経営理念が浸透しないとどうなる?組織を活性化させる浸透策と成功の秘訣

目次
経営理念を掲げていても、なかなか現場に浸透せず形骸化しているという企業は少なくありません。
社員が理念を理解・共感できていなければ組織としての一体感が生まれにくく、成果にもつながりにくくなります。
本記事では、経営理念の基礎知識や重要視されている理由、浸透しないデメリットなどを解説します。
さらに、経営理念を確実に浸透させるための7ステップとともに、経営理念の浸透を成功させるポイントや役立つツールもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
経営理念とは?
経営理念とは、企業が存在する意義や目指すべき方向性を明文化したものです。
経営理念は単なるスローガンではなく、経営層から現場まで一貫して共有されるべき基盤であり、経営判断や社員一人ひとりの行動の根拠や基準となる重要な指標でもあります。
そのため、経営理念が明確であるほど、経営上の迷いやブレを最小限に抑えられ、組織全体の一貫性を生み出す効果が期待できます。
企業理念との違い
企業理念と経営理念は混同されがちですが、それぞれ意味が異なります。
経営理念が企業活動における実践的・行動的な指標であるのに対し、企業理念はより広範な価値観や社会的使命を表現する概念です。
企業理念は「企業の存在意義」に焦点を当てており、経営理念は「行動規範」を表したものであるともいえます。
経営理念が重要視される理由
経営理念の目的は、企業の意思決定や行動に一貫性や統一感をもたらし、組織全体の方向性や足並みをそろえることです。
経営理念を組織全体の価値基準とすることで、さまざまな階層の社員がそれぞれの立場で、長期的なビジョンに基づいた意思決定が可能になります。
また、理念が浸透している企業では、社員一人ひとりが自ら考え行動する文化が根付きやすく、組織の自律性と柔軟性が高まる傾向があります。
組織全体として一貫性や統一感があると、顧客や取引先などからの信頼を得られやすく、企業のイメージアップやブランディングにもつながるというのが、経営理念が重要視される大きな理由です。
経営理念が浸透しない要因とは?
経営理念を掲げてはいるものの、なかなか根付かないという企業は少なくありません。
ここからは、経営理念が組織に浸透しない主な要因を3つ解説します。
経営理念そのものに問題がある
経営理念が浸透しない一因として、理念そのものに問題があるケースが挙げられます。
たとえば、理念が抽象的すぎて意味が伝わらなかったり、企業イメージと乖離していたりすると、社員が共感できず、自発的な行動にはつながりません。
また、企業の実態とかけ離れた理想を掲げてしまい、かえって社員からの不信感を招くケースも見られます。
浸透させるための取り組みに問題がある
経営理念を社内に浸透させるための取り組みに問題がある場合もあります。
そもそも、経営理念を浸透させるための取り組みをおこなわないと、なかなか企業全体へは浸透しません。
取り組み内容が表面的・形式的なものにとどまっている場合や、一度きりのイベントで終わっているような場合は、期待するような効果は得られにくいでしょう。
組織風土や環境に問題があるケース
経営理念が浸透しない背景に、組織風土や職場環境に起因する問題が隠れている場合もあります。
たとえば、上司の指示や言動が理念に反していたり、短期的な成果ばかりが重視される評価制度であったりすると、社員は理念を信頼できず、実践する意欲も湧きません。
自由な発言がしにくい職場や、失敗を許容しない文化、多様性を認めない環境などでは主体的な行動が生まれにくく、理念と現実のギャップを感じやすくなってしまいます。
経営理念が浸透していない場合のデメリット
経営理念が組織内へ浸透していない状態が続くと、さまざまな弊害が生じやすくなります。
ここからは、経営理念が浸透していない場合の主なデメリットを4つ解説します。
経営陣への不満や不信感の増加
経営理念が社内に浸透していないと、経営陣と現場との間で信頼関係が希薄になりやすい場合があります。
たとえば、掲げている理念と実際の経営判断が矛盾していた場合、社員は「言っていることとやっていることが違う」と感じ、不信感を抱くようになります。
本来、組織全体の判断軸となるべき経営理念が共有・実践されていない状態は、かえって逆効果にもなりかねないため、注意が必要です。
社員のモチベーション低下と主体性の欠如
経営理念が浸透していないと、社員の業務に対する意味付けが曖昧になり、モチベーションの低下を招きます。
経営理念は単なる目標やスローガンではなく、自身の仕事が企業全体の方向性とどう関係するのかを示す重要な指針でもあるためです。
また、経営理念を理解できない社員は方向性を見失いやすく、与えられた業務をこなすだけの受け身な姿勢に陥りがちです。
生産性が上がらず業績向上につながらない
経営理念が現場に浸透していないと生産性が上がらず、業績も頭打ちになりやすい側面があります。
同じ組織内であっても、部門や役職者ごとに価値観や優先順位が異なっていると、無駄な調整や重複、衝突などが発生しやすくなります。
経営理念には、業務の優先順位や判断基準を統一する役割もあるため、理念が浸透していないことによって業績を上げる行動や戦略的な動きが取りにくくなるケースがあります。
採用力の低下と離職率の増加
経営理念が浸透していない企業は、人材の確保・定着に苦戦しやすい傾向にあります。
経営理念が明確であれば、企業の価値観やビジョンに共感する人材が集まりやすくなります。
一方、理念が曖昧で一貫性がない企業の存在価値や価値観は共感されにくく、求職者が集まりにくい・企業への愛着がわきにくいなどの問題が生じてしまうためです。
とくに近年は、働く意義や社会的使命を重視する人材が増加しているため、理念の浸透は採用・定着においてより重要な意味をもつようになっています。
経営理念を確実に浸透させるための7ステップ
経営理念を確実に浸透させるためには、以下の7ステップを踏むことが重要です。
ステップ1:共感を呼ぶ経営理念の策定・見直し
理念浸透に向けてまずおこなうべきことは、社員の共感を得られる経営理念を策定することです。
抽象的すぎる理念や現実離れしている理念は社員からの共感を得られないだけでなく、業務上の行動にもなかなか結び付きません。
そのため、経営理念は企業の実態や社会的役割に即したものであることにくわえ、具体性と誠実さがあり、実現可能な言葉で構築することが望ましいでしょう。
また、策定や見直しの段階で社員の声を集めるなど、経営層と社員が一緒に作っていくという姿勢で取り組むのもひとつの方法です。
ステップ2:経営層・管理職からの積極的な発信と体現
理念を現場に浸透させるには、まず経営層や管理職が積極的に発信し、自らの行動で体現することが不可欠です。
経営層や管理職が理念に沿った言動を実践して規範となることで、社員は経営理念の価値観を具体的なものとして受け止めやすくなります。
逆に、発信が形式的であったり、行動が理念と矛盾していたりすると、社員からの信頼は得られず、浸透はより困難になるため、注意が必要でしょう。
ステップ3:理念を社員が自分事化するための仕組みづくり
経営理念を浸透させるためには、社員が理念を自分事として捉えるための仕組みづくりが必要です。
たとえば、理念に基づいた行動とはどのようなものかを考えるワークショップや、理念に紐付いた目標設定をおこなうことなどが挙げられます。
理念を具体的な行動や考え方などといった実践可能な範囲に落とし込むことで、社員は自分事として捉えやすくなるでしょう。
ステップ4:人事評価制度との連動
理念の浸透を促進するためには、人事評価制度と理念を連動させることが重要です。
理念に沿った行動や成果を評価する体制を作ることで、社員は理念を意識しながら日々考え、行動するようになります。
理念よりも成果に重きを置くばかりの評価制度になっていると、社員は理念を形式的な存在と認識して実践しなくなったり、成果を上げるために理念に反する行動を取ったりする場合もあるため注意が必要です。
ステップ5:理念浸透を促進するコミュニケーション環境の整備
経営理念の浸透には、理念について自由に話し合えるコミュニケーションの場を用意することも大切です。
たとえば、定期的な1on1ミーティングや、理念をテーマにしたグループディスカッションなどを実施すれば、経営理念を単なる文言から価値ある理念へ捉え直すきっかけになります。
また、社員が日常的に触れる社内報や社内SNSなどを使って、理念に関する情報や事例を発信する取り組みも効果的です。
ステップ6:浸透度合いの定期的な測定と改善
経営理念の浸透は一度の施策で完了するものではないため、継続的に効果や浸透度合いを測定し、必要に応じて改善を重ねることが重要です。
社員がどの程度理念を理解し、日常業務に根付いているかを測定・把握することで、的確なアプローチが可能になります。
着実な理念の定着と効果の最大化を図るためには、このようなPDCAサイクルを定期的に回し続けることが求められます。
ステップ7:成功事例の共有と称賛文化の醸成
理念の浸透を促すには、成功事例を共有し、称賛する文化を醸成することが効果的です。
実際に理念を体現した行動や成果を共有し、ほかの社員にとっての具体的なロールモデルとすることで、理念の再解釈や行動へのヒントになります。
「理念を実践することが評価につながる」という認識が広がれば、自発的な行動の促進にも役立ちます。
経営理念の浸透を成功させるポイント
経営理念の浸透を成功させるために、押さえておくべきポイントを3つ解説します。
説明会や研修の機会を設ける
社員に経営理念を浸透させるには、説明会や研修の機会を設けると効果的です。
理念が策定されるに至った背景や企業の価値観を丁寧に伝えることで、社員の理解と納得感を得やすくなるためです。
さらに社員の理解を深めるためには、講義形式のみよりもディスカッションやワークショップを取り入れると効果的です。
組織全体で共通の価値観を築くためには、このような学習機会を定期的に設けるとよいでしょう。
行動指針を明確にする
経営理念を現場で実践に移すには、具体的な行動指針を明確にすることが重要です。
経営理念そのものは短い言葉や抽象的な表現になりやすく、具体的に何をすれば理念の体現につながるのかがわかりにくい場合が多いためです。
たとえば、「顧客満足度向上」にかかわる理念であれば、「常に顧客の声に耳を傾ける」「問い合わせには24時間以内に対応する」など、具体的であればあるほど行動に移しやすくなります。
また、このような行動指針を評価制度や目標設定とも連動させることで、理念を業務の中心に据えて行動を促進できるでしょう。
普段から理念に触れる機会を作る
普段から自然と企業理念に触れる機会を作ることも、浸透に有効な視点です。
具体的には、社内報や掲示物、朝礼での共有、定例会議での振り返りなどが挙げられます。
日常のさまざまな場面に理念を組み込むことが、社員一人ひとりに対するリマインドや意識付けにつながります。
経営陣・管理職が経営理念に沿った行動をする
社員が理念を理解して実践するためには、まず経営陣と管理職が率先して体現する必要があります。
リーダー層が理念に沿った判断・言動をおこなうことが規範となり、職場全体に理念の重要性が伝わりやすくなります。
影響力のある経営陣や管理職の言動が理念と一致していれば、社員の信頼と共感も得やすくなるでしょう。
長期的に取り組み・改善していく
経営理念の浸透は一朝一夕には実現しないため、長期的に取り組み、効果を測定しながら改善を重ねることが重要です。
状況や組織の成長に応じて、アプローチや表現方法を見直す柔軟性も求められます。
理念は掲げることがゴールではなく、常に「どのように活かされているか」を問い続け、継続的に改善していくことが本当の意味での浸透につながります。
経営理念浸透をサポートするツールやサービス
経営理念の浸透をより効果的に進めるには、専用ツールやシステムを活用するのも有効です。
最後に、経営理念の浸透に役立つ3つのツールを紹介します。
コミュニケーション活性化ツール
経営理念の浸透には、活発な社内コミュニケーションが欠かせません。
社内コミュニケーションを支援するツールとして有効なのが、ビジネスチャットツールの「Chatwork」です。
Chatworkは、部署間の垣根を越えた情報共有や、理念に基づいた成功事例の紹介、経営陣からの理念メッセージの発信にも適しています。
リアルタイムでの対話や気軽なフィードバックが可能な点も、理念を身近なものにする後押しとなるでしょう。
従業員サーベイツール
理念がどの程度組織に浸透しているかを可視化するツールとして、従業員サーベイツールもおすすめです。
従業員サーベイツールを活用すれば、理念への共感度・実践状況・改善点などをデータとして収集・分析できます。
また、匿名性を担保することで現場のリアルな声を正確に把握できるため、施策の見直しにも役立ちます。
社内SNS・情報共有プラットフォーム
理念に関する情報を全社で一元的に共有するには、社内SNSや情報共有プラットフォームの活用も有効です。
たとえば、理念に基づく行動事例やコラム、経営陣からのコメントなどを定期的に発信することで、理念への関心と理解が深まります。
また、コメント機能などを活用すれば、社員同士の対話も可能になり、理念に関するコミュニケーションを促進できるでしょう。
経営理念を浸透させ、強い組織を作り上げよう
経営理念を浸透させるためには、単に策定して周知・掲示をするだけではなく、さまざまな仕組みや取り組みが必要です。
社員が経営理念を自分事として捉え、具体的な行動に移すことができれば、組織の一体感や生産性の向上、企業の持続的成長が実現できるでしょう。
経営理念に関する情報発信や成功事例の共有、経営層や現場のコミュニケーションの活性化など、理念が日常の対話のなかで自然と根付く環境づくりに、ぜひChatworkの活用をご検討ください。
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