【専門家監修】エンパシーとは?シンパシーとの違い、ビジネスシーンで活用する方法を解説
目次
エンパシーとは、「共感」を意味する言葉で、他者を理解するために重要な能力といわれています。
ビジネスシーンにおいて、エンパシーはとても重要なスキルで、相手の考えや意図を知ることができれば円滑なコミュニケーションが可能です。
この記事では、エンパシーについてわかりやすく解説します。
エンパシーとは
エンパシーとは、相手の立場になって相手がどのように考えているのか、なにを感じているのか想像する力のことです。
英語では「empathy」と書き、共感や感情移入という意味があります。
シンパシーとの違い
エンパシーに似た言葉に、シンパシーがあります。
シンパシーも共感を意味しますが、シンパシーには思いやりや同情といったニュアンスがあり、自分の立場から相手に共感することを意味します。
エンパシーは、相手の立場に立って相手の考えや感情を想像することであり、シンパシーとは異なるニュアンスがあるといえるでしょう。
ビジネスシーンでエンパシーが重要な理由
ビジネスシーンにおいて、エンパシーは重要なスキルのひとつです。
ビジネスシーンのコミュニケーションにおいて、どんな言葉遣いをするべきか、何をしたら相手が傷つくかを想像することによって、円滑なコミュニケーションが可能になります。
リーダーや管理職にとっても、メンバーに対して高い共感を示すことができれば、信頼を得られるでしょう。
エンパシーがあることは、ビジネスシーンにおいて、良好な人間関係の構築や維持、業務のマネジメントなどにおいて役立ちます。
ビジネスシーンにおけるエンパシーの種類
ビジネスシーンにおける、エンパシーの種類について解説します。
感情的共感
相手の感情に対してとくに深い共感を示すエンパシーを、感情的共感といいます。
たとえば、部下が仕事でうまく成果を出せなかったときも、励ましの言葉や頑張りに対してのねぎらいの言葉をかけるなどは、感情的共感にあたります。
エンパシーのなかでも感情的共感を示すことができれば、相手は「この人は自分をわかってくれている」「自分を認めてくれている」という感覚をもてるでしょう。
感情的共感をうまく使うことができれば、お互いの信頼関係が深まり、相手のモチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。
認知的共感
認知的共感は、相手の考えや感情などに対して、共感をもちにくい相手に使う種類のエンパシーです。
エンパシーのなかでも、認知的共感は自分にない考えや価値観を相手の立場に立って想像する、知的作業の側面が強いのが特徴です。
ビジネスシーンでは、自分とは考え方や価値観が異なる人とも、協力して仕事をしなければならないことがあります。
自分と考えや価値観が異なり、共感できない相手ともうまくコミュニケーションをとる必要があるため、認知的共感が重要になります。
同情的共感
同情的共感は、相手の感情的な痛みやつらさを共有する共感のことです。
「同情」は、相手の立場に立って相手の考えや感情を体験するのではなく、自分自身の立場から苦しみや悲しみなどの感情を表現することです。
同情的共感は、エンパシーのなかでもどちらかというと自分の立場から感じた考えや感情を、相手と共有するニュアンスがあるといえるでしょう。
エンパシーが高い人の特徴
エンパシーが高い人の特徴を解説します。
好奇心がある
好奇心がある人は、自分のわからないことを積極的に知ろうとします。
コミュニケーションにおいても相手の考えや意図がわからないときに、相手の立場になって考えるなど、相手を理解しようとするでしょう。
そのため、好奇心がある人は、自然と他者へのエンパシーを発揮するため、エンパシーが高い傾向にあります。
傾聴力に長けている
傾聴力とは、相手の話をあるがままに受け入れ共感的に話を聴く能力のことです。
傾聴力があると、相手からの信頼も得やすく、相手が自然とよりくわしく自分の考えや感情を話してくれるようになります。
相手の立場を想像するための材料を多く得られるため、傾聴力に長けている人はエンパシーも高い傾向にあります。
ビジネスシーンでエンパシーを示す方法
ビジネスシーンでエンパシーを示す方法を紹介します。
相手の立場に立つ
自分主体ではなく、相手の立場に立って想像することはエンパシーの基本です。
相手がどのような状況に置かれているのかを理解することで、自分の立場からではわからなかった相手の考えや感情に気づけるようになります。
傾聴を大切にする
傾聴とは、相手の話をあるがままに受け入れて共感的に話を聴くことです。
傾聴を大切にして話を聴くことによって、相手は「自分の話をしっかり聴いてもらえた」「自分をわかってもらえた」という感覚をもてます。
傾聴によって信頼関係が構築できるため、相手も自分についてさまざまな情報を話してくれるようになり、聴いている側もより相手への理解が深まり、エンパシーを示しやすくなるでしょう。
エンパシーを高める方法
エンパシーを高める具体的な方法について解説します。
傾聴の姿勢を意識する
エンパシーを高めるには、日ごろから傾聴の姿勢を意識して人と接することが有効です。
傾聴には、相手が置かれている立場や状況に対する理解が必要です。
日ごろ傾聴の姿勢を意識することによって、エンパシーに重要な「相手の立場に立つ」というプロセスを自然にできるようになるでしょう。
さまざまな人と会話をする
人によって考え方や価値観は異なります。
さまざまな人と会話をすることによって、幅広くいろいろな考えや価値観を知ることが可能です。
多くの価値観に触れておくことは、相手の立場を想像する際に有効です。
さまざまな人と会話をすることは、エンパシーを高めるのに役立つでしょう。
ビジネスシーンでエンパシーを活かせる場面
ビジネスシーンにおいて、どのような場面でエンパシーを活かせるかを紹介します。
営業活動
営業活動では、相手との信頼関係を構築したうえで、相手のニーズや困りごとを的確に把握する必要があります。
エンパシーを示して、相手の立場に立って話を聴くことができれば、相手から信頼を得られるでしょう。
また、相手の立場から物事を把握することで、顧客の本来のニーズや困りごとの把握が可能です。
営業活動をおこなううえで、エンパシーは重要な能力といえるでしょう。
マーケティング
商品を販売するためには、いい商品を作るだけでは売上を上げることはできません。
商品を必要としている人に、役立つ商品であることをアピールするマーケティングが必要です。
どのようなマーケティング戦略が必要なのか、どのようなキャッチコピーであれば顧客の心に響くのかを考えるうえで、エンパシーが役立つでしょう。
商品の開発
商品の開発段階においても、顧客が必要としている商品やサービスを検討するために、エンパシーは有効です。
年齢や性別、顧客の収入や生活状況などを想像して、相手の立場に立つことで、商品のデザインや機能性、価格設定などを効果的に進められるでしょう。
エンパシーを活用してビジネスを円滑に
エンパシーとは、相手の立場に立って相手がどのように考え、なにを感じているのかを想像する能力のことです。
エンパシーを示すことには、信頼関係の構築や円滑なコミュニケーションなどさまざまなメリットがあります。
営業活動やマーケティングといったビジネスシーンでの活用も可能です。
傾聴などを意識しながらエンパシーを高め、ビジネスシーンでもぜひエンパシーを活用してみましょう。
エンパシーを高める方法を実践するために、相手とのコミュニケーション手段をビジネスチャットを用いて工夫してみるのも効果的です。
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たとえば、本記事で紹介した「傾聴」や「さまざな人との会話」を重ねる場として、ダイレクトチャットやグループチャットを活用してコミュニケーションを深めることで、エンパシーを高めることができるでしょう。
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記事監修者:山崎ゆうき(やまざきゆうき)
臨床心理士・公認心理師の資格を所持。司法・障害福祉領域などでの勤務を経て、独立開業。メンタルヘルス系の記事を中心に、心理学の知識をいかした記事執筆・監修を担当。心理学の知識をわかりやすく、日常でも実践しやすい形で発信しています。