プロスペクト理論の損失回避性とは?マーケティングへの活用方法を解説

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プロスペクト理論の損失回避性とは?マーケティングへの活用方法を解説

目次

プロスペクト理論とは、人々が不確実な状況下で意思決定をおこなう際に、期待値や見込みによって認知を歪めてしまい、合理的な判断ができなくなるという行動を表した理論です。

ビジネスやマーケティングに応用されることが多い理論ですが、消費者に対して過度な煽りなどは、返ってストレスを引き起こしてしまう可能性もあります。

消費者と長期的な信頼関係を構築するためにも、消費者の心理を理解し、適切な方法で利用することが重要です。

本記事では、プロスペクト理論の正しい意味や活用方法について分かりやすく解説します。

プロスペクト理論とは

「プロスペクト(prospect)」は、「予想」や「期待」「展望」という意味がある言葉で、不確実性のなかでの意思決定モデルを表したものを「プロスぺクト理論」と呼びます。

「人々は意思決定をおこなう際には、人間本来の認知バイアスが作用するため、必ずしも合理的な判断ができるわけではない」ということを説明しています。

プロスペクト理論は「行動経済学の基礎」ともいわれており、マーケティングや営業活動などに活用されます。

プロスペクト理論の2つの柱

プロスペクト理論には「確率加重関数」「価値観数」の2つの柱が存在します。

いずれも、消費者心理を把握するためには重要な柱です。

プロスペクト理論に必要な2つの柱について解説します。

確率加重変数

「確率加重変数」とは、客観的に見て確率が低ければ過大評価をし、確率が高ければ過小評価する傾向のことです。

たとえば、確率がかなり低くても高額当選が狙える宝くじを買う場合「もしかしたら当選するかも」と過大評価をする傾向にあります。

一方で、自身の身に起こりうる手術などで「60%の確率で成功する」といわれていても、確立を過小評価し不安に感じてしまいます。

このように、客観的な確率通りではなく、状況などにより認識の差が生まれることを確率加重変数といいます。

価値関数

「価値観数」は、客観的に人間が「価値」と感じるものには差があることを示しています。

たとえば、お金に関して考えると、利益を得る喜びよりも損をすることの苦痛のほうが大きく感じるような場合です。

これには損失回避性が大きく影響しており、損失に対して過剰に恐怖心を覚えることをいいます。

プロスペクト理論から生まれる3つの心理作用

プロスペクト理論では、以下の3つの心理作用が生まれるといわれています。

  • 損失回避性
  • 参照点依存性
  • 感応度逓減性

それぞれについて詳しく解説します。

損失回避性

プロスペクト理論で生まれる心理作用の1つ目に「損失回避性」があります。

損失回避性とは、手に入れることよりも損をすることの回避を選ぶ心理作用です。

「価値関数」で示した「得ることの喜びよりも失うことのショックが大きい」という価値の歪みが左右します。

たとえば、「このシステムで毎月10万円の利益が得られます」よりも「このシステムで毎月10万円の無駄が削減できます」といわれるほうが、利用者の損失回避性に訴えかけられます。

このように損失回避性は、営業活動にも活用できる手法です。

参照点依存性

心理作用の2つ目には「参照点依存性」があります。

価値を相対的に判断する心理作用で、絶対的ではない特徴があります。

「参照点依存性」の心理作用が働くことで、元値となる参照点を基準に考えるようになります。

たとえば、実際に払う金額は同じ20万円であっても、もともとは25万円だったものが20万円で買えた方が、より得をしたと感じる心理です。

たとえ「最終的に支払う金額が同じでも、割引されていると分かるほうがお得である。」というように、価値を高く感じる傾向があります。

感応度逓減性

感応度逓減(ていげん)性とは、損失額が同じでも母数が大きくなるほど鈍感に感じてしまう心理作用を指します。

たとえば、母数の小さい1,000円で勝った商品が後日800円で売られていた場合のほうが、10万円で勝った商品が9万9,800円で売られていた場合よりも大きなショックを受けるようなものです。

マーケティング施策を実行するうえでも、感応度逓減性は活用できます。

プロスペクト理論をマーケティングに活用する方法

プロスペクト理論は、実際のマーケティング活動や営業活動においても活用されています。

  • 無料・割引キャンペーン
  • 期間限定セール
  • ポイント付与
  • 松竹梅のランク
  • 返金保証

それぞれの具体的な活用方法を見てみましょう。

無料・割引キャンペーン

無料・割引キャンペーンは、損失回避性の心理作用を活用します。

消費者の「無料でもらえるかもしれないものをもらえずに損をする」という気持ちを掻き立てることで購買につなげます。

仮に無料になる人数が限定的である場合でも、「無料になるかもしれない」という確率加重変数から期待値が高まり、結果的にプラスに作用します。

期間限定セール

期間限定セールは、消費者に損失回避性の心理作用を与えます。

期間限定セールが開催されると、消費者は「ここで買わないと損をする」と感じて商品を購入してしまいます。

消費者の損失を煽ることで、消費行動の促進につなげます。

ポイント付与

商品購入やサービスでポイントが付与されることで、消費者は得をした気分になります。

ポイントの有効期限が近づくと、消費者は獲得ポイントの損失を嫌がり、ポイント利用のために購買活動をおこないます。

消費者の心理状況も「ポイントサービスがないと損」と感じて、ポイントサービスのある店を選ぶようになるなど、ポイントは購買者の消費活動に大きく作用します。

松竹梅のランク

価格ごとに松・竹・梅のそれぞれ異なるランクを設定することもマーケティングに活用できる手法です。

松竹梅のランクにより、まずは参照点依存性の観点から「竹」が選ばれ、ランクの中でも一番高い「松」は選ばれづらくなります。

一方、損失回避性の観点では下のランクでも物足りなくて損をすると感じられやすい「梅」が選択肢から外れます。

結果、最も損失の少ない「竹」が選ばれやすくなります。

返金保証

返金保証も損失回避性につながります。

長期的に使うことになる商品やサービスは、始めても自身に合わなかった場合には損失になるので申し込みにためらいます。

返金保証を提示することで安心して申し込みにつなげられます。

無料お試しキャンペーンなどがあれば、「いま始めないと損」と感じて申し込むきっかけになるでしょう。

プロスペクト理論を活用する際の注意点

プロスペクト理論は、キャッチコピーなどに応用されることがあります。

しかし、応用することで消費者を煽ったり焦らせたりしてしまい、消費者が負担に感じ疲弊してしまうケースもあります。

プロスペクト理論を多用することは、継続的なアプローチには有効とはいえません。

長期的に消費者との関係性を築き信頼感を構築するためにも、プロスペクト理論などの行動経済学は、消費者の心理を理解するためのヒントとして扱いましょう。

プロスペクト理論は理解して活用しましょう

プロスペクト理論はマーケティングだけではなく、ビジネスにおけるあらゆるシーンで活用できます。

プロスペクト理論を正しく理解して活用することで、メリットをもたらすこともあるでしょう。

プロスペクト理論は、個人だけではなく社内全体としても理解しておきたい内容です。

理解を深めてもらうためにも、ビジネスチャットツール「Chatwork」の活用がおすすめです。

グループチャットを活用することで、社内全体に向けてのプロスペクト理論に関する情報発信や意見交換を効率よく進められます。

>Chatworkのグループチャットに関する記事はこちら

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