トレードオフとは?ビジネスや日常の6つの具体例や使い方を紹介
目次
トレードオフは、一方を選ぶともう一方を失うことを指します。
ビジネスを例にあげると「品質とコストのどちらかを選ぶのは難しい」という内容があげられます。
事業活動における課題になりやすい部分なので、トレードオフのバランスを考えることが必要です。
どのような内容がトレードオフに当てはまるのかを知るためにも、具体例をビジネス編と日常編に分けて解説します。
トレードオフとは?
トレードオフ(trade off)は、一方を選ぶともう一方を失うことを指します。
主にビジネスの場で使われている用語です。
たとえば、商品にかかるコストを削減しすぎると、品質が低下してしまう例があげられます。
ビジネスの場合「両方のバランスが成り立つような解決策」を検討することが重要だと考えられています。
機会費用との違い
機会費用とは、何かを選択した場合に、別の選択をしなかったことによって失った利益を指します。
トレードオフは、一方を選ぶともう一方を失うという意味を指すので「何かを選ぶと片方を失う」という意味では似ています。
ただ、機会費用は「失った利益」を指す言葉なので、厳密にはトレードオフとは違う意味だといえます。
二律背反との違い
二律背反(にりつはいはん)とは、ふたつのテーマにおいて、どちらも妥当だと感じられる内容ではあるものの、同時に矛盾しているという意味を指す言葉です。
両立できないという点だけを見ると、意味が似ていると感じる部分があるかもしれません。
ただ、二律背反は「テーマの矛盾」を意味する一方、トレードオフは「片方を失う」という意味があるので厳密には違います。
二律背反は哲学が由来の言葉で、トレードオフは主にビジネスや社会問題の場で使います。
ジレンマとの違い
「ジレンマ」には「ふたつの相反する事柄があるときに、板挟みになる」という意味があります。
板挟みになった結果、どちらを選んでも損をしてしまう状況になるのです。
トレードオフの場合は「片方を選ぶともう片方を失う」という意味なので、両方のどちらを選んでも損をするジレンマとは意味が違います。
トレードオフの3つの具体例:ビジネス編
トレードオフは具体的にどのようなシーンで使われる言葉なのでしょうか。
ビジネスシーンと日常シーンに分けて紹介します。
ビジネスシーンでよく見られる主な具体例には、以下のようなものがあります。
- 品質とコスト
- 需要と在庫
- 時間と利益
それぞれどのような使い方なのか、くわしく見ていきましょう。
具体例(1):品質とコスト
ビジネスにおいては、高品質と低価格の両立は難しい傾向があります。
企業側が高品質な商品を低価格で販売しすぎると、採算を取れなくなるからです。
また、企業側が品質を落として価格を上げてしまう場合も、消費者が満足できない商品を提供することになります。
トレードオフにならないためには、人件費や製造の手間などにかかるコストを含めて、品質と価格のバランスを取ることが重要です。
具体例(2):需要と在庫
商品の需要と在庫は、ビジネスにおけるトレードオフの例に当てはまります。
企業側は社会の需要に合わせて商品を作りますが、在庫を抱えすぎると商品の売れ行きが悪くなった際に、赤字になることもあるからです。
また、在庫がありすぎると、保管する場所や管理するための人件費などがかかってしまいます。
一方で、在庫を抑えすぎてしまうと、今度は消費者の需要に応えられなくなり、消費者が商品を購入するタイミングを逃す原因になるかもしれません。
継続的に企業が経営を続けるためにも、商品の需要と在庫のバランスを保つことが大切です。
具体例(3):時間と利益
ビジネスの例においては、労働時間と利益はトレードオフの関係といえます。
多くの場合、労働時間が長いほど、対価として多くの収入を受け取ることができます。
ただ、労働時間が長くなると時間を失うというデメリットがあるため、自分のために時間を使えなくなってしまいます。
トレードオフの3つの具体例:日常編
日常生活において、トレードオフはどういった使い方をするのでしょうか。
こちらも3つの具体例から、その使い方をみていきます。
- 睡眠時間と勉強
- 消費と貯金
- 喫煙と健康
共感しやすい具体例なので、理解しやすくなります。
具体例(1):睡眠時間と勉強
社会人が勉強時間を確保するには、睡眠時間を削らないといけない場合があります。
仕事の合間やプライベートの時間を使い、勉強をしなければならないため、時間が限られてしまうのです。
ただ、睡眠時間を削りすぎると眠気に襲われてしまい、勉強に集中できないといった本末転倒になる可能性があります。
反対に、睡眠時間やプライベートの時間を増やしすぎると、勉強する時間がなくなってしまうことがあるのです。
具体例(2):消費と貯金
消費にお金をかけすぎてしまうと、貯金に回せるお金を失います。
お金の流れには収入と支出がありますが、毎月の収入よりも支出のほうが多いと、将来の備えにまわすお金が減ってしまうでしょう。
ただ、消費を我慢しすぎると心のストレスを感じてしまい、楽しくないという気持ちになるかもしれません。
毎月の貯金額を決めておき、残ったお金で消費を楽しむようにするなど、収支のバランスを保つ必要があります。
具体例(3):喫煙と健康
喫煙を増やしすぎると、健康を損なう可能性が高まると考えられています。
ストレスを解消するための喫煙だとしても、人によっては体への負担が大きくなってしまうのです。
心と体の両方から健康でいるためにも、喫煙以外にストレスを発散できるものを探してみるとよいかもしれません。
トレードオフが生じる場面
身近な事例以外にも、以下のようなトレードオフが生じる場面があります。
- 環境問題と経済成長において
- 社会福祉と税金において
- 生物学において
トレードオフが生じる場面を見ていきましょう。
環境問題と経済成長において
経済的な成長には生産が求められることも多いですが、環境に影響を与えてしまう問題があります。
事業活動において商品やサービスを作る過程では、二酸化炭素などの温室効果ガスが発生してしまうからです。
現在はSDGsなどが注目されている背景もあり、事業活動をするうえで環境への負荷を減らす活動を実施する企業が増えています。
社会福祉と税金において
社会福祉のサービスを充実させるには、税金が必要になってきます。
ただ、より充実した内容を提供するために税金を上げてしまうと、国民の負担が増えてしまうのです。
社会福祉と税金はトレードオフの関係なので、解決が難しい問題といわれています。
生物学において
生物学では、進化の過程で失ったものや得たものを説明する際に、トレードオフの言葉を使います。
たとえば、鳥類は空を飛びますが、なかには水中を泳げるものがいるなど、それぞれの種類によって特徴が違ってきます。
ただ、水中を泳げる代わりに飛べなくなる鳥類がいるなど、進化の過程で強みを得た分、ほかの能力を失ってしまうことがあるのです。
トレードオフのバランスを考えよう
トレードオフは、一方を選ぶともう一方を失ってしまいます。
ビジネスの例では、品質とコストなどの課題がありますが、トレードオフの課題は事業活動を続けるうえでは避けられないといえます。
トレードオフの関係になるものは、なるべく両方のバランスを取れるような方法を検討していくことが大切です。
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