労務管理とは?労務管理の仕事内容や労務と人事の違い

働き方改革
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会社にとって重要な「労務」ですが、その意味を正確に理解されている方は案外少数であり、「人事」と混合している社会人も珍しくありません。

今まで何となく、口に出していた「労務」とは、一体何を指すのか、労務管理の仕事内容や人事との違いも絡めて、労務について解説していきます。

労務とは

労務とは、従業員が入社してから退社するまでの間に発生する、社会保険の加入や、給与計算、健康診断などの福利厚生などの一連の手続きを指します。

従業員を雇用して、事業をおこなう以上、会社側がこれら労務に関する事項につき責任を持つ義務があり、労務に関わる仕事は、「労務管理」と呼ばれることも多いです。

従業員の生活に与える影響も大きいことから、会社に対して法律上義務つけられていることも多く、その事務内容も煩雑であることから、規模の大きな会社では「労務管理」専任の部署や人員配置が採られていることも珍しくありません。

労務と人事の違い

「人事」は労務と混同されることが多いですが、その定義は、やはり労務とは異なります。

労務は、従業員が入社してから退社するまでに発生する、会社としておこなうべき事務等であることに対して、「人事」は採用活動や社内研修、評価制度の運用や人材の適正配置などに関する業務を担当します。

つまり、会社の経営資源のひとつである「人材」の確保、教育、活用を司ることとなり、会社の業績や経営戦略と密接に関わる業務ということができます。

労務管理で管理すること

労務管理でおこなう業務は、給与計算や社会保険など、従業員を雇用する以上、企業として避けては通れないものばかりです。

正しい給与計算をするためには、従業員の勤怠情報を正確に把握する必要があり、社会保険の加入などをおこなうのであれば、従業員の情報(年金番号やマイナンバー等)も管理しておく必要があります。

このように、労務管理の業務はそれぞれがある程度リンクしており、どれかが疎かになると関連する業務に悪影響を及ぼすことに繋がるため、日々の地道な業務管理が非常に重要となります。

労務管理の重要性

労務管理は、従業員が働きやすい環境をつくるために欠かせない業務であり、労務管理がずさんな会社では従業員は安心して働き続けることは難しいでしょう。

例えば、勤怠管理がずさんな会社では、30時間残業していたはずなのに、給与明細に記載されている残業時間が20時間になっており、残業代も20時間分しか支給されていない、入社してから3か月も経つのに、健康保険証がまだ手元に届いていないので、歯医者にも行けない、といった会社では、どんなに素晴らしい上司や仲間が居ても安心して働くことはできないはずです。

労務管理は、従業員が、そのポテンシャルを存分に発揮する環境を整えるための、そもそもの土台であり、従業員を雇用して、事業運営をおこなう上では欠かせない要素であると言えます。

労務の具体的な仕事内容

重要なポジションである労務管理、労務の具体的な仕事内容について確認していきましょう。

勤怠管理

従業員の出退社時間、遅刻早退、残業、休日の出勤などを、出勤簿やタイムカードの出勤記録を集計保管することで、その後に続く、給与計算や勤怠実績を考慮した査定に利用されることになります。

全従業員、漏れなくおこなう必要があり、タイムカードの打刻漏れ等、勤怠実績に不備がないかなども確認する必要がある地道かつ毎月発生するルーティン作業となります。

給与計算

給与計算も、勤怠管理の同じく、毎月必ず発生するルーティンであり、勤怠データを基に基本給、残業代、天引きする額などを計算し、支払いの手配、給与明細の作成、配布までおこなうこととなります。

労務管理で最も重要な業務のひとつであるのが給与計算です。

なぜならば、給与計算はミスが「数字」で明確に現れ、場合によっては非常に深刻な事態に発展する可能性も孕んでいる業務であるからです。

例えば、社会保険料や住民税を天引きが何か月にも渡って漏れていた場合、これを後に天引きするとなると従業員の不満を買う可能性があります。

また、誤って別の従業員の給与明細を、渡してしまったなど、些細なミスが大きなトラブルに発展するのが、給与計算の怖いところです。

従業員にとって生活の糧となる給与は、大きな関心ごとであり、その金額が間違っている、自分の給与金額が同僚に知られることは、会社に対して大きな不信感を抱くことに繋がりかねませんので重要な業務です。

福利厚生管理

そもそも、福利厚生の定義としては、賃金のほかに、その従業員や家族に対して提供するなんらかの支援やサービスを指し、法律で義務つけられている、社会保険(健康保険、厚生年金)、労働保険(労災保険、雇用保険)と、会社の独自ルールとして任意で定めることができるもの(保養所や特別休暇、住宅手当など)があります。

世間一般には、福利厚生と言えば、後者の方を連想する方も多いことでしょう。

例えば、会社が保有する保養所を使いたい場合、労務担当が申請を受け付け、その使用の判断や、使用の際の事務処理をおこなうこととなります。

入退社の手続き

従業員が入社した際は、後述する社会保険等の手続きの他にも、その従業員が使用するデスクやPC、その他の備品類を用意する必要があり、法定の手続き以外にも、社内的な各種の事務手続きが必要になることも多々あります。

こういった業務は多くの場合、労務担当者が担うこととなります。

当然用意するものは多岐に渡り、入社する従業員が携わる業務によっては手配が遅れることが致命的な事態に繋がることにもなりかねません。

また、その従業員が退社する場合においても、備品の返却などを労務担当者がきっちりと確認しておく必要があります。

就業規則等社内規程の整備

就業規則は、会社と従業員の間の規律秩序を保つための法的な意味を持ったルールブックであり、労働法などの改正と連動して、その内容も改める必要が発生する場面があります。

就業規則以外にもある程度規模の大きな会社は、各種のルールブックを定めていることも多く、これらの作成、変更、届出等の整備も労務担当の業務の一環です。

働き方改革などの影響で、就業規則を確認する従業員が増加していることもあり、これらの整備に関する重要性は日々高まっていると言えます。

法定三帳簿の整理

労働者名簿、出勤簿、賃金台帳は、「法定三帳簿」と呼ばれており、その作成、保管が法律によって義務付けされています。

いずれの帳簿も従業員の入退社、勤怠、給与計算を司る労務担当の業務範囲となっており、日々の業務を通じて、労務担当者は、この法定三帳簿の作成管理をおこなうこととなります。

法定三帳簿は、3年間の保管義務が定められており、作成保管の義務を怠ると、労働基準法120条により30万円以下の罰金を科せられる可能性もある、非常に重い意味を持った帳簿です。

社会保険・雇用保険の手続き

従業員の入社の際には、社会保険、雇用保険の加入、扶養家族の手続きが必要となり、途中で結婚、出産があれば、社会保険の扶養異動の手続きをおこなうこととなります。

特に診察を受ける都合上、健康保険証を早く手元に置きたいと希望する従業員は珍しくないので、迅速かつ、正確な事務手続きが必要とされます。

また、従業員の退社の際は、上記の社会保険周りの喪失手続きが必要となり、特に失業保険を申請する際に必要となる「離職票」は記載する項目が多い一方、従業員から、その発行を急かされることも多く、これまた迅速かつ、正確な事務手続きが求められることとなります。

安全衛生管理

健康診断や、過労気味の従業員へのフォローも労務担当者の業務範囲となります。

当然、実際に診断をおこなうのは医師となりますが、その手配や診断結果の管理、異常が見受けられた際の処理など、労務担当者が間接的に関わる部分は多いものです。

特に、安全衛生に厳しい業種(建設業、運送業など)においては、別途法律で、安全衛生管理についてルールが定められていることもあるので、これらに抵触しないように、必要な診断や処置をおこなう必要があります。

年末調整

年末調整とは、毎月従業員の給料から天引きされる「所得税」を清算するイベントであり、多くの場合、払いすぎた所得税が還ってくる、従業員にとっては少しうれしい場面と言えますが、労務担当にとっては多忙を極める時期となります。

顧問税理士が付いている会社であれば、年末調整は税理士がおこなうこととなりますが、年末調整の際には「扶養控除等申告書」を始めとした各種の書類を、全従業員に記入してもらい、回収する必要があります。

年に1回のイベントであり、小難しいことが小さな字で書いてある申告書を正しく記入することは通常困難であり、また期日までに全員分漏れなく回収することは、規模の大きな会社においては一苦労です。

このように、年末調整は、税理士にバトンタッチするまでの過程において、担当者に負担がかかる一大イベントであると言えます。

労務に求められるスキル

労務の仕事は、重要である割に、目立たない地味な仕事であり、その範囲も多岐に渡ります。

その上、会社の業績にダイレクトに貢献する役割ではない為、自ら進んでこれらの業務に就こうとする人材もそれほど多くはないというのが現状です。

この為、多くの会社においては、従業員の希望よりも適正面を重視して、労務担当のポストを当てるケースが少なくありません。

どういった人が労務の仕事の向いているのか3つのポイントに分けて解説していきます。

几帳面さと地道な姿勢

経理業務と同様、労務の仕事は几帳面さを求められることが多いものです。

特に給与計算においては細かなミスも許されない為、定められた手順にしたがって、正確かつ迅速に処理をこなす必要があります。

また、ダブルチェック、トリプルチェックなどの気の遠くなる作業も根気強くおこなわなければなりません。

「これくらいは、まぁ大丈夫だろう、、、」という姿勢では、抜け漏れがやはり目立つようになるため、労務の仕事には不向きということになるでしょう。

コミュニケーション能力

業務の性質上、従業員から書類などを回収する機会も多い為、書類や情報を収集する為の趣旨やその期限などを伝えて、滞りなく労務の仕事をこなすためには、従業員との円滑なコミュニケーションは欠かせないものとなります。

几帳面だけれども、意思疎通が苦手で、人と会話することが億劫という方は、残念ながら労務の仕事を円滑に進めることは困難であると言えます。

秘密保持の姿勢

マイナンバー、家族構成、給与など、従業員のパーソナルな情報を管理する部門である以上、その取り扱いには細心の注意が必要です。

特に情報漏洩に対する評価が厳しくなる傾向にある現代においては、情報管理の厳格さは重要となっています。

どれだけ親しい間柄の同僚であっても、他の従業員の情報は一切漏らさない線引きができ、回収した情報においても社内ルールに準じて取り扱う一貫した姿勢は、労務担当者に求められる要素です。

労務管理の課題

働き方改革を皮切りに、副業などの解禁に踏み切った会社も多くなりました。

新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークの普及など、時代や時勢に応じて、労務管理は変化を迫られることとなります。

多様化する雇用形態

副業や、ダブルワークなどが一般化しつつある中、2社間の通勤災害の取扱いや労働時間の通算など、勤め先がひとつだけだった従来の労務管理では、あまり起こりえなかった事柄が散見されています。

副業解禁が一般化されてから日が浅く、事例の蓄積も十分でないことから行政の見解も一本筋の通った統一感も薄いことは否めません。

これに関しては、都度、専門家や管轄の労働行政に相談してトラブルシューティングし、必要に応じて予防策を講じることが必要となります。

勤務時間の適切な管理

勤怠管理の定番といえば、タイムカードですが、テレワークを始め、多様な働き方が標準化しつつある現代においては、従来のタイムカード方式では、労務管理の業務が煩雑化する可能性があります。

また、従来では認められていた「みなし労働時間制」も、さまざまな勤怠管理システムが充実しつつある現代では、以前と比較して容認されにくい傾向にあります。

業務効率という面においても、手書きの出勤簿や、タイムカードはもはや時代遅れであり、勤怠管理の為のツールの近代化に迫られるのも時間の問題であると言えるでしょう。

テレワークへの対応

新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、一気に普及したテレワークですが、今までにない働き方であり、労務管理の現場においては、判断に困る事例も起こりえます。

例えば、離席が目立つ従業員の勤怠時間の考え方や、テレワークの為に必要な費用の負担先などが挙げられるでしょう。

また、過度な業務量を割り振って、テレワークでも過重労働が起こっており、管理者もその実態を把握できていないケースも見受けられます。

労務管理にChatworkを活用しよう

現代では、IT技術を駆使した便利な勤怠管理ツールが数多くリリースされており、ビジネスチャット「Chatwork」も労務管理に活用できるツールのひとつです。

例えば、Chatworkを利用して、チームごとにチャットグループを作成し、出退勤ごとにメッセージを送るようにルール決めしておくことで、テレワークの出退勤記録として利用することや、タスク機能を使うことで、プロジェクトの進捗状況の共有も可能です。

スムーズな情報共有やコミュニケーションはあらゆる業務を円滑に進めるのに必要な要素ですので、Chatworkを利用することで労務管理の仕事を効率化することにつながります。

ITツールの導入を考えているのであれば社内コミュニケーション活性化につながるChatworkの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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Chatworkの中の人です。お役立ちコラムの編集者として、ワークスタイルの変化に伴うコミュニケーションと組織のあり方など発信していきます。

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