ステークホルダーとは?ビジネスにおける意味や使い方、関係維持の方法を解説
目次
ステークホルダーとは、「利害関係者」という意味がある言葉です。
企業の事業活動を円滑に進めるためには、ステークホルダーとの関係性を良好に保つことが重要です。
ビジネスにおけるステークホルダーの意味や使い方、関係維持の方法を解説します。
ステークホルダーの意味とは?
ステークホルダーとは、利害関係者という意味がある言葉で、ビジネスシーンではよく使われる用語です。
株主や顧客、従業員をはじめ、行政機関や金融機関、地域社会や政府など、企業の事業活動に関わるすべての人が、ステークホルダーに当てはまります。
ステークホルダーは、事業活動を円滑に進行するために欠かせない存在のため、関係性を良好に保つ必要があります。
ステークホルダーとの関係性を良好に保つ方法などを詳しくみていきましょう。
ステークホルダーが注目を集める理由
ビジネスシーンで一度は耳にしたことがある「ステークホルダー」は、昨今注目度が高まっているキーワードです。
背景には、企業が事業活動をおこなうにあたって担う社会的責任(CSR)が、より求められるようになったことがあげられます。
CSRは、「Corporate Social Responsibility」の頭文字をとった言葉で、経済産業省では下記のように定義づけられています。
[※]引用:経済産業省「企業会計、開示・対話、CSR(企業の社会的責任)について」「企業の社会的責任」とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/index.html
CSRが日本で議論されるようになったのは、1950年ごろからですが、その後の公害問題や食品産地偽装問題、また環境への配慮の関心の高まりなどで、昨今より注目度が高まっています。
このような消費者の関心の高まりから、企業の事業活動においては、企業利益だけでなく、社会全体の利益を考えていく経営方針が求められるようになりました。
事業に関わるステークホルダー全体に配慮した事業を展開することは、長期的な視点でみた際に、ステークホルダー全体からの信用を得やすくします。
このような、企業の事業活動に関する消費者の関心の変化が関係して、ステークホルダーというキーワードへの注目度が高まっています。
ストックホルダー・シェアホルダーとの違い
ステークホルダーと混同しやすい言葉として、ストックホルダーとシェアホルダーがあげられます。
ストックホルダーとシェアホルダーは、企業の株をもっている株主を意味する言葉です。
ステークホルダーも、株主を含む言葉のため、ストックホルダーやシェアホルダーと重なる部分もありますが、ステークホルダーの場合、株主以外の従業員や経営者なども含まれる点が異なります。
また、シェアホルダーは、株主のなかでも、議決権がある人、ステークホルダーとストックホルダーは、株の所有者で、議決権がない人という意味で使われます。
それぞれ異なる意味をもつ言葉のため、使い分けに注意しましょう。
ステークホルダーの種類
企業の事業活動に関するすべての人のことを指す「ステークホルダー」は、下記の2つに分類されます。
- 直接的ステークホルダー
- 間接的ステークホルダー
それぞれの内容について確認していきましょう。
直接的ステークホルダー
「直接的ステークホルダー」とは、企業の事業活動において、直接的な影響を与えるステークホルダーのことです。
たとえば、顧客や取引先、従業員や株主、金融機関などが該当します。
企業の事業活動における規模や範囲、資金などに影響を与える重要な存在です。
間接的ステークホルダー
「間接的ステークホルダー」とは、企業の事業活動において、間接的な影響を与えるステークホルダーのことです。
たとえば、行政機関や地域社会、従業員の家族などが該当します。
直接的に事業活動に関わる存在ではありませんが、間接的に影響を与える存在のため、ステークホルダーの一員として考慮する必要があるでしょう。
ステークホルダーの使い方と例文
ステークホルダーの意味について確認したところで、次に言葉の使い方について確認していきましょう。
事業活動に関わるすべての人を意味する「ステークホルダー」は、人によって、捉え方が異なる可能性もある言葉です。
ミスコミュニケーションを防ぐためにも、相手別にステークホルダーの使い方を確認していきましょう。
株主に向けた使い方
株主総会などで、株主に向けてステークホルダーを使う際は、「株主」の意味をもちます。
上述した通り、「ストックホルダー」や「シェアホルダー」も株主の意味をもつため、限定的に株主を指して使う場合は、ミスコミュニケーションを防ぐためにも、3つの言葉を使い分けるようにしましょう。
- ステークホルダーである株主から賛同を得ることが大切です。
- シェアホルダー向けにスピーチをおこなう必要があります。
従業員に向けた例
ステークホルダーと聞くと、株主や取引先など、社外の人を指すイメージをもっている方も多いと思いますが、従業員も欠かせないステークホルダーの一員です。
しかし、社内集会などで、従業員のみに向けてステークホルダーを使うと、混乱を招く恐れがあるため、ほかの言葉で言い換えながら、円滑な情報共有を目指す必要があるでしょう。
- ステークホルダーである従業員にとって、働きやすい職場を整備する必要がある。
- ステークホルダー(従業員)から同意を得られないと、この制度を導入できない。
顧客・取引先に向けた例
企業の事業活動を継続するには、顧客や取引先の存在は欠かせません。
ステークホルダーは、株式を保有していない顧客も含んだ言葉です。
社外に向けてメッセージを出す際などは、下記のように活用しましょう。
- ステークホルダーの皆さまの声を反映した新商品を開発しました。
- ステークホルダーの皆さまのおかげで、創立10周年を迎えることができました。
また、従業員に向けて、経営戦略を共有する際などにも、ステークホルダーという言葉を活用できます。
この場合は、取引先や顧客、地域社会など、事業活動を継続するために必要な相手を意味します。
- ステークホルダーの声に耳を傾け、信頼関係の構築を目指しましょう。
- ステークホルダーとコミュニケーションをとることが、企業が持続的に成長する上で重要です。
ステークホルダーは、使用する相手やシチュエーションによって、幅広い意味をもったり、限定的な意味をもったりする言葉です。
適切な言い換え表現を用いて、ミスコミュニケーションの予防を目指しましょう。
ステークホルダーの関係性を維持する方法
ステークホルダーとの関係性を維持するには、「ステークホルダーマネジメント」や「ステークホルダーエンゲージメント」を意識した活動が大切です。
それぞれの方法の詳細を解説します。
ステークホルダーマネジメント
「ステークホルダーマネジメント」とは、ステークホルダーとの関係を管理する手法のことです。
具体的には、ステークホルダーとの関係性を良好にするために、ステークホルダーの価値観や意見を調査する方法などがあげられます。
企業にとって影響力のあるステークホルダーをおさえておくとりくみで、事業活動やプロジェクトの流れを円滑に進めやすくなるでしょう。
ステークホルダーエンゲージメント
「ステークホルダーエンゲージメント」とは、ステークホルダーの関心や要望などをくみとり、企業の事業活動における意思決定に反映させることです。
たとえば、顧客に向けた相談窓口の設置により、顧客の不満や要望に耳を傾ける機会を創出できます。
ほかにも、従業員に向けた意識調査や株主総会など、ステークホルダーに向けたとりくみ内容全般が、ステークホルダーエンゲージメントに当てはまります。
ステークホルダーの満足度を高められる行動へのとりくみにより、長期的に事業活動を続けるうえで必要な信頼を獲得しやすくなるでしょう。
ステークホルダーマネジメントの手順
ステークホルダーマネジメントをとりいれるためにも、手順について解説します。
ステークホルダーマネジメントは、具体的には以下の4つの手順で進行できます。
- ステークホルダーの特定
- ステークホルダーマネジメントの計画
- ステークホルダーマネジメントの管理
- ステークホルダーマネジメントの監視
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
手順(1):ステークホルダーの特定
まずは、自社に関わりのあるステークホルダーの洗い出しからはじめましょう。
たとえば、取引先などの関係者の立場や名前などを整理したり、従業員の立場や情報などをまとめたりなど、ステークホルダーとの関係性を整理していきます。
関係性を整理する際は、図式を活用してまとめていくと、相互関係のイメージを掴みやすくなります。
手順(2):ステークホルダーマネジメントの計画
次に、自社とステークホルダーとの協力体制をとれるように、ステークホルダーマネジメントに関わる計画を立てていきます。
各ステークホルダーにおいて、自社のとりくみにどのくらいの関心度や影響力があるのかなど、事前に情報収集と分析を進めておきましょう。
手順(3):ステークホルダーマネジメントの管理
ステークホルダーマネジメントの計画を実行するためには、ステークホルダーとのコミュニケーションが重要です。
各提案内容について、ステークホルダーの了承を得る段階を経て、計画を実行に移していくことができます。
計画の進行をスムーズに進めるためには、スケジュール調整や人間関係の調整などを図りながら、臨機応変に対応するスキルが求められるでしょう。
手順(4):ステークホルダーマネジメントの監視
ステークホルダーマネジメントの計画が順調に進んでいるのかは、適宜監視して、調整していく必要があります。
ステークホルダーとの関係性を見直したり、計画を調整したりするなど、必要に応じてコントロールできるようにしておきましょう。
ステークホルダーとの関係性を維持するポイント
ステークホルダーの関係性を維持するポイントについて解説します。
ステークホルダーという自覚をもって働く
ステークホルダーは、企業の経営者から従業員までを含むため、「従業員も事業活動に関わる重要な一員」という自覚をもって、働いてもらう意識が大切です。
たとえば、従業員がなにかしらの事故や事件などをおこしてしまうと、企業全体の社会的なイメージを悪くしてしまう事例も見受けられるでしょう。
企業の一員という自覚をもってもらうためにも、社内研修や勉強会などの機会を設け、定期的に企業のミッションやクレドなどを浸透させるとりくみが重要です。
>【社労士監修】コンプライアンスの身近な事例に関する記事はこちら
企業理念から関係の重要性を伝えていく
ステークホルダーとの関係性や思いを盛り込んだ企業理念の存在により、ステークホルダーの存在の重要性を伝えやすくなります。
たとえば、自社のWebサイトに企業理念を掲載しておくことで、ステークホルダーである顧客や株主などに、自社の意思を伝えられるでしょう。
すべてのステークホルダーとの関係性を大切にする
一部のステークホルダーだけを重視しすぎると、ほかのステークホルダーから不満が生まれる原因となり、信用を失いやすくなります。
従業員や顧客、株主や地域社会の人々など、事業活動に関わる幅広い人々や機関との関係を大切しながら、事業の経営方針を決めていくとりくみが大切です。
ステークホルダーとの関係性は経営維持に重要
「ステークホルダー」は、取引先や顧客などを指す言葉だと思われがちですが、経営者から従業員、株主や地域社会など、幅広い人々や機関が含まれる言葉です。
利害関係者であるステークホルダーを正しく捉え、良好な関係性を構築するとりくみにより、企業の持続的な成長を目指すことができるでしょう。
ステークホルダーとの関係性を維持するには、定期的にコミュニケーションを図ることも重要です。
たとえば、従業員や取引先とのコミュニケーション活性化を目指す際は、ビジネスチャット「Chatwork」の活用が便利です。
「Chatwork」は、チャット形式で簡単にやりとりができるビジネスツールで、社内はもちろん、社外のやりとりにも活用できるツールです。
たとえば、関係者が多いプロジェクトの進行や、情報共有が複雑になりやすい全社共有なども、グループチャットの活用により、簡単におこなえるでしょう。
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