女性管理職の推進方法とは?メリットや向いている人、企業事例を解説
目次
日本において女性管理職の割合は、低い傾向にあります。
人材を安定的に確保するためにも、女性管理職を推進できる社内環境を整備することが重要です。
実際にどのようなスキルをもつ人が、管理職の立場に向いているのでしょうか。
女性管理職を推進するメリットをはじめ、企業で推進を図る方法を解説します。
日本企業における女性管理職の割合とは?
日本企業では、女性管理職の割合が少ない傾向があります。
厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査(企業調査)」によると、課長相当職以上の女性管理職の割合は12.4%、係長相当職以上の女性管理職割合は 14.6%という結果でした。
全体の割合から考えると、男性管理職のほうが多いという現状があります。[※1]
女性管理職が求められる背景
女性活躍推進法の背景もあり、女性が家庭と仕事を両立できる職場環境づくりや、能力を発揮できる仕組みづくりが求められています。
また、国が掲げる目標として、2025年までに民間企業の女性管理職の割合を約30%(係長相当職を占める割合)にすることを推進していることも背景にあるでしょう。
日本の人口減少による労働力不足が懸念されている問題など、企業経営の中核になる女性管理職の人材確保が課題になっています。[※2]
女性管理職の推進が難しい理由
女性管理職の推進が求められるものの、難しい理由を見ていきましょう。
出産・育児との両立が難しい
現実問題として、出産・育児後の再就職で非正規雇用労働者が56.0%を占めているのが現状です。
女性管理職になることで、仕事を優先しなければいけない状況が想定されるため、家庭との両立が難しいといった課題があげられます。[※3]
女性管理職を推進できる社内制度が整っていない
短時間勤務制度や育児・産前産後休業制度などの運用ができていないと、家庭との両立が難しいと感じられてしまい、女性管理職の推進が難しくなるでしょう。
また、社内で女性管理職の前例がない場合、未来のキャリアプランをイメージしづらいといった理由もあげられます。
女性管理職に求められるスキルや向いている人
女性管理職を目指すときは、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
向いている人の特徴とともに見ていきましょう。
自己主張と他者受容ができる
仕事を円滑に進めるには、伝えるべき場面で適切に意見を伝えられるスキルが重要です。
相手の意見を受けとめられる度量があると、一方的な主張にならないため、自分と相手の両方を尊重するコミュニケーションにつながります。
論理的思考ができて感情的にならない
管理職は現場の司令塔になるため、気分や感情で行動しない人材が求められます。
論理的思考で判断できる人は、同僚や部下に的確に指示を与えることができ、周りに安心感を与えられるでしょう。
現場を俯瞰できる
自分の仕事ばかりを考えるのではなく、現場の状況を見て行動できる人材が求められます。
物事が俯瞰できると、職場内の作業効率やスケジュール管理を考えながら、とどこおりがなく作業を進められるでしょう。
未来を見据えた行動ができる
目の前の成果や仕事だけにとらわれず、経営者視点で考えられる人材が求められます。
自社の事業活動が地域にどのような貢献をしているのか、今後の事業活動を支えていくにはどのような改善が必要なのかなど、幅広い視点から考えて行動できるスキルが必要です。
女性管理職を推進するメリット
企業と社員の両方において、女性管理職を推進するメリットを見ていきましょう。
人材獲得につながる
国は「えるぼし認定」や「プラチナえるぼし認定」という認定制度を実施しています。
上記は、女性が活躍できる社内環境が整っている優良企業を認定する制度です。
女性管理職を推進することで「働きやすい企業」というイメージを浸透できるため、人材採用や人材の定着化にもつながります。
社内環境・制度を整えるきっかけになる
女性管理職を推進することで、出産・育児後の再復帰がしやすい環境を整える機会につながるでしょう。
短時間勤務制度、育児・産前産後休業制度の運用など、仕事と家庭を両立できる多様性のある社内環境を整備できます。
男性管理職に相談しづらい内容でも対応できる
女性の体調に関する話題や、ハラスメントなどに関する相談など、男性管理職に相談しづらい話題もあるかもしれません。
女性管理職がいることで、部下がひとりで悩みを抱え込む状況を予防できます。
女性社員のお手本としてロールモデル化につながる
女性管理職の前例がつくれることで、同僚や部下のキャリアプランをイメージするときの参考にできます。
「女性が活躍できる職場」のイメージをつくる機会につながり、キャリアアップを図りたい女性のモチベーションの向上に期待できるでしょう。
女性管理職を推進する方法
企業が女性管理職を推進したいときに、実践したい方法を見ていきましょう。
能力評価で管理職を決める
管理職を決めるときの基準として、性別に関係なく、社員の能力評価で決めることが重要になります。
勤務態度や仕事の実績、マネジメント能力やコミュニケーション能力など、評価基準は平等かつ明確にして透明性を高めることが大切です。
また、上司から女性管理職を推進したい人に向けて、強要にならない形で声をかけるといった働きかけも求められます。
復帰ができる社内制度を整える
家庭と仕事の両立ができるように、妊娠・出産・育児休業制度の運用、短時間勤務やテレワークの導入などを進めましょう。
制度が形だけにならないように、気軽に利用できる空気感をつくる工夫や社内での周知が求められます。
また、制度を利用する人に対して、差別・ハラスメントの問題が起きないように、社内での教育体制・相談窓口を整えておくことも重要です。
>社内相談窓口の設置が必要な理由と効果的な運営方法に関する記事はこちら
管理職の研修制度を設ける
女性管理職を推進するには、リーダーや管理職に求められるスキル・経験を補う研修制度を設けましょう。
研修制度を設けることで「女性管理職になるのが難しい」といったイメージを払拭する機会をつくれます。
社内でのノウハウがなく、女性管理職の研修が難しいと感じられるときは、外部機関に任せる進め方でとりくみましょう。
女性管理職を推進する事例
国の認定制度の「えるぼし」を獲得した事業活動の例を参考に、女性管理職を推進する事例を見ていきましょう。
医療・福祉の事例
出産・育児・介護などによる離職率を上げないために、再復帰がしやすい職場環境づくりを進めている事例があげられます。
とりくみの一例は、下記のとおりです。
- 管理職の教育により復帰しやすい環境づくりを整えること
- 出産や妊娠対象者に向けたパンフレットを作成すること
- 短時間勤務の導入を進めること
ほかにも、管理職の研修プログラムを充実させて、女性管理職を推進する事例など、職場全体の意見を参考にしながら、女性が働きやすい環境を整えています。[※4]
女性管理職の推進は社内環境の改善が重要
女性管理職の割合を高めることで、企業の長期的な人材獲得につながります。
実際に女性管理職を推進するには、社内制度の導入と整備が必要不可欠です。
どのような改善が必要か検討することで、社内の課題を見直す機会につながります。
離職率を高めない工夫としても、現場の意見を参考にしながら女性管理職の推進を目指しましょう。
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[※1]参考:厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査(企業調査)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/02.pdf
[※2]参考:「共同参画」2021年2月号 | 内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2020/202102/202102_02.html
[※3]参考:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)|女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000614010.pdf
[※4]女性活躍推進の取組好事例集
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000197011.pdf
※本記事は、2022年5月時点の情報をもとに作成しています。