先入れ先出しとは?メリット・デメリットや効率化の方法を解説
目次
先入れ先出しは、商品の品質維持の観点から、小売業や製造業などで重要視されている管理方法です。
先入れ先出しにはメリットがある一方で、デメリットもあるため、デメリットをカバーするために管理のポイントを意識することが大切です。
先入れ先出しの意味やメリット・デメリット、効率的におこなう方法を解説します。
先入れ先出しとは
先入れ先出しとは、倉庫に先に仕入れた商品から出庫していく管理方法のことで、商品の品質維持の観点から、小売業や製造業などでは基本的なルールとして重要視されています。
たとえば、5月10日に10個、5月15日に20個、5月20日に5個の商品を仕入れ、のちに15個の注文が入った場合、5月10日に仕入れた商品10個を先に出し、足りない5個を5月15日に仕入れた分から出庫する管理方法が、先入れ先出しです。
先入れ先出しの場合、新しい商品が入荷すると、倉庫にある先に仕入れた古い日付の商品を手前にとり出し、新しい商品を奥に保管していきます。
先入れ先出しは、英語で「FIFO(First-In First-Out)」と呼ばれます。
先入れ後出しとの違い
先入れ後出しは、新しく仕入れた商品から出庫する管理方法で、英語で「LIFO(Last-In First-Out)」と呼びます。
たとえば、5月10日に10個、5月15日に20個の商品を仕入れ、のちに10個の注文が入った場合は、5月15日に仕入れた分から出庫します。
先入れ後出しは、商品を新しく仕入れた際に、新しい商品を手前に置き、日付の古い商品を奥に移動させて管理するため、先入れ先出しとは反対の管理方法といえるでしょう。
先入れ先出しのメリット
先入れ先出しには、品質維持や適正な在庫管理などのメリットがあります。
詳しく確認していきましょう。
品質を維持できる
先入れ先出しは、先に仕入れた商品から出庫するため、使用期限などを切らす恐れが少なく、品質を維持したまま、顧客の手に届けられるメリットがあります。
使用期限や賞味期限がある商品は、期限を超過してしまうと販売できなくなり、廃棄コストや処理の手間がかかってしまいます。
しかし、先入れ先出しの管理方法を採用することで、自社や従業員に余計な負担をかけずに、管理することができます。
適正な在庫管理につながる
先入れ先出しは、新しい商品を入庫した際に、古い商品を手前に出し、新しい商品を奥に入れる管理方法です。
そのため、仕入れた商品が長期間放置され、保管場所がわからなくなるといった事態を防止でき、適正な在庫管理が実施できます。
置き場所を定めず、仕入れた商品を適当な場所に保管すると、入荷日の把握や在庫数の確認に時間がかかりますが、先入れ先出しをおこなうと、倉庫の中が整い、作業員の負担が軽減したり、ミスを防止できたりもします。
先入れ先出しのデメリット
先入れ先出しは、品質維持や在庫管理の面ではメリットがありますが、デメリットもあるため、把握しておく必要があります。
先入れ先出しのデメリットをみていきましょう。
詳細なデータ管理が必要になる
先入れ先出しの管理方法を採用する場合は、詳細なデータ管理が必要になります。
たとえば、商品名や商品番号、入荷日、製造年月日、賞味期限、使用期限、出荷期限などのデータ管理が求められるため、データ入力の手間が発生します。
詳細なデータ管理を徹底していないと、データの信憑性が薄れ、データに頼った管理ができなくなってしまい、スムーズな入出庫ができなくなる恐れがあります。
作業員の工数や負担が増える
先入れ先出しは、古い商品を移動させる工数が仕入れのたびに発生するため、作業員の工数や負担が増えるデメリットがあります。
作業工数の増加によって、作業員のミスが起きやすくなる恐れもあるでしょう。
先入れ先出しを実施する際の注意点
先入れ先出しを実施する際は、商品の保管場所の認識が作業員によって異ならないように注意が必要です。
先入れ先出しは、適切に出庫できるように商品を入荷日別に仕分ける必要がありますが、同一の商品を別日に入荷することもあるため、入荷日ごとの保管場所を明確に定めておかないと、新しく仕入れた商品から出庫してしまうかもしれません。
先入れ先出しを適切におこなうためには、保管場所や仕分けのルールを作業員間で統一しておくことが大切です。
先入れ先出しを効率的におこなうポイント
前述した通り、先入れ先出しには、詳細なデータ管理が必要になったり、工数が増える可能性があったりなど、デメリットや注意点もあるため、実施する際は工夫が必要になります。
今回は、先入れ先出しを効率的におこなうポイントとして、6つのポイントを紹介します。
- 一目で商品状態がわかるようにする
- 3Sを意識する
- 適正な在庫にする
- 教育を徹底する
- ルールを徹底する
- 在庫管理システムを活用する
6つのポイントを参考に、先入れ先出しを効率的におこない、生産性向上を目指しましょう。
一目で商品状態がわかるようにする
先に仕入れた商品だと一目でわかるように、色つきのシールや、入荷日や賞味期限を書き込んだシールを貼り付けるなど、一目で商品状態がわかるようにしましょう。
入荷日などを書き込んだシールを貼る場合、一目で古い商品なのか、新しい商品なのかがわかりますが、色つきのシールを貼る場合は、たとえば赤色のシールは「午前入荷」というように、色の意味を作業員間で共有しておくことが大切です。
3Sを意識する
「整理」「整頓」「清掃」の3Sを意識すると、商品の状態や保管場所がわかりやすくなり、作業時間の短縮につながります。
倉庫内に商品が乱雑に置かれている状況では、商品を探し出すのに手間がかかったり、作業員が作業のしづらさを感じたりして、効率的な先入れ先出しをおこなえません。
そのため、作業員や商品の倉庫内での動きを分析し、作業動線を確保できるように3Sをおこなえると、作業員の働きやすさも向上するでしょう。
在庫を適正にする
商品の在庫数が多すぎる場合、データ管理の手間がかかったり、商品の使用期限の超過にすぐに気づけなかったりして、作業負担や廃棄コストの増加につながる恐れがあります。
また、多すぎる在庫は、古い商品を手前に移動させ、新しい商品を倉庫の奥に移動させるという工数にかける時間も増やしてしまうため、在庫を適正にすることが大切です。
作業員への教育を徹底する
先入れ先出しを適切に実施するためにも、作業員への教育の徹底が求められます。
倉庫の保管場所などの認識が作業員によって相違していると、古い商品の上に新しい商品を積んだり、新しい商品から出庫したりといったミスが発生するかもしれません。
また、ピッキング作業にはアルバイトの人が携わるなど、人の入れ替わりが多いケースもあるため、先入れ先出しのルールや保管場所についてまとめた図入りの指示書を、だれもが見やすい位置に掲示しておくと、ルールを早く覚えてもらえる可能性があります。
ヒューマンエラーを予防するためにも、教育を徹底しておこなうことは重要です。
ルールを徹底する
作業員に対して、先入れ先出しのルールを徹底しましょう。
先に仕入れた商品から先に出庫するという、先入れ先出しの基本的なルール以外にも、商品状態をわかりやすくするために貼るシールの意味や商品の保管場所など、スムーズな入出庫を実現できるようにルールを定め、作業員に周知します。
また、責任者は、作業員がルールを徹底しているかを実際に倉庫内を回ってチェックし、ルール順守の意識を高めさせることが重要です。
在庫管理システムを活用する
在庫管理システムは、商品の入出庫や在庫、棚卸しなどのデータをシステムで管理できるため、Excelなどの表計算ソフトや紙で在庫管理するよりも効率的です。
在庫管理システムは、製造業に特化したシステムや、小売業に特化したシステムなど、さまざまな種類があるため、自社に合ったシステムを導入すると、さらに業務効率化をはかれるでしょう。
社内周知・啓発に「Chatwork」
先入れ先出しとは、先に仕入れた商品から出庫する管理方法のことで、商品の品質維持や適正な在庫管理をできるメリットがあります。
先入れ先出しを効率的におこなうには、ルールの徹底や作業員への教育が大切なため、チャット形式で気軽にメッセージを送れるコミュニケーションツール、ビジネスチャット「Chatwork」の活用がおすすめです。
「Chatwork」は、グループチャットの作成やファイル添付ができるため、作業員をメンバーにくわえて、先入れ先出しのルールをまとめた指示書をチャットで送ると、一人ひとりに指示書を配る手間なく、情報共有をおこなえます。
また、チャットの右上にある「概要」欄に、指示書を閲覧できるURLを貼り付けておくと、作業員は迅速に指示書を読み返せるでしょう。
先入れ先出しについて、効率的な情報共有や教育をおこなうために、ビジネスチャット「Chatwork」の導入をぜひご検討ください。
Chatwork(チャットワーク)は多くの企業に導入いただいているビジネスチャットです。あらゆる業種・職種で働く方のコミュニケーション円滑化・業務の効率化をご支援しています。