビジネスと同様に、中断した場合やキリの悪いところで終わってしまった場合は、気になりやすくなるでしょう。

マーケティングにおけるツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果は、マーケティングに応用して、商品やサービスの売上アップ目的の広告などに使われることがあります。

具体的な例としては以下のようなものがあります。

  • テレビのCMや広告で「続きはWebで」とされると、内容が気になってしまう
  • コマーシャルがクイズ形式になっていると、答えが知りたくてついついクリックしてしまう

課題を未完了の状態にすることで、「続きが知りたい」「最後まで答えが知りたい」という状況を作り広告の宣伝効果を高める手法がマーケティングで使われています。

ツァイガルニク効果のメリット

ツァイガルニク効果にどのようなメリットがあるのか、紹介します。

モチベーション向上に寄与する

ツァイガルニク効果を応用して、仕事や勉強に対するモチベーションを向上させることが可能です。

「休憩したいな」「今日はもう終わりにしたいな」と思ったときにも、課題が中途半端な状態であれば、「キリがいいところまではやろう」と課題達成のモチベーションとなるでしょう。

事前に、「ここまでは終わらせる」という目標設定をしておけば、そこまで終わらせないとツァイガルニク効果が発生し、未完了の状態が気になり、目標達成がしやすくなります。

生産性向上につながる

ツァイガルニク効果を使って、適切にスケジュールやタスクを管理すれば、同じ時間でもより多くの作業をおこない生産性を向上させることができるでしょう。

たとえば、ツァイガルニク効果により「会議が始まるまでに、この仕事は終わらせておきたい」といった心理が働くことで、短時間で仕事を終えることが可能です。

また、あえて仕事や勉強を中途半端なところで終わらせて休憩に入れば、未完了の課題のことが強く記憶に残っているため、ダラダラと必要以上に長時間休憩するのを防ぎ、速やかに元の作業に戻れるようになります。

ツァイガルニク効果のデメリット

ツァイガルニク効果には、デメリットもあります。

具体的なデメリットの例を紹介します。

ストレスや負担につながる

常に未完了の課題があると、ストレスが溜まり負担になる可能性があります。

とくに、やることが多い状況にさらされている場合は、疲労感も強く負担になりやすいです。

あえて「今日はここまで」など、十分に達成可能な目標を設定することで、ツァイガルニク効果を防ぎ、負担を減らしましょう。

マルチタスクが苦手な人も、未完了の仕事があるとそれが気になって集中できないなど、ストレスや負担になりやすいおそれがあります。

シングルタスクを得意とする人は、確実にひとつひとつの仕事を終わらせながら、次に進む方がパフォーマンスを発揮しやすいでしょう。

モチベーション低下の危険性

仕事が常に未完了で気になっている状態が続いてしまうと、それが「普通」「通常」の状態となってしまい、課題達成のモチベーションが下がるおそれがあります。

課題が長時間達成されないまま放置されている場合や、メンバーがやる気を失ってしまっている場合には、作業量の見直しや、適切な目標設定をおこないましょう。

モチベーション維持のためには、ツァイガルニク効果の発生予防が必要な場面もあります。

また、マーケティングにおいても、必要以上にツァイガルニク効果をあおると、「この会社の広告はいつも中途半端」「情報を得るのに余計な手間がかかる」などネガティブな印象をもたれてしまいます。

マーケティングでのツァイガルニク効果の活用も、ターゲット層や広告内容などを考えてうまく活用しましょう。

ツァイガルニク効果のビジネスでの活用方法

ツァイガルニク効果には、メリット・デメリットもあるため、うまくビジネスで活用する必要があるでしょう。

ツァイガルニク効果のビジネスでの活用方法について解説します。

タスク管理を徹底する

ツァイガルニク効果を、モチベーションや生産性のアップに活かすには、適切な負荷量を保つ必要があります。

そのためには、タスク管理の徹底が欠かせません。

メンバーの業務負担は適切なのか、シングルタスクが得意なメンバーやストレス耐性が低いメンバーなど、ツァイガルニク効果がデメリットになりやすい人に苦手な作業割り振りがされていないかなど、配慮も必要です。

必要なタスクを絞り、生産性が最大となる形でタスクの量や割り振りが管理されている状態を作りましょう。

>タスク管理に関する記事はこちら

作業時間を計測する

作業時間を計測することで、適切な業務量、つまりツァイガルニク効果による余計な負荷がかからないラインを判断するのに役立ちます。

日々の記録をとり、どの状況でもっとも生産性が高くなったかを知れば、適切な目標設定が可能です。

適切なタイミングでの休憩や、休憩時間の長さの設定にも役立つでしょう。

近年、職場における長時間労働の是正やワークライフバランスに対する関心も高まっています。

長時間労働により作業量を増やすのではなく、短い時間でいかに成果を出すかが重要です。

作業時間の計測によって、メンバーの作業効率を知り、適切な作業量の設定、生産性向上を目指しましょう。

ツァイガルニク効果を活用して生産性向上を目指しましょう

ツァイガルニク効果とは、完了した課題よりも未完了の課題の方が記憶に残りやすい心理現象のことです。

ツァイガルニク効果をうまく活用することで、生産性の向上やモチベーションのアップがはかれます。

しかし、ツァイガルニク効果にはデメリットもあり、タスクを適切に管理しないと、メンバーの負担を増やし、生産性やモチベーションを下げてしまいます。

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Chatworkのお役立ちコラム編集部です。 ワークスタイルの変化にともなう、働き方の変化や組織のあり方をはじめ、ビジネスコミュニケーションの方法や業務効率化の手段について発信していきます。

記事監修者:山崎ゆうき

臨床心理士・公認心理師の資格を所持。司法・障害福祉領域などでの勤務を経て、独立開業。メンタルヘルス系の記事を中心に、心理学の知識をいかした記事執筆・監修を担当。心理学の知識をわかりやすく、日常でも実践しやすい形で発信中。

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